三量体 G タンパク質シグナル制御機構の新たなる展開

〔生化学 第8
5巻 第7号,pp.5
3
1―5
4
2,2
0
1
3〕
総
説
三量体 G タンパク質シグナル制御機構の新たなる展開
伊
広1,西
東
村
明
幸1,2,永
井
裕
介1,3
ホルモン,神経伝達物資,光,匂い,味物質など数多くの細胞外情報は G タンパク質
共役受容体により認識された後,αβγ の三つのサブユニットからなる三量体 G タンパク
質を活性化して細胞応答を引き起こす.受容体と G タンパク質からなる複合体の X 線結
晶構造解析,G タンパク質を特異的に阻害する分子の同定と作用機構の解明などにおいて
近年著しい進展が見られた.また非受容体型 G タンパク質制御候補因子として線虫の遺
伝学的解析から見いだされた Ric-8が G タンパク質に対するグアニンヌクレオチド交換反
応促進活性を示すとともに,細胞内において G タンパク質のユビキチン化の調節因子,
分子シャペロンとして働くことも明らかとなってきた.これらの新たに見えてきた G タ
ンパク質シグナル制御メカニズムを概説し,生体調節との関わりおよび創薬へ向けた新た
な展開を紹介する.
1. は
じ
め
に
た3).さらに G タンパク質の活性を調節する分子として従
来 知 ら れ て い る GPCR4)や RGS(regulator of G protein sig-
αβγ の三つのサブユニットからなる三量体 G タンパク
5)
naling)
とは別の G タンパク質制御分子 Ric-8(resistance to
質はホルモン,神経伝達物資,光,匂い,味物質など数多
inhibitor of cholinesterase)の働きも解き明かされた6,7).本
くの細胞外情報を認識した G タンパク質共役受容体(G
稿では,最初に G タンパク質を制御する分子を概説し,
protein-coupled receptor:GPCR)により活性化され,遺伝
後半では Ric-8に関する研究を紹介する.
子発現,ホルモン分泌,神経伝達物質の放出,細胞遊走な
ど様々な細胞応答に関与する.GDP と GTP の結合状態に
2. G タンパク質の構造
より可逆的に生体高分子との相互作用を変化させ,生体の
Gα サブユニットは Ras-like GTPase ドメイ ン と Helical
シグナル伝達機構において分子スイッチとして働く GTP
ドメインから構成されている(図1A)
.GTPase ドメイン
結合タンパク質の一つとしてもよく知られている1).近年,
はその名の通り低分子量 GTPase である Ras と構造が類似
GPCR との結合により大きく構造変化が誘導され GDP や
した領域であり,全ての GTP 結合タンパク質に共通して
GTP が解離している時の G タンパク質 α サブユニット
見られる五つの G モチーフ(G1∼G5)を介してグアニン
2)
(Gα)の構造が解き明かされた .一方,その構造変化を
ヌクレオチド(GDP/GTP)と結合している.一方,Helical
阻害する新たな G タンパク質阻害剤の作用機構も判明し
ドメインは他の GTP 結合タンパク質には見られない Gα
特有のドメインであるがその機能はあまり詳しくわかって
1
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科
分子情報薬理学研究室(〒6
3
0―0
1
9
2 奈良県生駒市高山
町8
9
1
6―5)
(現所属:2 コーネル大学,3 島津ジーエルシー)
New research initiatives in the regulatory mechanisms of
heterotrimeric G protein signaling
Hiroshi Itoh, Akiyuki Nishimura and Yusuke Nagai(Graduate School of Biological Sciences, Nara Institute of Science
and Technology, Takayama-cho, Ikoma, Nara 6
3
0―0
1
9
2, Japan)
いない.Helical ドメインは GTPase ドメインの途中に挿入
されていることから,この両ドメインは2本のリンカー領
域(リンカー1とリンカー2)を介してつながっている.
また GTPase ドメイン内には GDP 結合時と GTP 結合時と
でコンホメーションが変化する三つのスイッチ領域があ
り,エフェクターやレギュレーターとの相互作用領域と
なっている8).Gβ サブユニットは七つの WD4
0リピート
からなる β-プロペラ構造を持ち,Gγ サブユニットがその
5
3
2
〔生化学 第8
5巻 第7号
図1 三量体 G タンパク質の構造と活性化
(A)Gα の一次構造と立体構造.Gα は Ras-like GTPase ドメインと Helical ドメイン,さらに両ドメインをつなぐ2本のリンカー領域
から構成されている.GTPase ドメインに結合している GDP もしくは GTP は通常 Helical ドメインによりマスクされている.
(B)三
量体 Giαβγ の立体構造(PDB 番号:1GP2)
.
(C)三量体 Giαβγ(PDB 番号:1GP2)と β アドレナリン受容体―三量体 Gsαβγ 複合体(PDB
番号:3SN6)の構造比較.β アドレナリン受容体との複合体では Gα からヌクレオチドが解離しており,リンカー部分を支点に Helical ドメインが1
2
7°
シフトしている. この構造変化により Gα のグアニンヌクレオチド結合部位が外部に露出していることがわかる.
(D)活性化時における G タンパク質の構造変化のモデル図.
プロペラ構造の外側と N 末端部分のコイルドコイル領域
で結合している.そのため Gβγ 複合体は非常に安定であ
り生理的条件化では両者は解離しないと考えられている
(図1B)
.
次に G タンパク質活性化に関する構造学的知見に関し
て記述する.通常,Gα に結合しているグアニンヌクレオ
チドは GTPase ドメインと Helical ドメインに完全に覆われ
た状態にあることから,GDP 解離時には GDP が外部に露
出するような大きな構造変化が Gα に起こると予想されて
図2 Gα の細菌毒素修飾部位
コレラ毒素,百日咳毒素,パスツレラ毒素により修飾される
Gα のアルギニン
(R)
,システイン
(C)
,グルタミン
(Q)
残基を
そ れ ぞ れ 示 す.灰 色 部 分 は Helical ド メ イ ン,白 色 部 分 は
GTPase ドメインを示す(図1参照)
2
0
1
3年 7月〕
5
3
3
図3 Gqαβγ-YM-2
5
4
8
9
0複合体の X 線結晶構造解析
5
4
8
9
0複合体の全体構造(PDB 番号:3AH8)
(C)YM-2
5
4
8
9
0
(A)YM-2
5
4
8
9
0の化学構造と構成成分.
(B)Gqαβγ-YM-2
と Gαq の相互作用の側面図.YM-2
5
4
8
9
0はフェニル基を頂点とするくさび様の構造をとっており,このフェニル基が先頭
となり Gαq にはまり込んでいる.
(D)Gαq の正面図.左が YM-2
5
4
8
9
0を含んだ状態で,右が YM-2
5
4
8
9
0を除いた状態を
示す.YM-2
5
4
8
9
0は Gαq のリンカー1とリンカー2の間にある疎水性ポケット部分に結合していることがわかる.
