ＥＤＱＵＥＳＴＩＯＮ＆ＡＮＳＷＥＲ第９回藤川慶太 ED治療薬を飲んで、セックスしなくても大丈夫ですか? （ED治療薬の薬物動態、血圧に及ぼす影響、安全性など）バイエル薬品株式会社開発部門 Keita Fujikawa ＱＡ男性にとって非常に辛い状況ですが、服用後に性行為の機会がなかったからといって、薬剤の作用・安全性の面で特別な注意は不要です。勿論、ほてり、頭痛などの表１患者日記に記された「挿入の成功」の問いに‘はい’ と回答した被検者の％（括弧内はその時間帯に性行為を行った被検者の数） PDE５阻害薬の作用に関連した有害事象１）は性行為の有無にかかわらず発現する可能性はありますが、性的刺激がなければレビトラの効果は発現しませんので、思わ ® ぬ時に効果が発現して日常生活に支障を生じる可能性は低いです。＋：p≦0.0001 ♯：p＜0.01 ＊：p＜0.05 vs プラセボ性行為を伴わなかった時の参考データとして第Ⅰ相臨床試験の結果を紹介したいと思います。健康成人を対象プラセボ６０（５８）５６（８３）５８（８６）５１（１４８）５５（１１５）５５（１１１）５２（４６）５７（５９）５４（５６）５６（２５）５７（２３）８６（１２）服用からの時間０∼ １５分１５∼ ３０分３０∼ ４５分４５∼ ６０分６０∼ ７５分７５∼ ９０分９０∼１０５分１０５∼１２０分２∼ ３時間３∼ ４時間４∼ ８時間８∼１２時間レビトラ®５mg ６５（８５）＊７７（１１７）＊７０（１３１）６７（１６７）+ ＊６５（１４０）＃６９（１３３）＃７２（８０）＊７１（８８）＃７３（７４）７３（３１）＊８３（３２）９５（２１）レビトラ®１０mg ＃７７（８３）７７（１１８）+ ７９（１３２）+ ７９（１７２）+ ７９（１５５）+ ７６（１５２）+ ＃７６（８０）＃７７（９８）７９（９２）+ ＃８０（４９）＊７８（３８）８８（２５）レビトラ®２０mg ＃７８（６８）８３（１１０）+ ８４（１２３）+ ８１（１５６）+ ８０（１４３）+ ８４（１３１）+ ８６（７６）+ ８４（８７）+ ８２（９５）+ ＃８４（５９）＃８７（４６）８４（２６）にした日本の第Ⅰ相臨床試験の結果２）によると、レビトラ®10mg、20mg、40mgを投与後、血中濃度は45分で（μg/L） 30 （μg/L） 1000 ピーク（tmax）に達し、３∼５時間（図１）で半減（t１/２） 25 しました。有害事象として、頭痛（２例）とめまい（１ 100 28分から１時間後に認められましたが、いずれも軽度か血漿中 10 未変化体濃 1.0 度つ一過性で、無処置で消失しました。また、これらの有 0.1 例）がレビトラ®40mg投与時に報告されています（推奨用量・日本の承認用量は10mg）。これらの事象は投与後血 20 漿中未変 15 化体濃度 10 食後投与 Mean +- S.D. 10mg（n=6） 5 20mg（n=6）害事象は10mgおよび20mg投与時には認められませんでした。なお、投与量にかかわらず、血圧、脈拍数に臨空腹時投与 40mg（n=6）幾何平均値：幾何標準偏差 0.01 0 6 12 投与後時間 18 24 （hr） 0 0 6 12 投与後時間 18 24 （hr）床上特記すべき変動は認められませんでした。海外の第 Ⅰ相臨床試験でも同様の結果が得られていますし、これらの第Ⅰ相臨床試験の結果は、第Ⅱ相、第Ⅲ相臨床試験の安全性に関する結果と大きく異なるものではなく、服用後に性行為の機会がなかったからといって、何か特別な注意が必要になるわけではありません。また、服用の直後に性行為を行えなかった場合でも、図１レビトラ®空腹時単回投与時の血漿中未変化体濃度の推移（日本人）図２レビトラ®空腹時および食後に単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度（外国人）対象：日本人健康成人男子18例方法：レビトラ®10mg、20mg※および40mg※を空腹時単回経口投与対象：健康成人男子24例方法：レビトラ®20mg※を標準的な食事（総エネルギーに占める脂肪の割合が約30％）摂取直後に投与 ※20mg、40mgは国内承認用量と異なる。 ※20mgは国内承認用量と異なる。あせることはありません。レビトラ ® 服用４∼８時間後でも、プラセボと比較して統計上有意な効果が認められたとの報告が海外でなされています（表１）３）。ただし、ののチャンスを逃したという場合が最も考えられるので次にレビトラを服用する時には、必ず24時間以上間隔はないでしょうか。その点、レビトラ ® の薬物動態は食を空けるようにして下さい４）。５）、また効果の発現も早い事の影響を受けにくく（図２） ® ところで、こういった悲惨な状況はなぜ起こるのでしょうか。やはり、食事の前にPDE５阻害薬を内服したも 12 EDPractice 2005 Vol.3 No.2 ため３）、まさに必要な時に内服して頂ければ、速く・確実にED患者さんをサポートすることができます。文献 1）Nagao K，et al：Int J Urol 11： 515-524，2004 2）吉川健一ほか：日本臨床薬理学会誌 34（1）：197S-198S，2003 3）Hellstrom WJG，et al：J Androl 5：43，2004 4）レビトラ添付文書 5）Rajagopalan P，et al：J Clin Pharmacol 43 （3）：260-267，2003 2005 Vol.3 No.2 EDPractice 13