JLA「競技規則 2014 年版」

JLA「競技規則 2014 年版」についての補足資料
(JLA 競技規則 2014 年版 第 4 章プール競技規則 6.マネキンの扱い方(2)
(3) 参照)
国際ライフセービング連盟(ILS)の競技規則変更に伴い日本ライフセービング協会(JLA)では「JLA 競技規
則 2014 年版」を発行する。ILS は、過去 2 年間の国際ライフセービング競技会の失格について分析を行い、マ
ネキンの運び方(キャリー)と引っ張り方(トウ)に関連する部分を変更した。
今回の競技規則変更の理由は、失格を減らし、競技者のパフォーマンスを向上させ、競技者や審判員に対し
規則を明確にするためである。マネキンキャリーとマネキントウの技術において「マネキンの口または鼻が常
に水面上に保持されていなければならない」という規則が適用されない事以外は、これまでの競技会で使用さ
れてきた規則と同様である。
「マネキンを正しくない方法で運んだ(キャリー)場合」
(DQ18)には、以前と同じ説明文の「マネキンを正
しい状態で保持しなければならない」が残っている。このポイントは、人道的倫理に基づいて、水面での正し
い運び方(キャリー)の技術が使用されることにある。マネキンキャリーをする際の「水面上にて保持されて
いなければならない」という事項は「水面を運ばなければならない」と置き換えられた。
しかし、マネキンを「水面下」で運ぶと失格となる。競技者は、競技規則(ルール)で定められたとおり、
5m または 10m ラインの手前でマネキンとともに水面に浮上しなければならない。5m または 10m ラインを越えた
後、競技者はマネキンとともに、レース中ずっと水面に留まらなければならない。マネキンだけではなく、競
技者とマネキンの両方が水面にいるかどうかが判定の対象となる。
マネキンの顔の上に水がかかるかどうかは、判定の対象ではなくなる。さらに、競技者のストロークかキッ
クの一部が、そのレースの全体を通して水面から出ている状態であれば、競技者がマネキンを一時的に水面下
に沈めてしまっても失格にはならない。
「マネキンの顔を下向きで運んだ(キャリーまたはトウ)場合」
(DQ19)は、見直され以下のように変更され
た。
以前は「マネキンの口または鼻が常に水面上に保持されていなければならない」から「マネキンの顔を上に
向けた状態にして水面を運ばなければならない」に変更された。
マネキンの顔は斜めになってもよいが、水面の水平面に対して 90 度以上になってはいけない。マネキンの顔
が 90 度を越えて傾いた際には、失格(DQ)と判定される。
以下はマネキンを運ぶ(キャリー)とマネキンを引っ張る(トウ)の正しい例と間違った例である。
クロスチェストキャリー(Cross-chest carry)

競技者は背を下にして泳ぎ、いかなるキックおよびストロークを使用してもよい。

競技者は片方の手や腕をマネキンの胴体部分に回してマネキンを掴み、マネキンを水面にて保持する。

マネキンは顔を上にして運ばれなければならない。斜めになってもよいが、水面より 90 度を越えて傾
いてはならない。
(マネキンを押したり、喉・口・鼻・目を掴んだり水面下を運んではならない)
ダブルハンド(両手)ヘッドキャリーまたはチンキャリー(Double-hand head or chin carry)

競技者は背を下にして泳ぎ、いかなるキックおよびストロークを使用してもよい。

競技者は両手でマネキンの頭部両側面を掴んで、マネキンを水面にて保持する。

マネキンは顔を上にして運ばれなければならない。斜めになってもよいが、水面より 90 度を越えて傾
いてはいけない。
(マネキンを押したり、喉・口・鼻・目をつかんだり、水面下を運んではならない)
シングルハンド(片手)チンキャリー(Single-hand chin carry)

競技者は背を下にするか、横向きに泳ぎ、いかなるキックおよびストロークを使用してもよい。

競技者は指を使ってマネキンの顎を掴んで、マネキンを水面にて保持する。

マネキンは顔を上にして運ばれなければならない。斜めになってもよいが、水面より 90 度を越えて傾
いてはならない。
(マネキンを押したり、喉・口・鼻・目を掴んだり、水面下を運んではならない)
ダブルハンド(両手)アンダーアームキャリー(Double-hand underarm carry)

競技者は背を下にして泳ぎ、いかなるキックおよびストロークを使用してもよい。

競技者は両手でマネキンの両腕の下を掴んで、マネキンを水面にて保持する。

マネキンは顔を上にして運ばれなければならない。斜めになってもよいが、水面より 90 度を越えて傾
いてはならない。
(マネキンを押したり、喉・口・鼻・目を掴んだり、水面下を運んではならない)
バックオブネックキャリー(Back-of-neck carry)

競技者は背を下にするか、横向きに泳ぐか、正面を向いて泳ぎ(クロールの状態)、いかなるキックお
よびストロークを使用してもよい。

競技者はマネキンの首の後ろを掴んで、マネキンを水面にて保持する。

マネキンは顔を上にして運ばれなければならない。斜めになってもよいが、水面より 90 度を越えて傾
いてはならない。
(マネキンを押したり、喉・口・鼻・目を掴んだり、水面下を運んではならない)
トウの場合

競技者は背を下にするか、横向きに泳ぐか、正面を向いて泳ぎ(クロールの状態)、いかなるキックお
よびストロークを使用してもよい。

マネキンを引っ張る(トウ)前に、競技者は 5m ラインの手前でマネキンを正しく確保しなければなら
ない。
「正しく」とは、マネキンの胴体の周りおよび両腕の下にレスキューチューブをつけ、クリップ
をオーリングにかけた状態のことを指す。

レスキューチューブとマネキンが離れた場合は、競技者は失格となる。

レスキューチューブを正しくつけた後、マネキンの顔が上を向いた状態で水面を引っ張っていれば、
引っ張っている途中で、レスキューチューブがずれてマネキンの片方腕のみで確保されている状態に
なったとしても、競技者は失格とはならない。

競技者は 5m ライン以降、マネキンを正しく確保し、顔を上に向けた状態で水面を引っ張らなければな
らない。マネキンは斜めになってもよいが、水面に対して 90 度を越えて傾いてはいけない。

レスキューチューブの紐は、出来るだけ速やかに、マネキンの頭頂部が 10m ラインを越える前に、十
分に伸ばした状態にならなければならない。
作成月日:2014 年 4 月 23 日
作成:JLA 競技運営・審判委員会
引用:ILS Competition Manual 2013 Edition-Technical Bulletin
訳:JLA 国際室
撮影協力:競技力強化委員会・JHPP