図4 YM-2
5
4
8
9
0の作用モデル
4番からセリン6
8番,リンカー2はアルギニン
(A)YM-2
5
4
8
9
0と Gαq リンカー領域の相互作用の概略図.リンカー1はグリシン6
1
8
3番からイソロイシン1
8
9番である.破線は YM-2
5
4
8
9
0と Gαq 間で形成される水素結合を示す.曲線が描かれたアミノ酸は YM2
5
4
8
9
0との間で疎水性相互作用を形成している.
(B)YM-2
5
4
8
9
0の作用モデル図.YM-2
5
4
8
9
0が Gαq の両リンカー部分に結合す
ることによりリンカーの構造を固定化し,ヌクレオチド交換に必要なドメインの開口が阻害される.
5
3
4
〔生化学 第8
5巻 第7号
図5 YM-2
5
4
8
9
0結合ポケットの各 Gα 間での構造比較
5
4
8
9
0結合ポケット部分の構造.
(B)A から YM-2
5
4
8
9
0の構造を除いたもの.
(C)Giαβγ(PDB 番
(A)Gαq の YM-2
号:1GP2)の YM-2
5
4
8
9
0結合ポケットに相当する部分の構造.
(D)Gα1(PDB
番号:1ZCB)の YM-2
5
4
8
9
0結合ポ
3
ケットに相当する部分の構造.
いた.実際,電子スピン標識(electron spin label)法等を
用いたいくつかの実験から Gα の二つのドメインが開閉す
る構造変化が予想されていたが9∼14),結晶構造解析に基づ
1D)
.
3. G タンパク質の活性に影響を与える細菌毒素
く詳細なメカニズムは長らく不明であった.しかし,最近
G タンパク質の活性を制御する分子として私達の細胞は
β アドレナリン受容体と G タンパク質複合体の X 線結晶
GPCR,RGS,Ric-8といった分子を持っているが,細菌が
構造解析から,GDP 解離状態の G タンパク質の構造が明
産生する毒素の中にも G タンパク質を標的としその活性
らかとなった2).図1C 右側に示すように,リガンドによ
に影響を与えるものが存在する.本節ではこれらの細菌毒
り活性化された受容体が G タンパク質と結合しグアニン
素の作用メカニズムについて概略するとともに,土壌細菌
ヌクレオチドが結合していない場合には2本のリンカー領
から単離された Gq 選択的阻害剤 YM-2
5
4
8
9
0の作用メカニ
域が“ちょうつがい”のように動くことによって Helical
ズムに関する筆者らの研究結果について紹介する.
ドメインが GTPase ドメインから離れるように大きくシフ
トしていた.この構造変化により GTPase ドメインに結合
3―1. コレラ毒素
した GDP は外部に露出し,GDP の解離と GTP の取り込
コレラ毒素はコレラ菌が産生するタンパク質毒素であ
みが起こると考えられる.GTP が結合後,Helical ドメイ
り,ヒト腸管上皮細胞に作用して重篤な下痢を引き起こ
ンは元の位置に戻ると共に GTPase ドメイン内の三つのス
す.この毒素は一つの A サブユニットと五つの B サブユ
イッチ領域の構造が変化し,Gα は Gβγ から解離する(図
ニット(B1,B2,B3,B4,B5)から構成されており,さ
5
3
5
2
0
1
3年 7月〕
らに A サブユニットは翻訳後プロテアーゼにより A1と
よりカルシウム応答が阻害される.
A2フラグメントに切断される.このうち標的細胞内に侵
入し毒素活性を示すのは A1フラグメントである.一方,
3―3. パスツレラ毒素
B オリゴマーは標的細胞表面に存在する GM1ガングリオ
パスツレラ毒素はパスツレラ菌が産生するタンパク質毒
シドに結合し,毒素の標的細胞への侵入を手助けしてい
素であり,Gq,G12/13,Gi シグナルを活性化する21∼23).その
1
5)
る .標的細胞内に侵入した A1フラグメントは ADP リボ
作用機序は長らく不明であったが,近年,Orth らにより
シル化酵素として働き,Gαs のアルギニン2
0
1番に NAD
この毒素が脱アミド化酵素として働くことが報告され
1
6)
の ADP リボシル基を特異的に共有結合させる(図2)
.
た24).Gαi2 のグルタミン2
0
5番は GTP 加水分解反応に必
このアルギニン残基は GTPase 活性に非常に重要であり,
要な水分子の適切な配置と加水分解反応時の塩基触媒とし
ADP リボシル化修飾によって Gαs は GTPase 活性を消失し
て機能している.パスツレラ毒素はこのグルタミン残基を
た恒常活性化状態となり,細胞内の cAMP 濃度が持続的
脱アミド化することでグルタミン酸に置換する(図2)
.
に上昇する.コレラ毒素の標的となるのは Gαs と Gαt の
その結果,Gα の GTPase 活性が消失し,恒常活性型 Gα
みであるが,アルギニン残基は全ての Gα 間に保存されて
に変化する.コレラ毒素の修飾部位であるアルギニン残基
おり,アミノ酸置換によっても恒常活性型 Gα に変化する
と同様に,このグルタミン残基に変異を導入することに
ことが知られている17).Cassel と Selinger らはコレラ毒素
よっても GTPase 活性は減弱し,これまでにいくつかのが
により GTPase 活性が消失し,恒常的に活性化されること
ん細胞の Gαs,Gαi,Gαq においてこのグルタミン残基の
を示唆し,この GTP が分解されて GDP になることがシグ
変異が同定されている25∼27).
ナル情報伝達系のシャットオフに極めて大事であることを
示した18).その後のがん遺伝子研究から,細胞をがん化す
5
4
8
9
0
3―4. YM-2
る oncogenic Ras においても1
2番目のグリシンや6
1番目
YM-2
5
4
8
9
0は ADP 誘発性の血小板凝集を阻害する化合
の グ ル タ ミ ン の 変 異 が 見 い だ さ れ,そ の 変 異 に よ り
物として Chromobacterium 属の土壌細菌 QS3
6
6
6株の培養
GTPase 活性が低下し,増殖因子の非存在下でも常に細胞
液から単離された環状デプシペプチドであり,通常の2
0
内で GTP が結合した活性型が存在することが,がん化の
種類のアミノ酸とは異なるユニークなアミノ酸を含む七つ
原因であるとするモデルの基礎となった.
2
8)
のアミノ酸が環状につながった構造をしている(図3A)
.
YM-2
5
4
8
9
0は Gq ファミリーの中で Gq,G11,G14 を介した
3―2. 百日咳毒素
シグナルを特異的に阻害する29).YM-2
5
4
8
9
0は Gq シグナ
百日咳毒素は百日咳菌が産生するタンパク質毒素であ
ルを阻害する初めての膜透過性低分子化合物であり,Gq
り,5種6個のサブユニットから構成されている.A プロ
シグナルを解析する上での非常に有用なツールになると期
トマーと呼ばれる S1サブユニットは標的細胞内に侵入し
待される.その作用機序として CHO 細胞膜標品において
毒素活性を示す.一方,S2,S3,S5それぞれ1分子と2
GPCR 刺激依存的な Gqαβγ への GTPγS 結合を阻害するこ
分子の S4から構成される B オリゴマーは標的細胞表面と
とから,Gαq の GTPase サイクルの阻害が示唆さ れ て い
結合し A プロトマーを細胞内に送り込む役割を担ってい
た29).筆者らは生化学的,構造生物学的アプローチからよ
る19).百日咳毒素もコレラ毒素と同様に ADP リボシル化
り詳細な YM-2
5
4
8
9
0の作用メカニズムの解析を行った3).
