◆茨城県病院事業企業体・経営管理課広報紙◆ 病院局 平成26年1月22日 第110号 企画・編集 茨城県病院局経営管理課 水戸市笠原町978番6 電話 029-301-6516 発行責任者 病院局経営管理課長 高橋 上 明けましておめでとうございます。今回は金子病院事業管理者の訓辞を掲載します。 茨城県病院事業管理者 金子 道夫 2014年の年頭にあたって 同じ時期に他の公的病院も同様の成果を挙げてきて あけましておめでとうございます。 いました。県立病院の潜在的能力を考慮しますとま この年末年始は 9 連休という長い休暇、しかも穏 だまだ合理化、効率化の余地はあり、今後さらに力 やかな天候で日頃忙しい皆様も良いお正月だったの を注いでいく必要があります。 ではないでしょうか。その中で救急をはじめとして 県立病院の使命は政策医療にあるとされ、我々も 診療業務に当たられた職員の方々には御苦労様とね その実現に努力してきました。救急医療・高度医療 ぎらいの言葉をおかけしたいと思います。 の充実、低所得者・外国人への対応・精神身体合併 地方公営企業法の全適という体制の基に病院改革 症の患者さんの積極的受け入れなども行ってきまし を進めてきた第2期病院改革も残すところあと 3 ヶ た。そうした皆様の努力の成果で最近は県立病院の 月となりました。昨年も掲げましたが年頭に当たっ 評価が高くなってきています。中央病院は DPCⅡ群 て、改革の3原則を再確認することは意義のあるこ 病院となり、その中でも上位の評価を受けているこ とと思います。 とは喜ばしい限りです。 [改革の3原則] 1.地方公営企業法の精神に基づき、病院経営の合 理化、効率化を進める。 2.政策医療を中心に、県民が求める質の高い、安 第 2 期改革のキーワードとして私が真っ先に掲げ たのは「医療は人」であります。寄附講座をはじめ 筑波大学との連携を強化して医師の確保に努め、看 護師やパラメディカルスタッフを増員してきました。 心・安全な医療サービスを提供し、県民のニー 震災からの復興のため給与カットを県から求められ ズに応えられる県立病院づくりを目指す。 たとき、我々は知事部局とのバランスに重きのおか 3.われわれ病院関係者は、意識改革と自己変革を れる管理職、事務職を除き、医療スタッフのカット 推し進め、改革の成果を挙げるとともに、県民 を行いませんでした。人を大事にする姿勢を崩した に信頼される医療を提供する。 くなかったからに他なりません。 これまでの第 1 期、第 2 期の改革は、人材の確保 第 2 期改革ではもう一つ「変革」をキーワードに や新規施設設備への投資をしながら合理化、効率化 しました。この中には県立病院の重要な役割は教育 を行い相当に効果を上げてきています。経営状況は 機能であるということも含まれています。この点で 当初から見れば大幅に改善しました。我々の努力の 3 病院ともに教育機能の充実の重要性は特に強調し 結果でありますが、しかし、この間の病院医療に対 たいところです。臨床病院は診療をしっかりやって する診療報酬の追い風が吹いたことも大きな要因で、 いればよい、というのではなく、県立病院のような 公的病院はとくにこの教育機能が求められています。 会のニードに適応しないこと、必要な医療費の負担 茨城県は人口あたりの医師数・看護師数が特に少な が大きすぎることから、病院機能別の病床数の大幅 いことは公知の事実です。これが今後 10 年 20 年で な見直しが今後行われます。これまで多くの病院は 大幅に改善することはありません。公的病院は大学 懸命に看護師を確保し 7:1 看護体制のもとに急性期 病院とともに人を育てる医療機関にする以外に解決 医療を担うことに力をいれてきました。今後は 5:1 法はありませんので、 「人を育てる医療」は今後の病 看護体制などが導入され、さらに高度の急性期を担 院改革の重要な目標としていきます。教えることは う病床が出現する一方で、急性期病床の大幅な削減 楽しくやりがいのあることであり自らも成長する方 が行われる予定です。現在は特定機能病院・DPC 病 法だと確信しています。 院での診療内容データが集積され、さらにレセプト 改革 3 原則の中で最も困難で、評価の難しいのが の電子化により、我々が行っている医療内容が膨大 「意識改革と自己変革」ではないでしょうか。医療 なデータ、いわゆるビッグデータとして集積されて を受ける患者さんの視点で自分の医療行為を見てみ います。社会が必要としている医療と実際に行われ ることが重要です。また、改革の成果を挙げるには ている医療が容易に比較できるようになりました。 各人ばらばらではなく、病院という組織の中で同じ それに基づき病院機能を「適切化」しようとしてい 方向を目指して協同していくことが絶対必要であり、 ます。県立病院にあっては、今後どのような病院機 それに向けた組織改革を常に推し進めることが重要 能が我々に求められ、それにどのように応えうるの です。幸いにも皆様方の努力により県立病院は力強 かをよく検証して将来の病院像を作り上げてゆかな く前進をしていると感じています。わたしの耳にも くてはなりません。地域のニードと周辺の医療体制 県立病院がよくなったという声が聞かれるようにな を見据え、さらに医療人の確保と育成を考慮した病 りました。嬉しいことです。 院像を早急に描くことが求められています。 さて、この 4 月から消費税が5%から8%に上が 第 2 期改革の 4 年間がまもなく満期になります。 ります。消費税の増税分は社会保障に当てるという 改革初年度の最後の月にあの東日本大震災があり、 ことが大前提でした。医療や介護に追い風が吹くと それからの復興に力を注がなくてはなりませんでし 我々も期待しました。しかし、昨年末、医療機関が た。経営改善の面からは大きな痛手でありました。 負担する消費税増税分は診療報酬に反映させるが、 しかし、災害からの復興で見せた我々の力、災害か 診療報酬本体分は実質 1.26%引き下げることになり ら与えられた大きな教訓を我々の宝としなくてはな ました。消費増税による負担増にさらに診療報酬を りません。災害拠点病院として次の災害に備えるた 国民に負担させることはできないというのがその理 めにも、災害から学んだことを単にマニュアル化す 由のようですが、それは我々には理解不能です。今 るだけなく、災害を忘れることなく絶え間ない実地 月、診療報酬の具体的な細部が決定されますが、そ の訓練を基に動けるようにしたいと考えます。 れを注視し対応を考える必要があります。さらに、 7:1 看護が可能な急性期病院があまりに増加し、社 ご意見・ご感想はこちらまで [email protected] 茨城県病院局ホームページ URL http://www.pref.ibaraki.jp/byoin/byokei/index.html
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