1 Sプロセス装置材料スクリーニング試験 (ll)

水素エネ jレギーシステム
Vol
.1
9,No.2,1994
研究論文
1Sプロセス装置材料スクリーニング試験 (ll)
小 貫 薫 ベ 井 岡 郁 夫 ベ 二 川 正 敏 ベ 中 島 隼 人 *1
清水三郎ぺ佐藤章一ベ田山一郎本3
*1 日本原子力研究所東海研究所高温工学部
干3
19・1
1 茨城県那珂郡東海村白方自根2
4
*2 日本原子力研究所高崎研究所
干3
7
0
1
2 高崎市綿貫町 1
2
3
3
*3 千代田化工建設株式会社原子力プラント部
干2
30 横浜市鶴見区中央2・1
2
1
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四
ラ
1.緒言
原研では,高温ガス炉の熱利用系開発の一環として,下記の化学反応により構成
される熱化学水素製造法 1Sプロセスの研究を進めている九
1
2 + S02 + 2H20 =2HI + H2S04
(
1
)
2HI =H2 十 1
2
(
2
)
H2S04 = H20 + S02 + 0.502
(
3
)
本プロセスはヨウ素,硫酸などの腐食性の強し 1物質を扱うため,過酷なプロセス
環境に耐える装置材料及び機器構造の選定・開発は大きな課題である 検討の第 1段
階として,我々は市販材料についてプロセスの代表的環境における耐食試験を進め
ており,これまでの試験結果の概要 2)及び硫酸処理工程に関する試験結果3)について
はすでに報告した。本報では,ヨウ素及びヨウ化水素酸を含む溶液環境における試
験結果について報告する
I
Sプロセスでは,以下の工程でヨウ素及びヨウ化水素酸の処理を行う まず, ヨ
ウ素,二酸化硫黄,及び,水から反応(1) (ブンゼン反応〉によりヨウ化水素酸と硫
酸を生成し,過剰ヨウ素の共存下で生起する液液相分離現象により酸の分離を行う
ここで得られるヨウ化水素酸を含む液相は多量のヨウ素を溶解しており
H
1
x溶液
O
O
O
O
守B4
n
u
水素エネルギ
システム
Vol
.19,No.2, 1994
研究論文
と呼ばれる 次いで, HIx溶液に微量含まれる硫酸を分離除去した後,蒸留によりヨ
2
)により水素
ウ素とヨウ化水素酸を分離する O 最後に,ヨウ化水素酸の熱分解反応 (
を得るとともに,ヨウ素を再生する O
本試験では,これらの工程の内,酸の生成・分離を行うブンゼン反応工程の H1x溶
液の環境,及び, H1x溶液の蒸留塔の環境における代表的な条件を取り上げ,金属,
セラミックス,及び,有機材料の耐食性を検討した。 H1x溶液の蒸留については,
種々の蒸留法が提案されているが,ここでは,高いプロセス熱効率の期待される高
圧蒸留法4)の環境について試験した。
O
2
. プンゼン反応工程のH1x溶液環境における耐食試験
2
.
1 試験条件及ひび骨方法
標準試験条件として,モル比H
田1
1
ι
七
I
2
1
眉
H2
0=
寸1
1
凡1
1
泊
6のH
凹1
x
1
溶
容
液
に
ρ
f, 官I
硫酸がO.lwt%混入した溶液(以下
した o H1x;f目溶液
表 1 ブンゼ‘ン反応工程 HIx
溶液環境で、の予備試験結果 *1
を用いた試験に先
立ち,硫酸を含ま ¥ ¥
H
I
x
'
2
57wt% HI
試験液
ないH1x溶液(以下,
表面状態 腐食速度 表面状態 腐食速度
官 1
x溶液") ,
材 料 ¥ ぞ
(mm・
y
l
)
(mm・
y
l
)
S7wt%ヨウ化水素
0
.
0
健全
0
.
0
Ta
健全
酸(以下共沸
H1")を9SCに加熱
0
.
0
健全
0
.
0
Zr
健全
した環境での浸漬
0
.
1
肌荒れ
H
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yC-276
2
.
8
健全
試験を行い,材料
0
.
2
T
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健全
健全
0
.
1
の耐食性を予備的
0
.
2
肌荒れ
健全
Inconel625
1
3
.
5
に評価した。試験
1種
材料は,金属 1
軽い肌荒れ
1
.4
l
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c
o
l
o
y825
溶失
類(高 S
i鋳鉄,
0
国
。
Carpenter20Cb
軽い肌荒れ
4
.