酵素として働きかつ標的細胞の cAMP 濃度の上昇を引き
まず精製 Gαq タンパク質を用いた[35S]
GTPγS 結合実験
起こすが,その作用機序はコレラ毒素とは異なっている.
と[3H]
GDP 解離実験から,YM-2
5
4
8
9
0は Gαq に直接作用
百日咳毒素は Gi ファミリー α サブユニットに保存された
しその活性化,特に Gαq からの GDP 解離を抑制すること
C 末端から4番目のシステイン残基を ADP リボシル化す
が 判 明 し た.一 方,Gαs,Gαi,Gαo,Gα13 と い っ た 他 の
ることで G タンパク質と受容体の相互作用を阻害する(図
Gα サブファミリーに対しては抑制効果を示さないことが
2
0)
2)
.ADP リボシル化された Gαi は受容体からの情報を受
in vitro の解析からも明らかとなった.GDP の解離を抑制
け取れず, その結果として Gi シグナル経路が阻害される.
する分子は GDI(GDP dissociation inhibitor)と呼ばれ,こ
アデニル酸シクラーゼを活性化する G(stimulatory)に対
s
れまでに GoLoco モチーフを持つ分子が GDI として機能
比してアデニル酸シクラーゼを抑制する活性より G(ini
することが知られている30,31).このモチーフは RGS1
2のハ
hibitory)と呼ばれるようになった.好中球では,細菌由
エホモログである Loco と哺乳動物の RGS 間での配列比較
来の N 末端のメチオニンがホルミル化されたペプチドを
から同定された1
9アミノ酸からなるモチーフで,GDP 型
認識する fMLP 受容体により Gi が活性化され,その際 Gαi
の Gαi/o ファミリーと特異的に結合し GDP 解離を抑制す
より解離した Gβγ がホスホリパーゼ Cβ を活性化して細胞
る.GoLoco は Gαi の GDP/GTP 交換反応を抑制するが,
内カルシウムの上昇を引き起こすため,百日咳毒素処理に
細胞レベルにおいては Gi シグナルに対して促進的に機能
5
3
6
〔生化学 第8
5巻 第7号
する分子として知られている.それは GoLoco が Gα から
カー2直後のグルタミン酸1
9
1番の主鎖が YM-2
5
4
8
9
0と
の Gβγ の遊離を促進するからである32,33).X 線結晶構造解
水 素 結 合 で 結 ば れ て い た.YM-2
5
4
8
9
0は Gαq の 両 リ ン
析の結果,Gα 上の GoLoco 結合領域は Gβγ 結合領域と一
カー領域と相互作用することで,GDP 解離時のドメイン
部オーバーラップしており34),それゆえに GoLoco は Gα
開口に必要なリンカーの運動性を抑制すると考えられた
からの Gβγ 解離を促進し,フリーとなった Gβγ がエフェ
(図4B)
.この考えに一致するように,YM-2
5
4
8
9
0とリン
クターと結合してシグナルを活性化すると考えられてい
カー1の相互作用に重要なアルギニン6
0番やリンカー2
る.一方,YM-2
5
4
8
9
0は Gαq 単量体のみならず Gqαβγ 三
内で YM-2
5
4
8
9
0と疎水性相互作用を形成しているバリン
量体に対してほぼ同程度の濃度で作用することから,Gβγ
1
8
4番に変異を加えた変異型 Gαq は野生型 Gαq に比べて
と拮抗せず,Gβγ シグナル経路を活性化しない.
YM-2
5
4
8
9
0感受性が大きく低下した.まとめると,YM-
YM-2
5
4
8
9
0の作用機序を原子レベルで明らかにするた
2
5
4
8
9
0はこれまでによく知られた拮抗(競争)阻害剤な
めに,筆者らは Gqαβγ と YM-2
5
4
8
9
0複合体の X 線結晶構
どとは異なり,二つのドメインをつなぐリンカー部分と相
造解析を行った.得られた複合体構造を図3B に示す.ま
互作用して固定化することで,活性化に必要なドメイン間
ず Gqαβγ の全体構造はこれまでに報告されている Giαβγ ,
のコンホメーション変化を抑制するという非常にユニーク
3
5)
Gt/iαβγ とほぼ一致しており,YM-2
5
4
8
9
0の結合は Gα と
な作用機序を有することがわかった.不活性フォーム
Gβγ の結合様式に影響を与えなかった.また Gαq の構造
(dead-end form)に固定してその分子の機能を失わせてし
に関しても大きな変化は見られず,特に三つのスイッチ領
まう部位が見つかれば,その部位を標的とした低分子化合
域 は 典 型 的 な GDP 結 合 型 の 構 造 を と っ て い た.YM-
物の探索から,
将来有用な薬剤が開発される可能性がある.
3
6)
2
5
4
8
9
0はフェニル基を頂点とするくさび形の構造をとっ
ており,このフェニル基が Gαq の2本のリンカー領域に
4. G タンパク質の活性を制御する新たな化合物の探索
挟まれた位置に存在する疎水性のポケットの奥にはまり込
近年,ハイスループットスクリーニングや in silico スク
んでいた(図3C,D)
.これまでに Gα と相互作用分子の
リーニングといった技術を用いて膨大な化合物ライブラ
複合体構造はいくつか報告されているが34∼40),YM-2
5
4
8
9
0
リーから特定分子に対する阻害剤を探索する研究が広く行
が結合する部位と同じ部位に結合する分子は知られていな
われている.G タンパク質に関しても,これまで紹介した
い.
微生物由来の天然物以外に,これらのスクリーニング技術
次に構造解析から予想される YM-2
5
4
8
9
0の作用機序に
を用いた阻害剤探索の研究がいくつか報告されている.
ついて説明する.GDP の解離を抑制するモデルとしてま
ず考えられるのが,GDP と直接結合することによりその
4―1. M1
1
9,Gallein
解離を抑制するモデルである.実際,Gαi に対する GDI と
M1
1
9は Gβγ 表面上でタンパク質間相互作用に関わる領
して機能する GoLoco は Asp/Glu-Gln-Arg triad 内のアルギ
域(ホットスポット)を標的にした in silico スクリーニン
ニン側鎖が GDP の α 位と β 位のリン酸と結合している.
