福祉用具プランナーの横断的組織、 「プラネット」 (通称)が誕生しました。

連載 第 1 回 「プラネット」が誕生。
福祉用具プランナーの横断的組織、
(通称)が誕生しました。
「プラネット」
代表の廣瀬英紀氏がその創設への熱い想いを語る。
増加する一方の高齢者や障碍者などの要介護者。その一方で、肝心かなめの人的支援で
ありマンパワーである介護者の不足は、特に大都会になればなる程、顕著で年々深刻化
しており、すでにその限界を超えているのが現状である。このため、ロボットなど福祉
用具の重要性や必要性は、ますます社会から注目されている。
10 月 4 日に、新しく誕生したこの介護業界初の横断的組織、福祉用具プランナー研究ネッ
トワーク「プラネット(通称)
」は、全国各地の福祉用具プランナー管理指導者のまだ若
い第 1 期生や 2 期生が中心となって立ち上げたものである。
介護保険制度が始まって約 14 年。我が国の介護業界はそろそろ若い世代が中心となりつ
つあるが、この福祉用具の業界も同様であり、数年前から廣瀬代表達の呼びかけで福祉
用具専門相談員ら現場従事者が集まって合宿形式のミニ研究会を年 1 回開催していたの
が背景にある。テクノエイド協会の支援を得て、この程、
「プラネット」として正式に発
足したものである。
代表の廣瀬英紀氏に聞く
「プラネット」の狙いと本音
──今回、
「福祉用具プランナー研
プラネット代表
廣瀬英紀氏
報を収集する手段しかありませんで
そうですね。私は仙台に震災の後
イスブックで聞いたところ直ぐに全
した。そのために、地方・遠方の方
に入ったのですが、特に地方は研修
国から回答がありました。社内であ
々は移動時間と必要経費が非常にか
制度が少なく、また情報量が不足し
れこれと考えるより専門家のアドバ
かるため、知りたい情報や受けたい
て、お客様にとっても、我々従事者
イスを受けられることが即日、出来
研修も受けることが出来ない人が大
にとっても何が求められているのか、
た。そして、その情報のやり取りを
勢いました。
何が正しいのか中々分かりにくいの
また他の会員が見て参考に出来ると
プラネットではフェイスブックや
です。研修が出来るエリアの従事者
いうメリットもあります。将来は、こ
ソーシャルネットワークを使った情
だけが伸びて行く、というのも少し
うしたデータを大量に蓄積して、必
報発信を行います。多職種からなる
直して行きたいと思います。
要な情報だけを引っ張り出すことも
プラネットメンバーによる現場の情
会員の種類は、福祉用具プラン
できるシステムにしたいと思います。
報交換や意見交換、各地のイベン
ナーの会員とプランナー資格を持た
ト情報や手作り福祉用具情報などを
ないの準会員の 2 種類で、会員とし
ホームページ上で公開することで、
てのメリットは、以下の2つがあり
日々の業務との具多的なつながりが
ます。一つには、情報共有です。
まず、10 月 4 日からスタートしま
──目標としてはどの位の会員数を
見込んでいますか
具プランナー達を中心に構築しよう
現 状では、例えば、看護師と福
生まれることになります。
ホームページは、まず皆様に見て
して、会員募集を少しずつ拡大化し
とするのが、今回私たちがこの組織
祉用具というように各職種毎の福祉
その集大成として年1回の研究大
頂いて、会員限定のコンテンツは、
て行きます。会員数は、
一応 2 年間で、
を立ち上げた趣旨です。
用具の重要性は確立されてはいます
会を開催することになりました。ウェ
別に用意するようになっています。
2000 人を目標にしています。
が、その横断的な横のネットワーク
ブ上の日々のつながりも大切ですが、
例えば、研修会でよく行われるよう
会員の方々から、今現場ではこう
がまだ弱いという現実があります。
画面上ではニュアンスが繋がりにく
な少し困ったような事例をリアルタ
いう声が上がっているという情報が
また、介護保険が始まって 14 年
いいため、年1回の集合研修・情報
イムで相談できる。会社でも誰に聞
来て、それを受けて会員の方々に提
究ネットワーク」を立ち上げたのは、
──福祉用具プランナーの有資格者
どのような趣旨からでしょうか
数と職種は、現在どうでしょうか?
