英語を繰り返し聞くこと
~リスニングにおける英語習熟度別に見た
回数と理解度の検証~
【Program 6】(中西ゼミ1班)
岩間 理来 星 実穂子
山崎 千尋 八島 優花
はじめに
One day, there was a little boy in
Japan.
He thought that he was handsome.
なんて
言ってたっけ…
さっきより聴けて
る!
日本人英語学習者
1回よりも2回!
2回よりも3回聞けばわかる!
先行研究
認知的視点からみた低学力学習者のリスニングの特徴 (吉田一衛)
~リスニングの回数と学習効果について~
低学力者(30名)
回数
1
2
3
点数
2.85
3.80
4.43
%
57.00
76.00
89.00
配点 5点
リスニングの
回数を重ねると、内容理解度が向上する。
疑問点
RQ①高学力者(上位群)の内容理解の結果はどうなるのか。
RQ②音の聞き取りという点で、上位・下位群の
回数と理解の関係はどうなっているのか。
目的
①リスニング回数を重ねることで、
どのように 内容理解 が進むのかを検証すること。
②リスニング回数を重ねることで、
どのように 音 を聞き取っていくのかを検証すること。
実験について
・振り分けテスト(全8題:英検準2級・2級各4題)
・本テスト×2種類(各1題×3回流す(毎回色ペン変更)
1.内容理解に重点
• 英文を全文流す 【教材:CNN NEWS DIGEST】
■内容理解問題:11題
1.内容と合致している問題:○
〃
していない問題:×
2.〇、×に対する確信度(どれほ
ど自信があるか)を%で記入
聞き方アンケート
×
3
回
2.音の聞き取りに重点
①音声を1文ずつ区切って流す(全8文)
②流れてきた音声を書きとる(10秒間)
聞き方アンケート(30秒間)
③3回目終了後、正解スクリプトを配布
⇒解答と比較
分析
×
3
回
振り分けテスト【結果】
振り分け
全体
上位
中位
下位
人数
34名
11名
12名
11名
点数
8点
5~8点
3~4点
1~2点
平均点
3.5点
6点
3点
1.4点
→中位を除外し、上位・下位各11名、計22名を分析対象とした。
内容理解重点テスト【結果】
回数ごとの点数
(全11問)
~理解の限界点~
11
8.9
9
8
7
6.8
4
7.7
RQ1上位群の内容理解の結果はどうなるのか。
7.5
6
5
上位 1回目
下位 2回目
点数
10
5.4
8
このテストでは、
1回目で内容を理解する。
上位 このテストにおいては、
上位
下位
3
2
1
0
1
なぜ?
2
3
回数
一回目で内容を理解する処理
が行われてしまった。
音の聞き取り重点テスト【結果】
回数ごとの聞き取れた
語数(全72語)
語数
上位
70
60
50
40
30
20
10
回数を重ねると
45
理解度は変わらない
が
29 聞き取れた語数は増えている。
34
52
上位
下位
39
24
1
2
3
回数
品詞別傾向(上位・下位各11名)
【上位】
回数
回数
書けた単語数
>
1回目 136 / 275
2回目 183 / 275
書けた単語数
1回目
74 / 187
2回目
106 / 187
3回目
134 / 187
書けた単語数
1回目 115 / 275
2回目 145 / 275
3回目 172 / 275
3回目 211 / 275
回数
【下位】
名詞 (25語)
動詞(17語) 回数
>>
書けた単語数
1回目
48 / 187
2回目
72 / 187
3回目
88 / 187
数詞(4語)
回数
書けた単語数
回数
書けた単語数
1回目
26 / 44
1回目
22 / 44
2回目
34 / 44
2回目
29 / 44
3回目
37 / 44
3回目
35 / 44
数詞は
上位下位ともに◎
↑
普段から注意して
聞く習慣があるため
【上位:11名】 前置詞(6語)
回数
1回目
書けた単語数
7 / 66
2回目 21 / 66
【下位:11名】
回数
>
3回目 30 / 66
1回目
書けた単語数
5 / 66
2回目 10 / 66
3回目 11 / 66
前置詞は、前後の音と連結する場合もあり
上位下位ともに聞き取れないことが多い。
文法知識を活用して
不明箇所を推測し修正
(例:decided to)
推測をうまく活用できず
不明箇所は誤った推測で
必死に修正しようとする
アンケート結果
●選択個数(1~3回分)
●選択個数(1~8文×3回)÷8文
内容理解問題
上位
音の聞き取り
下位
上位
40
35
35
30
30
選択個数
選択個数
40
下位
25
25
20
20
15
15
10
10
5
5
0
1回目
2回目
3回目
0
1回目
2回目
3回目
なぜ??
