Vol.203 2015 4 追い風を受けるアジア経済 ○原油価格下落がアジア経済の追い風となっている。多くのアジア諸国・地域は石油・ ガスの輸入依存度が高く、原油価格下落の恩恵を受けやすい立ち位置にある。 ○多くのアジア諸国・地域では2013年から2014年にかけて相次いで新政権が誕生し たが、いずれの政権も構造改革に積極的に着手している点で評価できる。 ○一方、こうした改革は短期的には景気を下押しするものも多い。また、実質実効為 替レートが上昇するなど競争力の低下も懸念される。 ○アジア諸国・地域が魅力的な投資対象であり続けるためには、新たな経済成長モデ ルの構築が欠かせない。各国政府による構造改革や経済連携への取り組みが奏 功すれば、アジア経済は新たな成長ステージに立てる可能性が高まろう。 図1 各国・地域の石油・ガスの貿易収支(2013年) (GDP比、%) 50 40 30 20 10 0 -10 シンガポール タイ 韓国 台湾 南アフリカ ハンガリー インド チリ 日本 フィリピン スペイン ドイツ ギリシャ イタリア ポーランド フランス ニュージーランド 中国 トルコ 米国 インドネシア ブラジル 豪州 英国 メキシコ カナダ マレーシア ロシア サウジアラビア -20 (出所) IMF、国連貿易開発会議(UNCTAD)データより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 1 Vol.203 2015.4 投資の視点 追い風を受けるアジア経済 発表している。また、インドやインドネシア、タイでは長年 経済成長の足枷になっているとされてきたインフラ不足の 解決に向けた糸口が見え始めている。これらの国々では、 これまで食糧や燃料に対する手厚い補助金が存在してい た。これは家計の所得を支え景気の安定に寄与してきた 半面、重い財政負担からインフラ投資に十分な資金の手 当てができなかった経緯がある。しかし、これらの国々で はこうした補助金が相次いで削減、もしくは撤廃されるに 伴って、相次いでインフラ開発計画が打ち出されている。 また、インドやインドネシアではインフラ投資の制約となっ てきた規制の撤廃なども進みつつある。 ●原油価格下落とアジア経済 原油価格下落がアジア経済の追い風となっている。原 油価格の下落は燃料輸入国にとって経常収支の改善に つながることに加え、家計の燃料の購入負担が軽減され ることで消費を喚起し、景気の追い風にもなるためだ。多く のアジア諸国・地域は他の地域と比較して石油・ガスの輸 入依存度が高く、こうしたファンダメンタルズ(経済の基礎 的条件)改善の恩恵をとりわけ受けやすい(図1参照)。 金融市場はこうしたアジア諸国・地域のファンダメンタル ズの改善を前向きに評価している。足元で、外国為替市 場は米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利上げを織 り込みつつあり、円やユーロなど主要通貨を含めた多くの 通貨が米ドルに対し下落している。しかし、こうした中でも、 アジア通貨はタイ・バーツや台湾ドル、インド・ルピーのよ うに、底堅く推移している通貨も見られる(図2参照)。 もちろん、こうした改革の中には、原油価格下落が無け れば、進展が難しかったものもある。例えば、インドネシア では、2015年から長年財政の負担となってきたガソリン補 助金が撤廃されたが、これが実現した背景には原油価格 の下落により、ガソリン価格を人為的に低く抑える必要が なくなったことが大きい。もちろん、こうした背景を鑑みれ ば、今後原油価格が再び上昇し家計の燃料購入の負担 が増した場合には改革が反転するリスクも残る。しかし、 先進国も含め、必要な改革を先送りする国が多い中、ア ジア諸国・地域が改革を精力的に実施していることは評価 できるだろう。 ●構造改革が進む また、多くのアジア諸国・地域が構造改革に積極的に着 手していることも評価できる。アジアでは、昨年5月のイン ドのモディ政権の発足に代表されるように、2013年から 2014年にかけて新政権の発足が相次いだ。これらの新政 権は、各々異なる政策課題に直面しているものの、構造 改革に取り組む強い意欲を示している点で共通している。 ●景気回復は依然として鈍い 構造改革は長期的な成長力を高める反面、短期的には むしろ景気を下押しすることも事実だ。そもそも、多くのア ジア諸国・地域が構造改革の必要に迫られている背景に は、世界金融危機以降の世界経済減速に直面したアジア 諸国・地域が、国内景気の悪化を回避するために、緩和的 とりわけ、改革が進むのが中国だ。