もともと福祉用具プランナー管理
福祉用具プランナーは現在、全国
が経ち、若い方々もそれなりに情報
交換会を開催して、更に相互研鑽し
けばよいのか分からない事例でも、
供する、こんな「ウィン・ウィン」
指導者という、公益財団法人テクノ
各地に約 12,000 人位が誕生していま
網はお持ちであると思いますし、各
ていただこうという企画です。
バリエーションが多く、また生の意
の関係を築けていったらと思います。
エイド協会が認定する福祉用具プラ
すので、気運としては丁度よい時期
団体、各業種で確立はしているので
そして地区会という組織では、そ
見も聞くことができるというメリット
もちろん今まで通りの研究会の部分
ンナーの上級の資格がありますが、
ではないかと思っています。
すが、ではセラピストと福祉用具、
の地域のコミュニティーのなかで研
が会員にはあります。
もあり、現場の意見を受けたやり取
それを取得したのが 3 年前でした。
そして、その職種は、理学療法士、
看護師と福祉用具という、横断的な
修会や情報交換会を開催し、現場の
実際に先日、カテーテルのことで
りをしたいと思います。
その福祉用具プランナーという資格
作業療法士、看護師など医療分野、
つながりが無い。もう少し、
「横と
ボトムアップを図ります。
分からないことがあり、それをフェ
──どうもありがとうございました。
が、高齢化が進む中で、今後どうい
福祉用具専門相談員など福祉分野、
横」のつながりのあるプラットホー
や はり大 切 な の は 各 コミュ ニ
う形で世の中に発信をして行けばよ
保健師などの保健分野、ケアマネな
ム的な組織が必要ではないかと思い
ティーのボトムアップなんです。そ
いのか、まだなかなか確立出来てい
どの介護分野、設計士などの建築分
ます。
のコミュニティーがネットワークで
なかったりしていることが一つには
野、工学分野など多職種によって構
あります。また、福祉用具について
成されており、業界横断的なのが大
の情報が、介護保険発足以来、今ま
きな特徴です。
で構築されて来ているのですが、そ
一番多い職種は、専門相談員が⒊
れが整理整頓されていない。そうし
分の1、OT・PT、看護師など医
メンバーの年齢層ですが、20 代
た部分を全国ネットでつなげて行き
療分野が⒊分の1、その他が⒊分の
若手からベテランの 60 代の方々ま
たいと思っております。
1となっています。こうしたバラン
でが参加してくれています。
最大の目的は、福祉用具従事者の
スの良い広がりのある資格はなかな
福祉用具業界の従来の研修やセミ
ボトムアップであり、それを福祉用
か他には見当たりません。
ナーは、どこか一ヶ所に集まって情
32 シニア・コミュニティ 2014 年 11・12 月号
──メンバーの年齢層は? どのよ
うな方法で情報発信して行くので
しょうか
繋がることで非常に大きなパワーと
なり、リアルタイムの最新情報が現
場から全国に共有できることになり
ます。
──どうしても大都会、霞が関中心
とかの発想になってしまい勝ちです
が、また参加した場合にどのような
メリットがありますか
第 1 回研究大会は、来年 7 月 5 日(日)に、東京・港区の国際医福祉大学大学院青山キャ
ンパス内にて開催される。その主な狙いは、10 数年間で全国各地に約 12,000 人も誕生し
ている福祉用具プランナーの更なる質の向上(ボトムアップ)を目指すための研究と情報
交流と相互研鑚である。
2015 年の第 1 回研究大会のテーマは「地域包括ケアの中の福祉用具・住環境整備―福
祉用具プランナーの役割とは」である。内容は口頭発表の他、独自にテーマを設定できる
(注2)の表彰式も行われる。
自主企画が展示される。また、
総会も同日に行われ、
「アワード」
入会金は 3000 円、年会費は 3000 円。
同事務局は、テクノエイド協会普及部内
TEL:03 - 3266 - 6884(代)
FAX:03 - 3266 - 6885
(注1)
「福祉用具プランナー」とは、重要な社会資源の一つである福祉用具のニーズに対するアセスメントからモニタリング、評価まで行
う専門家であり、その職種は、OT・PT、看護師などの医療分野と、福祉用具専門相談員などの福祉分野、保健師など保健分野、
ケアマネなどの介護分野、建築・工学分野などの多職種によって構成されている。
(注2)
「アワード」とは、
「カーオブザイヤー」などの福祉用具版。埋もれているよい製品を発掘しどんどん製品開発して行くためのオープ
ンな形での選考会。
「プラネット」の会員の特典の一つとして、現在企画中である。
