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平成 27 年1 月号 NO.269
[ トピックス ]
・「ガーデンシティ舞多聞 99 街区」
、
「仙台荒井西」
進捗状況
・普及啓発事業「まちなみシンポジウム」開催
平成 27 年度年頭所感
平成 27 年度を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
昨年の住宅業界は、消費税増税による反動減に翻弄された一年となりました。一昨年 10 月以降、住宅各社の受
注状況は前年割れが長期にわたり継続し、反動減の影響から脱して反転増に向かうべき時期を迎えたにも関わらず、
その足取りは力強さに欠けています。総合住宅展示場の来場動向や各住宅メーカーの戸建持家受注状況においても、
秋以降は対前年同月比では持ち直してきたように見えるものの、対前々年同月比でみると低迷状態を続けていると
言わざるを得ません。
住宅投資の落ち込みは日本経済のデフレ脱却に水を差す恐れがあります。政府が推進する「成長戦略」を腰折れ
にしないためにも、今、機動的で即効性のある景気対策が必要だと思います。具体的には、住宅エコポイント制度
の創設、フラット 35S の優遇金利の引き下げ、住宅取得資金贈与税制度の拡充・延長などについての早急な対応が
不可欠です。
また、消費税 10% への増税は一年半延期されましたが、住宅業界としては、今後とも、住宅取得時の痛税感を
緩和するためにも、住宅に対する軽減税率の導入を強く働きかけていくことが必要です。
ところで、私ども住宅生産振興財団は設立以来、国交省を始め皆様方のご指導を頂き「まちなみ財団」として実
に 36 年間に全国で 430 箇所、約 1 万 8 千戸余の良質な住宅を提供して参りました。住宅の分野においても、今後
ますますスマートハウス、スマートシティなどへの注目度が急速に高まってきております。これからの住宅は、ゼ
ロエネルギーを目指して、ますます進化のスピードを上げていくのではないかと思います。
このようなことを考えたとき、当財団としては、これまでの経験、活動を生かしつつ、個々の住宅からまちなみ
までを含め、良好なまちなみ景観や暮らしやすさを確保するとともに省エネ・創エネ・蓄エネなどに工夫を凝らした、
「環境と共生したまちなみづくり」を推進していかなければならないと思っております。
また、良好なまちなみを持続的に発展させていくためには、ハードの整備のみではなく、まちなみの価値を継続
的に維持・管理し向上させていくための地域コミュニティーの育成やタウンマネージメントの形成というソフトの
重要性も大きくなってきております。当財団としては、30 数年間の経験を生かし、管理組合、自治会の立ち上げ
支援など、長く住み継ぐ家とまちなみの普及に向けて、様々な取り組みをして参りたいと考えております。
最後に、本年度が日本経済の安定成長の年として、皆様にとってすばらしい一年となりますことを祈念いたしま
してご挨拶とさせて頂きます。
本年もよろしくお願いいたします。
一般財団法人 住宅生産振興財団 理事長 藤井 康照
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ガーデンシティ舞多聞 99 街区
参加企業(7 社)
本プロジェクトが位置する「ガーデンシティ舞
ハイム近畿(株)、積水ハウス(株)、大和ハウス
多聞」は、
UR 都市機構が開発したニュータウンで、
工業(株)、パナホーム(株)、ミサワホーム近畿(株)
2007 年に街開きをして 7 年、商業・教育・医療
など多彩な施設が集積し、生活インフラが整備さ
れ、住民も着々と増え続ける将来性豊かな街です。
本プロジェクトは、この「ガーデンシティ舞多聞」
内の最北端に位置し、プロジェクト街区の南側を
通る幹線道路が昨年開通し、舞多聞外の商業施設
や駅へのアクセスがさらに向上しました。そんな
ますます発展していく舞多聞の新たな玄関口に位
置するプロジェクトです。
本プロジェクトは、三方の道路が大きく囲むよ
うにレイアウトされた 151 区画。外部からのプラ
イバシー性もあり、統一感のある街並みを形成し
やすい街区形状で、造成工事完了は平成 27 年 3
月を予定いたしており、現在、販売計画について
打合せをすすめています。(津田)
2
トヨタホーム(株)、住友林業(株)、セキスイ
仙台荒井西
地区全体の開発も進みつつあります。
東日本大震災による津波で被災した仙台市東
を踏まえて、5 つのテーマと手法を提案して取り
部地域のうち、災害危険区域に指定されたのは
1,213.8 ヘクタール。ここでは、仙台市災害危険
区域条例の規定に基づき、住居など建築物の新築、
増築などが制限され、国の防災集団移転事業の活
用による集団移転を基本としつつ、個々の事情に
応じて単独移転や復興公営住宅を選択できるよう
に諸事業が進められています。
被災者の住居の受け皿としてまず注目されるの
は、仙台市東部地域防災集団移転促進事業の移転
先としての整備です。若林区と宮城野区合わせて
13 か所の移転先のうち、若林区は 7 カ所で、「荒
井東」
「荒井南」
「荒井西」「荒井公共」は施工中、
またはこれから施工する区画整理地の一部を活用
し、
「七郷」
「六郷」「石場」は農地転用、開発許
可の手続き後、市が直接整備します。
