2014 年4月 19 日 ソロモン諸島の地震 - 遠地実体波による

2014 年4月 19 日 ソロモン諸島の地震
- 遠地実体波による震源過程解析(暫定)-
震源時間関数
断層面上でのすべり量分布
M0=1.67E+20Nm
(Mw=7.41)
1.5
1.0
0.5
0
0
10
20 30
破壊開始からの経過時間(秒)
深さ(km)
傾斜方向(km)
モーメントレート(×1019 Nm/s)
2014 年4月 19 日 22 時 27 分(日本時間)にソロモン諸島で発生した地震について、米国地震学連
合(IRIS)のデータ管理センター(DMC)より広帯域地震波形記録を取得し、遠地実体波を用いた震
源過程解析(注1)を行った。
初期破壊開始点は、米国地質調査所(USGS)による震源の位置(6°43.3′S、155°03.0′E)とし
た。深さは USGS による震源(46km)よりも浅い 35km とした。断層面は、気象庁 CMT 解の2枚の節面
のうち、北東傾斜の節面(走向 321°、傾斜 35°)を仮定して解析した。最大破壊伝播速度は 3.3km/s
とした。理論波形の計算には CRUST2.0 (Bassin et al., 2000) および IASP91 (Kennett and Engdahl,
1991) の地下構造モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり(この結果は暫定であり、今後更新することがある)。
・主なすべり域の大きさは走向方向に約 30km、傾斜方向に約 20km であった。
・主なすべりは初期破壊開始点のやや浅い領域にあり、最大すべり量は 4.1m であった(周辺の構
造から剛性率を 65GPa として計算)
。
・主な破壊継続時間は約 20 秒であった。
・モーメントマグニチュード(Mw)は 7.4 であった。
結果の見方は、http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/world/about_srcproc.html を参照。
すべり量
小さい←
→大きい
地図上に投影したすべり量分布
走向方向(km)
M
7.0
6.0
5.0
4.5
深い
浅い
150˚E
星印は初期破壊開始点、矢印は下盤側に対する
上盤側の動きを表す。
解析に用いたメカニズム解
(気象庁 CMT 解)
160˚E
N
5˚S
T
W
E
10˚S
N
P
赤星印と青星印はそれぞれ今回の地震と4月 11 日 Mw7.1 の地震の初期破壊
開始点を示す。白色の丸は4月 11 日の地震の発生後から今回の地震発生前
までの地震、灰色の丸は今回の地震の発生後1日以内の余震の震央を示す
(M4.5 以上、USGS による)
。青線はプレート境界を示す。
S
断層面の設定に用いた節面
(走向 321°、傾斜 35°、す
べり角 103°)を赤線で示す。
(注1)解析に使用したプログラム
M. Kikuchi and H. Kanamori, Note on Teleseismic Body-Wave Inversion Program,
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/ETAL/KIKUCHI/
作成日:2014/06/16
気象庁作成
観測波形(上:0.002Hz-0.5Hz)と理論波形(下)の比較
0
307.80 UD
IU.PET.00
P
20
40
60
(秒)
292.53 UD
202.14 UD
IU.KIP.00
P
92.86
IU.SNZO.00
P
UD
G.RODM.00
P
2.5
57.3
156.2
250.2
310.71 UD
305.38 UD
149.57 UD
160.54 UD
IU.BILL.00
P
IU.XMAS.10
P
GT.VNDA.00
P
II.DGAR.00
P
4.4
81.2
178.4
263.4
322.97 UD
223.23 UD
165.96 UD
50.74
IU.ADK.00
P
G.TAOE.00
P
IU.QSPA.00
P
UD
II.MSEY.00
P
19.1
96.6
180.0
264.2
217.97 UD
282.71 UD
132.01 UD
161.11 UD
IU.COLA.00
P
IU.AFI.00
P
II.PALK.00
P
IU.CASY.00
P
21.0
105.1
197.9
279.3
258.75 UD
217.28 UD
149.08 UD
225.94 UD
II.KDAK.00
P
G.PPTF.00
P
25.7
106.8
221.0
159.84 UD
215.28 UD
60.67
IU.COR.00
P
IU.CHTO.00
P
G.PAF.00
P
IU.RAR.00
P
295.9
245.24 UD
UD
IC.KMI.00
P
G.CRZF.00
P
44.8
113.1
222.3
304.2
136.89 UD
177.18 UD
131.72 UD
155.08 UD
II.PFO.00
P
IU.PTCN.00
P
56.4
114.2
138.14 UD
97.84
II.XPFO.00
P
62.61
56.4
117.6
247.8
171.91 UD
274.00 UD
341.1
306.68 UD
242.71 UD
347.8
248.20 UD
338.33 UD
316.2
349.8
269.59 UD
100 degr
ee
TIXI
BRVK
NIL
351.9
119.56 UD
275.57 UD
325.8
266.20 UD
50 degr
BJT
ee
MAJO
LSA XAN
KMI TATO
30 degr
ee
CHTO
COR
XPFO
PFO
KIP
PALK
XMAS
AFI
MSEY DGAR
TAOE
RAR PPTF
IU.MA2.00
P
RODM
RER
357.6
SNZO
残差 0.1272
PAF
CRZF
PTCN
RPN
AIS
246.46 UD
IC.BJT.00
P
COLA
BILL
KDAK
MA2
ADK
PET
YSS
YAK
AAK MAKZ ULN
HIA
IU.TIXI.00
P
318.8
323.2
観測点分布
IU.YSS.00
P
222.82 UD
II.BRVK.00
P
304.5
IU.YAK.00
P
315.4
IU.MAKZ.00
P
IC.LSA.00
P
IU.MAJO.00
P
313.4
IC.XAN.00
P
210.00 UD
UD
G.RER.00
P
IU.TATO.00
P
304.4
232.7
UD
II.RPN.00
P
II.AAK.00
P
II.NIL.00
P
G.AIS.00
P
CASY
VNDA
QSPA
IU.ULN.00
P
327.7
278.16 UD
IC.HIA.00
P
335.2
震央距離 30°~100°※1の 45 観測点※2(P 波:45、SH 波:0)を使用。
※1:近すぎると理論的に扱いづらくなる波の計算があり、逆に遠すぎる
と、液体である外核を通るため、直達波が到達しない。そのため、
評価しやすい距離の波形記録のみを使用。
※2:IRIS-DMC より取得した広帯域地震波形記録を使用。
参考文献
Bassin, C., Laske, G. and Masters, G., 2000, The Current Limits of Resolution for Surface Wave Tomography
in North America, EOS Trans AGU, 81, F897.
Kennett, B. L. N. and E. R. Engdahl, 1991, Traveltimes for global earthquake location and phase
identification, Geophys. J. Int., 105, 429-465.
気象庁作成