1
溶失
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HighS
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肌荒れ大
7
.
9
肌荒れ
4
.
5
Monel400
溶失
目
溶失
.
ー
溶失
Pb
溶失
.
溶失
Si02
健全
0
.
0
健全
0
.
0
SiC
健全
0
.
0
健全
0
.
0
ShN
4
健全
0
.
0
健全
0
.
0
PFA
淡褐色化
0
.
0
褐色化
0
.
0
PPS
健全
0
.
8
健全
1
.5
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一部滅肉
3
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2
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4
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一部減肉
4
.
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6
.
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一部滅肉
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1
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SUS304
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水素エネルギーシステム
Vol
.19,No.2, 1994
研究論文
10mmx40mmx3---5mmtの試験片形状に加工して使用した。
1の試験液を入れ,所定温
試験は, リフラックスコンデンサー付きのガラス容器に 1
度の液相環境に試験片を一定時間浸漬して実施した(比液量:約 83ml/cm2
)
。まず,共沸
0
HI及びHlx溶液を用いた 95C, 100時間の予備試験を行い,良好な結果の材料につい
て
, HIA目溶液を用いた l次試験(100時間)を行った。 2次試験(1000時間)は l次試験の
結果から更に材料を絞って実施した。 2次試験では, 500時間経過時に試験液を更新
した。
耐食性の評価は,主として脱スケール後の表面状態観察及び重量変化によって行
い,必要に応じて走査電子顕微鏡(SEM)観察等を行った。
0
2
.
2 試験結果及び考察
95Cにおける予備試験の結果を表 1に示す。高融点金属
(Ta,Z
r
)及び、セラミックス 3種は,いずれの環境においても,重量及び外観に変化が
見られず,良好な耐食性が認められた。 T
iはこれに次いで耐食性があり, H
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じ 276及び:
I
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c
o
n
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l 625も比較的良好な結果を示した。有機材料では, PFAが良好な結
果を示し, PPSがこれに次ぐ耐食性を示した。これら以外の材料は,激しい減肉や溶
失を受けた。全般的に, Hlx溶液環境の腐食速度は共沸HI環境に比べて大きく,ヨウ
素の共存は材料にとってより厳しい環境であることが分かった。なお,合金材料の
耐食性はモリブデン含有量の増加と一致していた (
H
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l
l
o
yC-276>Inconel625>Incoloy
825>Carpenter20Cb>
>SUS304 Mone1400)。
以上の予備試験結果に基づき, Ta,Zr,T
i,H
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o
yC-276,高 S
i鋳鉄, Si02
,SiC,
S
i3N4,及び¥ T
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nPFA を選んでで、H
団I
試験の結果に基づづ、き, Ha
制S
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幻7
6及
びび、高 S
剖i
鋳鉄を除く材料について 2次試誌験 を実施
ヲ
a
闇
した。表2にH
団I
及び、Zd
はま重量及び外観に変化は認められずず司, T
iがこれに次いで‘良好な結果であった。
表2
¥¥
ブンゼ、ン反応工程 HIx溶 液 環 境 *1で、の試験結果
試験時間
100h
r
s
¥寸?
腐食速度
材料
1000h
r
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表面状態勺
(mmy
l
)
Ta
。
健全
0
.
0
2
健全
T
i
0
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2
8
健全
H
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yC-276
1
3
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HighS
iCastI
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35
激しい滅肉
SiC
S
i3N4
PFA
。
。
。
0
.
1
1
表面状態 .
2
(mmy
l
)
Zr
Si02
腐食速度
健全
。
。
0
.
1
7
健全
健全
健全
一
一
一
一
一
一
一
戸
一一一一一一一
重量微増
健全
健全
重量増
健 全η
健全
重量増
健 全η
赤褐色化
重量増
赤褐色化叫
o
吋試験液:H1x(HI
!IzlH20=l
/
1
/6(
inmoJ))+0.lwt%H
S0
1
2
0C,大気圧.
4,
2
勺表面状態は、目視観察による。
*
3 表面付近でハ.インゲ四成分 (
A
I,Mg)が減少しヨウ素が偏析 (EPMA分析)。
*4 試験片中心部まで変色。
,
,
。
H
喝S4
水素エ ネルギ システム
Vol
.19,No.
