流体構造連成シミュレーションにおける 固体壁境界条件の影響について

Large scale fluid structure interaction simulation considering the surface condition of the
solid wall
流体構造連成シミュレーションにおける固体壁境界条件の影響について
Genki Yagawa
Emeritus Professor, University of Tokyo and Toyo University
東京大学名誉教授、東洋大学名誉教授
矢川元基
Abstract / アブストラクト
構造流体連成(FSI)シミュレーションにおいて固体物体の壁面の効果をいかに導入するか
について議論する。
我々はこれまでに、ハイドロゲルとアクリルでできたそれぞれの球が水面に落下する時に
できるスプラッシュの形状を実験観察してきた。ハイスピードカメラを用いて観察した実験
結果によると、同じ実験条件にも関わらず、ハイドロゲルによるスプラッシュはクラウン状
のものになり、一方で、アクリル球では柱状のスプラッシュになった。この結果は壁の表面
性状が物体周辺の流れ場に影響を与えることを示しており、すなわち FSI 数値シミュレー
ションにおいてはその影響を考慮に入れるべきである。しかし、多くの FSI 研究では、固体
や構造物の壁はシミュレーションの中で滑り無し条件とみなされている。これは現実を表
す設定とは言えない。
ここでは固体と液体の接面の扱いに着目して滑りのある物質の表面における滑りの効果
を計算する手法を提案する。滑りあり表面を表現するエンジニアリングモデルとして、実験
から得られた固体壁面付近のせん断力の減少率を滑り率としてナビエストークスの式に
導入した。また、アクリル樹脂のような電気的な引力・斥力の効果をナビエストークスの外
力として導入した。上記の計算は三次元の大規模並列計算で行われた。