シニア・コミュニティ 2014 年 11・12 号 33
連載 第 2 回 「プラネット」が誕生。
「プラネット」の地区会と「アワード」とは
副代表の伊藤勝規氏に聞く「プラネット」の創設への熱い想い。
せて地区会も今後増える予定です。
ています。また、大都市部へ行くだ
また、
「プラネット」の活動の 1 つ
けでも交通費と時間がかかります。
昨年の 11 月に開催された「認知症国際サミット」においても、日本が得意とする福祉用
具への評判は、G8先進国の介護・医療の専門家からも高かった(参照:今号 17 頁)。
である「アワード・福祉用具オブザ
こうした地域差による情報の偏在
イヤー」の役割ですが、私が福祉用
化を是正しなくては、
その地域のニー
昨年 10 月 4 日に、新しく誕生した福祉用具業界初の横断的交流・研究組織「福祉用具プ
ランナー研究ネットワーク ( 略称プラネット)は、全国各地の福祉用具プランナー管理指
導者の第 1 期生や 2 期生が中心となって立ち上げたものである。
具の商社にいた際に、供給サイドと
ズに適したサービスや福祉用具の開
してのメーカーとは常に協力関係に
発などは出来ないのではないでしょ
ありました。メーカーと流通とがお
うか。例えば、この宇都宮市内の山
NPO 法人とちぎノーマライゼ−ション研究会のショー
ルーム
互いがお互いに共に支え合うことが
間部ではまだ下水道が通っていない
は出来ないのではないでしょうか。
利用者へのさらなるサービスのレベ
場所もあります。そのような場所で
他の地域で上手に出来たものをそ
ルアップにつながります。本当に価
は通常の排泄用の介護用品では対応
のままに別な地域に持って来ても上
値のある福祉用具のサービスは、こ
できません。そうした地域の実情に
手に出来るとは限りません。むしろ
応じた取り組みが必要と思います。
「人」が中心にいて、
その「中心」から、
前回の廣瀬英紀代表に続いて、運営委員であり副代表を務める伊藤勝規氏に福祉用具や
住宅改修へ賭ける想いや「プラネット」の創設への熱い想い、同氏の担当する「プラネッ
ト」の地区会と「アワード」の役割と機能などについて聞いた。
プラネット副代表
伊藤勝規氏
副代表の伊藤勝規氏に聞く地区会
うことは医師にも出来ないような専
です。必要な研修ができる地域だけ
のようなメーカーとの協力関係から
と「アワード」の役割と機能
門性の高い仕事です。
が伸びて行く、というのも少し是正
生まれます。
これを私は「リ・ライフ」という
して行きたいと思います。
―伊藤さんは、栃木県宇都宮市で
言葉で呼び、人生の再構築というよ
「プラネット」の地区会においては、
―「プラネット」は HP やフェイス
NPO として福祉用具・住環境整備に
うな意味を持たせています。お客様
各地区の福祉用具プランナーがそれ
ブックでの情報発信をするのでしょ
取り組まれているそうですが、
「プラ
の「リ・ライフ」に関わるような専
ぞれ自主的に、その自分自身のスキ
うか。地方と東京の人材や情報の差
この宇都宮市内でも過疎化や少子
はないでしょうか。
ネット」への想いを教えてください
門性の高い仕事ですから、勉強する
ルアップのために勉強する機会や情
というものがありますか
高齢化がかなり進んでいます。そし
そして、そのときに、その中心点
機会や情報交流、人との交流をする
報交流する場を設けて頂きたいと考
て昔ながらの互助性を持った伝統的
におけるよい「人間性」が無ければ、
私が、福祉用具や住宅改修の重要
機会を数多く持つことが、福祉用具
えております。それを本部の方でサ
「プラネット」では、外部から誰でも
な文化も崩れて来ております。
いくら専門性や技術があったとして
性に気がついたのは、大学生時代に
プランナーには是非とも必要です。
ポートするような体制です。
見てもらえるようにHPやフェイスブッ
そうした中で、
どのような地域作り、
もそれはよいものにはなりません。
長野県のあるボランティア団体の障
この「プラネット」によって、我々
すでに栃木県では、宇都宮市内に
クでの情報発信を重視しています。
地域包括ケアシステムができるのか。
よい地域創りにはなりませんし、よ
碍者と共に、中国のシルクロードへの
福祉用具プランナーは、情報交流と
あるこの「とちぎ福祉プラザ」内に
ただ、
「プラネット」は、横断的な
誰かの基準に合わせるとか、
「統合化」
い地域包括ケアシステムにはならな
旅に参加したのがきっかけです。医
相互研鑽を通じて更なる質の向上が
おいて、私が所属している NPO が、
要素がありますので、余り固くならず
などのある一定の「あり方」に沿う