2, 1994
研究論文
セラミ ック ス材料では ,外 観変 化はな
いものの 2次試験片に重量増加が認めら
れた 。 なかでも, S
i
C及び、
S
i3N4
の重量増
m
加は大きく , EPMA分 析 の 結 果 , 表 L
付近で;Mg,Alの減少と I
の偏析が観察 さ
れた 。 また, SEM観 察 の 結 果 , 表 面 が
や や 肌 荒 れ を 受 け て い る こ と が認 め ら
i3N-l試験片の
れた 。 図 1に 試 験 前 後 の S
SEM写 真 を示 す 。 これ らの結果 は,セ
ラミックス材料ではバインダ一成分の
溶出と試験液成分の浸透が起こってい
ることを示唆している O 有機材料の
PFAにつ い て は, 材 料 自 体 の 腐 食 は 認
められな い ものの,試験片は内部 まで
ピンクに変色しており, ヨウ素 が容易
に内部に 浸透することが分か った。
以上の結果, Ta,Z,
r S
i02 が優れた
も比較的良好な耐食
耐 食 性 を 示 し,Ti
性を 有 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 た
rとT
iに つ い て は , 本 環 境 と 類
だし, Z
似の環境において活性態と不動態との
中間領域にあることを示唆する結果を
得たとの報告 5)があり,液組成及び狙度
などの条件と耐食性との関連を更に検
C,
討することが必要と考えられる o Si
Si
N4 について は,基材自身よりバイン
3
ダーの溶出が問題であり,製造条件を
含 め た検 討 が 更 に 必 要であろう o PFA
の使用に は ヨウ素の 浸透 を考 慮 す る 必
要がある O
(
a
) 未試験材
(
b
)H
l
x相溶液, 120'C,1000hrs浸漬後
図 1SbN4
試験片の SEM像
10μm
3
.H
1
x高圧蒸留塔環境における耐食試験
3
.
1 試験条件及び方法
本蒸留塔は20気圧での操作が想定されているヘそこで,
試 験 片 及 び試験液を脱気封入 したガラ スアンプルを シリ コ ンオ イルを満たした オー
)。 試験
トク レー ブ にセ ッ トし ,窒素ガス加 圧下で所定時間所定温度に 加 熱し た(図2
片 形状は 5mm径 X5mm長の円柱状 とした 。試験液 は,蒸留塔中間部及び塔底部の組
2
表3
)を各々 20ml用いた(比液量 約 20ml
/cm)。試験 温 度 は,
成を模擬した 2種類の溶液(
0
0
塔 中 間 部 環 境では 240C,塔底環境では 300Cであ るO 表 3t
こ示 す 8種類の金属材料及
び2種 類のセラミ ック ス材料 を用 いて 20時間の l次試験 を行っ た後,材料数を絞り ,
100時間 の2次試験を実施した 。
耐 食性 の評価は, 主 として脱 スケール後の表面状態、観察及 び重 量変化によって行
い,必要に応 じて断面顕微鏡観察等を行っ た。
-1
3-
水素エネ jレギーシステム
Vol
.19,No.2,1994
研究論文
3
.
2試験結果及び考察
試験結果を表3に示す。
l
次試験の結果,両環境
において比較的良好な
耐食性を示した材料は,
高融点金属 3種 (Ta,N
b
,
Z
r
),及び, S
i
Cである。
他の金属材料はすべて
激しく腐食された。
Zr02は , 塔 中 間 部 環 境
では卵の殻がむけるよ
うな侵食を受け,塔底
部環境では重量変化は
見られないものの表面
が褐色に変色したo 顕
微鏡観察から侵食部に
多孔質化が認められた
(
図3
)。
塔 中 間 部 環 境 の 2次 試
験 で は Ta及び、 Zrが 表
面に変色が見られたも
用
壊
E
ν
ハ
破5.
一アア試一
IνL1
一ーーーカ苅;;カ,動
一ンン一
オ
斗Jト
ー
キ
ー
物一一
iJ
川村川一園属国一一一級体一
-ri--1114寸叶九人一物一一
一J
20h
r
s
腐食速度
(mmy
l
)
1
0
0h
r
s
表面状態勺
腐食速度
(mmy
l
)
。
。
0 健全(褐色)
0
.
5
肌荒れ
0 健全(紫色)
一
一
一
一
一
ー
全面腐食 一
H
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溶失 一
SUS316
溶失 一
戸
ー
ー
ー
戸
一
一
一
一
SN 3
溶失
--一一
。変化なし叫
重量微増
SiC
激しい浸食句
Zr02
*
1 液組成:H I
/H2
0
=
1
3
/
5
/
8
2(
i
nm
o
l
)
,
24
0C
,2
0
a
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m
.