グから同定された低分子化合物であり,Gβγ を介したシグ
アルギニン残基を変異させると GDI 活性が低下すること
ナル,特に Gβγ-ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ γ
から,この直接の結合が GoLoco の作用機序の一つと考え
(PI3Kγ)
,Gβγ-ホスホリパーゼ Cβ(PLCβ)経路を阻害す
られている34).一方,YM-2
5
4
8
9
0は GDP とは離れた位置
る41).一方,Gallein は M1
1
9と類似し た 市 販 化 合 物 で,
に結合していることから別のメカニズムが予想された.前
M1
1
9と同様の Gβγ 阻害作用を持つ42).Gβγ シグナル経路
述した β アドレナリン受容体と G タンパク質の複合体の
は心臓血管系の恒常系に重要な役割を担っており,これま
結晶構造から明らかなように,GDP 解離時には Gα の2
での研究から過剰な Gβγ シグナルと心不全の関連性が示
本のリンカー領域のちょうつがい運動により Helical ドメ
唆されている43).M1
1
9と Gallein は心不全モデルマウスで
インが GTPase ドメインから離れるように大きくシフトす
の心機能不全と心肥大の進行を抑制する効果が報告されて
2)
る(図1C).これまでに別の実験からもリンカー領域の
おり44),心不全治療への今後の応用が期待される.加え
運動性が Gα の活性に影響を与えることが報告されてい
て,好中球の遊走や炎症反応への抑制効果も報告されてい
る10,14).注目すべきことに YM-2
5
4
8
9
0は2本のリンカーの
る42).
間に位置し,両リンカーと相互作用を形成していた(図4
A)
.リンカー1に関しては,アルギニン6
0番の側鎖を介
6
1
7
4,BIM-4
6
1
8
7
4―2. BIM-4
して YM-2
5
4
8
9
0とリンカー1の主鎖との間で水素結合の
BIM-4
6
1
7
4はコレラ毒素による cAMP 産生を抑制する
ネットワークが形成されていた.一方リンカー2に関して
化合物として,低分子化合物ライブラリーを用いたスク
は,リンカー2の全7アミノ酸のうち5アミノ酸が YM-
リーニングにより同定された45).また Gs,Gi,Gq 経路を活
2
5
4
8
9
0と疎水性の相互作用を形成しており,またリ ン
性化するさまざまな GPCR に対しても抑制効果を示す幅
5
3
7
2
0
1
3年 7月〕
広い GPCR 阻害剤であることが 報 告 さ れ て い る.BIM-
的解析により,非対称分裂のメカニズムの理解が大きく進
4
6
1
8
7は BIM-4
6
1
7
4同様の GPCR シグナル阻害効果を示
展し,それに関わる因子は生物種を超えてよく保存されて
4
6)
し,化学的により安定な構造を持っている .これらの化
いることが明らかになった.興味深いことに,非対称分裂
合物は Gα に結合することで適切な GPCR-Gαβγ 間の相互
に必須のコンポーネントとして Gi ファミリーの三量体 G
作用を阻害し,その結果として GPCR による Gα の GDP/
タンパク質とその関連分子が相次いで同定された.
GTP 交換を抑制することが報告されている47).がん細胞に
線虫の初期胚は精子の侵入をきっかけに極性が生じ,精
対する BIM-4
6
1
8
7の抑制効果も報告されているが,この
子の侵入側が後方となって前後軸が形成される.最終的な
化合物が Gα のどの部位と結合するかは明らかとなってい
分裂面の位置は紡錘体や星状体微小管の形成中心となる中
ない.
一方,今回筆者らの構造解析から明らかとなった YM-
心体の位置に依存する.中心体は Gαi と幾つかの G タン
パク質活性調節因子から構成される複合体によって生み出
2
5
4
8
9
0結合位置のポケット構造は他の Gα においても確
される pulling force(紡錘体を両軸側に引く力)により牽
認され,さらにそのポケットの形状は各 Gα 間で変化に富
引される.後述するように Gαi 複合体のコンポーネントの
んで い る(図5)
.そ れ ゆ え に,こ の ポ ケ ッ ト は 今 後 in
非対称な局在により両軸側からの pulling force に偏りが生
silico スクリーニングを用いて各 Gα の特異的阻害剤を設
じる(図6A)
.後軸側からの pulling force が優位となるた
計する上での有力な候補部位になると思われる.そのよう
め中心体が後軸側により強く引かれ,分裂面は中心より後
な研究により得られた阻害剤は,基礎研究への貢献のみな
軸側に形成される.結果として後軸側の小さい細胞と,前
らず,G タンパク質関連疾患に対する創薬研究への応用に
軸側の大きい細胞が誕生する.
も期待される.
5. 非受容体型 G タンパク質制御因子 Ric-8の機能
Ric-8は線虫において,アセチルコリンエステラーゼ阻
害剤に耐性を示す変異体のスクリーニングにより,神経伝
達物質の放出を調節する Gq シグナルを正に調節する因子
として同定された48).近年の線虫やショウジョウバエを用
いた遺伝学的研究により,細胞の非対称分裂における
GPCR 非依存的な G タンパク質の活性調節の重要性が明
らかにされつつある.線虫及びショウジョウバエ Ric-8は
非対称分裂に必須の因子であることが証明され,新たな G
タンパク質調節因子として注目されている.線虫やショウ
ジョウバエといった無脊椎動物には Ric-8は1種類しか存
在しないのに対し,哺乳類には二つの Ric-8のホモログ
Ric-8A 及び Ric-8B が存在する.最近の解析により見いだ
された哺乳類 Ric-8の機能は,無脊椎動物における ric-8
変異体で見られた表現型を説明するものであり,Ric-8に
よる G タンパク質調節機構は進化の過程で保存されたシ
ステムであることが示唆されている.
本稿では,まず無脊椎動物 Ric-8の非対称分裂における
役割について概説し,次に哺乳類 Ric-8の機能について最
新の知見と筆者らの研究結果について紹介する.なお,本
稿では線虫やショウジョウバエの非対称分裂における Ric8の役割を概説するにとどめるため,非対称分裂の詳細に
ついては他の総説を参照されたい49∼52).
6. 無脊椎動物の Ric-8と細胞の非対称分裂
細胞の非対称分裂は多細胞生物における細胞の多様性を
生み出す上で極めて重要なシステムである.近年の線虫の
初期胚及びショウジョウバエの神経芽細胞を用いた遺伝学
線虫の初期胚では Gi ファミリーに属する α サブユニッ
トである GPA-1
6と GOA-1が非対称分裂に関わる.gpa-
16 又は goa-1 変異体では野生型と比較して後軸からの
pulling force が幾分減弱するものの,分裂の非対称性は保
持している53).一方,gpa-1
6/goa-1 二重変異体は pulling
force の非対称性が失われており,結果として細胞は等分
割する54,55).このため,GPA-1
6と GOA-1は互いに相補的
な関係にあることが示唆されている.古典的 G タンパク
質活性化モデルでは Gα のパートナーは Gβγ であるが,
非対称分裂中では主要なパートナーは GoLoco ドメインを
持つ GPR(G protein regulator)1/2である54,55).Gβ 遺伝子
をコードする gpb-1 の変異体では過剰な pulling force が観
察されるが53),goa-1/gpa1
6/gpb-1 三重変異体ではそのよ
うな表現型は観察されないことから56),Gβγ は Gα 活性に
対して抑制的に働くことが示唆されている.一方,gpr1/2
変異体は gpa-1
6/goa-1 変異体と同様に細胞は等分割とな
る55,56).GPR1/2と Gβγ は生化学的にはよく似た活性を示
すものの非対称分裂における役割は異なっており,Gα/
GPR1/2複合体が pulling force 形成に重要であると考えら
れている.興味深いことに,Gα は細胞膜において均一な
局在を示すのに対して,GPR1/2は pulling force が強い後
)
軸側の細胞膜で強い局在を示す55,56(図6
A)
.このことは局
所的な G タンパク質の活性調節が pulling force の非対称性
を生み出す原動力となることを示唆している.