いと思います。
師 2 名や看護師 6 名と共に砂漠の中
大いに期待できます。
約 3 年半で 40 回を数える研修会を
に楽しさも大事にしたいと思ってお
ようにするとか、そういうような方法
開催しています。
ります。そうでないと提言的な機能
論では、本当の意味での「地域創り」
での 1 か月間の大旅行でした。しか
も例えば、視力障碍者が足の悪い障
―プラネットの活動の柱に「地区
この研修会の内容は、住宅改修や
を持つ他の団体と似たり寄ったりの
碍者の車いすを押すという障碍者同
会」と「アワード・福祉用具オブザ
福祉用具のみならず、関連制度に関
マス的な存在になりがちとなり、か
士が助け合いながらの普通の障碍者
イヤー」があり、伊藤さんが主とし
することなど、毎月のテーマに会員
えって差別化が出来にくくなってし
の旅行とは少し違った旅行でした。
て担当とお聞きしました。内容につ
の意見も取り入れています。こうし
まうかも知れません。そういう意味
このときにノーマライゼーション
いて教えてください
た研修会が地区会としても出来るよ
では伝えたい、伝わりたいという地
うにしたいですし、栃木ではこのよ
区会的なコミュニケーション重視の
の考え方の大事さや福祉用具の持つ
効果を実感することを出来たことが、
これは廣瀬代表も指摘していると
うにもともとの活動があるので、発
こだわりの姿勢が「プラネット」の
その後の私の進路を決め、現在に
ころですが(参照:92 号 32 頁)
、特
展させていきたいと思っています。
情報発信では大事かなと思います。
至っています。
に地方は研修制度が少なく、また大
「プラネット」は、昨年の 10 月 4 日
また、地方と東京の人材や情報の
福祉用具プランナーは、お客様の
都市よりは情報量が不足して、お客
からスタートしまして、北海道や北関
差という点ですが、現在、東京など
周囲の環境をコントロールすること
様にとっても、我々従事者にとって
東などで少しずつ拡大しております。
の中央にほとんどの情報が集中して
で、障碍を持ったご本人の身体状況
も何が求められているのか、何が正
会員数は、一応 2 年間で、2000 人を
おり、その地域、地域に必要なホッ
のマイナス面を逆にカバーするとい
しいのか中々分かりにくい状況なの
目標にしていますので、それに合わ
トな情報もその中に埋もれてしまっ
36 シニア・コミュニティ 2015 年 1・2 月号
どういう地域を創るのか、どういう
―地域に合わせた取り組み、という
グループを創るのか、どういう地域
ことですね
包括ケアシステムを創るのか、と段
階的に発想する方法の方がベターで
どうもありがとうございました。
「プラネット」による第 1 回研究大会は、来年 7 月 5 日に、東京・港区の国際医福祉大学大学院
青山キャンパス内にて開催される。
その主な狙いは、10 数年間で全国各地に約 12,000 人も誕生している福祉用具プランナーのさ
らなる質の向上(ボトムアップ)を目指すための研究交流である。
2015 年の第 1 回研究大会のテーマは「地域包括ケアの中の福祉用具・住環境整備―福祉用具プ
ランナーの役割とは」である。内容は口頭発表の他、昼食つきのランチョンセミナー、独自にテー
マを設定できる自主企画が行われる。また「アワード」
(注2)の表彰式も行われる予定だ。
入会金は 3000 円、年会費は 3000 円。研究大会の参加費は会員 4000 円 ( 事前申し込み )、非
会員 6000 円 ( 事前申し込み )。大会参加申込み、大会での発表登録はホームページから。http://
fukushiyougu-plannet.com/
同事務局は、テクノエイド協会普及部内
TEL:03 - 3266 - 6884 FAX:03 - 3266 - 6885
(注1)
「福祉用具プランナー」とは、テクノエイド協会が認定する福祉用具のアセスメントからモニタリング、評価まで行
う専門家である。現在 12000 人が誕生しているが母体となる職種は、医療分野(OT・PT、看護師など)
、福祉
用具分野(福祉用具専門相談員など)
、保健(保健師など)
、介護分野(ヘルパ-など)
、建築・工学分野などの多
職種によって構成されている。
(注2)
「アワード」とは、
「カーオブザイヤー」の福祉用具版と言えるもので、メーカーの良質な製品を、福祉用具プランナー
の目で選び、表彰する。小さい会社でもよい製品の開発を促すのがねらいで、会員による投票を行う。
シニア・コミュニティ 2015 年 1・2 号 37
特別連載 第 3 回
「プラネット」が生まれたのは時代の要請!