中国政府は今年3 月に開催された全国人民代表大会で構造改革を一層進 め、経済成長の「質」を重視する姿勢を鮮明にした。政府 は2009年以降の景気刺激策で生じた過剰生産設備の是 正や地方政府の債務再編など、必要な施策を矢継ぎ早に 図2 2015年の各国・地域通貨の対米ドルの騰落率 図3 アジア諸国・地域の地域別の輸出 対米ドルで 上昇 (%) 5 (前年同月比、3ヵ月移動平均、%) 30 20 対米ドルで 下落 0 -5 -10 10 0 -15 -10 ブラジル ユーロ圏 トルコ 豪州 ポーランド ハンガリー マレーシア インドネシア 南アフリカ ニュージーランド シンガポール メキシコ チリ 韓国 日本 フィリピン 中国 インド 台湾 タイ ロシア -20 総輸出 中国向け 米国向け 欧州向け ASEAN向け -20 10/12 11/6 11/12 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12 (年/月) (注1) アジア諸国・地域:中国、韓国、台湾、シンガポール、タイ、イ ンドネシア、マレーシア、フィリピン (注2) ASEAN:シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリ ピン (出所) CEICデータより野村アセットマネジメント作成 (注) 2014年12月末から2015年3月末。 (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 2 Vol.203 2015.4 行も引き続き量的緩和を続けるなど、世界金融市場の流 動性は依然として潤沢だ。過去の主要先進国・地域の量 的緩和局面では、アジア諸国・地域の株式市場がいずれ も概ね上昇している(図5参照)。すなわち、量的緩和が金 融市場へ与える影響は、緩和を実施した国の金融市場だ けにとどまらずアジアの金融市場にも追い風となってきた。 こうした状況は足元でも例外ではなく、ECBの量的緩和発 表以降のアジア株式の米ドル建ての上昇率は日本株に 次ぐ水準にある。量的緩和により世界的に金融資産の利 回りが低下する中、ファンダメンタルズが比較的良好なア ジア株式に資金が流れやすい構図にある。 な金融政策や財政政策を続けた結果、経済の歪みが拡大 してしまったことがある。中国で構造的な問題となっている 過剰生産設備や、タイやマレーシアでみられる家計債務の 顕著な拡大はこうした歪みの典型的なものだ。そのため、 アジア諸国・地域の構造改革の中身には、財政健全化や 過剰な国内信用の安定化など、短期的に景気を下押しす る政策が多い。実際、足元のアジア経済の回復はこうした 構造改革による内需の下押し圧力から総じて鈍い。 また、アジア諸国・地域の地域別輸出を見ると、東南ア ジア諸国連合(ASEAN)や中国向け輸出の弱含みが目立 つ(図3参照)。すなわち、アジアでは域内貿易の存在感が 高い結果、各国の構造改革努力がその国の経済だけで なく、アジア経済全体の景気の重石になっているのだ。と りわけ、経済規模の大きい中国の構造改革に伴う内需の 低迷はアジア経済全体に大きな影響を与えている。 ●新たな経済成長モデルの構築が鍵に アジア諸国・地域が魅力的な投資対象であり続けるた めには、新たな経済成長モデルの構築が欠かせない。こ れまで、アジア諸国・地域は先進国の需要に対する生産 基地として、輸出主導で急速な経済成長を遂げてきた。し かし、アジア域内での賃金が上昇し、かつてのように廉価 な製品を輸出できなくなっていることに加え、後発国との競 争が激化する中では従来の経済成長モデルは限界を迎え つつある。とりわけ、東南アジア諸国や中国に対しては、 経済が中所得国の水準で停滞し高所得国入りできない状 況を指す「中進国の罠」に陥るリスクが懸念されている。 また、輸出競争力の低下も懸念される。主要輸出相手 国との為替相場を貿易額に応じて平均し、物価の動きも 考慮した実質実効為替レートでみると、フィリピン、インド ネシア、中国、タイは2013年末以降、米国に次ぐ上昇率と なっている(図4参照)。これは、アジア諸国・地域の輸出 製品が他国と比べて割高になりつつあることを示唆してい る。景気回復の足取りがおぼつかない多くのアジア諸国・ 地域にとって、輸出競争力の低下はさらなる打撃につな がりかねない。 各国政府もこれを強く認識しており、構造改革だけでな く、ASEAN共同体に代表される域内経済連携を進めるな ど、新たな経済成長モデルを模索している。