古典的なグアニンヌクレオチドサイクルとは異なり,非
対称分裂では GDP から GTP への交換に GPCR は関与しな
いと考えられている.Ric-8は GPCR と相同性がないにも
かかわらず in vitro において Gα に対してグアニンヌクレ
オチド交換因子(GEF)活性を示す53).また,ric-8 変異
体は goa-1/gpa-1
6 変異体と同様に pulling force が低下し,
5
3
8
〔生化学 第8
5巻 第7号
図6 線虫初期胚及びショウジョウバエ神経芽細胞の非対称分裂と Ric-8の機能
(A)線虫初期胚(上段)及びショウジョウバエ神経芽細胞(下段)における Gα とその関連分子及び PAR3
複合体の細胞内局在.
(B∼D)非対称分裂における Ric-8の機能のモデル.
線虫初期胚において Ric-8は Gαβγ 三 量 体 に 対 し て GEF 活 性 を 示 し,Gα と Gβγ を 解 離 さ せ,Gα に
GPR1/2/Lin-5が結合するモデルが提唱されている
(B)
.一方,哺乳類 Ric-8A の生化学的解析により,
Ric-8A は Gαβγ 三量体ではなく Gα/LGN/NuMA(線虫 Gα/GPR1/2/Lin-5のホモログ)に対して GEF 活
性を示し,Gα から LGN と NuMA を解離させることにより pulling force を引き出すと推測された
(C)
.
ショウジョウバエ神経芽細胞では少なくとも Gαi 及び Gβγ の細胞膜局在に Ric-8は必要であると考えら
れている
(D)
.
細胞は等分割する.これらのことから,Ric-8は非対称分
線虫の初期胚の非対称分裂に関連する分子群がよく保存さ
裂におけるグアニンヌクレオチドサイクルの一翼を担う分
れているが(図6A)
,紡錘体の制御機構は線虫の初期胚と
子であると認識されている.しかしながら非対称分裂にお
は幾分異なる.線虫の初期胚では紡錘体の pulling force の
ける Ric-8の分子機能は依然はっきりとしていない.Af-
不均衡により分裂面のずれを生じるが,ショウジョウバエ
shar らは Ric-8が Gαiβγ 三量体に対して GEF 活性を示すこ
の神経芽細胞では紡錘体自身が基底側にずれるとともに,
とにより Gβγ から Gα を解離させ,その後解離した Gαi と
基底側の紡錘体が頂端側より短くなる.これにより,頂端
GPR1/2が結合することによって pulling force が形成され
側の細胞が大きく,基底側が小さくなる.ショウジョウバ
)
る と 推 測 し た57(図6
B)
.一 方,Tall ら は Ric-8A は Gαβγ
エの Gαi 複合体は,極性形成に関わる PAR3複合体との局
三量体には GEF 活性を示さず,むしろ哺乳類における
在及び上下関係が線虫の場合と異なるものの,紡錘体制御
Gαi 複合体のホモログである Gαi/LGN(GPR1/2のホモロ
に関わるという点では類似している.ショウジョウバエに
グ)
/NuMA(Lin-5のホモログ)複合体に対して効率的に
おいても ric-8 変異体は非対称分裂に重篤な異常を示す.
5
8,
5
9)
GEF 活性を示すことを生化学的解析により証明した
(図6C)
.このように,Ric-8がどのような状態の Gα に対
非対称分裂中の神経芽細胞において,ric-8 変異体では
Gαi 複合体や Gβ1
3F の細胞膜局在に異常が観察され(図6
して GEF 活性を示すのかは依然混沌としている. さらに,
D)
,結果として細胞は等分割する61∼63).この過程における
ric-8 変異体では顕著な GPA-1
6のタンパク質量及び細胞
Ric-8の GEF 活性の必要性は解釈が分かれており,Wang
6
0)
膜局在の減少が観察されることから ,Ric-8は GEF 活性
らは免疫沈降実験において GDP 存在下では Ric-8と Gαi
以外に Gα の細胞膜ターゲッティングや発現量調節に関わ
の結合が観察されるが,GTPγS 存在下では結合が見られ
ることも示唆されている(図6D)
.
ないことから Ric-8は GEF であると推測している63).一
ショウジョウバエの神経芽細胞の非対称分裂においても
方,Hampoelz らは Ric-8と Gαi の結合にグアニンヌクレ
5
3
9
2
0
1
3年 7月〕
オチド依存性は見られないと結論づけている62).ショウ
とにより,細胞外リガンド刺激による Gαq を介した Erk
ジョウバエ Ric-8の in vitro での GEF 活性の報告はなく今
の活性化及び細胞内 Ca2+上昇が有意に抑制された.この
後の課題である.いずれにせよ Ric-8による Gαi 及び関連
ことから筆者らは Ric-8A が in vitro のみならず細胞内にお
分子の細胞膜ターゲッティングはこの過程において重要な
いても GEF として機能し,GPCR シグナルを増強してい
ステップであることを強く示唆している.
ると推測した(図7A)
.
Ric-8が非対称分裂中に GEF として機能するという仮説
Ric-8B の細胞内シグナル伝達に果たす役割については,
は,非対称分裂における受容体非依存的なグアニンヌクレ
嗅覚系シグナルへの関与がよく研究されている.Tall らに
オチドサイクルの仮説とよく一致するため広く受け入れら
よる Ric-8B の同定から2年後の2
0
0
5年に Von Dannecker
れている.しかし,実際に細胞内において Ric-8が GEF
らは嗅覚系特異的 G タンパク質の α サブユニットである
活性を有しているかどうかは検討されていない.そのた
Gαolf を bait とした酵母ツーハイブリッドスクリーニング
め,別の仮説として,Ric-8は細胞内では GEF として機能
により Ric-8B を同定した66).Gαolf は Gαs とアミノ酸レベ
せず,GPA-1
6に対する作用のようにシャペロン様に働く
ルで約9
0% の相同性を示し Gαs と同様にアデニル酸シク
と考えることもできる.これらの仮説を証明することは容
ラーゼを活性化することにより cAMP 産生を促す.Gαolf
易ではないが,今後,細胞内で G タンパク質活性を直接
の発現は嗅覚系細胞に限られるが,マウス脳における Ric-
評価できる系や GEF 活性を欠失した ric-8 変異体の解析
8B の発現パターンは Gαolf のそれとよく一致しており,
などによりこの問題のブレイクスルーが期待される.
7. 哺乳類の Ric-8
Ric-8B の嗅覚系への関与が示唆される.Von Dannecker ら
は,HEK2
9
3細胞にドーパミン D1受容体又は β2 アドレナ
リン受容体と Gαolf を共発現させ,それぞれの受容体のリ
線虫やショウジョウバエでは主に遺伝学的解析により
ガンドで細胞を刺激することにより細胞内 cAMP が産生
Ric-8の生理的な機能が明らかにされてきたが,哺乳類に
され,Ric-8B を共発現させることによりその cAMP 産生
おいては生化学的な解析と細胞内シグナル伝達の解析が主
が増強することを報告した.この結果と Ric-8A とのアナ
に行われてきた.2
0
0
3年に Tall らは Gαo と Gαs を bait と
ロジーから,Ric-8B は Gαolf に対して GEF として機能する
した酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより2種類の
ことにより嗅覚シグナルを増強すると推測された.
