slides - 一橋大学経済学研究科

レベルシフトの検定の有限標本特性の比較
山崎 大輔
一橋大学大学院経済学研究科
博士課程 3 年
2014 年 9 月 24 日
山崎 大輔 (一橋大学大学院経済学研究科博士課程レベルシフトの検定の有限標本特性の比較
3 年)
2014 年 9 月 24 日
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1. はじめに
系列相関がある時系列モデルにおいて、構造変化の検定を行う際に
は、撹乱項の長期分散を推定する必要がある。
長期分散を帰無仮説 (構造変化が無いという仮説) の下で推定した場
合、対立仮説の下で長期分散が過大推定されるため、「検出力の非単
調性問題」が発生する。
長期分散を対立仮説 (構造変化が有るという仮説) の下で推定した場
合、帰無仮説の下で長期分散が過小推定されるため、検定のサイズ
が大きく歪む。
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1. はじめに
サイズが良好で、検出力が単調
理想の状態
⇒
長期分散を帰無仮説の下で推定
⇒
検出力が非単調(下図の赤線)
長期分散を対立仮説の下で推定
⇒
サイズが歪む (下図の青線)
1.0
(下図の黒線)
0.5
0.0
power
LRV estimated under H_0
LRV estimated under H_1
0
2
4
6
8
magnitude of break
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2. モデルと検定統計量
2.1 モデル
ここでは、次のレベルシフトモデルを考える:
yt = µ + δ · DUt (Tb0 ) + ut ,
t = 1, · · · , T .
{
}
ここで、DUt (Tb0 ) = 1 t > Tb0 である。
構造変化点 Tb0 は未知であり、撹乱項 ut は平均 0 の定常過程である
と仮定する。
検定問題:
H0 : δ = 0 (構造変化が無い)
vs.
H1 : δ , 0 (構造変化が有る)
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2. モデルと検定統計量
2.2 検定統計量
CUSUM 検定統計量:
CUSUMH1
∑
T −1/2 Tt =b 1 u
˜t .
= max √
Tb ∈[1,T −1] ω
ˆ (Tb ) ˜t = yt − y¯ は H0 の下での残差であり、ω
ここで、 u
ˆ (Tb ) は長期分散
推定量である。
検出力の非単調性問題を回避するため、ここでは長期分散を対立仮
説の下で推定することを考える。
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3. シミュレーション結果
データ生成過程:




yt = µ + δ · DUt (Tb0 ) + ut ,





µ = 0, δ = c /T 1/2 , Tb0 = 0.5T ,







ut = ϕut −1 + εt , εt ∼ i .i .d . N (0, 1 − ϕ2 ).
繰り返し回数は 2,000 回で、有意水準は 5%とした。
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3. シミュレーション結果
ここでは、以下の検定の有限標本特性を比較する。



CUSUMH1
: CUSUM 検定








(長期分散を対立仮説の下で推定する)








CUSUMH1 ,BC : Yamazaki and Kurozumi (2014) のバイアス修正を








行った CUSUM 検定





SN
: Shao and Zhang (2010) の方法を用いた








CUSUM 検定








fixed-b sup-W : Sayginsoy and Vogelsang (2011) の








fixed-b sup-Wald 検定






 sup-Wkej
: Kejriwal’s (2009) の sup-Wald 検定
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3. シミュレーション結果
3.1 検定のサイズ AR(1):
T = 100
T = 200
u t = ϕu t − 1 + ε t
ϕ=0
ϕ = 0.4
ϕ = 0.6
ϕ = 0.8
CUSUMH1
0.067
0.132
0.188
0.312
CUSUMH1 ,BC
0.057
0.086
0.073
0.094
SN
0.057
0.072
0.090
0.141
fixed-b sup-W
0.014
0.026
0.027
0.036
sup-Wkej
0.064
0.069
0.060
0.045
ϕ=0
ϕ = 0.4
ϕ = 0.6
ϕ = 0.8
CUSUMH1
0.055
0.093
0.123
0.195
CUSUMH1 ,BC
0.048
0.053
0.053
0.063
SN
0.050
0.060
0.067
0.088
fixed-b sup-W
0.032
0.028
0.031
0.037
sup-Wkej
0.060
0.064
0.058
0.043
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3. シミュレーション結果
3.2 検出力
AR(1):
ut = ϕut −1 + εt
0.8
0.6
power
0.4
0.4
power
0.6
0.8
1.0
T = 100, ϕ = 0.8
1.0
T = 100, ϕ = 0.6
0
10
20
30
40
0.2
CUSUM_H1
CUSUM_H1_BC
SN
fixed−b sup−W
sup−W_kej
0.0
0.0
0.2
CUSUM_H1
CUSUM_H1_BC
SN
fixed−b sup−W
sup−W_kej
50
0
10
c
20
30
40
50
c
図 1: T = 100 のときのサイズ調整済み検出力
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3. シミュレーション結果
AR(1):
ut = ϕut −1 + εt
0.8
0.6
power
0.4
0.4
power
0.6
0.8
1.0
T = 200, ϕ = 0.8
1.0
T = 200, ϕ = 0.6
0
10
20
30
40
0.2
CUSUM_H1
CUSUM_H1_BC
SN
fixed−b sup−W
sup−W_kej
0.0
0.0
0.2
CUSUM_H1
CUSUM_H1_BC
SN
fixed−b sup−W
sup−W_kej
50
0
10
c
20
30
40
50
c
図 2: T = 200 のときのサイズ調整済み検出力
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4. 結論
ここでは、レベルシフトの検定の有限標本特性の比較を行った。
この結果、Yamazaki and Kurozumi (2014) のバイアス修正を行った
検定のパフォーマンスが良いことが分かった。
今後は、レベルシフトの検定だけでなく、一般的な構造変化の検定
における考察を行うことを考えている。
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