. . . .. . . . 地理情報システム特論 第 12 回:時空間データ構造 大沢 裕 埼玉大学 . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 1 / 16 GIS-12 2 / 16 . . .1 時間データベース . . .2 時空間データ管理構造 . . .3 部分永続木 . . .4 空間データにおける時間管理 . Ohsawa (Saitama Univ.) . 時間データベース 時間データベース データベースで扱う時間 実在時間 (valid time) オブジェクトが現実世界に実在していると認識されている時間 誤りが発見されたとき,過去に戻り修正する必要がある 登録時間 (transaction time) あるオブジェクトをデータベースに登録した時間 時間経過とともに単調増加する 過去にさかのぼって修正されることはない . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 3 / 16 時間データベース 時間データベースの分類 rollback database 過去のリレーションを蓄積する トランザクション時間で索引づけられたスナップショットリレーショ ンの系列 トランザクション時間を表すために,時間 ID(整数値) がふられる histrical database タプル毎に独立した更新の情報を記録する DB の登録事項に変更があったとき,タプルの情報が修正される 上の性質により実在時間の管理が行え,登録時間の管理は行えない temporal database 実在時間と登録時間を共に管理するデータベース bi-temporal データベースとも呼ばれる トランザクションの開始 (Ts),終了 (Te),実在時間の開始 (Vs),終 了 (Ve) の 4 つの時間を管理する . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 4 / 16 . 時空間データ管理構造 RT-tree H.Xu et al.(1990) 時間と空間を分けて管理する RT-tree のスロットは (S, T , P) を持つ S :通常の R 木と同じ,空間の MBR T :スロットの存在時間 [ti , tj ),但し (ti < tj ) P :通常の R 木と同じ,エントリーへのポインタ T の管理法 T = [ti , tj ) が tj+1 時間で変化がなかったら,T = [ti , tj+1 ) に修正する もし変化があれば,新しいエントリーを作り,それに [tj+1 , Tj+1 ) を付 け,RT-tree に追加する RT-tree は時間軸を分割する機能がないため,時間経過と共にエント リー数が増加し,検索効率が低下する . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 5 / 16 時空間データ管理構造 3D R 木 時間軸を空間軸と同様に扱う MBR を扱う際に範囲が閉じて いないと扱いにくい 空間軸は長さが布袋であるが, 時間軸は長さが増え続ける Figure: 3D R-tree . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 6 / 16 . 時空間データ管理構造 2+3R-tree 現在生きているオブジェクトは 2D R 木で管理する (前方 R 木) 消去されたオブジェクトは 3D R 木で管理する (後方 R 木) 前方 R 木から後方 R 木への移動 終了時間が確定したとき,3 次元空間中の線分を作る. それを後方 R 木に投入する. 対応するエントリーを前方 R 木から取り除く. . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 7 / 16 時空間データ管理構造 HR-tree Nascimento らが提案 (1999) ᩮࡁ࠼ߩ㈩ データの移動が発生する都度新 しい版の R 木を作る V 4 時間 t0 で初期版の R 木を作る 時間 tq で変化が生じたとき, 新しい R 木の根を作る.但し, 変化が生じなかった部分木へは 古い版をポインタで指し示す. . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 # ᤨ㑆⚻ㆊ V 4 $ % % 8 / 16 . 部分永続木 部分永続木 (1) 完全永続 (full persistence):全ての版に対して更新可能 部分永続 (partial persistence):最新版に対してのみ更新可能 Becker ら (1996) は,B+木を対象とた部分永続木を提案した. B+木の各ノードは,次のレコードを持つ ¡キー,ts ,te , ポインタ¿ 終了時間が確定していないエントリーは te の値として*を持つ . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 9 / 16 部分永続木 部分永続木 (2) 時刻 2 でエントリー 40 が追加された 時刻 3 でエントリー 65 が削除された 4 # $ PFXGTUKQP TFXGTUKQP $ # $ # . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 10 / 16 . 部分永続木 部分永続木 (3) 時刻 4 で 35 が,時刻 5 で 15 が,時刻 6 で 30 が,時刻 7 で 25 が削 除された その結果ノード A で現存するエントリーは 2 つに減った 4 # $ $ # . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 11 / 16 部分永続木 部分永続木 (4) 時刻 8 でデータ 5 が追加された ノード A で生き残っているノードのみ集めたノード A’ を作る ノード A は終了時間を確定させる(弱分割) 4 4 # # $ $ #̉ . # $ # Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 #̉ $ 12 / 16 . 部分永続木 部分永続木 (5) 時間 9 で 40 が削除された その結果ノード A に生存しているデータは 1 つに減った A を兄弟 B とマージする.そのページを 2 つに分割する (強分割) 4 4 # # $ $ % & $ # . $ # % & Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 13 / 16 部分永続木 部分永続木 (6) 現在の値ノード R1 に新たなノード G が追加された その結果根ノードは容量を超える 根ノードの弱分割を行う 5 5 5 $! $! (! %! %! *! &! &! '! '! (! (! )! )! *! . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 14 / 16 . 部分永続木 部分永続木 (7) 現在の値ノード R1 に新たなノード G が追加された その結果根ノードは容量を超える この例では生きているノードが多数のため,強分割を行う. その結果,木は 1 段成長する 4 4 4 4 # $ % 4 & ' ( 4 # & $ ) % ( ) . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 15 / 16 空間データにおける時間管理 HR+木 Tao ら (2001) は,部分永続木の考え方を空間データに拡張した. データの挿入,オーバーフローへの対策で,空間データ独特の性質 への対策がとられている. 検索時に次の問題が生じる 新しいエントリーに旧いエントリーの MBR も記録しておく.指定さ れた時間に合わせて,検索時に参照する MBR を決定する.この方法 は,ノードに記録すべき情報が増えるため,ノードにおける子ノード 数を減少させる問題が生じる. 幅優先探索を行う.即ち,検索の際に上位レベルのノードから幅優先 でたどり,一度訪れたノードを記録しておくことにより 2 回以上たど らないようにする.例えばこの目的のためにヒープを使うことがで きる. 負の ID を用いる.元のノードには正のポインタを,コピーされた ノードには負のポインタを持たせることにより,冗長なノードへの訪 問を抑制する. . Ohsawa (Saitama Univ.) GIS-12 16 / 16
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