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十勝放射線技師会ニュース
2014年 年末号
平成26年12月25日
発行者十勝放射線技師会
http://www.hok-art.or.jp/tokachi
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平成26年度十勝放射線技師会秋季研修会が、平成26年11月29日(土)に道新ホールにて、71名の会員の参加で開催された。
会員研究発表6演題、地域交流研究発表ということで、 旭川支部の宮本直武氏、特別講演として、公益社団法人 日本診療放
射線技師会 副会長の小川 清先生の講演をいただいた。 以下に その内容を座長集約として掲載する。
会員研究発表
座長
菊地 隆浩さん
河原 靖 さん
演題1 健診センター胃X線検査における
非接続形X線出力アナライザーを
用いた入射表面 線量の検証
厚生病院 北爪 亮介さん
胃X線検査の入射表面線量を簡便に把握することを目的にて、
半導体検出器(Piranha)と電離箱を用いて入射表面線量を
求め、双方のメリット・デメリットを明らかにし、また医療
被ばくガイドライン2006と比較検証を行う発表であった。使
用面では、両者の誤差は小さくPiranhaが実用範囲にて十分
に使用可能であるという良好な内容だが、ガイドラインとの
比較では透視線量が目標値を超えていた。透視画像の劣化を
最小限に留め、ガイドラインを遵守する線量まで低減するこ
とが肝要であるが、機械的要因も関連するため、Piranhaの
ような簡易測定ツールを用いた定期的な線量の把握に加え,
使用機器の品質管理に取り組む必要があるとの報告であっ
た.
演題2 改正医療法施行規則における
エックス線診療室の遮蔽計算
厚生病院
清水 将司さん
平成26年3月31日付にて、診断用エックス線装置の漏えい線
量を評価するための遮蔽計算方法が改正された。そこで、改
正された項目に着目し、「Excel」を用いて自施設で簡便に漏
えい線量が計算できるシステムを構築し、自施設のエックス
線診療室について、法令改正前後の計算結果を比較検討する
ものであった。法令改正後は改正前に比べ、より現実的な値
を得ることができ、システムも種々の機能を搭載し洗練され
ていた。計算時間も概ね10分以内という結果であった。しか
し、補間法の考え方、CTへの応用等の点で検討の余地を残
し、システムの更なる拡張、精度向上が必要との分析から更
に発展したシステムが世に送り出されることを期待する。
演題3 排泄時に汚染された衣類の除去
について
協会病院 常丸 武敏さん
放射性医薬品を投与された患者のオムツ等は、RI室で回収を
行い、減衰を待ってから廃棄することは周知の事実である
が、予期せぬ事で着衣やびシーツ等を汚染してしまう場合も
ある。このような汚染衣類を一般家庭用の洗剤と洗濯機を使
用しての除染の度合いや、他の衣類及び洗濯機を汚染しない
かを検討する内容であった。結果、洗剤による差異はみられ
なかったが、MDP HMDPに比較してガリウムでは残留放射
線が多くみられた。繊維への吸着や化学形等が影響している
ものと考えられたが、結果的に問題になるような線量ではな
いことが示された
演題4 脳血管内治療用手技補助台の
作製
北斗病院 藤井 優司さん
脳神経外科ではIVRの際、ガイドワイヤの交換等を行う目
的で足元を覆うように補助台を設置している。アンギオ装置
の更新により、自分たちで補助台を新しく作製し工夫したと
いう発表であった。設定した条件を満たした補助台を作製す
ることができ、自分たちで作製する利点として、医師等の要
望を直接聞き取り入れることができ、壊れたときでも即座に
修復可能な点があり使用している医師にも現状では満足して
もらっている。このような補助台の作成を行うことで、診療
放射線技師の業務上の工夫が生かされ、様々な検査に多用で
きると感じた。
演題5
ERCP防護具の導入報告
第一病院
高地 宏修さん
医療スタッフの散乱線被ばく低減のためERCP専用の防護具
を導入し、それに伴うメリット、デメリットについての検討
報告であった。ERCPおよび関連手技として年間およそ20
0症例ほど実施している。ERCPに併用して行われる手技が
近年複雑化していることから検査時間が延長傾向にあり、医
療スタッフの散乱線による被ばくも増加傾向にあると考えら
れる。メリットとして第一の目的である散乱線の減少につい
ては大きな効果を確認できた。しかしデメリットにおいて
は、導入した防護具の使用により、検査スタッフの視界が遮
られるなどの部分がある。また1検査当たりの透視時間、撮
影回数(それぞれ平均値)より実際の検査での散乱線量を推
計し使用前後での線量を比較されていた。
比較の結果、検査室内における5点で計測60~80%前後
の線量低減が認められるものであった。また防護具の改善点
として、鉛当量の増大、視覚を遮る素材でないものに工夫す
ることが課題であるという報告であった。大変貴重な講演で
あるとともにあらためて、私たち診療放射線技師が被ばく低