ふくせんの理事長が「プラネット」に期待すること
ると共に、プランナーという立場から、
機会が少なく、また都市部よりは情報
度で評価する。そのような自己研鑽の
昨年 10 月に、全国各地の福祉用具プランナー管理指導者(注1)の第 1 期生や 2 期生が
中心となって立ち上げた「福祉用具プランナー研究ネットワーク ( 略称プラネット)」
両者が協力して自己研鑽の場の確保
量が不足して、
我々従事者にとっても、
スタイルが確立されることで、プラン
に努められる連携関係を築きたいと考
何が求められているのか、何が正し
ナーはもとより、福祉用具従事者全体
えています。
いのか中々分かりにくい状況です。お
の底上げにつながるのではないでしょ
そういう意味でプラネットの設立は
互いが持っている情報を交換し合う
うか。また、今後、地区会主催の研
大賛成ですし、運営委員としてプラ
プラネットの「地区会」の活動に期待
修会も開催されると思いますが、ふく
ネットを是非応援したいと思っており
が高まります。ふくせんでは各都道府
せんには、地域の研修実施者と連携
ます。
県にブロック組織があることから、連
して、福祉用具専門相談員の研修機
携して情報の共有に努められればよ
会の確保に向けて活動する「研修担
いと思います。
当者」を選任しています。地区会と連
を支える運営委員には、介護業界でも珍しい横断的な組織であるだけに様々な職種の
人々が参加している。
その運営委員の中でも、
「一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会 ( 愛称ふくせん)」
の理事長であり、また、鹿児島県を中心に福祉用具レンタル事業などを手広く展開して
いる(株)カクイックスウィングの社長である岩元文雄氏に、プラネットの運営委員に
なったその理由や 7 月に開催するプラネット第1回研究大会に期待することなどをお伺
「ふくせん」理事長
岩元文雄 氏
いした。
―7 月のプラネットの第 1 回研究大
会やその他のことについてはいかが
「ふくせん」の理事長の岩元文雄氏に聞く、プラネット創設の意義と役割
携して活動ができれば、相乗効果が
期間は、福祉用具専門相談員の専門
お考えでしょうか
―プラネットと「ふくせん」との連携
期待できます。ぜひ地域から連携関
性の向上に向けた環境整備の第一ス
研究大会は、一般的に、志を同じ
についてはいかがお考えでしょうか
係を構築したいと思います。
―「ふくせん」の理事長の立場で、
外給付)の判断は福祉用具専門相談
テップでした。初任者の多くが、この
くする専門職が日々の研鑽結果を持
ふくせんでは、厚生労働省・平成
プラネットの運営委員に参加されて
員に任せてほしいと要望しました。し
業界に入って最初に学ぶ場である指
ち寄り、分科会、全体会での討議を
24 年度老人保健健康増進等事業によ
―岩元さんは、カクイックスウィン
いるのはなぜでしょうか
かし、職種全体として専門性の水準
定講習が充実し、
現場に出てからは
「自
通じて、会の学術的な方向性を示す。
り、研修ポイント制度を開発しまし
グの経営者でもありますが、社内の
福祉用具の供給は、介護保険制度
は高くないという政策判断が行われ
己研鑽の努力義務」を遵守させなけ
そして、それを参加者全員で共有す
た。これは、福祉用具専門相談員の
反応はいかがでしょうか
の以前から行われていたように比較的
た経緯があります。
この反省を踏まえ、
ればならない事業所の理解も手伝っ
る場だと思います。その意味でも全国
研修受講の実績をポイントに換算して
好評です。私自身もプランナーです
歴史があり、長い間、地域で高齢者の
福祉用具専門相談員の専門性の底上
て、現任者のOJTやOFF - JTも盛
の福祉用具に熱い思いを持つプラン
Web で公表するものです。利用者は
が、これまでも弊社の社員は、自分た
自立した生活を支える役割を担ってき
げを目指して、設立されたのがふくせ
んになることが期待できます。そして、
ナーが、共に学ぶ目的で様々な情報
サービス選択の判断に活用できると共
ちでも研究発表や公開事例検討会な
ました。
んです。設立から 7 年が経過しまし
次のステップは福祉用具専門相談員
を持ち寄って、年1回の研究大会を組
に、福祉用具専門相談員はデータベー
どを積極的に行ってきました。
平成 12 年度の介護保険制度導入に
