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発光性希土類錯体を円偏光発光プローブ分子として用
いるキラルイメージング分光システムの開発
富山大学
大学院理工学研究部(理学) 講師 岩村宗高
背 景
実 験
我々は、アキラルな発光性希土類錯体が、キラル分子共存下で
PEM
Sample
示す誘起円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence =
実験1 誘起CPLスペクトルの
測定
CPL)を用いた新しいキラルセンシングシステムを提案している。
CD分光とは異なり発光を検出するこのシステムは、キラル分子の
研究室で自作した高波数分解円偏
光発光分光装置を用いて円偏光発
光スペクトルを計測した。
Band path filter
[Eu(pda)2]-の水溶液に様々なアミノ
酸を共存させ、CPLスペクトルを計
測した。CPLスペクトルのアミノ酸の
濃度依存性、pH依存性などを検討
した。
空間分布を知るための新しいツールへの発展が期待できる。この
ような応用展開を実現させるためには、キラル分子により強い誘起
CPLを示す発光プローブ分子が求められる。最近、我々はビス
(2,2‘-ビピリジン-6,6’-ジカルボン酸) Eu(Ⅲ)錯体(= [Eu(bda)2]-)
が、アミノ酸などのキラル分子の共存する水溶液中において強い
MC
LP
PMT
Photon
Counter
Xe‐Hg
lump
Fig.2 高波数分解CPL分光システム
円偏光発光を示すことを発見した。(Fig.1) この希土類錯体からの
UV Lamp
誘起CPLの発現メカニズムを検討し、より高い誘起CPLを発現する
実験2 顕微CPLを用いたキラルイ
メージングシステムの開発
ための検出系の開発が極めて重要である。本研究では、新しいキ
ラルセンシングプローブ分子としてビス(1,10-フェナンソロリン-2,9ジカルボン酸) Eu(Ⅲ)錯体(= [Eu(pda)2]-)の誘起CPLを検討したと
ころ、キラルセンシングプローブとして極めて良好な性能示したの
で、これの発現メカニズムの検討ならびに顕微円偏光分光への実
Fig.1 [Eu(bda)2]-による誘起CPL
♠ Iwamura, M. Kimura, Y., Miyamoto, R. and Nozaki, K., Inorg.
Chem. 2012. 51, 4094
♠ 岩村宗高 化学と工業 2012年9月号 690-691
顕微円偏光発光分光装置を用いて
[Eu(pda)2]-とアルギニンが共存するフィル
ムについて、空間分解円偏光発光分光を
試み、ラセミ体のアルギニンがフィルム中
で分晶する様子を観測した。
用展開を試みた。
Fig.3 顕微CPL分光システム
実験結果2 : 顕微CPL
実験結果1:誘起CPL
without UV
UV irradiation
0.03
0.02
0
-0.01
TL(a.u.)
1.5
Fig. 5. Consentration dependences of glum values of [Eu(pda)2]‐/[Eu(bda)2]‐ solutions containing arginine
CPL and
TL change
-0.03
0.5
17
16.8
3
16.6
-1
Wavenumber / 10 cm
Fig. 7. Microscopic view of [Eu(pda)2]‐ ‐ arginine solid in PVA film (left) and CPL spectrum of the film (right)
TL change
[Eu(pda)2]+
Fig. 4. TL/CPL spectra of 5D0‐7F1
transition of [Eu(pda)2]‐ in water containing arginine
-0.02
1
0
17.2
CPL(a.u.)
0.01
No CPL nor TL change
[Amino acid] = 0.10 mol/dm3
Fig. 6. glum values of [Eu(pda)2]‐ solutions containing various amino acids(left) and amino acids(right)
Fig. 8. Imaging plot of [Eu(pda)2]‐ ‐ arginine PVA film containing
L‐arginine(left), R‐arginine(center) and racemic arginine (right)
まとめ・今後の展望
・ [Eu(pda)2]– がアルギニン、ヒスチジンのキラリティを選択的に検知することが出来ることを見出し
た。
・濃度依存性、pH依存性などの結果から、プローブ分子とアミノ酸の会合構造を推定した。(右図)
・顕微CPL分光システムを用いて、[Eu(pda)2]– -アルギニンの空間分解CPLを行うことが出来た。
・PVAフィルム中でアルギニンのラセミ体が分晶することが分かった。
Fig. 9. 水溶液中における[Eu(pda)2]‐とア
ルギニン会合体の推定モデル
【地域社会や産業界での応用分野・活用方法 等】
我々が開発した空間とキラリティを同時に決定できる全く新しいキラルセンシングシステムです。計測
対象を探索しております。対象に合わせたプローブ分子を開発することにより、様々な系に適応させる
ことが出来ます。
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