これが奏功す れば、アジア経済は新たな成長ステージに立てる可能性 が高まろう。 ●緩和的な流動性環境とアジア それでも、足元の投資環境は総じてアジアの金融市場 に追い風となっている。FRBが利上げを模索する中にあっ ても、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を開始し、日本銀 図4 仙波 紘行(経済調査部) 各国・地域の実質実効為替レート(2015年2月末) (2013年12月=100) 115 図5 先進国・地域の量的緩和と株式指数の騰落率 競争力 低下 110 105 競争力 上昇 量的金融緩和 ユーロ圏 ハンガリー 日本 メキシコ ポーランド チリ マレーシア シンガポール ブラジル ニュージーランド 台湾 韓国 南アフリカ インド トルコ 英国 タイ 中国 インドネシア フィリピン 米国 80 量的・ 質的金融緩和② 85 量的・ 質的金融緩和① 90 量的金融緩和③ 95 量的金融緩和② 100 米国 S&P500 欧州 FTSE ユーロファースト300 日本 TOPIX アジア MSCIオール・カントリー・アジア・パシフィック(日本除く) 量的金融緩和① (%) 4 3 2 1 0 -1 FRB FRB FRB 日銀 日銀 ECB (08年11月- (10年11月- (12年9月- (13年4月- (14年10月- (15年1月10年6月) 11年6月) 13年12月) 14年9月) 15年3月) 15年3月) (注) 騰落率はいずれも米ドルベース、月次平均リターン。 (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 (出所) 国際決済銀行(BIS)データより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 3 Vol.203 2015.4 為替レート(対米ドル動向) 円 ユーロ 2015年3月末の対米ドルの円相場は1米ドル= 120.1円となり、2月末の119.6円に対して0.4%の円 安となった。月初に120円を挟んで推移した後、6 日には121円台まで円安が進み、17日まで概ね 121円台前半で推移した。18日に一時120円を割り 込むまで円高となり、その後は概ね120円を挟む 動きとなった。 2015年3月末の対米ドルのユーロ相場は、1ユ ーロ=1.07米ドルとなり、2月末の1.12米ドルに対し て4.2%のユーロ安となった。月半ばまで概ねユー ロ安基調で推移し、一時1.05米ドルを割り込んだ。 その後、18日に一時1.10米ドル台までユーロ高と なったが、月末にかけユーロ安となった。なお、対 円では、米ドル高(円安)の影響もあり、1ユーロ= 133.9円から128.9円へ3.7%のユーロ安となった。 米国の金融政策に関する観測が円相場の主な 変動要因となった。月前半には、米国雇用統計が 順調な労働市場の改善を示したことで、米国の早 期利上げ観測が高まり、米ドル高の流れが強まっ た。しかし、その後、米国経済の成長ペース減速 を示唆する経済指標が発表される中、17-18日に 開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の参 加者が2015年末の政策金利見通しを前回よりも 大幅に引き下げたことで、米ドル高・円安傾向は 反転する形となった。FOMC声明文では市場予想 通り、利上げを「忍耐強く」待つことができるという 文言が削除されたが、年央以降に開始すると見ら れる利上げは緩やかなペースで進められていくと 示唆されている。 上旬に米国で早期利上げ観測が高まる一方、 欧州中央銀行(ECB)による月額600億ユーロの資 産購入プログラムの一環である国債等の購入が 開始された。このように米欧の金融政策スタンス の方向性が乖離していくと見込まれる中、ユーロ 圏各国の国債利回りは概ね低下し、ユーロ安が 進んだ。17-18日のFOMC後、米欧の金融政策格 差に対する観測は一旦後退し、ユーロ高となった ものの、月末にはギリシャの金融支援を巡る先行 き不透明感からユーロは再び下落した。 今後の円相場を見る上では、引き続き日米の 金融政策スタンスが重要となろう。米連邦準備制 度理事会(FRB)は利上げ開始時期やペースにつ いて経済指標を重視する姿勢を示している。 今後のユーロ相場を見る上で、米欧の景気や 金融政策スタンスが重要となろう。米国では労働 市場が堅調に回復し続ければ、金融政策の正常 化に向けた利上げが近づくだろう。