線虫 Ric-8ホモログ,Ri-8A と Ric-8B を同定し,哺乳類に
このような哺乳類 Ric-8による GPCR シグナル増幅作用
は線虫 Ric-8のホモログが2種類存在することを示した58).
は線虫の神経伝達物質放出における Gq シグナルや48),化
哺乳類 Ric-8の機能として,GEF 活性とシャペロン様活性
学感受性ニューロンを介した摂食行動における Gαo シグ
の二つが提唱されている.
ナルについても提唱されており67),進化の過程でよく保存
されたシステムであることが示唆される.
7―1. Ric-8の GEF 活性と細胞内シグナル伝達
酵母ツーハイブリッド法で Ric-8A 及び Ric-8B を同定し
7―2. Ric-8による G タンパク質の安定化
た Tall らは Ric-8A が Gαi,Gαo,Gαq,Gα13 に対する GEF
線虫やショウジョウバエの ric-8 変異体は細胞の非対称
活性を示すことを報告し,当時,線虫及びショウジョウバ
分裂に異常をきたすとともに G タンパク質量の低下を伴
エ Ric-8を含めて不明であった Ric-8の分子機能を初めて
う.このことから,Ric-8のシャペロン様活性が推測され
明らかにした58).その後まもなく線虫 Ric-8も in vitro にお
てきた.近年,筆者らを含む幾つかのグループの研究によ
いて GOA-1(線虫 Gαo)に対して GEF 活性を示すことが
り,Ric-8による G タンパク質発現量維持機構に関する知
報告され53),GEF 活性が線虫から哺乳類まで保存された機
見が蓄積してきた.
能であることが明らかになった.また,最近 Tall らのグ
Ric-8B は Gαolf だけではなく Gαs 及び Gαq とも結合する
ループにより in vitro において Ric-8B が Gαs 及び Gαolf に
ことから57),筆者らは Ric-8B が嗅覚系に限らず様々な細
対して GEF 活性を示すことが報告されている64).
胞応答において普遍的に機能しているのではないかと考
筆者らは独自に G タンパク質相互作用因子を探索すべ
え,嗅 覚 細 胞 以 外 の Ric-8B の 機 能 の 解 析 を 進 め た6).
く幾種類もの Gα を bait とした酵母ツーハイブリッドスク
NIH3T3細胞において Ric-8B の発現を抑制すると,イソプ
リーニングを行い,Gαq および Gαi と結合する分子として
ロテレノール刺激による cAMP 応答が著明に抑制された.
Ric-8A を同定した65).Ric-8の生化学的機能が明らかにな
興味深いことに,Ric-8B の発現抑制により Gαs タンパク
る一方で,Ric-8の細胞内シグナル伝達に果たす役割につ
質の劇的な減少が観察された.一方,Gαs 以外の Gα と
いては不明であったため,細胞内シグナル伝達における
Gβ の発現には影響がなかったことから,Ric-8B は Gαs タ
Ric-8A の機能について詳細な解析を行った.培養細胞に
ンパク質量を特異的に調節することが明らかとなった.ま
Ric-8A に対する低分子干渉 RNA(siRNA)を導入するこ
た,Ric-8B の過剰発現により Gαs のタンパク質量は増加
5
4
0
〔生化学 第8
5巻 第7号
図7 哺乳類 Ric-8,Ric-8A と Ric-8B の細胞内シグナル伝達における役割
(A)細胞内における Ric-8A の機能のモデル.GPCR により活性化された Gα はエフェクター(ホスホリ
パーゼ Cβ:PLCβ)を活性化した後,エフェクター及びその他 GAP タンパク質により再び GDP 型へ変換
される.このとき,Ric-8A 存在下では Gα-GDP は再び Ric-8A により GTP 型へ再活性化される.この活
性化ループにより G タンパク質シグナルの持続性及び強度が調節される.
(B)Ric-8B による Gαs のユビキチン化抑制のモデル.Gαs はユビキチン化(Ub)され,プロテアソーム
により分解される.Ric-8B と Gαs の結合により Gαs のユビキチン化は抑制され,Gαs は安定化する.Ric8B と結合した Gαs の機能性や Gαs をユビキチン化する E3リガーゼなど不明な点が多い.
するが, mRNA 発現量には影響を与えなかったことから,
胞では Gαi1/2,Gαo,Gαq,Gα13 のタンパク質量が野生型細
筆者らは Ric-8B による Gαs タンパク質量増加作用は翻訳
胞と比較して9
0% 以下に減少した.一方,Ric-8B−/−細胞
後のステップであると考え,タンパク質の安定性を普遍的
では Gαs タンパク質量のみが同様に減少した.野生型細
に制御するユビキチン―プロテアソーム系に注目した.
胞と比較して,Ric-8A−/−細胞では翻訳直後の Gαi1/2 の細胞
Gαs が細胞内でユビキチン化されるかどうか HEK2
9
3T 細
膜画分における存在量が減少し,細胞質画分における量が
胞を用いて検討したところ,明確な Gαs のユビキチン化
増加していた.この傾向は Gαq ではより顕著であった.
が確認された.また,細胞をプロテアソーム阻害剤である
さらに,Ric-8A−/−細胞では Gαi1/2,Gαq 及び Gβ タンパク
MG1
3
2で処理することにより Gαs のタンパク質量の増加
質の半減期が著しく短くなっていた.以上の結果から,
と Gs シグナルの増強が見られたことから,Gαs が細胞内
Ric-8は G タンパク質に対する分子シャペロンとして機能
においてユビキチン―プロテアソーム系による制御を受け
し,特に翻訳直後の Gα の細胞膜移行を促すものと考えら
ていることが明らかになった.一方,Ric-8B の過剰発現
れている.
により Gαs のユビキチン化が顕著に抑制された.さらに
Gαs との結合能が著しく低下した Ric-8B のスプライシン
7―3. Ric-8A による細胞分裂調節
グバリアント及び Ric-8B との結合能が低下した Gαs 変異
線虫やショウジョウバエの非対称分裂と同様に,哺乳動
体を用いた解析から,Ric-8B と Gαs の結合が Gαs のユビ
物の細胞分裂においても Gαi 及びその関連分子は紡錘体の
キチン化の抑制に重要であることが判明した.以上のよう
制御に関わる68).最近,Kehrl らのグループは細胞分裂に
に,筆者らは Ric-8B が Gαs の分解を抑制することにより
おける Ric-8A の役割について報告した69).HeLa 細胞では
Gs シグナルを亢進するという,これまでのグアニンヌク
接着基質(培養皿)と細胞の接着面に対して平行に紡錘体
レオチドに依存した質的な G タンパク質活性制御機構と
が形成されるが,Ric-8A を発現抑制した細胞や百日咳毒
は異なる,G タンパク質の量的制御という新たな G タン
素処理により Gαi と Ric-8A の結合を阻害した細胞ではこ
パク質制御機構を提唱した(図7B)
.