一
三
一
一
一
一
2
F
田
I
/
炉
一
塔底部勺
塔中間部市 1
1
8
T
i
EEE 一Z
Zr
│﹂│料、
4tr川川川川ノ一一級一一
3 Hlx溶 液 の 高 圧 蒸 留 塔 環 境 に お け る 試 験 結 果
1
.1
Nb
川斗j
Ta
m
m
m
m勿m
後
一,
a須m
勿m
m
m勿勿m
寸
そ
初級勿勿幼矧初役伺勿幼
材料
ク{に
図2HI
試験環境
可式験時間
一プ筒川山一
.,い'
i内,,十 ;l
・汗シ
¥
+本山
表
TC
o
o
・
20h
r
s
腐食速度
(mmy
l
)
100h
r
s
表面状態
η
腐食速度
(mmy
l
)
。
。
3
.
5
。
健全
0 健全(黒変)
0
.
6 軽度の孔食
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
一
4
3 一
一一一一一一
140 一
一
一
一
一
一
一
一
一
溶失
嗣
困
嗣
圃
国
圃
溶失
67
。
0・
5
0
.
1 変 化 な じ4
一
一
一
一
一
一
ー
ー
一
q 液組成:H
I
/
I
/H
0=1
/
9
4
/
5(
inm
o
l
),
300C,
2
0
a
t
m
.
2
2
勺表面状態は、目視観察による。
叫表面にミクロな浸食あり(断面顕微鏡観察)。
可塔底部環境では表面多孔質化。中間部環境では全体が多孔質化している(断面顕微鏡観察)。
-14-
水 素 エ ネ ル ギ ー システム
Vo1
.19, No.
2, 1994
研究論文
(
b
) 塔底部環境,2
0
h
r
s浸漬後
(
a
)塔中間部環境, 2
0
h
r
s浸漬後
2
試験片の断面写真 (
X
I
O
O
)
図3 Zr0
(
b
) 塔中間部環境,l
O
Ohr
s浸漬後
(
a
) 未試験材
図4SiC試験片の断面写真 (
XI
O
O
)
のの重量変化はなく, Nbにはわずかな 重量減少及び軽い肌荒れが見られた 。木環境
は水素源であるヨウ化水素を比較的多く 含む雰囲気であるが,これらの 高融点金属
試験片の水素含有量分析の結果,試験前後の試験片の水素含有量 に変化は認められ
i
Cにはわずかな 重量
ず,また,断面顕微鏡観察でもミク ロ組織に変化はなかった 。 S
増加が見られ, ミク ロ組織に 表面侵食が観察 された(図 4)
0
塔底部環境の 2次試験では, Ta及び、Nbが良好な結果を示し, Zr
には軽い孔食が見ら
れた 。 S
i
Cは本環境ではわずかな 重量減少を示したが, 重量増加の見られた塔中間部
環境の試験片と同様にミクロ組織に表面侵食が観察された 。
以上の結果, Taが両環境で、
優れた耐食性を有することが判明した 。Nbはこれに次
1
5
水素エネルギーシステム
Vol
.1
9,No.2, 1994
研究論文
ぐ耐食性を有する o Zrには孔食が,また, S
i
C
'こはミクロな侵食が見られたため, こ
れらについてはより長時間の試験による評価が必要と考えられる O
4
.結 言
熱化学水素製造法I
Sフ ロセスのヨウ素及びヨウ化水素酸を含む溶液の代表的環境
において,装置材料の耐食試験を行い,以下の結果を得た。
i
02が優れた耐食性を示す o Zr
① ブンゼン反応工程の HIx溶液環境では, Ta及び、 S
及びT
iも良好な結果であるが,さらに広範な液組成・温度の下での試験が必要
である O
② 高圧蒸留塔環境では, Taが優れた耐食性を示し, Nbはこれに次ぐ。 Zr及び、 S
i
C
'こ
ついてはより長時間の試験を要する O
O
今回の試験によって当該環境で耐食性の認められた材料は,高価な高融点金属や
脆いセラミックスであり,いずれも耐食機能を持つライニング材としての利用が考
えられる O 今後は,これらの耐食材料をライニングした反応容器などの健全性試験
が必要であろう 併せて,プロセス条件の緩和による汎用構造材料適用の可能性,
及び,新規材料の開発などを検討することが重要と考えられる
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謝辞
ブンゼン反応工程環境の試験は, (社)日本鉄鋼協会へ委託し, (株)千代田化工建設
で実施された。高圧蒸留塔環境の試験は, (株)千代田化工建設で実施された。同協会
及び同社に感謝します。
参考文献
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