千葉市の医療の“これから”を考えよう ~超高齢社会を乗り切るために~ 海浜病院における緩和ケアの取り組みと 在宅療養との関わり 千葉市立海浜病院 外科(消化器外科) 緩和ケアサポートチーム 塩原 正之 これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 1 はじめに 日本は,平均寿命,高齢者数,高齢化のスピード において,世界一の超高齢社会(65歳以上の人 口が21%を超える,2010年には23.1%)といえる. 亡くなられる方の数も増加するので,病院で死ぬ ことが難しくなる時代が来ると予測されている. 超高齢社会を乗り切るためにはどうしたら良いか. 海浜病院で緩和ケアを担当する医師の立場から 考えたい. これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 2 緩和ケアとは? 生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と 家族に対し,疼痛や身体的,心理社会的,スピリ チュアルな問題を早期から正確にアセスメントし 解決することにより,苦痛の予防と軽減を図り,生 活の質(QOL)を向上させるためのアプローチで ある.(WHO 2002年) 緩和ケアは終末期に限ったものではなく,それを 専門的に提供する機関は病院だけではない. これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 3 緩和ケアを専門的に提供する機関 緩和ケア病棟 緩和ケアチーム 在宅支援診療所 訪問看護ステーション など これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 4 緩和ケアチームとは? 主に一般病棟の入院患者を対象とし,身体症状 の緩和を専門とする医師,精神症状の緩和を専 門とする医師,緩和ケアの経験を有する看護師, 緩和ケアの経験を有する薬剤師などにより,苦痛 やつらさの緩和を行うコンサルテーションチーム のこと.施設によっては緩和ケア支援チーム,緩 和ケアサポートチームと名乗っていることもある. これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 5 緩和ケアサポートチーム(海浜病院)の概要 チーム構成 医師4名,看護師6名 ,薬剤師1名,管理栄養士1 名,理学療法士1名,ソーシャルワーカー1名 活動内容 週1回の定期カンファレンスおよび病棟ラウンド 緩和ケアに関する勉強会や講演会の開催 これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 6 チームの活動風景 これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 7 緩和ケアと在宅療養との関わりについて 1.緩和ケアチームが介入した患者さんの転帰 2.在宅緩和ケアに移行した患者さんの転帰 以上について検討した.(青葉病院でのデータ) これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 8 緩和ケアチームが介入した患者さんの転帰 期間:平成16年10月から平成19年7月 対象:緩和ケアチームに依頼のあった112例 結果: 生存中 4例 死亡 108例 在院死 102例 (当院 100例 他院 2例) 在宅死 6例 在宅死率 5.6 %(6/108) これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 9 在宅緩和ケアに移行した患者さんの転帰 期間:平成14年6月から平成19年7月 対象:単一の在宅療養診療所に依頼した68例 結果: 生存中 4例 死亡 64例 在宅死 59例 病院死 5例 在宅死率 92.2 %(59/64) これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 10 在宅緩和ケアへの移行を妨げる要因 在宅緩和ケアに関する情報不足 在宅緩和ケアに対する不安 病院での医療への依存が高い 病状説明が不十分 など 「現在では死は人生,生活と切り離され,病院医 療の中にしか存在しない.」 (ひばりクリニック 森井正智 先生) これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 11 在宅緩和ケアへの移行を可能にするには 早い段階から在宅緩和ケアに関する情報の提供. 外来通院中から在宅支援診療所との併診. 病状の変化に応じた正確な説明(状況によっては 予想される予後の告知). 在宅支援診療所や訪問看護ステーションとの綿 密な連携体制の確立 医療者だけでなく一般の方の意識改革→どんな 状況においても家に帰れないことはない. これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 12 結語 超高齢社会の到来は避けがたい事実であり,老 いや死を悲観的に捉えることなく,それを粛々と 受け入れる覚悟が必要でないか. 患者や家族が在宅緩和ケアを希望し,それに対 する適切なサポートがあれば,在宅緩和ケアは 最も望ましいと考える. 病院で最期を迎える患者および家族に対して,で きるだけ満足していただけるような緩和ケアを提 供したい. これまでも~「納得のいく医療」~これからも Chiba Kaihin Municipal Hospital 13
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