ニュージーランドの石炭鉱業事情 - 石油天然ガス・金属鉱物資源機構

平成25年度JOGMEC石炭開発部調査事業成果報告会
海外炭開発高度化等調査
③
ニュージーランドの石炭鉱業事情
平成26年6月6日
報告内容
1. NZの一般情勢
2. NZの政府組織、エネルギー政策、
鉱物関連法令・規則
3. NZの石炭資源と石炭生産動向
4. 石炭輸送インフラ
5. まとめ
1
1. NZの一般情勢
 面積:26万8,689km2・・・日本(37万7,960km2)の約7割
− 北島と南島及びその他の多数の小島から成り、50%が牧草・耕作
地、25%が森林
 人口:443万人
− オークランド135.5万人、ハミルトン20.3万人、ウェリントン39万人、
クライストチャーチ39.3万人が住みこの4都市で約53%
 国家元首は英国女王で、女王はNZ政府の推薦によりNZ総督
(Governor-General)を指名
 2012年度の国内総生産(GDP)は2,061億NZ$で実質成
長率は前年比1.6%
•
第1次産業7.2%、第2次産業19.6%、第3次産業64.9%
 2013年の主要輸出額・輸出国及び輸入額・輸入国
•
•
•
•
輸出額:481億NZ$(中国99.6億NZ$、豪州91.3億NZ$、
米国40.8億NZ$、日本28.6億NZ$ ⇒ 4ヶ国で52%)
輸入額:483億NZ$(中国82.6億NZ$、豪州64.2億NZ$、
米国45.3億NZ$、日本30.9億NZ$ ⇒ 4ヶ国で46%)
主要輸出品目は石油製品81.3億NZ$、機械60.6億NZ$、
自動車58.3億NZ$
主要輸出品目は乳製品134.1億NZ$、食肉52.8億NZ$、木
材・木製品38.6億NZ$
その他
36%
豪州
19%
輸出
481億NZ$
中国
21%
マレーシア
米国
日本
2%
シンガ
韓国 6% 8%
ポール 英国 3%
2%
3%
中国
17%
その他
37%
輸入
483億NZ$
韓国
4%
シンガポー
マレーシア
ル
4%
4%
豪州
13%
米国
日本 9%
7%
ドイツ
5%
2
2. NZの政府組織、エネルギー政策、
鉱物関連法令・規則
NZにおける天然資源の所管官庁
 石油、天然ガス、鉱物、石炭等の天然資源⇒Crown Mineral Estateと呼ばれ、
産業革新雇用省(MBIE:Ministry of Business, Innovation and Employment)
が所管する。
 産業革新雇用省は2012年7月に次の4つが統合して設立された。
産業革新雇用省(MBIE)
Ministry of Business, Innovation and
Employment
統合
建築局
経済開発省
労働局
Department of
Building and Housing
Ministry of Economic
Department
Department of
Labour
科学省
Ministry of Science
 Crown Mineral EstateはMBIEの付属機関であるNZ Petroleum and
Minerals(NZP&M)によって管理される。
⇒NZP&MはCrown Mineral Estateに関する予備探査、探査、採掘の認可を行う。
3
NZのエネルギー政策
 「エネルギー戦略2011~2021」と「エネルギー効率及び保護戦略」の
2つの政策があり、NZのエネルギー需要、将来の目標等を定める。
 エネルギー戦略2011~2021
− エネルギー産業の方向性とNZ経済におけるエネルギーが果たす役割を定め政府の役
割等について以下の4つの優先分野と、詳細項目を定める。

多様な資源の開発、環境面での責任、エネルギーの効率的な利用、安全かつ安価なエネルギー
 エネルギー効率及び保護戦略
− エネルギー効率の向上、エネルギー保護、再生可能エネルギーの促進の3つに焦点
を当て、以下の6分野において目標が定められている。

交通機関、産業、住宅、製品、電力システム、公共部門
 エネルギーバランス
− 一次エネルギー供給量(2012年):845PJ(生産量は714PJ)
一次エネルギー供給量
PJ
水力
82(10%)
地熱
161(19%)
他Renewables
油
71(8%)
280(33%)
石炭
70(8%)
ガス
179(21%)
Waste Heat
ガス
石炭
油
2
出所:Ministry of business, Innovation and Employment
4
NZの鉱物関連の法令、規則
 炭鉱開発時に適用される主な法令、規則
• 1991年制定国家鉱物法:Crown Minerals Act
• 2013年制定鉱物プログラム(石油以外):The Minerals Programme for
Minerals (Excluding Petroleum) 2013