一方、ユーロ圏 では当面インフレは低位で推移すると考えられ、 少なくとも2016年9月まで資産購入プログラムを継 続する見込みだ。 円 ユーロ (米ドル/ユーロ) 1.50 140 1.40 115 130 1.30 110 120 1.20 105 110 対円(左軸) 円高 100 2014/3 2014/6 2014/9 2014/12 100 2014/3 2015/3 (年/月) (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 1.10 対米ドル(右軸) 2014/6 2014/9 2014/12 ユーロ安 120 ユーロ高 (円/ユーロ) 150 円安 (円/米ドル) 125 1.00 2015/3 (年/月) (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 4 Vol.203 2015.4 豪ドル ブラジル・レアル 2015年3月末の対米ドルの豪ドル相場は、1豪ド ル=0.76米ドルとなり、2月末の0.78米ドルに対し て2.6%の豪ドル安となった。豪ドルは月半ばにか けて下落基調で推移し、その後一旦反発したもの の、月末にかけて再び下落した。なお、対円では、 米ドル高(円安)の影響もあり、1豪ドル=93.4円か ら91.4円へ2.2%の豪ドル安となった。 2015年3月末の対米ドルのレアル相場は、1米ド ル=3.20レアルとなり、2月末の2.86レアルに対し て12.0%のレアル安となった。レアルは月前半に 大きく下落し、一時1米ドル=3.29レアルまで下落 する場面もあったものの、その後下げ止まった。な お、対円では、米ドル高(円安)の影響もあり、1レ アル=42.1円から37.6円へ10.7%のレアル安とな った。 月半ばにかけては、昨年10-12月期の豪州の 企業収益が悪化したことに加え、米国の堅調な雇 用統計を受けて早期利上げ観測が高まったことで、 豪ドルは軟調に推移した。その後は、FOMC声明 文を受けて米ドル高基調が一巡したことで上昇に 転じたものの、サウジアラビアのイエメンへの軍事 作戦などから、市場のセンチメントが悪化したこと を受け、再度下落した。豪ドルは海外の経済・政 治動向に左右されやすい展開になった。 月半ばにかけては、米ドル高が進んだことに加 え、国内の経済指標が相次いで軟調な結果となっ たことや、ルセフ政権への支持率が低下し、全国 の主要都市で政権への抗議デモが相次いだこと が嫌気され、レアルは急落した。その後は、米ドル 高基調が一服したことで、下げ止まったものの、レ アルは約12年ぶりの安値をつけた。 今後の豪ドル相場は、引き続き米国の金融政 策に左右されやすい展開になるだろう。これまで 欧米の緩和的な金融環境を背景に、相対的に高 利回りで信用力が高い豪州国債が金融市場で選 好され、豪ドルは底堅く推移してきたが、FRBの利 上げ期待の高まりでこの環境が変わりつつある。 また、軟調な商品相場を背景に国内の景気回復 の遅れも顕在化しつつあり、豪州準備銀行(中央 銀行)が追加利下げを実施する可能性もある。 今後のレアル相場を見る上での注目点はブラ ジルの財政健全化の行方だ。これまでのところル セフ大統領は、財政再建に向けた強い意思を示し ている。しかし、景気の低迷が長期化していること や国営石油会社の汚職疑惑を背景に、政権支持 率が低下を続けていることに加え、政権と議会の 間で対立が生じており、これが財政健全化の妨げ になる恐れがある。金融市場は財政健全化の遅 れがブラジル国債の格下げに繋がることを懸念し ており、今後の動向に注意を要する。 豪ドル ブラジル・レアル (円/レアル) 50.0 (レアル/米ドル) 2.00 115 0.90 47.0 2.30 105 0.80 44.0 2.60 95 0.70 41.0 2.90 対米ドル(右軸) 75 2014/3 2014/6 2014/9 2014/12 38.0 対円(左軸) 3.20 対米ドル(右軸) 0.50 2015/3 (年/月) 35.0 2014/3 (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 2014/6 2014/9 2014/12 レアル安 0.60 対円(左軸) 豪ドル安 85 レアル高 (米ドル/豪ドル) 1.00 豪ドル高 (円/豪ドル) 125 3.50 2015/3 (年/月) (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 5 Vol.203 2015.4 為替レート(対米ドル動向) メキシコ・ペソ トルコ・リラ 2015年3月末の対米ドルのペソ相場は、1米ドル = 15.27 ペ ソ となり 、2月 末の 14.95 ペ ソに 対 して 2.1%のペソ安となった。