公営企業管理者議案説明要旨

平成 27 年2月県議会
定 例 会 に お け る
公営企業管理者議案説明要旨
企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
はじめに、企業局事業を取り巻く状況等について、御説明申し上げます。
企業局においては、住民生活に最も身近な社会資本である水道事業及び
電気事業につき、地方公営企業法に定める「経済性の発揮」と「公共の福祉
の増進」を経営の基本原則として、事業の推進に努めてまいりました。
しかし、これら社会資本は老朽化が着実に進んでおり、加えて、国では
国民の生命と財産を守るための「国土強靭化基本法」を、昨年度、可決成立
し、大規模自然災害対策や社会資本の老朽化対策を強力に推進することとし
ております。
本県においても、これまでの長野県北部、中部の地震に加え、昨年は長
野県神城断層地震による大きな被害が発生し、さらに、今後、南海トラフ巨
大地震の発生も予測されており、県土の強靭化が強く求められております。
また、人口減少社会の本格的到来や県民のライフスタイルの変化などに
より、企業局経営に大きな影響が見込まれること、さらには、国が進めてい
る電力システム改革により、平成 28 年度から、電気事業経営の根幹に係る
卸規制の撤廃が予定されていること等から、こうした状況を真正面に見据え、
今こそ、長期的な視点に立った足腰の強い事業経営に取り組んでいく必要が
あるものと考えております。
このような中、国では、地方公営企業が適切な設備投資と財務の健全性の
確保の両立を図り、本来の目的である公共の福祉を増進していく必要がある
として、各地方公営企業に対し、中長期的な経営の基本計画となる「経営戦
略」を策定するよう要請しております。
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企業局といたしましては、平成 24 年 11 月に県議会の御理解を得て、電気
事業の継続を決定したこと、また、末端給水事業については、関係市町への
分割移管を前提とした協議を休止し、改めて関係市町と共に、地域における
より良い水道事業のあり方の研究に一歩を踏み出したこと等から、今こそ、
新しい企業局の将来像を描く時であると認識し、新年度に、今後 10 年を計
画期間とする「長野県企業局経営戦略」を策定することといたしました。
策定にあたりましては、公営企業の原則である「経営の安定」という視点に
立ち、設備投資及び財源見通しを定め、投資と収益のバランスの確保に努めて
まいります。
また、国が求めている「経営の安定」という視点にとどまらず、企業局がこ
れまで半世紀にわたり、それぞれの地域において、市町村や住民の方々に支え
られてきた経過を踏まえ、企業局の持つ技術力や信用力を活かした「地域への
貢献、地域との共存・共栄」という視点を位置付け、企業局としての新たな
役割を担い、地方創生の一助となるよう検討してまいりたいと考えておりま
す。
さらに、電気事業者として、また、水道事業者として、住民の安全、安心
の確保という責任を確実に果たすため、「リスクマネジメント」の視点につ
いても位置付けるなど、3つの視点を基本的な柱に据え、策定してまいりた
いと考えております
なお、「経営戦略」策定後の事業の推進体制も視野に入れ、現在、担当次
長制となっている組織を見直し、責任と所管の明確化を図るため、課制を導
入することといたしました。
また、「経営戦略」の策定に当たりましては、有識者等からなる「公営企
業経営審議会」を5年ぶりに設置するとともに、県議会はじめ、関係市町村
や県民など幅広く御意見を伺いながら、県民の確かな暮らしを支える役割を
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しっかり果たせるよう取り組んでいく所存であります。
なお、今回策定いたします「経営戦略」につきましては、「しあわせ信州
創造プラン」との整合性はもとより、県が策定を進めております「人口定
着・確かな暮らし実現総合戦略」及び「長野県強靭化計画」並びに「長野県
水道ビジョン」等へ反映すべく取り組んでまいります。
それでは、平成 27 年度企業局予算案の概要について御説明申し上げます。
平成 27 年度予算案の編成に当たりましては、経営の健全性を確保しつつ、た
だ今申し上げました経営戦略策定の3つの視点を踏まえ、「安定的な事業の経
