Title 未来の地球 Author(s) 藤井, 義明 Citation Issue Date 札幌北高校北高便り, 95 2014 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/57975 Right Type column (author version) Additional Information File Information 95.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 未来の地球 PTA 会長 藤井義明 前号で海水ウランと完全密閉型の高速増殖炉で 20 億年分のエネルギーを確保できるというお話をしま した。エネルギーが何とかなるとして、地球の未来はどうなっているのかお話ししたいと思います。 この数 10 万年程度を考えると地球の気温はミランコビッチサイクル(地球の公転軌道の楕円度や地軸の 傾きの周期的な変動)でほぼ説明できます。このサイクルに基づくと、5 万年後に次の氷期に向かって気 温は低下を始め、10 万年後に次の氷期のピークになると予想されています。地球の平均気温は 7 度程度 低下し、北欧やカナダは厚さ 2000 m 程度の氷床に覆われるでしょう。そうすると、やっぱり寒くて、農業も できませんで、生きていくのは大変ですから、人間の生活圏をドームで覆うようなことができなければ、民 族大移動とそれに伴う大戦争が発生する可能性があります。 過去の地球にも暖かい時期、寒い時期がありました。暖かい時期の例として、古くは白亜紀など恐竜が 跋扈した時期、最近では縄文時代、平安時代などが挙げられます。こういった時期は概して平和で生物 も繁栄していました。これに対して、寒い時期は生物が絶滅します。地質年代は化石で分類されています が、あれは、要するに、生物種の入れ替わりを示していて、たとえば、古生代から中生代(P-T 境界)、中 生代から新生代(K-T 境界)なんかは、たいてい、寒冷化による大量絶滅があったときです。最近でも大 体寒くなると限られた食料を巡って争いが起きるわけで、例えば大航海時代にヨーロッパの大国が日本 以外の世界中の国々を勝手に植民地に分割して搾取したり、日本では戦国時代で戦争が絶えなかった りしたわけです。この時期は小氷期(little ice age)と呼ばれています。 小氷期の時代はガリレオが望遠鏡で太陽の黒点観測を行っていましたが、黒点がほとんど観測されな いほど太陽は不活発でした(ガリレオは太陽の観測のし過ぎで失明したといわれています)。20 世紀中盤 に異常に多かった黒点数は、今は小氷期並に少なくなっていて、国立天文台・理化学研究所(STAP 細 胞の小保方さんの勤務先です)・NASA の専門家は、このままでは太陽が 4 重極となり、小氷期並に寒冷 化すると心配しているくらいです。 10 万年しか進みませんでした...交代していなければ、次回はまたこの先のお話をしたいと思います。
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