外部磁場制御を付与した熱エネルギ加工による 永久磁石の着磁パターニング 工学院大学 機械創造工学科 武沢英樹 [email protected] 2. 放電加工による実験結果 初期1mm加工時の 磁石内部温度を計測 加工後の表面磁束密度 • 希土類磁石は硬脆材料であり,強い磁力の影響もあり 着磁後の機械加工は困難. • 放電条件によって決まる磁石内部 温度に起因する磁束密度低減領域 とその低減量に依存する 磁性材料に対する放電加工 表2:放電加工条件 • 着磁後の磁石の高精度な形状加工が可能. 放電電流 (A) No.1 No.2 図2:放電加工後の磁石 密度 温度係数 3 520mT 7.5~7.65 g/cm -0.11 ~ -0.12 %・℃ キュリー温度 保持力(bHc) 保持力(iHc) 310 ~ 380 ℃ 876 ~ 923 kA/m ≧955 kA/m 放電電流 (A) 図3:ネオジム磁石(N-42) T<Tc No.2 T>Tc • 照射時の外部雰囲気を変化させた際の影響について検討 スポット径 繰り返し周波数 パルス照射時間 S 9mm 9mm 未加工 Laser 1 No. 150 EDM No.1: 5A D.F. 50% 5mm EDM No.2:20A D.F. 50% 5mm 100 No.2 10 9 8 7 磁石厚さ mm 6 0 5 0 10 20 30 40 Time min 50 20ms 20 D.F. (%) 128 EDM No.2: 通常磁界 50 2mm 100 20A D.F.50% 2mm 逆磁場 20A D.F.50% 2mm 50 0 3 4 450 250 400 3mm 200 150 100 20A D.F.50% 3mm 逆磁場 20A D.F.50% 3mm 50 0 250 350 4mm 200 No.2 300 150 100 250 200 300 150 500 入力エネルギ (W) 200 200 EDM No.2:負の外部磁場 加工面からの距離 mm 1 0 2 550 100 200 No.1 10 9 8 7 磁石厚さ mm 20A D.F.50% 4mm 逆磁場 20A D.F.50% 4mm 50 6 5 0 0 50 100 150 200 250 1mm エネルギ 3mm パルス数 9mm K型熱電対 2.2J/Pulse 1000Pulse K型熱電対 K型熱電対 図11:内部温度計測用熱電対 図12:底面温度計測用熱電対 図13:温度計測位置 ネオジム磁石 表面磁束密度計測 加工槽 N N N S S S N S 8mm EDM 7mm EDM 6mm EDM 5mm EDM 銅電極 プローブ 計測位置 プローブ 1mm XYZ ステージ 磁石 図10:ビーム照射セットアップ 図14:計測位置 図15:計測時の概要図 6. 負の外部磁場中のレーザ照射の影響 磁束密度変化 磁束密度変化 • 気中で照射(図17(a))すると磁束密度は40mT程まで大きく低下 • 通常磁界で照射(図20(i))すると磁束密度は370mT程まで低下 • 氷水に浸す(図17(b))と照射条件は等しいにもかかわらず340mT程度 までの低下 • 負の外部磁場を付与し照射(下図20(ii) )すると磁束密度は200mT程まで 低下した 内部温度分布 内部温度分布 • 気中で照射(図18(a))すると1mm,3mmで230℃程 度,底面でも150℃.磁石全体の温度が高くなる. 照射される ネオジム磁石 • 冷却して(図18(b))照射した場合,1mm下で180℃, 冷却用の氷水 3mmで125℃,底面で70℃.気中照射よりも内部 温度は低下しており,磁石内部の温度勾配も大きい. N 熱電対用の穴 S EDM:20A D.F. 50% 4 (a) ビーム照射:空冷 200 500 (b)ビーム照射:冷却 加工面からの距離 mm 1 0 2 1mm 3mm Bottom(9mm) 150 300 0 0 (a)ビーム照射:空冷 300 400 500 1mm 3mm Bottom(9mm) (b) ビーム照射:冷却 150 100 200 250 200 200 100 200 100 400 50 300 図17:深さ方向の磁束密度変化 5 0 200 300 400 500 250 1mm 3mm Bottom(9mm) (ii) 負の外部磁場付与 150 (ii)負の外部磁場 100 100 50 0 6 0 200 200 50 8 7 磁石厚さ mm 1mm 3mm Bottom(9mm) (i) 通常磁界 150 100 100 9 負の外部磁場 磁石 250 4 (i)通常磁界 磁束密度 mT 温度 ℃ 50 3 500 100 400 スペーサー S Laser 1000Pulse:負の外部磁場 温度 ℃ 3 S 図19:負の外部磁場用ジグの概要図 EDM:20A D.F.50%:負の外部磁場 Laser 1000Pulse 250 熱電対用の穴 照射される 磁石 N Laser 1000Pulse:水冷 加工面からの距離 mm 1 0 2 N • 図21中の(i)は外部磁場を付与しない場合, (ii) は負の外部磁場を付与した場合である. 