【トピックス】 平成 27 年 2 月 26 日 労働基準部 安全課 建設業の死亡災害 過去最少を記録 ~ゼロ災・大阪『安全見える化運動』の推進~ ○ 大阪府内の建設業で発生した死亡災害は 14 件となり、統計を取り始めた昭和 23 年以来、過去最少を記録しました。なお、平成 26 年に建設業で発生した全国 の死亡災害は 366 件で、前年同期に比べ 31 件の増加となりました。 1の(1)参照 ○ 事故の型別でみると最も多いのが「墜落・転落災害」で、平成 24 年の発生割 合は全体の 75%を占めていましたが、大阪労働局では、平成 24 年度から「ゼロ 災・大阪『安全見える化』運動」の一環として「安全帯アピールマーカー」の取 いのちつな ご う かつどう 付けを、さらに、平成 26 年度からは、安全帯の確実な使用を図る「 命 綱 GO活動」 を展開したところ、57%まで減少しました。 ○ 1の(2)参照 平成 26 年は、上半期に労働災害が多発したため、8 月から 10 月に緊急対策を 実施したところ、下半期の発生件数に歯止めがかかりました。 いのちつな ご 1の(3)参照 う かつどう ○ 「 命 綱 GO活動」について、建設現場での取組状況の調査を実施したところ、 一定の進捗は認められるものの、さらなる取組が必要であります。 2 参照 1 平成 26 年の労働災害発生状況 (1)建設業における死亡災害の推移 平成 26 年に発生した建設業における死亡災害は、全国的には増加するなか、大 阪においては 14 件と、過去最少を記録しました。(平成 27 年 1 月 31 日現在の速 報値)業種別では、建築工事業 9 件、その他の建設業 3 件、土木工事業 2 件とな っています。 建設業における死亡災害の推移(全国/大阪) 60 600 497 508 461 50 40 大阪 37 32 全国 500 430 371 35 365 342 354 342 366 28 30 20 20 18 20 300 21 16 400 14 10 200 100 0 0 17年 18年 19年 20年 21年 1 22年 23年 24年 25年 26年 (2)墜落・転落災害の占める割合の推移 平成 26 年に発生した 14 件の死亡災害のうち、8 件が墜落・転落災害となって います。墜落・転落災害の占める割合は、平成 22 年に 50%を超え、高止まり傾 向で推移しています。 死亡災害における墜落災害の占める割合の推移(大阪) 100 80.0% 75.0% 90 66.7% 80 60.0% 割 70 60 70.0% 51.4% 45.2% 57.1% 合 60.0% 50.0% 42.9% 50.0% 45.0% 50 40.0% 死亡災害件数(総数) 32.4% 40 35 31 30.0% 墜落災害件数(内数) 37 30 28 20 20 18 20.0% 21 20 16 14 10.0% 10 18 14 12 平成17年 平成18年 12 9 平成20年 平成21年 9 12 12 14 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 8 0 0.0% 平成19年 平成26年 平成26年は平成27年1月31日現在 速報値 安全帯アピールマーカーの装着例 安全帯フックに蛍光マーカーを貼付することで、作業者の安全帯着用が他の作 業者からも確認しやすくしています。 また、適切な高さにフックをかけるようにコメントを入れることにより、安全 な使用方法が徹底できます。 2 (3)月別死亡災害発生状況 平成 26 年は、上半期に労働災害が多発したため、8 月から 10 月に緊急対策を 実施したところ、下半期の発生件数に歯止めがかかりました。 建設業における死亡災害発生状況(月別・前年比較) 25 平成25年 21 平成26年 19 20 17 14 15 11 10 8 4 5 2 5 8 14 14 11月 12月 13 10 11 11 8月 9月 10 7 6 2 2 3月 4月 1 1 0 1月 2 2月 5月 6月 7月 10月 「命綱GO活動」の取組状況 安全帯の確実な使用を図る「命綱GO活動」について、建設現場等(事務所を 含む 486 箇所)における取組状況を調査しました。(平成 26 年度上半期) 命綱GO活動に取り組んでいるか 命綱GO活動の取組状況 事業場数 割合 取組んでいる 235 48.6% 取組んでいない 249 51.4% 全 体 484 100% 色 取組んで いない 249 51.4% 取組んで いる 235 48.6% 「命綱GO活動」の取組事項である安全帯の着用や作業手順書の作成状況は良 好であるが、以下の取組事項については不十分であり、今後、強力に周知する必 要がある。 ア.安全帯の点検にはチェックリストを活用し、現場内に点検設備を設け 活用すること。 イ.一側足場には水平親綱を設け、確実に安全帯を使用させること。 ウ.二丁掛け安全帯の使用を基本とし、特に、足場の組立て解体作業時及び 鉄骨の建て方作業時には、ハーネス型二丁掛け安全帯の使用を促すこと。 エ.はしごの昇降には、安全ブロック取付け、確実に安全帯を使用させる こと。 3 参考資料 墜落・転落災害の発生状況と防止対策 (1)死亡災害における墜落場所別発生状況 墜落場所別では、近年は、 「足場」が多くを占め、次いで「建築物の梁上」や「作 業構台」といった仮設物、構築物となっています。 