ペソは月前半に下落した ものの、その後反発し下落幅の一部を取り戻した。 なお、対円では、米ドル高(円安)の影響もあり、1 ペソ=8.0円から7.9円へ1.7%のペソ安となった。 2015年3月末の対米ドルのリラ相場は、1米ドル =2.60リラとなり、2月末の2.51リラに対して3.5%の リラ安となった。リラは月前半に大きく下落し、その 後は下げ止まった。なお、対円では、米ドル高(円 安 ) の 影 響 も あ り 、 1 リ ラ= 47.7 円 か ら46.2 円へ 3.1%のリラ安となった。 月前半は、2月の製造業指数が市場予想を下 回るなど景気回復の遅れが金融市場で意識され たことや、米国の堅調な雇用統計を受け米ドル高 が進んだことから、ペソは下落基調で推移した。ま た、原油価格が軟調に推移したことも、相場の重 石となった。しかし、その後は、FOMC声明文を受 けて米ドル高基調が後退したこともあり、ペソは月 前半の下落を一部戻した。 月初は、2月のコアインフレ率が市場予想を上 回るペースで鈍化したことを受け、トルコ中央銀行 (CBRT)による利下げ観測が高まり、リラは下落し た。しかし、その後は、エルドアン大統領がCBRT 総裁と会談を行ったことでトルコの金融政策を巡 る政治的不透明感が和らぎ、リラは下げ止まった。 また、CBRTが、その後主要政策金利の据え置き を発表し、追加の金融緩和を見送ったことも好感 された。 今後のペソ相場を見る上では、メキシコの景気 動向が重要となろう。景気回復の兆しがでてきたメ キシコ経済だが、原油価格低迷により、政府が来 年の財政歳出を削減する可能性に言及するなど、 メキシコの景気回復の先行きには依然として不透 明感が残る。また、米国の利上げが近づく中、ペソ は市場の思惑の変化によって相場が左右されや すい展開となるだろう。メキシコ中央銀行は米国の 利上げの影響を注視するとしており、ペソの不安 定な動きが続いた場合には利上げを辞さない姿 勢を示している。 今後のリラ相場を見る上ではCBRTの金融政策 を巡る政治的な動きが重要となろう。市場がFRB の利上げ開始を織り込みつつある中、リラ相場が 不安定な動きを続けていることから、エルドアン大 統領のCBRTに対する利下げ圧力は一旦後退して いる。しかし、リラ相場が安定すれば、同大統領は 6月に控える総選挙を有利に進める思惑もあって、 CBRTへの圧力を再び高める可能性がある。リラ 相場はCBRTに対する大統領の圧力といった政治 動向に左右されやすい展開となるだろう。 メキシコ・ペソ トルコ・リラ 8.70 (円/リラ) 55.0 13.5 53.0 14.5 51.0 (リラ/米ドル) 2.00 リラ高 (ペソ/米ドル) 12.5 ペソ高 (円/ペソ) 9.00 2.15 対円(左軸) 8.40 対米ドル(右軸) 対円(左軸) 2.30 対米ドル(右軸) 49.0 2.45 7.80 16.5 47.0 2.60 7.50 2014/3 2014/6 2014/9 2014/12 45.0 2014/3 17.5 2015/3 (年/月) (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 2014/6 2014/9 2014/12 リラ安 15.5 ペソ安 8.10 2.75 2015/3 (年/月) (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 6 Vol.203 2015.4 データ・グラフ集 株価指数 10年国債利回り TOPIX(左軸) S&P500(左軸) MSCI新興国(米ドルベース、左軸) DAX(右軸) (ポイント) 13,000 (%) 4.0 12,000 3.5 1,800 11,000 3.0 1,600 10,000 2.5 1,400 9,000 2.0 1,200 8,000 1.5 1,000 7,000 1.0 800 6,000 0.5 (ポイント) 2,200 2,000 600 2013/3 2013/9 2014/3 2014/9 5,000 2015/3 (年/月) 日本 米国 ドイツ 0.0 2013/3 為替 (円/米ドル) (円/ユーロ) 160 150 (米ドル/ユーロ) 円/米ドル(左軸) 円/ユーロ(左軸) 米ドル/ユーロ(右軸) 