減の重要性を再確認できる発表であると実感できました。
演題6
シャントDSA時の造影剤量
低減の試み
清水赤十字病院 中川 秀之
TV装置の更新に伴いDSAが行えるようになり、それまで
のDR装置では、造影剤にイオパミロン300を原液のまま使用
していたのだが、少しでも低減できないかと考えた。ただ、
プリセットされた状態では、Photoの位置等満足できな
いものであった。そこで使用状態に合わせて、最適条件を探
したという報告である。方法として、実施施設によるもので
条件の見直しを行っていった。模擬血管としてストローに濃
度の異なる造影剤を詰め、骨密度の手関節ファントムを使用
して、装置の条件を変更しながら、それらがどう変化するか
をみた。結果として、装置プリセットの条件で撮影されたD
SAに比べて、条件の見直しを行ったDSAでは、造影剤量
を半分以下にすることが出来た。同時に被ばく量も半分にす
ることが出来た。このようなことから、造影剤量と被ばく量
における適正な量、条件等の見直しを考える必要があり、腎
機能の低下した患者さまに配慮した検査であると理解でき
る。
地域交流研究発表
「Radialist
vs Femoralist カテ室におけるメ
ディカルスタッフの被ばく線量比較と
防護策」
士別市立病院 宮本 直武さん
この度は士別市立病院より宮本直武さんの「カテ室における
メディカルスタッフの被曝線量と防護策」について発表いた
だき座長を勤めさせていただいたので、その集約を報告しま
す。士別市立病院にて休止していたカテ室の運用を2012年に
再開するため医師2名とともに演者は赴任された。看護師を
含む医療スタッフの再教育、トレーニングをへて2014年まで
の2年間でCAG;203件、PCI;81件他多数の心臓検査、及び治
療がなされた。その高まる運用件数のなかで、演者が医療ス
タッフの被曝管理に着目し職種や手技による差が検討され
た。結果はアプローチする位置 (腕頭動脈アプローチ右、左
大腿動脈アプローチ) により医師の被曝量が異なり、腕頭動
脈アプローチで大となった。それにより、日常実務にて、各
種防護板の設置位置を見直し、患者さまの体部より発生する
散乱線をカットするエッジプロテクター導入によりさらに安
全なカテ室環境を実現している。今回の発表を聞き自施設で
も透視室環境を見直し職業被曝低減を促す工夫をしていきた
いと、切に思うのでありました。(文責 町田 )
特別講演
「診療放射線技師の業務拡大への対応」
公益社団法人 日本診療放射線技師会
副会長
小川 清 先生
十勝放射線技師会秋季研修会において、診療放射線技師の業
務拡大への対応という内容で日本診療放射線技師会の小川副
会長にご講演いただきました。今年6月に診療放射線技師法
が一部見直され、1、診療放射線技師が実施する検査に造影
剤の血管内投与に関する業務と下部消化管検査に関する業務
の追加 2、診療放射線技師が病院又は診療所以外の場所で
行う胸部X線健診に医師又は歯科医師の立会を求めない 3、
新たに「政令」に「核医学診断装置」が追加 以上、3点の
改正があった事はご存じの事と思います。これらの改正に
伴って我々診療放射線技師はどのように行動すべきかという
会員の疑問に答える意味で今回の講演を企画いたしました。
ここ数年、技師会では様々な講習会を開催し、このような法
改正に備えてきたところですが、実際の業務に当たっては今
回法改正はされたものの、具体的な通知が未だ出ていないと
の事で、法改正=行って良いとはならない事が説明されてお
りました。また、このような法改正に関してはアンケートや
各種講習会参加人数等が大きな武器になる事や可能であれば
政治家を国会に送りこむ事の重要性についても説かれていま
した。ただ、公に話を出来ない部分も数多くあり、小川副会
長も話し難い場面があったと思われ、非常に苦労された講演
内容だったとお察しします。今後の日本診療放射線技師会の
取り組みに関しても言及され、会員から信頼される技師会と
なるよう締めくくられて60分の講演は終了しました。その
後、会員からの突っ込んだ質問も出て講演会は盛況に終了し
ました事をご報告いたします。(文責 後藤)
第3回十勝消化管勉強会報告
平成26年11月20日 18:30から
帯広協会病院
16名参加
今年も船員保険北海道健康管理センターの高橋伸之
先生に講師をお願いした、勉強会を実施しました。今
回は「読影診断クイズ 4択で回答!」という内容で、10
症例が提示され、病変の範囲? 肉眼型は? 組織型
は? 深達度は? の設問があり、参加者全員で解答
するという形でした。それぞれの症例ごとに正解が講
師から発表されて、一喜一憂がありました。なかなかお
もしろい企画でした。自分の読影力の再認識になった
のではないでしょうか。
来年もまた。この時期に開催したいとおもいます。
消化管に興味のある方は是非参加してください。
(文責 高瀬)
編集後記
2014年秋季研修会の座長集約を中心に掲載します。 新年交礼会も平成27年1月16日(金)19:00からあります。詳細は
別途案内があったかと思います。会員の皆様よい新年をお迎えください。 (H.T)