自転車の安全な乗り方について

ひめぎん情報 ■ 2015.新春
自転車の安全な乗り方について
ひめぎん情報センター
研究員 宮岡 秀明
1.はじめに
図1:県内交通事故発生件数
愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ瀬戸内
しまなみ海道は、
「サイクリストの聖地」とし
て、日本国内だけでなく、海外からも注目を
集めています。10月26日に行われた「サイク
リングしまなみ」は、国内外から約7,300名が
参加し、国内最大級のサイクリング大会とな
りました。
愛媛県には、しまなみ海道以外にも、美し
図2:県内事故死亡者数
い景色を満喫しながらサイクリングを楽しめ
るコースが多数存在します。また、
通勤・通学・
買い物などの生活手段だけでなく、体力づく
りや趣味・スポーツとして、幅広い年代の人
が自転車を利用しています。
2.愛媛県内の自転車事故の状況
自転車は便利な乗り物ですが、一方で、非
図3:県内事故負傷者数
常に危険な乗り物でもあります。毎年多くの
死亡事故が発生しており、たとえ加害者が子
どもであっても、何千万円もの賠償を命じる
判決が多数出ています。
愛媛県内の交通事故発生件数、事故による
負傷者数は、年々減少傾向がみられます。し
かし、自転車事故による死亡者数は横ばいに
推移しています。
(出典:愛媛県警察『交通事故統計』
)
平成25年に県内で発生した自転車事故で亡
くなられた方のうち、4人に3人は65歳以上
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の高齢者です。また、自転車事故による負傷
4.TSマーク
者の年齢層は、高齢者が最多で、高校生、中
TS(Traffic Safety)マークとは、自転車
学生と続いています。
安全整備士が点検整備(有料)した普通自転
図4:県内自転車事故死亡者割合(平成25年)
車に貼るシールです。専門家が整備した安全
な自転車である証である以外に、傷害保険・
賠償責任保険が付帯されています。自転車安
全整備店であれば、自転車を購入した店舗で
なくても点検整備を受け、貼ることができます。
乗用車の自賠責保険のような、強制加入の
保険が自転車にはな
図5:県内自転車事故負傷者割合(平成25年)
いため、大きな事 故
を起こしてしまった場
合、賠償金の支払い
が困難になるケースが
あります。こうした場
合に備えて、TSマー
ク以外にも、自転車を
(出典:愛媛県警察『交通事故統計』
)
対象とした保険が注
目を集めています。
TSマーク。赤色と
青色の2種類がある。
3.自転車の安全な乗り方
警察庁は「自転車安全利用五則」として、
5.おわりに
以下を注意喚起しています。
自転車は気軽に利用できるからこそ、時に
⒜ 自転車は車道が原則、歩道は例外
その危険性を忘れがちです。最悪の事態に備
⒝ 車道は左側を通行
えて保険に加入することも有効ですが、事故
⒞ 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
を起こさないことが何よりも重要です。
⒟ 安全ルールを守る
サイクリングの環境が整っているだけでな
⒠ 子どもはヘルメットを着用
く、自転車の交通ルールにおいても全国に誇
また、平成25年7月には「愛媛県自転車の
れるようになってこそ、
「サイクリストの聖地」
安全な利用の促進に関する条例」が施行され、
と言えるのではないでしょうか。
「全ての自転車利用者が乗車用ヘルメットを
着用する」
「歩道を自転車で通行するときは、 【参考資料】
車道左側に設置されている歩道の通行を推進
◦愛媛県警察『交通事故統計』
する」など、愛媛県において、道路交通法よ
◦警察庁『自転車安全利用五則』
りもさらに高い目標を推進事項として設定し
◦公益財団法人 日本交通管理技術協会
ています。
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