プリント

6.2 惑星,衛星の運動とケプラーの法則 p76
ケプラーの法則
面積速度は等しい
第1法則 惑星の軌道は太陽を1つの焦点
とする楕円である。楕円とは2つの焦点から
の距離の和が一定な点の集まりである。
速い
7月
遅い
楕円の焦点
1月
第2法則 太陽と惑星を結ぶ線分が一定
時間に通過する面積は等しい。
(面積速度一定の法則)
第3法則 惑星が太陽を1周する時間(周期)
Tの2乗と軌道の長軸半径aの3乗の比は、
すべての惑星について同じ値をもつ。
a3
= 一定
T2
太陽の輻射:近日点と遠日点で約6.9%(距離で3.4%)の違い:南半球の夏・冬厳しい?
豆知識 楕円の書き方:実演参照
楕円:2つの点(焦点)からの距離の和が一定な点の集合
ケプラーの第1法則:証明省略(難しいので)ニュートンが最初に証明した。
ケプラーの第2法則:惑星に作用する万有引力は、太陽を力の中心とする中心力なので
角運動量保存則,面積速度一定の法則が成り立つ
ケプラーの第3法則(円軌道の場合、楕円軌道の長軸半径 a = 円軌道の半径 r ) 問題:証明せよ。
ヒント:惑星(質量m)に働く向心力=太陽(質量M)と惑星間の万有引力
mrω2 = G
r(
)2 = G
惑星が太陽を1周する時間(周期)T の2乗と軌道の半径 r の3乗の比は一定
(すべての惑星について同じ値である)
ケプラーの第3法則(楕円軌道の場合):証明省略(難しいので)
第12回 (6/13)
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例題1:鉛直な細い管を通したひもの先端に質量 m の小石をつけ
水平面内で半径 r0、速さ v0 の等速円運動をさせる。小石に働く重力は無視せよ
(1)小石の細い管のまわりの角運動量はいくらか?
(2)ひもをゆっくりと引っ張って回転半径を半分にしたら、以下の物理量は
どのように変化するか?(実演参照:手がぶれるので、あまり理想的な実験でない。)
回転半径 r
小石の細い管のまわりの
前
後
何倍になった?
r0
r0
2
1
2
mv0r0
mv0r0
1
保存する
角運動量 L
(1)の答え
小石の速さ v
v0
2v0
2
½ mv02
2mv02
4
mv02/r0
8mv02/r0
8
小石の
運動エネルギー K
ひもの張力 S
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(3)ひもをゆっくりと引っ張って回転半径を半分にしたときのひもの張力 S(r) を求め図に示せ。
また、ひもが小石にした仕事を求めよ。
F
変位
張力S
r
r0/2
r0
ひもが小石に作用する力は-r方向で
小石の移動方向も-r方向なので
ひものした仕事は正である。
大きさは F-s図(S-r図)の面積
ひもの張力のした仕事は、(2)の表で求めた前後の運動エネルギーの差に等しい。
ひものした仕事の分だけ小石の運動エネルギーが増えた。
スケートのスピンも例題1と同じ原理である
[実験] 回転板をつかった実験
[ビデオ] 毛利衛さんの宇宙科学実験
フィギュアスケート
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6.3 ベクトル積で表した回転運動の法則 p77
モーメント: 原点 O から点 P へ向かう位置ベクトル r と、
点 P におけるベクトル量A とのベクトル積 r×A を
原点O のまわりの A のモーメント
モーメントという。
モーメント
A
r
P
O
P
F1
右図の場合、Οのまわりの力 F1 のモーメントは r1×F1,
大きさは r1F1 sinθ = F1r1 sinθ sin(π-θ ) = sinθ
であり、これまでの N = F1l1 = F1r1sinθ に一致する。
力Fのモーメント:N = r×F
運動量 p のモーメント(角運動量):L = r×p = r×mv
ベクトルとしての
C
ベクトル積 C = A×B
C の方向は A, B に垂直。(A,Bを含む面に垂直)
C の向きはAからBに右ねじを回した時に右ねじの進む向き、
C の大きさは |A| |B| sin θ (θ はAとBのなす角)
C = (AyBz-AzBy , AzBx-AxBz , AxBy-AyBx )
B
θ
A
Fy
y
一般のねじは皆右ねじ
問題:xy平面上の力F のモーメント N (3次元ベクトル)を
求めて、N = xFy-yFx(教科書6.3式)と比べよ。
F
プリント前回7ページ
物体
作用線
Fx
y
O
x
x
力のモーメントをベクトルで考えるとき、
大きさは今までどおり。
方向は回転軸方向。(r, F に垂直)
向きは r の先から F の先の方向に
右ねじをまわしたときに右ねじのすすむ向き
z
N やL をベクトルで考えないといけないのは、こまのみそすり運動(歳差運動)等のN と L が平行でない場合(8章)
そうでなければ、これまでどおり大きさ(正負の符号は含む)のみ考えていればよい。
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回転運動の法則(ベクトル表示)
( L = r×p )
L = r×mv の両辺を t で微分すると、
v
L
F
m
dL
= v×mv + r×ma = r×F = N
dt
r
O
dL
dt = N
N
|A×A| = A2sinθ = 0
(θ=0)
(ベクトルでも同じ形)
質点の角運動量の時間変化率は、その物体に働く力のモーメントに等しい
質点が中心力だけの作用を受けて運動する場合は、N = 0 なので L = r×mv = 一定(角運動量保存則)
(ベクトルでも同じ)
L = r×p
v, p
L
質点の位置ベクトル r( Oが始点)は常に角運動量 L に垂直
↓
質点は力の中心 O を含みLに垂直な平面上を運動する
m
r
F
(この平面に垂直な方向の初速度も力も 0)
N = r×F = 0
O
遇力
力の中心
大きさが等しく、平行で異なる2本の作用線上で作用し、
逆向きであるような1対の力 F と-F を
遇力
という