たが、この間、調査研究でエビデン
の「自己研鑽の場」が確保されること
織的に開催することは、大変素晴らし
スで自由に自分の受講実績を閲覧で
今年 7 月にプラネットの研究大会が
よって基盤整備の必要から全国的に
スを示しながら、国に対する政策提言
だと思います。そのためには、福祉用
いことであると思います。
き、
研修計画の作成にも活用できます。
行われるということで、社員にとって
サービスの「量」が求められ、市場
を積極的に行いました。この結果、福
具専門相談員に関わる団体が連携し
加えて、プラネットの研究大会以
制度改正で課された自己研鑽を「見
は高い目標作りが出来ますし、自分た
が急激に拡大しました。当時は、他
祉用具サービス計画作成とモニタリン
て研修等の機会を提供していく必要
外にも、副代表の伊藤勝規さんらが
える化」
(可視化)するなど、努力義
ちの手法や考え方が客観的なのかど
の高齢者サービスと同様に、福祉用
グ実施の義務化、指定講習の見直し
があります。特に福祉用具専門相談
主体となって進めている、地域毎にプ
務を担保する仕組みです。前述のと
うなのか検証する良い機会になると考
具サービスも「質」よりもむしろ「量」 (今改正)などが行われ、福祉用具専
員は、ケアマネジャーと異なり、基礎
ランナー達が集まる「地区会」も行わ
おり、福祉用具プランナー研修も制度
えています。
が問われました。それがこの業界の
門相談員の質の向上・専門性の確保
となる資格要件(受験のための出身職
れるということです。地区会で話し合
の認証研修であり、ポイントを付与す
実践や自己研鑽の結果を研究発表
創成期の特徴です。
に向けた環境が整いつつあります。
種)もなく、現任となってからの体系
われた課題やその解決策などを、年
ると共に、保有資格として明記する形
という形で年1回、定期的に出来ると
そして、現在では制度導入から 15
そして、今回の改正では、福祉用具
的な学習が必要なことから、福祉用具
1回の研究大会に持ち寄り事例交流
をとっています。従来、研修受講とい
いうのは、素晴らしいことですし、弊
年間が経過し、
明らかにこれまでの「量」
専門相談員は必要な知識の修得及び
プランナー研修の受講が望まれるとこ
することで、全体として新たな方向性
う「インプット」のみを評価していま
社の社員にとっても大変に励みになり
の時代から
「質」
の時代を迎えています。
能力の向上に努めなければならないと
ろです。ふくせんの研修ポイント制度
が見いだせると思います。そして、そ
したが、現在、検討委員会では、講
ます。弊社だけでなく、他社の社員の
その大きな転換点が平成 18 年度の
する自己研鑽の努力義務規定が課さ
(後述)でも、受講を奨励する研修と
れらはプランナー全体の財産になるの
師や研究会、学会での発表など「ア
皆さんの底上げにも役立つと思います
軽度者のベッド ( 特殊寝台 ) などの利
れるところまで来ました。
してプランナー研修を位置づけていま
ではないでしょうか。地区会と研究大
ウトプット」も評価できるよう充実策
ので、経営サイドとしましてもぜひ応
用制限に係る制度改正でした。軽度
ふくせん立ち上げから、これまでの
す。私は、福祉用具専門相談員であ
会の相乗効果が期待できることから、
を検討しています。プランナーである
援していきたいと思います。
私としても大変期待をしております。
福祉用具専門相談員が、全国レベル
また、前号の伊藤さんもご指摘され
の研究大会で発表し、その個人の実
ていることですが、地方では研修の
績(アウトプット)を研修ポイント制
者でも必要性の高い方はいることか
ら、反対運動の過程では、せめて例
外的な福祉用具の利用(いわゆる例
(注1)「福祉用具プランナー」とは、テクノエイド協会が認定している、福祉用具のアセスメントから
モニタリング、評価まで行う専門家である。現在 10 数年間で全国各地に約 12000 人が誕生している
が母体となる職種は、医療分野(OT・PT、看護師など)、福祉用具分野(福祉用具専門相談員など)
、
保健(保健師など)、介護分野(ヘルパ-など)、建築・工学分野などの多職種によって構成されている。
30 シニア・コミュニティ 2015 年 3・4 月号
どうもありがとうございました。
シニア・コミュニティ 2015 年 3・4 号 31