の極性が見られず,Gαi,LGN,NuMA 及びダイニンの細
ごく最近,Tall らのグループは Ric-8A−/−及び Ric-8B−/−
胞膜局在も阻害されていた.これらのことから,Ric-8A
ES 細胞の解析から,Ric-8が G タンパク質の量的調節に
は哺乳動物細胞の分裂において Gαi 複合体の細胞膜局在を
極めて重要な役割を果たすことを報告した7).Ric-8A−/−細
補助し,適切な紡錘体の配向を規定するという,ショウ
5
4
1
2
0
1
3年 7月〕
ジョウバエ Ric-8と類似した機能を持つことが明らかに
なった.哺乳類の非対称分裂における Ric-8A の関与は現
在までに明らかにされていないが,近年,哺乳類の神経細
胞においても三量体 G タンパク質シグナルの活性調節が
非対称分裂における適切な紡錘体の配向決定に必要である
ことが報告されている70,71).線虫やショウジョウバエのア
ナロジーから Ric-8A も非対称分裂の構成因子である可能
性が考えられ,今後の解析が待たれる.
線虫の神経伝達物質放出を制御する因子として Ric-8が
同定されて以来,無脊椎動物の遺伝学的解析から生理的機
能が,主に哺乳類 Ric-8の解析から分子機能が明らかにさ
れつつある.しかしながら生理的機能と分子機能を直接結
びつけて理解するにはまだ至っていないのが現状である.
非対称分裂に GEF 活性が必要であるかどうかは現時点で
は不明であり,今後の課題として残されている.
8. お
わ
り
に
細胞のシグナル伝達研究において1
9
7
1年 Sutherland に
よるセカンドメッセンジャー cAMP の発見,1
9
9
2年 Krebs
と Fisher によるタンパク質リン酸化酵素の発見,1
9
9
4年
Gilman と Rodbell に よ る G タ ン パ ク 質 の 発 見,そ し て
2
0
1
2年に Lefkowitz と Kobilka による GPCR 研究にノーベ
ル賞が授与 さ れ た.さ ら に GPCR リ ガ ン ド 研 究 と し て
1
9
8
2年 Samuelsson, Bergstrom, Vane らにプロスタグランジ
ンやロイコトリエンの発見,1
9
8
8年 Black にアドレナリ
ンとヒスタミン受容体アンタゴニストの開発,また神経機
能モデルとして2
0
0
4年 Axel と Buck による匂い受容体と
嗅覚システム研究にもノーベル賞が与えられている.これ
らからも G タンパク質シグナル研究の重要性,すなわち
社会への影響と貢献度が認められているといえる.今後も
生体の恒常性の維持に必須の神経系,循環器系,内分泌
系,生体防御系システム,さらに発生過程における G タ
ンパク質シグナルの制御機構の解明から目を離すことはで
きず,新たに得られた研究成果を基にした新規プローブや
薬剤の開発が期待されている.
文
献
1)Kaziro, Y., Itoh, H., Kozasa, T., Nakafuku, M., & Satoh, T.
0
0.
(1
9
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0
5)J.
Biol. Chem.,2
8
0,3
6
7
0
1―3
6
7
0
7.
2
3)Orth, J.H., Fester, I., Preuss, I., Agnoletto, L., Wilson, B.A., &
Aktories, K.(2
0
0
8)J. Biol. Chem.,2
8
3,2
3
2
8
8―2
3
2
9
4.
2
4)Orth, J.H., Preuss, I., Fester, I., Schlosser, A., Wilson, B.A., &
Aktories, K.(2
0
0
9)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1
0
6, 7
1
7
9―
7
1
8
4.
2
5)Landis, C.A., Masters, S.B., Spada, A., Pace, A.M., Bourne, H.
R., & Vallar, L.(1
9
8
9)Nature,3
4
0,6
9
2―6
9
6.
2
6)Lyons, J., Landis, C.A., Harsh, G., Vallar, L., Grünewald, K.,
Feichtinger, H., Duh, Q.Y., Clark, O.H., Kawasaki, E., Bourne,
H.R., & McCormick, F.(1
9
9
0)Science,2
4
9,6
5
5―6
5
9.
2
7)Van Raamsdonk, C.D., Bezrookove, V., Green, G., Bauer, J.,
Gaugler, L., O’
Brien, J.M., Simpson, E.M., Barsh, G.S., &
Bastian, B.C.(2
0
0
9)Nature,4
5
7,5
9
9―6
0
2.
2
8)Taniguchi, M., Nagai, K., Arao, N., Kawasaki, T., Saito, T.,
Moritani, Y., Takasaki, J., Hayashi, K., Fujita, S., Suzuki, K.,
& Tsukamoto, S.(2
0
0
3)J. Antibiot.( Tokyo )
,5
6,3
5
8―3
6
3.
2
9)Takasaki, J., Saito, T., Taniguchi, M., Kawasaki, T., Moritani,
Y., Hayashi, K., & Kobori, M.(2
0
0
4)J. Biol. Chem., 2
7
9,
4
7
4
3
8―4
7
4
4
5.
3
0)De Vries, L., Fischer, T., Tronchère, H., Brothers, G.M.,
Strockbine, B., Siderovski, D.P., & Farquhar, M.G. (2
0
0
0)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,9
7,1
4
3
6
4―1
4
3
6
9.
3
1)Natochin, M., Lester, B., Peterson, Y.K., Bernard, M.L., Lanier, S.M., & Artemyev, N.O.(2
0
0
0)J. Biol. Chem., 2
7
5,
5
4
2
4
0
9
8
1―4
0
9
8
5.
3
2)Bernard, M.L., Peterson, Y.K., Chung, P., Jourdan, J., & Lanier, S.M.(2
0
0
1)J. Biol. Chem.,2
7
6,1
5
8
5―1
5
9
3.
3
3)Natochin, M., Gasimov, K.G., & Artemyev, N.O.(2
0
0
1)Biochemistry,4
0,5
3
2
2―5
3
2
8.
3
4)Kimple, R.J., Kimple, M.E., Betts, L., Sondek, J., & Siderovski, D.P.(2
0
0
2)Nature,4
1
6,8
7
8―8
8
1.
3
5)Wall, M.A., Coleman, D.E., Lee, E., Iñiguez-Lluhi, J.A., Posner, B.A., Gilman, A.G., & Sprang, S.R. (1
9
9
5) Cell, 8
3,
1
0
4
7―1
0
5
8.
3
6)Lambright, D.G., Sondek, J., Bohm, A., Skiba, N.P., Hamm, H.
E., & Sigler, P.B.(1
9
9
6)Nature,3
7
9,3
1
1―3
1
9.
3
7)Tesmer, V.M., Kawano, T., Shankaranarayanan, A., Kozasa, T.,
& Tesmer, J.J.(2
0
0
5)Science,3
1
0,1
6
8
6―1
6
9
0.
3
8)Lutz, S., Shankaranarayanan, A., Coco, C., Ridilla, M., Nance,
M.R., Vettel, C., Baltus, D., Evelyn, C.R., Neubig, R.R., Wieland, T., & Tesmer, J.J.(2
0
0
7)Science,3
1
8,1
9
2
3―1
9
2
7.