2014/9 2015/3 (年/月) 1.5 120 1.4 110 1.3 100 1.2 90 1.1 80 1.0 70 0.9 2014/9 ロイター/ジェフリーズCRB商品価格指数 S&P先進国リート指数 JPモルガン新興国債券指数 700 1.7 1.6 2014/3 (ポイント) 800 1.8 130 2013/9 2014/3 商品・リート・新興国債券 140 60 2013/3 2013/9 600 500 400 300 200 100 2013/3 0.8 2015/3 (年/月) 2013/9 2014/3 2014/9 2015/3 (年/月) 金融市場の動き <変化率、%> ■株価指数 日経平均(日本) TOPIX(日本) 日経ジャスダック平均(日本) NYダウ工業株(米国) S&P500(米国) NASDAQ(米国) FTSE100種(英国) DAX(ドイツ) ハンセン指数(香港) 上海総合(中国) S&P/BSE SENSEX(インド) MSCI新興国(米ドルベース) 1ヵ月 3ヵ月 6ヵ月 2.2 10.1 18.8 1.3 9.6 16.3 1.0 4.0 5.8 -2.0 -0.3 4.3 -1.7 0.4 4.8 -1.3 3.5 9.1 -2.5 3.2 2.3 5.0 22.0 26.3 0.3 5.5 8.6 13.2 15.9 58.5 -4.8 1.7 5.0 -1.6 1.9 -3.1 <変化率、%> 1年 29.5 28.3 22.6 8.0 10.4 16.7 2.6 25.2 12.4 84.3 24.9 -2.0 ■為替相場 円/米ドル 円/ユーロ 米ドル/ユーロ 円/英ポンド 円/豪ドル 円/カナダ・ドル 円/ブラジル・レアル 円/トルコ・リラ 円/南アフリカ・ランド 1ヵ月 0.4 -3.7 -4.2 -3.6 -2.2 -0.9 -10.7 -3.1 -3.5 3ヵ月 0.4 -11.0 -11.3 -4.5 -6.6 -8.1 -16.6 -9.7 -4.4 6ヵ月 9.5 -6.9 -15.0 0.1 -4.7 -3.3 -16.0 -3.9 1.9 1年 16.4 -9.3 -22.1 3.5 -4.4 1.4 -17.4 -4.1 1.0 (注) マイナスは円高方向に動いたことを示す (米ドル/ユーロの場合は米ドル高) <%> ■債券利回り 日本10年国債 米国10年国債 ドイツ10年国債 <変化率、%> ■商品・リート・債券 1ヵ月 3ヵ月 6ヵ月 1年 ロイター/ジェフリーズCRB商品価格指数 -5.5 -7.9 -23.9 -30.5 東証リート指数 -2.1 -1.8 11.6 27.2 S&P先進国リート指数 -0.3 3.1 12.5 14.6 米国ハイイールド債券指数 -0.5 2.5 1.5 2.0 JPモルガン新興国債券指数 0.5 2.1 0.4 4.1 2月末 3月末 前月差 0.335 0.405 0.070 1.993 1.923 -0.070 0.328 0.180 -0.148 記載されている市場データは野村アセットマネジメントのホームページでご覧になれます(一部掲載されていない場合があります)。 (注) 変化率は2015年3月末を基準として算出している。 (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 7 Vol.203 2015.4 経済カレンダー SUN 4/ 19 2015年4月19日~2015年5月23日 MON 20 TUE WED 21 22 (独)4月ZEW景況感指数 26 27 THU 23 4 (米)3月製造業受注 (ブラジル)4月貿易収支 28 29 10 11 17 18 (日)3月機械受注 24 5 5/ 30 (日)金融政策発表 (日)3月鉱工業生産指数 (日)3月新設住宅着工戸数 (米)3月個人消費支出 (ユーロ圏)3月失業率 (ユーロ圏)4月消費者物 価指数 (メキシコ)金融政策発表 6 7 12 13 19 20 2 9 (中)4月 消費者物 価指数 (中)4月 生産者物 価指数 15 (日)4月マネーストック (米)4月生産者物価指数 21 (日)1-3月期GDP(1次速 報値) (トルコ)金融政策発表 1 (日)3月失業率 (日)3月有効求人倍率 (日)3月家計調査 (日)3月消費者物価指数 (米)4月ISM製造業景況感 指数 (中)4月製造業PMI(購買 担当者景気指数) (米)4月雇用統計 (独)3月鉱工業生産指数 (中)4月貿易収支 (ブラジル)4月消費者物価 指数(IPCA) 