上位:回数を増やしても一定(統一した聞き方)
内訳へ
下位:回数を増やすごとに増加(聞き方にバラつき)
内容理解問題アンケート内訳
その
その
他
21%
ボト
ム
上 アッ
位 プ…
トップ
ダウ
ン
71%
他
16%
ボト
ム
アッ
プ…
1回目
下位
その
他
21%
ボト
ム
アッ
プ…
ボト
ム
トッ
アッ
プダ
プ…
ウン
58%
トッ
プダ
ウン
76%
2回目
その
他
23%
その
他
25%
ボト
ム
アッ
プ…
トッ
プダ
ウン
71%
3回目
トッ
プダ
ウン
74%
その
他
24%
ボト
ム
アッ
プ…
トップ
ダウ
ン
57%
音の聞き取りアンケート内訳
ボトム
アップ
14%
上
位
ボトム
アップ
12%
その他
14%
音の聞き取り、
内容理解ともに
トップダ
ウン
72%
トップダ
ウン
85%
2回目
その他
トップダウン
下位
8%
3回目
その他
ボトムアップ
9%
ボトム
アップ
21%
トップ
ダウン
74%
その他
6%
下位
上位
ボトム
アップ
15%
ボトム
アップ
9%
トップダ
ウン
84%
1回目
その
他
11%
その他
4%
ボトム
アップ
20%
トップダ
ウン
71%
トップダ
ウン
71%
考察①
【上位】なぜ内容理解テストと音の聞き取りテストで逆の結果なのか。
内容理解重点テスト
確信度の推移【結果】
確信度の結果が
影響しているため。
確信度数
100
90
80
70
68
60
56
50
44
40
36
30
上位群
下位群
37
確信度
26
20
10
内容理解
0
1
2
3
回数
語数
考察②
【下位】 なぜ二回目が理解の限界点なのか。
なぜ聞き方が統一していないのか。
内容理解重点テスト【結果】
11
点数
語数
10
8.9
9
8
7
6.8
4
70
7.7
7.5
6
5
音の聞き取り重点テスト【結果】
60
8
40
30
5.4
3
45
50
上位
20
下位
10
29
34
1
0
1
2
3
回数
上位
下位
39
24
1
2
52
2
3
回数
考察①
Apple
(アポー)
上位群
Apple
りんご
アポー
考察①
あぽー?
Apple
(アポー)
下位群
Apple
りんご
アップル
考察②
音声処理能力
負荷が
大きい
下位
上位
小さい
大きい
RQ②
音の聞き取りという点で、
→単語の理解に到達できる
→単語の理解に到達できない
上位・下位群の回数と理解の関係は
どうなっているのか。
音の聞き方
上位
トップダウン
処理
下位
ボトムアップ
処理
考察②
【下位】
なぜ二回目が理解の限界点なのか。
二回目で、
英語の音声と単語の意味を
つなげられなかったから。
なぜ聞き方が統一していないのか。
音声処理能力が低く、
処理の負荷が大きいため。
参考文献
・認知的視点からみた低学力学習者のリスニングの特徴 (吉田一衛)
~リスニングの回数と学習効果について~
・聴解ストラテジー導入の可能性(梁凱傑)
・Listening comprehension strategies in second language acquisition
Applied linguistics, 10 (4), 418-437 (O’Malley, J. A. 1989)
ご清聴ありがとうございました。