すべての点に関する遇力のモーメントは一定でその大きさは Fh である。h は作用線間の距離
姿勢制御用
ロケットエンジン
問題:長方形の宇宙船の隅に、姿勢制御用のロケットエン
ジンがついている。このエンジンの推力は |F| = 20 N である。
エンジンを左図のように作動させたとき、宇宙船に働く力
(遇力)のモーメントを求めよ。支点はどこに選んでもよい。
-F
宇宙船
15 m
F
10 m
h
作用線
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7章 質点系の重心,運動量と角運動量 p80
これまでは質点(大きさの無視できる物体)の運動を勉強した。
広がった物体を考えるときは、物体を微小な部分に分割し、そのおのおのを質点と考える。
質点系 : 質点の集まり
剛体
: 外から力を加えたときに変形が無視できる硬い物体
重心の2つの重要な性質
① 重心は、質点系を構成する物体の各部分に作用する
(①’そこで支えるとつり合う点、実演参照 )
重力
の合力が作用すると考えてよい点
② 重心は、質点系を構成する質点に作用するすべての外力の和 F が作用している
同じ質量の質点と同じ運動をする。 MA = F (M:質点系の質量,A:重心の加速度)
後で説明
2 つの質点の重心
2つの質点、P(質量m1)とQ(質量m2)の重心は、線分 PQ をm2:m1に分ける点である
例題:質量の無視できる棒の両端 P,Q に、左の図のように
質量m1と質量m2の小さな玉がついている剛体を考える。
それぞれの玉に働く重力 W1, W2 と線分 PQ を m2:m1にわける
点 G に作用する力 F = -(m1+m2)g がつり合うことを示せ。
つり合いの第1の条件:外力の合力が 0
外力の合力 = F+W1+W2 = -(m1+m2) g + m1g + m2g = 0
L1: L2 = m2: m1
つり合いの第2の条件:外力のモーメントの和が 0
外力の点Gのまわりのモーメントは、
N = W1L1-W2L2
= m1g L1- m2gL2
= ( m1L1- m2L2)g
F の作用線は
G を通るので
N=0
L1: L2 = m2: m1より L1m1 = L2m2
よって、N = 0 であり第2の条件を満たす。
2つの条件を満たすので W1, W2, F はつり合っている
(剛体のつり合いは8.2節で勉強します)
剛体の各部分に作用する重力の合力(W1+W2)と 点Gに作用する力F がつり合うということは、
剛体を点 G で力 F で支えるとつり合うということである。
よって、重心の性質①’より G が剛体の重心である。
(剛体の各部分に作用する重力の合力(W1+W2) が点Gに作用していると考えてもよい。重心の性質① )
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重心 G の位置ベクトル R
質量 m1 の球の中心の位置を r1 = (x1, y1, z1), 質量 m2 の球の中心の位置を r2 = (x2, y2, z2) とすると
2つの球の重心 R = ( X, Y, Z ) の位置は
Q
G
P
m1r1 + m2r2
R=
m1 + m2
m2
公式のイメージ
それぞれの質点の質量で
重みをつけた位置ベクトル
m1
R
r1
r2
X=
m1x1 + m2x2
m1 + m2
Y=
m1y1 + m2y2
m1 + m2
m1z1 + m2z2
m1 + m2
Z=
問題: PG と GQ の比を求めよ。(○:○か?,左図がヒント)
PG = R-r1 =
-r1 =
Q
G
P
m2
m1
R
r1
GQ = r2-R = r2-
r2
=
よって PG:GQ = m2 :m1 (G は線分 PQ を m2 :m1 に分ける点になっている。)
問題:質量 10 g の小さな球 A と質量 20 g の小さな球 B を質量の無視できる軽い棒で結合した剛体があ
る。球 A の位置ベクトルを rA = ( 4, 8, 0 )、球 B の位置ベクトルを rB = ( 1,-4, 3 ) としたとき、剛体の重心
G の位置ベクトルR を求めよ。
線分AGと線分GBの長さを求め、その比も求めよ。
AG : GB =
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回転台で遊ぼう
自転車のリム
回転台
中華料理屋のテーブル
みたいなもの
実験①スケートのスピンに挑戦
手におもりをもって回転し、伸ばした手に持ったおもりを体に近づける。
手だけでは効果が小さいので、おもり(各1.5kg )を持って行う。
参考:今日の2・3ページの問題、毛利さんの動画
問題①:回転している車輪を水平に持って回転台に立ち、その車輪を上下さかさまにするとどうなる?
実験②上の問題の動作を実際にやってみる。(解説はいずれ授業で行う。)
問題②:この回転台が理想的なものと仮定し、摩擦が全く無く滑らかに回転するとする。
この回転台に立ち、後ろを向くにはどうすればよいか?
(解答は、いずれ授業でします)
前回のブランコの問題とともに、回転台の問題も、授業で解説するまでに考えてみて下さい。
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学科
学生番号:
氏名:
この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。
面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。
この紙で今日の出席を確認します。
第12回 6月13日
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この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。
面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。
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