14 (日)3月経常収支 (日)4月景気ウォッチャー 調査 (ユーロ圏)1-3月期GDP (米)4月住宅着工件数 (独)5月ZEW景況感指数 25 8 (米)3月貿易収支 (米)4月ADP雇用統計 (米)4月ISM非製造業景況 感指数 (豪)金融政策発表 (中)4月 (英)金融政策発表 マネー サプライ (5/10~ 15) SAT (日)3月貿易収支 (米)3月新築住宅販売件数 (米)3月耐久財受注 (米)3月中古住宅販売件数 (独)4月Ifo景況感指数 (豪)1-3月期消費者物価 指数 (トルコ)金融政策発表 (ブラジル)3月経常収支 (米)金融政策発表 (米)2月S&Pケース・シラ ー住宅価格指数 (米)1-3月期GDP(速報値) (米)4月コンファレンスボー (ブラジル)金融政策発表 ド消費者信頼感指数 3 FRI 16 (日)4月国内企業物価指数 (米)4月鉱工業生産指数 (米)5月ミシガン大学消費 者信頼感指数 22 23 (米)4月中古住宅販売件数 (日)金融政策発表 (米)4月景気先行指数 (米)4月消費者物価指数 (南ア)金融政策発表 (独)5月Ifo景況感指数 (メキシコ)1-3月期GDP (出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成 ※経済カレンダーは作成時点で利用可能な最新の情報を用いておりますが、経済指標等の発表日は変更される可能性があります。 日本・米国・欧州経済指標 <年間> 2012年 2013年 2014年 日 本 米 国 欧 州 日銀短観(大企業製造業)(ポイント) -12 実質GDP成長率(前期比年率、%) 1.8 消費者物価指数(前年同月比、%) 0.0 完全失業率(%) 4.3 実質GDP成長率(前期比年率、%) 2.3 消費者物価指数(前年同月比、%) 2.1 失業率(%) 7.9 実質GDP成長率(前期比、%) -0.8 消費者物価指数(前年同月比、%) 2.5 失業率(%) 11.8 16 1.6 0.4 3.7 2.2 1.5 6.7 -0.5 1.4 11.9 12 -0.0 2.7 3.4 2.4 1.6 5.6 0.9 0.4 11.4 <月次> 4月 5月 6月 7月 2014年 8月 - - 3.4 3.6 - 2.0 6.2 - 0.7 11.7 - - 3.7 3.6 - 2.1 6.3 - 0.5 11.6 12 -6.4 3.6 3.7 4.6 2.1 6.1 0.1 0.5 11.6 - - 3.4 3.7 - 2.0 6.2 - 0.4 11.6 - - 3.3 3.5 - 1.7 6.1 - 0.4 11.6 9月 10月 11月 12月 13 -2.6 3.2 3.6 5.0 1.7 5.9 0.2 0.3 11.6 - - 2.9 3.5 - 1.7 5.7 - 0.4 11.5 - - 2.4 3.5 - 1.3 5.8 - 0.3 11.5 12 1.5 2.4 3.4 2.2 0.8 5.6 0.3 -0.2 11.4 1月 2015年 2月 3月 - - 2.4 3.6 - -0.1 5.7 - -0.6 11.4 - - 2.2 3.5 - 0.0 5.5 - -0.3 11.3 12 - - - - - - - -0.1 - (注) 欧州はユーロ圏。年間の値について、消費者物価指数は平均値、日銀短観、失業率は期末値。月次の値について、日銀短観、GDPは四半期。 (出所) 日本銀行等、当局データより野村アセットマネジメント作成 ※投資環境レポートでは作成時点で利用可能な最新の経済指標を用いておりますが、経済指標等は発表後に訂正や改定が行われることがあります。 商 号:野村アセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第373号 加入協会:一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 www.nomura-am.co.jp/ 当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて 作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の 見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。 投資環境レポート 8 Vol.203 2015.4
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