KK19

暮らしの力学 KK19
重心(4)分布力と等価集中力
これまで特にことわらなかったが、力は物体のある点に作用すると考えていた。このような物体の
ある点に作用する力を集中力(荷重)と言う。数学的には点は面積ゼロであり、面積ゼロに力が作用す
ることは現実には起こり得ないが、力の作用する面積が考えている系に比べて小さいときにはそれ
を点に集中させても誤差は非常に小さいことが証明されており、力学において頻繁に用いられるモ
デル化である。
力の作用する面積が考えている系に比べて小さくない状況もしばしば起きる。例えば、重力に由来
する力(重量)は系全体に作用する。このようにある面積(あるいは体積)にわたって作用する力を
分布力(荷重)という。2次元の場合は、分布力は単位長さあたりの力で与えられる。もっとも一般的
な分布力の単位は( N/m )である。
一般的な場合、分布力 q(x) が部材の長手方向
の連続関数で表現されているとき、合力 R は次
式より算定できる。
R   qx dx
b
(19.1)
a
ここに、 a, b は分布力 q(x) が作用している始点
と終点である。
すなわち合力 R は図 19-1 の q(x)
で囲まれた部分の面積に等しい。ここでの議論
は2次元デカルト座標に限定しており、分布力
の作用方向は垂直方向( y 方向)としている。し
たがって、合力の方向も y 方向である。方向が
図 19-1
分布力
限定されているのでベクトル表示していない。
合力 R の大きさと方向はわかったが、作用点が未知である。図 19-1 に示された荷重分布形状を単
に図形と考えれば、合力 R の作用点は重心(あるいは図心)と等しいことがわかる。したがって、始
点 a から合力 R の作用点までの距離 x は次式により算定できる。
b
x
 xq ( x)dx
a
R
b

 xq ( x)dx
a
b
 q( x)dx
a
分布力(荷重)の合力を等価集中力(荷重)と呼ぶ。またその作用点を等価作用点と呼ぶ。
(19.2)
例題 19-1
図 19-2a),b)の等価集中力 Peq と等価作用点距離 l eq を求めよ。ただし、左側の支点から分布
荷重が作用し始めるまでの距離を a とせよ。
図 19-2
例題解答 19-1 a)
q( x)  w =一定であるから、積分するまでもなく、等価集中力 Peq は、
Peq  wb
である。等価作用点は分布力の中央である(図 19-2-1(a))。したがって、
l eq  a 
b
2
b) 積分してもよいが、積分するまでもなく、面積を計算すれば、等価集中力 Peq は、
Peq 
wb
2
ある。等価作用点は、三角形の図心(教科書表 3.1 参照)であるから(図 19-2-1(b))、下記となる。
l eq  a 
2b
3
図 19-2-1
KK 演習 24、宿題⑯