墜落場所別 死亡災害の推移(建設業・大阪) 14 3 12 10 8 3 1 4 2 はしご・脚立 3 建築物 1 1 1 4 2 4 1 0 平成20年 屋根 2 1 開口部 2 3 1 作業床 2 足場 1 2 3 5 1 2 梁 2 1 1 1 4 1 2 6 その他 1 3 4 3 3 1 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 (2)死傷災害における墜落・転落災害発生状況 平成 26 年に発生した休業 4 日以上の死傷災害のうち、墜落・転落災害は、276 件で、場所や年齢及び経験年数で分析すると、起因物で最も多いのが「はしご等」 (はしごや脚立など)であり、高年齢者で経験年数の長いベテランといわれる労 働者が最も多く被災しています。 墜落場所 (起因物)別 発生状況(建設業・大阪) その他 建設機械 荷 通路 動力クレーン 支保工 環境等 開口部 階段 作業床 トラック 建築物 屋根・梁等 足場 はしご等 1 2 2 3 0 19 5 7 11 11 12 14 15 20 合計276件 30 50 40 94 60 80 100 平成 26 年 12 月 31 日現在の速報値 4 墜落・転落災害 年齢別・経験年数別 災害発生分布(276件) 3か月以内 3か月を超え 6か月以内 6か月を超え 1年以内 1年を超え 5年以内 5年を超え 10年以内 25 10年を超え 20年以内 21年以上 21 17 20 12 15 9 12 8 7 10 3 5 21年以上 10年を超え… 5年を超え… 1年を超え… 6か月を超え… 0 20歳未満 20歳以上 25歳以上 25歳未満 30歳以上 30歳未満 35歳以上 35歳未満 40歳未満 40歳以上 45歳未満 45歳以上 50歳未満 50歳以上 55歳未満 3か月を超え… 55歳以上 60歳未満 60歳以上 65歳未満 65歳以上 70歳未満 3か月以内 70歳以上 75歳未満 75歳以上 平成26年12月31日現在の速報値 (3)労働災害分析結果 大阪府下の建設業における労働災害は着実に減少し、平成 26 年の死亡災害は過 去最少で推移している。しかし、休業 4 日以上の死傷災害は、横ばい傾向が続い ている。建設業の全産業に占める割合は 11%である。 ① 業種別では、「鉄骨・鉄筋家屋建築工事業」が最も多く、28%を占める。 平成 26 年は、「土木工事業」が前年同期比 19%の増加で増加率が最も高い。 ② 事故の型別では、「墜落・転落」災害が最も多く、35%を占める。例年、当 該傾向は変わらない。 起因物別では、「仮設物・建築物・構築物」が最も多い。 年齢別では、60 歳以上の高年齢労働者が最も多く、また、20 歳未満の若年 齢労働者の被災件数が一昨年から増加傾向にある。 経験年数別では、21 年以上のいわゆるベテラン労働者が最も多く、また、1 年未満の労働者の比率が 18%を占め、増加傾向にある。 ③ 最も多い墜落・転落災害について、墜落場所(起因物)は、はしごや脚立か らが最も多く、年齢別では、60 歳以上の高年齢労働者と経験年数 21 年以上の ベテラン労働者の墜落災害が 32%を占めている。 死亡災害における墜落・転落災害の原因は、手すり等の墜落防止設備を設置 せず、また、安全帯の不使用がほとんどで、中には安全帯を着用していない事 例も認められる。 5 (4)墜落・転落災害防止のための今後の展開 ① 経験年数の少ない未熟練者と高年齢労働者の特性を捉えた教育の実施と援 助。 ② 墜落・転落災害防止のため、安全帯の確実な使用を図る「命綱GO活動」の 積極的な周知を行い、特に以下の事項について指導を強化する。 ア はしごの途中では作業をさせないこと。昇降には、安全ブロックを設置 し安全帯を使用させること。 イ 脚立の使用は極力避け、立ち馬やローリングタワーの使用を促す。また、 脚立を使用する場合は、適正な使用方法について必ず教育を行わせる。 ウ 足場組立て等作業主任者の能力向上教育の受講を推進し、安全帯使用状 況の監視等職務の再認識を図る。 (5)「命綱GO活動」に係る取組状況結果 ① 作業手順書の作成率は 73%であり、足場が最も多く、内容も 70%が充実し たものとなっている。 ② 安全衛生教育は、92%事業場で実施されている。しかし、作業内容変更時の 教育が低調で実施率は 18%に留まっている。また、安全帯の点検・使用に関 する安全衛生教育は、20%の事業場で行われていない。 ③ 安全帯の着用状況の確認は 80%の事業場で実施されており、確認を行う者 は、安全衛生責任者、職長、作業主任者が最も多く、次いで、統括安全衛生責 任者となっている。 ④ 二丁掛け安全帯の使用については、39%に留まっている。また、足場の組立 て解体作業時、鉄骨の建て方作業時に係るハーネス型二丁掛け安全帯の使用率 は、20%に留まっている。 ⑤ 安全帯の点検については、68%の事業場で実施している。しかし、チェック リストを用いて行っている事業場は 31%である。また、安全帯の点検設備を設 けている事業場も 27%と低調であった。 ⑥ 安全帯の使用状況を監視している事業場は 75%であり、監視を行う者は、 安全衛生責任者、職長、作業主任者が最も多く、次いで、統括安全衛生責任者 となっている。 ⑦ 親綱の設置率は 60%であったが、一側足場の水平親綱の設置率は 22%に留 まっている。 ⑧ はしごに安全ブロックを設置している事業場は 25%と低調であり、当該用 具からの墜落災害が多い背景となっている。 ⑨ 「命綱GO活動」に取組んでいる事業場は 48%であり、第1四半期における 調査時より 6 ポイント上昇したが、今後も積極的な周知活動が必要である。 昨年は 1 月から 3 月の期間に労働災害が増加しました。今年は、年の初めから労働 災害防止行政をより一層推進し、過去最少記録を達成したいと考えております。 6
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