• 2013年制定国家鉱物規則:Crown Minerals (Royalties for Minerals Other
than Petroleum) Regulations 2013
⇒開発の段階によって、事前探査許可、探査許可、採掘許可等の取得が必要
⇒ロイヤルティ:年産20万㌧以上の生産者で500万NZ$以上の利益がある場合は、売上
高の2%又は利益の10%のどちらか高い方、それ以外は売り上げの2%
 鉱業権の種類
•
事前探査許可、探査許可、採掘許可の3つがある。
事前調査
Prospecting Permits
活動内容
有効期間
更新
対象面積
探査許可
Exploration Permits
影響度の低い鉱物探査作業(マッ
経済性の有無を判断するための
ピング、手作業によるサンプリング、 各種探査(試錐、バルクサンプル
空中探査等)
採取、F/S等)
採掘許可
Mining Permits
鉱物の採掘
4年
10年
40年
更新不可
申請により更新可
申請により更新可
500km2以下
150ha以上
鉱床規模と採掘計画による
5
3. NZの石炭資源と石炭生産動向
NZの主要炭田
 NZの主要炭田
• 北島
− Northland
− Waikato
− Taranaki
• 南島
− Nelson~West coast
− Canterbury
− Otago
− Southland
6
NZの炭田
 NZの主要炭田と石炭の代表的な特性
地質年代
平均的な炭層厚m
( )内は最大
石炭ランク
ASTM
灰分ベース(ad)
硫黄分(ad)
Northland
始新世後期
2 (8.1)
亜瀝青炭A
2.5 - 8
1-5
Waikato北部
始新世後期
4 – 10 (30)
亜瀝青炭C - A
2 – 10
0.2 – 0.3
Waikato 南部
始新世後期~
漸新世
1.5 (14)
亜瀝青炭C
5 – 20
0.3 - 8
中新世初期
1.3 (4.5)
亜瀝青炭B - A
2 – 12
1 – 4.5
Nelson –
West Coast
始新世後期~
白亜紀後期
2 – 8 (24)
3–6
亜瀝青炭C~
半無煙炭
0.5 – 6
1–5
0.3 – 7
0.3 – 1
Canterbury
白亜紀後期~
始新世中期
1 – 5 (20)
亜瀝青炭~
半無煙炭
1.2 – 6
0.5 – 2
Otago東部
白亜紀後期~
始新世後期
2.5 (30)
褐炭~
亜瀝青炭B
3–8
0.25 – 6
漸新世~
中新世初期
20 – 60(79)
褐炭
3 – 20
0.2 – 0.6
Southland西部
白亜紀後期~
始新世中期
4 – 14 (23)
亜瀝青炭A~C
1–8
0.3 – 0.6
Southland東部
漸新世~中新世
2 – 5 (13)
褐炭
3 - 20
0.2 – 0.6
炭田
Taranaki
Otago Ω
出所:NZ Petroleum and Minerals
7
NZの石炭埋蔵量
 石炭資源量:約150億トン
⇒約80%が南島の褐炭
亜瀝青炭15%、瀝青炭5%、両者で約35億㌧
(NZ Petroleum and Minerals)
ニュージーランドの石炭資源量
 West Coast地方に良質の
瀝青炭(原料炭)が賦
存する。
 米国USGSによる炭田別
資源量
8
NZの石炭生産(1)
 最近の生産は500万㌧前後で推移し、2012年493万㌧
•
生産される石炭の93%が亜瀝青炭と瀝青炭で、埋蔵量の大
半を占める褐炭の生産量は僅か7%
 主要な生産地は北島のWaikato地方(亜瀝青炭)、南島
のWest Coast地方(瀝青炭)及びSouthland地方
NZの地域別石炭生産量2012年
瀝青炭
亜瀝青炭
褐炭
合計
(千㌧)
Waikato
0
1,765.9
0
1,765.9
北島 計
0
1,765.9
0
1,765.9
West Coast
2,276.3
225.0
0
2,501.3
Canterbury
0
48.0
0
48.0
Otago
0
84.1
9.4
93.5
Southland
0
200.9
316.6
517.5
南島 計
2,276.3
558.1
325.9
3,160.3
NZ合計
2,276.3
2,324.0
325.9
4,926.2
地域
石炭分類
出所:Ministry of Business, Innovation & Employment
9
NZの石炭生産(2)
 1990年代の生産量は300万㌧台であったが、徐々に増
加し、2000年代に入ると500万㌧前後となった。
 殆どが露天掘り採掘によるが、Waikato地方とWest
Coast地方では坑内掘りも行われている。
NZの採掘法別石炭生産量2012年
地域
露天掘り
坑内掘り
合計千㌧
Waikato
1,416.0
349.9
1,765.9
北島 計
1,416.0
349.9
1,765.9
West Coast