3
9)Oldham, W.M. & Hamm, H.E.(2
0
0
8)Nat. Rev. Mol. Cell
Biol.,9,6
0―7
1.
4
0)Johnston, C.A. & Siderovski, D.P.(2
0
0
7)Proc. Natl. Acad.
Sci. USA,1
0
4,2
0
0
1―2
0
0
6.
4
1)Bonacci, T.M., Mathews, J.L., Yuan, C., Lehmann, D.M.,
Malik, S., Wu, D., Font, J.L., Bidlack, J.M., & Smrcka, A.V.
(2
0
0
6)Science,3
1
2,4
4
3―4
4
6.
4
2)Lehmann, D.M., Seneviratne, A.M., & Smrcka, A.V.(2
0
0
8)
Mol. Pharmacol.,7
3,4
1
0―4
1
8.
4
3)Kamal, F.A., Smrcka, A.V., & Blaxall, B.C.(2
0
1
1)J. Mol.
Cell Cardiol.,5
1,4
6
2―4
6
7.
4
4)Casey, L.M., Pistner, A.R., Belmonte, S.L., Migdalovich, D.,
Stolpnik, O., Nwakanma, F.E., Vorobiof, G., Dunaevsky, O.,
Matavel, A., Lopes, C.M., Smrcka, A.V., & Blaxall, B.C.
(2
0
1
0)Circ. Res.,1
0
7,5
3
2―5
3
9.
4
5)Prévost, G.P., Lonchampt, M.O., Holbeck, S., Attoub, S., Zaharevitz, D., Alley, M., Wright, J., Brezak, M.C., Coulomb, H.,
Savola, A., Huchet, M., Chaumeron, S., Nguyen, Q.D., Forgez,
P., Bruyneel, E., Bracke, M., Ferrandis, E., Roubert, P., Demarquay, D., Gespach, C., & Kasprzyk, P.G.(2
0
0
6)Cancer Res.,
6
6,9
2
2
7―9
2
3
4.
4
6)Favre-Guilmard, C., Zeroual-Hider, H., Soulard, C., Touvay,
C., Chabrier, P.E., Prevost, G., & Auguet, M.(2
0
0
8)Eur. J.
Pharmacol.,5
9
4,7
0―7
6.
4
7)Ayoub, M.A., Damian, M., Gespach, C., Ferrandis, E.,
Lavergne, O., De Wever, O., Banères, J.L., Pin, J.P., &
Prévost, G.P.(2
0
0
9)J. Biol. Chem.,2
8
4,2
9
1
3
6―2
9
1
4
5.
4
8)Miller, K.G., Emerson, M.D., McManus, J.R., & Rand, J.B.
〔生化学 第8
5巻 第7号
9
9.
(2
0
0
0)Neuron,2
7,2
8
9―2
4
9)Gonczy, P.(2
0
0
8)Nat. Rev. Mol. Cell Biol.,9,3
5
5―3
6
6.
5
0)Morin, X. & Bellaïche, Y.(2
0
1
1)Dev. Cell,2
1,1
0
2―1
1
9.
5
1)Neumüller, R.A. & Knoblich, J.A.(2
0
0
9)Genes Dev., 2
3,
2
6
7
5―2
6
9
9.
5
2)Yu, F., Kuo, C.T., & Jan, Y.N.(2
0
0
6)Neuron,5
1,1
3―2
0.
5
3)Afshar, K., Willard, F.S., Colombo, K., Johnston, C.A.,
McCudden, C.R., Siderovski, D.P., & Gonczy, P.(2
0
0
4)Cell,
1
1
9,2
1
9―2
3
0.
5
4)Gotta, M. & Ahringer, J.(2
0
0
1)Nat. Cell Biol.,3,2
9
7―3
0
0.
5
5)Colombo, K., Grill, S.W., Kimple, R.J., Willard, F.S., Siderovski, D.P., & Gonczy, P.(2
0
0
3)Science,3
0
0,1
9
5
7―1
9
6
1.
5
6)Gotta, M., Dong, Y., Peterson, Y.K., Lanier, S.M., & Ahringer,
J.(2
0
0
3)Curr. Biol.,1
3,1
0
2
9―1
0
3
7.
5
7)Tsou, M.F., Hayashi, A., & Rose, L.S.(2
0
0
3)Development,
1
3
0,5
7
1
7―5
7
3
0.
5
8)Tall, G.G., Krumins, A.M., & Gilman, A.G.(2
0
0
3)J. Biol.
Chem.,2
7
8,8
3
5
6―8
3
6
2.
5
9)Tall, G.G. & Gilman, A.G.(2
0
0
5)Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
1
0
2,1
6
5
8
4―1
6
5
8
9.
6
0)Afshar, K., Willard, F.S., Colombo, K., Siderovski, D.P., &
Gonczy, P.(2
0
0
5)Development,1
3
2,4
4
4
9―4
4
5
9.
6
1)David, N.B., Martin, C.A., Segalen, M., Rosenfeld, F.,
Schweisguth, F., & Bellaiche, Y.(2
0
0
5)Nat. Cell Biol., 7,
1
0
8
3―1
0
9
0.
6
2)Hampoelz, B., Hoeller, O., Bowman, S.K., Dunican, D., &
Knoblich, J.A.(2
0
0
5)Nat. Cell Biol.,7,1
0
9
9―1
1
0
5.
6
3)Wang, H., Ng, K.H., Qian, H., Siderovski, D.P., Chia, W., &
Yu, F.(2
0
0
5)Nat. Cell Biol.,7,1
0
9
1―1
0
9
8.
6
4)Chan, P., Gabay, M., Wright, F.A., & Tall, G.G.(2
0
1
1)J.
Biol. Chem.,2
8
6,1
9
9
3
2―1
9
9
4
2.
6
5)Nishimura, A., Okamoto, M., Sugawara, Y., Mizuno, N.,
Yamauchi, J., & Itoh, H.(2
0
0
6)Genes Cells,1
1,4
8
7―4
9
8.
6
6)Von Dannecker, L.E., Mercadante, A.F., & Malnic, B.(2
0
0
5)
J. Neurosci.,2
5,3
7
9
3―3
8
0
0.
6
7)Hofler, C. & Koelle, M.R.(2
0
1
1)J. Neurosci., 3
1, 1
1
5
5
3―
1
1
5
6
2.
6
8)Cho, H. & Kehrl, J.H.(2
0
0
8)Cell. Cycle,7,5
7
3―5
7
7.
6
9)Woodard, G.E., Huang, N.N., Cho, H., Miki, T., Tall, G.G., &
Kehrl, J.H.(2
0
1
0)Mol. Cell. Biol.,3
0,3
5
1
9―3
5
3
0.
7
0)Konno, D., Shioi, G., Shitamukai, A., Mori, A., Kiyonari, H.,
Miyata, T., & Matsuzaki, F.(2
0
0
8)Nat. Cell Biol., 1
0, 9
3―
1
0
1.
7
1)Sanada, K. & Tsai, L.H.(2
0
0
5)Cell,1
2
2,1
1
9―1
3
1.