この内、
「荒井西」においては、保留地を利用
して 169 区画の防災集団移転用地が確保されてお
り、今回財団がコーディネートするのは、それ以
外の戸建保留地 334 区画(70,469 ㎡)。被災され
た方々の自主再建のための住宅用地としても貢献
財団としては、これまで培ってきたまちづくり
組んでいます。また、区画整理組合と連携して、
財団コーディネート以外の保留地や換地部分を含
めた荒井西区域全体の良好なまちづくりを推進し
ていきます。(中臺)
5 つのテーマと手法の提案
①エコな住環境 / 外構植栽豊かに地域微気候の
取り組み
②多世代交流 / 複数のコミュニティ施設
③健康生活 / 街循環ジョギングコースの緑化
④安心安全 / 顔の見えるコミュニティライフを
大切にするオープン外構
⑤美しいまちなみづくり /「まちの木」と季節
の樹木
参加企業(9 社)
東北セキスイハイム不動産(株)、積水ハウス
(株)、大和ハウス工業(株)、パナホーム(株)、
東北ミサワホーム(株)、三井ホーム(株)
、住友
林業(株)、トヨタホームとうほく(株)、スウェー
デンハウス(株)
しようとするものです。
組合が業務代行契約を締
結したゼネコンが宅地を
造成、建物の建設につい
てはゼネコンが財団を推
薦して、組合と財団がと
りまとめるかたちで会員
社 9 社が各期ごとに土地
買収を進めていく契約を
交わしました。計画では、
全 334 区 画 を 5 期 に 分
けて 2015 年から順次販
売を開始していきます。
仙 台 駅 か ら 直 線 5km
圏 内 に 位 置 し、 平 成 27
年には地下鉄東西線の開
業が予定されており、最
寄りの「六丁の目」駅へ
徒歩 14 分(約 1,100m)、
仙台駅まで 12 分となり、
3
「まちなみシンポジウム」開催
ニューアーバニズムを紹介された。
さらに、HOA 活動の大切さにもふれながら、米
第 26 回住生活月間協賛、日本経済新聞社と当財
国の住宅地開発は時代の変化に合わせ、空間・管
団が共催する「まちなみシンポジウム in 東京」が、
理の両面において様々な変化・発展を遂げてきた
10 月 24 日午後、住宅金融支援機構すまい・るホー
が、「豊かなまちなみというのは、住宅間の空間、
ルにて行われ 294 名が参加された。
建物と建物の間の白い空間によってつくられてい
松本財団専務理事の開催あいさつの後、第 1 部
る」と強調された。
は、佐々木宏幸氏(明治大学理工学部建築学科専
第 2 部は、渡和由氏(筑波大学芸術系環境デザ
任准教授)により、「海外における住宅地開発」と
イン領域准教授)をモデレーターに、パネリスト
題して講演いただいた。
には佐々木氏、金容善氏(東京大学大学院新領域
佐々木氏は、アメリカにおける都市デザインと
創成科学研究科研究員)、奥野博昭氏(大和房屋(蘇
コンサルティング活動等でご活躍され、また当財
州・無錫)房地産開発有限公司 総経理)、川島裕
団の海外研修に講師として参加されていることか
氏(パナホーム㈱台湾・マレーシアプロジェクト
ら、訪れた視察地を例に北米の住宅開発の流れを
マネージャー / アーバンデザインインターナショナ
講演された。
ル㈱代表取締役)をお迎えし、まず映像を用いた
19 〜 20 世紀前半にかけての歴史的なダウンタ
ウン、歴史的なネイバーフッド、20 世紀半ばまで
発表をいただいた。
金氏からは韓国の住宅事情と最近の動向を、奥
続いたガーデン・サバーブ、ガーデン・シティ。
野氏からは中国での事業展開を通して得た視点と
戦後のニュータウン、エッジシティという住宅地
日本企業に嘱望される品質の内容について、川島
の変遷は、歩いて暮らす、格子状ストリート、高
氏からは台湾とマレーシアの事業における気づき
密度などの特徴をもつ都市型から、車依存、緩や
と方向性、日本に対する期待、について語ってい
かなカーブとクルドサック、緑のネットワーク、
ただいた。
低密度などが特徴の郊外型へといった流れを説明
そして渡モデレーターからは、かつて米国の町
づけられた。一方で、郊外化による中心市街地の
全体の価値化には驚いたものだが、日米の住宅地
空洞化などを解決すべく、20 世紀末に台頭した、
開発は相互に影響しあってきており、双方とも成
官民協力による公共交通機関を導入した郊外再
熟社会を経過した後の価値観の再認識を今後に活
生や環境と歴史に配慮した都市再生を手法とする
かすこと、また都市の方向性は、官民一体で、人材・
知財を十分に活用し、将来を見据えた上
で決めていく必要があるというまとめが
なされた。
また、今回 5 年目となる「まちなみ
シンポジウム in 大阪」でも同テーマ・
同パネラーで、11 月 17 日午後、大阪
国際会議場にて開催され、274 名参加の
盛況裡となった。
本シンポジウムの内容は、平成 26 年
12 月、日本経済新聞社夕刊に掲載され、
また当財団機関誌「家とまちなみ」71
号(平成 27 年 3 月発行予定)に、採録
予定である。(菊地)
ボンエルフ第 269 号
発行日:平成 27 年 1 月 10 日
編集発行人:松本 浩
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発行所
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