2,255.5
245.9
2,501.3
Canterbury
48.0
0
48.0
Otago
93.5
0
93.5
Southland
517.5
0
517.5
南島 計
2,914.5
245.9
3,160.3
NZ合計
4,330.5
(88%)
595.8
(12%)
4,926.2
千㌧
出所:Ministry of Business, Innovation & Employment
NZの石炭生産量推移
10
NZの石炭消費
 2012年の国内消費量は3.2百万t(熱量換算で70PJ)
 消費量の42%が発電用で、殆どはWaikato地方のHuntly
発電所(2012年消費量1.3百万t)で使用された。
 産業・家庭における消費量は国内消費量の31%で、その
殆どはGlenbrook製鉄所(2012年消費量80万t)で使用さ
れた。
PJ
NZの石炭消費量推移
産業・家庭
電力
出所:Ministry of Business, Innovation & Employment
11
NZの石炭生産量と輸出入量推移
 生産量の増加と共に輸出量も増加
 2000年代に入ってからの輸出量は
200万㌧強で生産量の約40~50%台で
推移。
 輸入炭は主にインドネシア炭で、北
島の発電所用に輸入されている模様
 主要な輸出先はインド、中国、日本
等
単位:千㌧
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
生産量
3,457 3,911 4,459 5,180 5,155 5,267 5,674 4,835 4,832 4,563 5,331 4,945 4,926 4,526
輸出量
1,551 1,710 1,932 2,210 1,908 2,331 2,720 2,014 2,561 2,107 2,420 2,160 2,210 2,096
輸入量
日本輸入量
16
31
77
932
876
932
422
937
876
1,012
1,084 1,236
706
979
721
516
599
616
702
450
出所:Ministry of Business, Innovation & Employment、日本の輸入量は財務省貿易統計
251
474
171
418
1
189
189
144
12
NZの石炭企業(1)
Solid Energy New Zealand
 NZ最大の石炭会社で国有企業で、NZ全生産量のおよそ80%
を占める。
 2013年、北島と南島で操業中の炭鉱は5炭鉱で、生産量は
約390万㌧(Stockton炭鉱が最大の炭鉱で生産量186万㌧)
• Waikato地方:Rotowaro炭鉱、Huntly East炭鉱 ⇒ 亜瀝青炭、国内向け
• West Coast地方:Stockton炭鉱、Reddale炭鉱 ⇒ 瀝青炭、輸出
• Southland地方:New Vale炭鉱 ⇒ 褐炭、国内向け
Stockton炭鉱NZが最大の炭鉱で上記以外にも休止中の炭鉱を有する。
 輸出量は約200万㌧
炭種別及び仕向地別輸出割合2013年
国内販売量と輸出量推移
百万t
4.0
3.8
4.1
4.6
4.1
国内
販売
輸出
13
Solid Energy社の主要炭鉱
南島の炭鉱位置
北島の炭鉱位置
REEFTON
West Coast炭田位置
輸出港
休止中の炭鉱含む
14
Solid Energy社の地域・炭種別埋蔵量
 埋蔵量34.6百万㌧、資源量15.1億㌧
⇒資源量のうち原料炭は1億5,900万㌧
85.7Mt
輸出向け
良質炭生
産地域
24.8Mt
101.1Mt
(6月末)
出所:Solid Energy社
15
NZの石炭企業(2)
Bathurst resources
 南島で3炭鉱を操業中で年産約15万㌧
• Canterbury炭鉱(亜瀝青炭)、Takitimu炭鉱(褐炭)、Cascade炭鉱(非微粘結炭)
⇒何れも数万㌧規模(Cascade年産5万㌧、15万㌧を目指す)
 南島のBuller炭田において輸出用のEscarpment PJ(原料炭、
年産50万㌧、最大90万㌧)他PJを推進中。
Bathurst Resources社 地域別資源量(百万㌧)
地域
確定資源量
推定資源量
予想資源量
合計
West Coast - South Buller
14.0
19.9
15.5
49.4
West Coast - North Buller
-
12.6
27.9
40.5
Cascade炭鉱
0.5
0.3
0.7
1.5
Canterbury炭鉱
-
0.9
2.4
3.3
Coaldale (Takimitu炭鉱)
Black Diamond( 〃 )
1.2
0.3
1.2
0.5
0.7
1.2
3.1
2.0
New Brighton
-
0.7
3.5
4.2
16.0
36.1
51.9
104.0
合 計
