小児期に被爆した原爆生存者の 甲状腺疾患 (仮訳) Roy Shore, Kyoji Furukawa, Misa Imaizumi 財団法人放射線影響研究所(RERF) shore@rerf or jp [email protected] 原子爆弾生存者調査 原子爆弾生存者調査 概要 2 原爆生存者調査の特性 寿命調査 全年齢の被爆者86,000名以上を対象に、推定被爆線量と、死亡率 (1950~2008年)およびがんの発生率(1958~2009年)を長期にわ たり追跡調査 5歳未満で被爆の13,000名と5~9歳時被爆の9,500名を含み、被爆 線量が広範囲にわたる(1 mGy~3 Gy以上)被爆者を対象 成人健康調査(臨床診察) 10歳未満で被爆の2,600名以上を対象に超音波スクリーニングを 歳未満 被爆 名以上を対象に超音波 クリ グを 実施 3 寿命調査(LSS)での甲状腺線量分布 50 37,164 割合(% %) 40 30 23,107 20 10 6,753 6,141 6,545 3,795 2,214 952 0 0- 5- 50- 100- 200- 500- 1000- 2000+ 甲状腺荷重吸収線量(mGy) 10歳未満時の被爆者を対象とした甲状腺線量分布も、これに類似する。 4 寿命調査(LSS)における 寿命調査(LSS )における 甲状腺がん 甲状 腺がんリスク リスク 5 LSSの甲状腺がん : 線量反応関係 過剰 剰相対リスク ク(ERR) 4 ERR Gy-1 = 1.28 ((95%CI 0.6, 2.7)) 3 2 1 0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 荷重吸収甲状腺線量(Gy) (Furukawa et al, Int J Cancer, 132:1222-26, 2013) (被爆年齢10歳で60歳時のリスクとしてモデル化) 6 LSSの甲状腺がんリスクと 小児期外部放射線被曝の他の調査との比較 調査 LSS (Furukawa 2013) (10歳時での罹患率の推定) Rochester 胸腺 X線 (0歳 ; Adams 2010) I Israel l 頭部白癬 X線 (0-15歳 ; Sadetzki 2006) Michael Reese 扁桃腺 X線 (0-15歳 ; Ron 1995) 小児がん RT (統合データ 統 デ ; Veiga 2012) ERR (95% CI) per Gy EAR (95% CI) per 104 PY Gy 1.3 (0.6, 2.7) 3.0 (1.4, 5.0) 3.2 (1.5, 6.6) 2.2 (1.4, 3.2) 20.2 (12, 32) 9.9 (5.7, 15) 2 (0.6, 2.5 (0 6 26) 3 0 (0 3.0 (0.5, 1 17)) 1 3 (0 1.3 (0.7, 7 2 2.3) 3) NA N.A. 7 LSSの甲状腺がんリスクと チェルノブイリの チ リ 131I被曝調査との比較 被曝調 較 調査 LSS (Furukawa 2013) ((10歳時発生率の推定)) ウクライナ (スクリーニング、被曝年齢 0 17歳 ; Brenner 0-17歳 B 2011) Belarus (スクリーニング、被曝年齢 (スクリ ング、被曝年齢 0-18歳 ; Zablotska 2011) ウクライナ・ベラルーシ (環境調査、 環境調査 0-18歳 歳; Jacob 2006) ERR (95% CI) per Gy EAR (95% CI) per 104 PY Gy 1.3 (0.6, 2.7) 3.0 (1.4, 5.0) 1.9 (0.4, 6.3) 2.2 (0.04, 5.8) 2.2 (0.8, 5.5) N.A. 18.9 (11, 27) 2.7 (2.2, 3.1) 8 被爆年齢と到達年齢による 甲状腺がんリスク 40 1100,000人年 年-Gyでの過剰 Excess case es at 100,000 P剰例 Y-Gy 0 2 4 6 8 -5 5-9 10-19 20-29 30- 20 age at exposure 60 6 80 EAR 0 Excess re lative risk at 1 G Gy 1Gyでの過剰 剰相対リスク 10 ERR 20 30 40 50 60 70 80 90 20 30 到達年齢 attained age 40 50 60 70 80 到達年齢 attained age (出典: Furukawa et al, Int J Cancer, 132:122-26, 2013) 9 成人健康調査(AHS)の臨床診察 成人健康調査(AHS )の臨床診察で で 認められた甲状腺 認められた 甲状腺疾患 疾患 10 甲状腺疾患の診断法 定期AHS健康診断での甲状腺検査 問診票 : 甲状腺疾患・治療歴、家族歴、海藻摂取量 甲状腺疾患 治療歴 家族歴 海藻摂取量 超音波検査(5mm以上の小結節の検出) 吸引生検(10mm以上の充実性結節) 血液検査 • 甲状腺機能 : FT3, FT4, TSH • 甲状腺抗体 腫瘍登録からの腫瘍情報 病院からの医療情報(細胞診・病理検査の結果など) (Imaizumi et al, 2013, unpublished) 11 放射線量と充実性甲状腺結節(AHSスクリーニング) 10 オッズ比 8 EOR/Gy= 2.0 (95%CI 1.3, 2.9), n=464結節 6 4 2 0 0 1 2 3 甲状腺荷重吸収線量(G ) 甲状腺荷重吸収線量(Gy) (Imaizumi et al, JAMA, 295:1011-22, 2006) 4 12 放射線量、甲状腺がん、良性甲状腺結節 (AHSスクリーニング) 甲状腺がん 良性結節 8 8 6 6 オッズ比 10 オッズ比 10 4 2 EOR/Gy= 2.0 (95%CI 0.7, 4.9), n=70がん EOR/Gy= 1.5 (95%CI 0.8, 2.7), n=156結節 4 2 0 0 0 1 2 甲状腺荷重吸収線量(Gy) 3 4 0 1 2 3 甲状腺荷重吸収線量(Gy) 4 (Imaizumi et al, JAMA, 295:1011-22, 2006) 13 胎内被曝の臨床コホート : 充実性甲状腺結節の 放射線量反応曲線 20 18 充実性結節 16 1 GyでのOR = 2.78 14 (95% CI: 0.50, 11.8) P = 0.22 0 22 オ オッズ比 12 10 8 6 4 2 0 0 1 2 母体子宮線量(Gy)) ( (Imaizumi et al, J Clin C Endocrinol Metab. 2008;93:1641-8)) 14 RERFによる放射線と甲状腺の影響についての要約 線量範囲0~2 Gyにわたり、線形モデルと良好に合致した。 線形線量反応のリスク推定値は 線形線量反応のリスク推定値は、他の全ての外部被曝調査やチェルノブ 他の全ての外部被曝調査やチ ルノブ イリ甲状腺調査に近いものであった。 100 mGy未満の被爆者 : リスクが小さく、また統計的検出力に限界があ るため、リスク上昇は不確かである。 低年齢時の被爆者における甲状腺がんリスクは、最も高いことが明らか である 成人後の被爆者では 低リスクが認められる である。成人後の被爆者では、低リスクが認められる。 甲状腺がんリスクは被爆後から50年超継続する。 良性充実性甲状腺結節のリスクは、放射線被爆により上昇する。 良性充実性甲状腺結節 リ ク 、放射線被爆 より 昇する。 胎内被曝後の甲状腺結節リスクには、おそらく線量依存的な関係がある と考えられるが、本調査では断定できるだけの統計的検出力を認めな かった。 かった 15
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