両者を比較すると負の外部磁場の有無にかか わらず内部温度はほぼ同等の値を示した.にも 関わらず,表面磁束密度の低下は大きくなる. 図16:レーザ照射の概要図 EDM:20A D.F. 50% 10 350 図8:深さ方向の磁石内部温度 Nd : YAG Laser 5. 加工雰囲気と磁石内部温度・磁束密度変化 0 300 Time sec φ10mm EDM No.1 5A D.F.50% Laser 1000Pulse:空冷 60 250 0.5mm 図9:ビーム照射の深さ方向への磁束密度変化計測概要 磁束密度 mT 5mm 50 0 200 初期1mm加工時の 磁石内部温度を計測 • テスラメータを用いて機上計測 S 100 • K型熱電対によりビーム照射中の温度計測を行った.9mm磁石の端面から 1mm,3mm,9mm(平面測定用熱電対)の合計3点で同時に温度計測を行った. 表4:ビーム照射条件 N EDM No.1: 5A D.F. 50% 4mm EDM No.2:20A D.F. 50% 4mm 温度計測 ビーム照射中の磁石内部温度を計測し,深さ方向の温度分布と 表面磁束密度変化について検討 N 150 4. 温度・表面磁束密度の計測方法 • ビーム照射 1000Pulse 4mm 0 200 図7:深さ方向の磁束密度変化 ビーム照射による磁束密度変化を調べる 15Hz パルス幅(μs) 図4:温度と磁気モーメントの関係 3. 本研究の目的 11.5mm EDM No.1: 5A D.F. 50% 3mm EDM No.2:20A D.F. 50% 3mm 50 0 表3:外部磁場付与加工に使用した放電条件 T=0 100 3mm 50 200 200 T 9mm -1 50 250 50 4 350 300 • 磁石内部温度は外部磁場無しの 場合と同等であるにも関わらず 表面磁束密度の低下は大きい 自己磁化 Tc 温度 128 3 400 負の外部磁場中の放電加工 φ10mm 表1:ネオジム磁石の特性 20 150 450 入力エネルギ (W) 50 0 200 図5:深さ方向の磁束密度変化 図6:深さ方向の磁石内部温度 Tc = キュリー温度 • 温度係数による磁力変化をし,温度制御による 加工後の磁石表面の磁力制御の可能性 32 50 Temperature ℃ • キュリー温度(約310℃)以上で磁気モーメント の配列を失い,磁力を消失する 5 D.F. (%) EDM No.1: 5A D.F. 50% 2mm EDM No.2:20A D.F. 50% 2mm 100 No.1 500 2mm 150 EDM No.2:20A D.F. 50% 加工面からの距離 mm 1 0 2 550 磁束密度 mT ネオジム磁石の温度特性 パルス幅(μs) EDM No.1: 5A D.F. 50% 磁束密度 mT 磁性材料に対する機械加工 図1:ドリル加工後の磁石 200 Temperature ℃ 1. はじめに 表面磁束密度 042-628-4164 0 100 200 時間 sec 300 400 500 0 0 10 図18:空冷と冷却の内部温度の違い 9 8 7 磁石厚さ mm 図20:深さ方向の磁束密度変化 6 5 0 100 200 時間 sec 300 400 図21:通常磁界と負の外部磁場付与時の内部温度 7. まとめ ネオジウム磁石へのビーム照射よる内部温度と表面磁束密度の変化について調べた結果,以下の事が明らかとなった. • 空冷および冷却したビーム照射の比較より,照射後の磁束密度は内部温度状態に依存する. • 放電加工やビーム照射によらず,磁石内部温度状態がほぼ等しければ,磁束密度の変化はほぼ同様の傾向を示す. • 負の外部磁場中でビーム照射を行えば,磁石内部温度は外部磁場無しの場合と同等であるにも関わらず,表面磁束密度の低下は大きい. この傾向は,放電加工における外部磁場の影響と同様である. 500
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