出所:Bathurst Resources社 HP
16
Bathurst Resources社プロジェクト位置
Buller地域で多く
の新規プロジェク
トを進めている
出所:Bathurst Resources社 HP
17
Bathurst Resources社 炭質例
炭鉱・プロジェクト
灰分
%
揮発分
%
固定炭素
%
発熱量
Kcal/kg
硫黄
%
CSN
固有水分
%
Escarpment
15.5
32.9
50.8
7,050
0.6
7.5
0.9
原料炭
Deep Creek
11.0
32.9
52.8
7,100
2.5
-
2.2
原料炭
Coalbrookdale
12.0
36.1
50.2
7,260
1.8
5.0
1.7
原料炭
Whareatea West
22.7
25.1
51.6
6,570
0.8
7.5
0.6
原料炭
Millerton North
9.7
36.9
52.5
7,430
4.9
9.5
1.0
原料炭
North Buller
9.7
42.6
48.2
7,380
4.9
4.0
2.6
原料炭
Blackburn
3.9
42.1
51.8
7,260
4.3
6.0
2.2
原料炭
Cascade
4.1
38.8
52.2
7,480
1.8
4.5
2.4
原料炭
Coaldale
10.4
36.6
36.0
5,090
0.9
-
17.0
一般炭
Ohai
8.3
34.7
42.8
5,330
0.4
-
14.3
一般炭
炭種
注:分析はadベース
出所:Bathurst Resources社 HP
18
NZの地域別石炭分析例
 Buller、Reefton、Greymouth地方に低灰分の良質炭が賦存する。
炭 鉱
Waikato地方
Huntly East No.1
Rotowaro
Buller地方
New Creek
Stockton
Reefton地方
Echo
Giles Creek
Greymouth地方
Roa
Spring Creek
Canterbury地方
Canterbury
Otago地方
Hartliwich
Kai Point
Southland地方
New Vale
全水分
%
灰分
%
揮発分
%
固定
炭素 %
発熱量
Kcal/kg
硫黄
%
CSN
灰融点
℃
21.1
20.3
3.4
6.2
34.5
34.1
51
39.4
5,460
5,240
0.21
0.31
-
1,290
1,160
12.9
8.1
10.0
2.9
25.8
31.0
51.4
58.0
5,980
7,560
4.4
1.9
1/2
9
1,120
1,550
10.5
28.7
3.7
3.7
35.8
32.6
50.0
35.0
6,560
4,500
0.43
0.40
4 1/2
-
1,500
1,170
13.1
11.2
5.9
1.2
16.2
39.7
64.8
47.9
7,050
7,090
0.3
0.31
9++
4
1,360
1,230
26.9
4.3
32.1
36.7
4,810
0.48
-
1,170
28.8
29.5
6.3
4.9
38.2
31.8
26.7
33.8
4,420
4,780
0.43
1.69
-
1,290
1,320
41.3
3.2
29.2
26.3
3,590
0.41
-
1,310
注:分析はadベース、休止中の炭鉱含む
出所:Coal association of NZ
19
鉄 道
3. 石炭輸送インフラ
 南島の西海岸(Westpor、Greymouth)で生産された石炭
は、東海岸のLyttelton港まで、鉄道輸送され輸出される。
 鉄道は、単線・非電化でディーゼル機関車で牽引。
 1列車は石炭貨車30両編成で約1,600㌧を輸送。
 輸出量が最も多かった2006年には
290万㌧を輸送。
 輸送距離はNgakawau(Stockton)
から約400km、Greymouthから約
250km。
Ngakawau
Westport
Lyttelton港
20
港
 石炭輸出港:南島東海岸のLyttelton港
 石炭バース主要スペック(車等の荷揚げにも使用)
•
•
•
•
•
バース長
水深
貯炭場面積
貯炭量
シップローダー
230m
12.9m
約5ha
約20万㌧
1万5千~2万㌧/d
貯炭場
出所:Googleマップ
石炭バース
21
5. ま と め
 ニュージーランドの石炭資源量は約150億㌧。
 うち80%が南島に賦存する褐炭であるが、良質の
瀝青炭(主に原料炭、7~8億㌧)が、南島の西海
岸に賦存する。
 最近の生産量は500万㌧前後、輸出量(主に原料
炭)は200万㌧台で推移。主要な輸出先はインド、
中国、日本等である。
 良質の原料炭を産出するが、輸出インフラが弱い。
西海岸から東海岸まで約250~400km鉄道輸送され
る。
22