開閉両方向に力を出せる 高速高把持力平行グリッパ 東京工業大学大学院総合理工学研究科 メカノマイクロ工学専攻 小俣・高山研究室 准教授 高山 俊男 教授 小俣 透 1 従来技術とその問題点 平行グリッパには電動式と空気圧式がある。 ○空気圧式は設備が大掛かりになる。 またエネルギー効率が悪い。 ○電動式は高速動作させる場合には把持力が 小さく、把持力を大きくさせると動作速度が 遅くなる。 ○把持力を維持している間、電流を流し続けな ければならず、効率が悪い。 2 新技術の特徴・従来技術との比較 • 高速駆動用モータと高トルク駆動用モータを 使い分けて、両方の動作を実現。 • トグル機構により、電力消費することなく、 把持力を維持。 • 通常のトグル機構は一方向にしか力を出せ ないが、機構的な工夫により開閉両方向に 力を出す。 3 基本原理 高速駆動モード M1 ウォームギヤ M2 モータ1 モータ2 把持力増大モード M1 立体トグル機構 ○エネルギー消費0で把持 M2 大減速比のギヤ ○メカニカルロックしない ×トグル機構は片方向にしか大きな力を出せない 4 3Dトグル機構 通常のトグル機構 3本の柱にかかる荷重は 圧縮荷重のみ モータの軸とリンクを固定 リンクには曲げモーメント 軸にはせん断力 球面で力を受ける 小型軽量で大きな力を出せる 5 下方向に力を出す場合 モータ1でウォームを駆動 して高速駆動 M1 (a) M2 スイッチ スイッチ g M1 (b) T M2 M1 (c) M2 指がぶつかると,ウォーム が後ろに後退し、台車がス イッチを押して動作を停止 させる。(スイッチの位置は、 把持対象物が硬い場合は gが小さく、柔らかい場合 はgが大きくなるようにあら かじめ調整しておく。) モータ2でトグルを駆動 して指をさらに押し込む。 6 上方向に力を出す場合 (d) M1 M2 (e) M1 M2 指が上に動く場合、トグル は同じ方向に押しているが、 台車が逆方向に移動して いるため、台車が押される 方向は逆向きとなる。 (f) M1 M2 7 硬さが不明の場合の対処方法 (a) g M1 T (d) M1 M2 M2 g+n . dg (b) M1 (c) M2 n M1 M2 トグルが立ち上がりきれない場合(b)、いったんトグルを戻して、ウォームを 少し逆転させ、隙間gを広げ(c) 、もう一度トグルを立て直す。トグルが立ち 上がりきれるまで(d)繰り返す。 8 平行グリッパへの適用 Linear Guide Parallel Jaws Worm Gear Symmetrical Ball Screw (Pitch L) 9 繰り返し試行による把持の再現性 (a) Closing direction (b) Opening direction Times 1 2 3 4 5 Ave. Fout[N] 229.8 245.6 226.7 220.5 224.5 229.4 Times 1 2 3 4 5 Ave. Fout[N] 216.9 205.9 202.9 205.7 213.5 209.0 10 想定される用途 • 組立工場の部品の把持装置や、工作機械へ の材料の固定などに利用できる。 • 高速動作とトグル機構による高把持力動作は、 射出成型装置の蓋等、大きなストロークを 動かしてから固定する物に利用できる。 • 本原理を用いて高速高トルク切り替え可能な ウィンチ等も開発可能である。 11 2モータ干渉駆動変速機 High speed drive High torque drive Worm Gear M1 A G1 M2 G2 Differential gear Ring gear 12 実用化に向けた課題 • 需要にあわせたサイズ、把持力のグリッパ の作成 • 繰り返し動作試験による信頼性検証 • 磨耗する部品等の交換が容易な設計 13 企業への期待 • ロボットグリッパの市場をよく知る、企業との 共同開発を希望 • グリッパ以外の使用目的の提案 14 本技術に関する知的財産権 発明の名称 :開閉両方向に力を出せる把持装置 出願番号 :特願2010-118809 登録番号 特許第4581117号 出願人 :国立大学法人東京工業大学 発明者 :高山俊男 他1名 技術に関する 高山俊男,牧田翔太,小俣透 “開閉両方向に力の出せる平行グリッパの開発” 詳細な説明 日本機械学会論文集(C編),第76巻第772号 pp. 3542-3548(2010). 15 お問い合わせ先(必須) 東京工業大学 産学連携推進本部 産学連携コーディネーター 三谷 明男 TEL 03-5734-7634 FAX 03-5734-7694 e-mail mitani@sangaku.titech.ac.jp 16
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