営」、「県土強靭化」、「地域との共存・共栄」の3本柱を基に編成いたしま
した。特に、経営戦略に盛り込むべき事業のうち、電気、水道事業者として、
「安全、安心そして安定」確保のため、早期に取り組む必要がある事業につい
ては積極的に実施することとし、企業局としても防災・減災の取組の推進に努
めてまいります。
はじめに、電気事業の予算案につきまして御説明申し上げます。
業務量につきましては、美和発電所以下 14 発電所の管理運転を行い、年間販
売電力量については、小渋第2発電所等が大規模修繕のため休止することから、
本年度より約 800 万キロワットアワー少ない3億 8,000 万キロワットアワー余
を予定し、電力収入は、奥木曽発電所について固定価格買取制度の適用が終了
したこともあり、本年度より4億 8,000 万円余少ない 29 億 7,000 万円余を計上
いたしました。
収益的支出のうち、営業費用につきましては、発電設備の維持管理に要する
経費及び業務の運営経費を計上いたしました。
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また、資本的支出のうち、建設改良費につきましては、これまで民営化協議
により遅れていた老朽化設備の改修を推進すること、及び、今後の抜本的な大
規模改修を見据え、将来的な料金収入の安定的確保に資するべく、新規発電所
2か所の建設等に積極的に取り組むなど、本年度より5億 2,000 万円余多い、
11 億 9,000 万円余を計上いたしました。なお、この建設改良費の財源とし
て、企業債の借入額9億 5,800 万円を予定しております。
次に電気事業の主な取組について申し上げます。
経営基盤の強化を図るため、高遠及び奥裾花で進めております新規発電
所建設につきましては、引き続き発電設備の製造を進めるとともに、新たに
土木工事に着手するなど、それぞれ平成 28 年度中の運転開始を目指して取
り組んでまいります。
なお、両事業とも、先に、国から固定価格買取制度の適用が正式に認めら
れましたことから、計画どおりの収入が確保され、経営の安定化につながる
ものと考えております。また、企業局全体の発電量の約4分の1を占める春
近発電所の大規模改修を見据え、料金収入の安定的確保を図る必要もあるこ
とから、老朽化が進展している西天竜発電所のリプレースに着手するための
設計費を計上いたしました。なお、春近発電所の大規模改修は、多額の経費
が必要と考えられますことに加え、企業局としましても、国の「日本再興戦
略」に位置付けられたPFIの推進に資するため、全国に先駆けて発電設備
へのPFI事業の導入の可能性について、民間金融機関等とプロジェクトチ
ームを設置し、検討に着手いたしました。
そのほか、老朽化により修理部品の調達が困難となった菅平発電所の設備
の更新など、故障による発電停止を未然に防止するため、緊急性の高い事業
を実施してまいります。
「県土強靭化」に向けた取組につきましては、地域の安全・安心の確保のた
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め、国庫補助事業を活用し、高遠ダムの耐震性能照査事業を継続するとともに、
新たに湯の瀬ダムに加え、県管理の裾花ダムについては共同して実施すること
といたしました。
「地域との共存・共栄」につきましては、県が取り組む自然エネルギーの普
及・拡大を支援するため、新年度は4億 1,795 万円余を一般会計へ繰り出し
てまいります。なお、これにより当初5年間をかけて繰り出す予定をしてお
りましたが、3年間に前倒すことといたしました。
また、山からの水の恩恵を受けている水力発電事業者として、豊かな水
を育む水源林の整備に取り組む県の施策を支援するため、新年度から、新た
に 1,000 万円を一般会計に繰り出すことといたしました。
このほか、農業用水路を活用した小水力発電を計画する土地改良区に対
し、企業局の有する技術力及び信用力を活用した支援について、市町村や関
係機関と連携して検討を進めてまいります。
次に、水道事業の予算案につきまして御説明申し上げます。
業務量につきましては、末端給水事業では、長野市など3市1町の7万
5,000 戸余りに対し、年間給水量 1,800 万立方メートル余を予定しております。
近年、給水戸数は微増の一方、節水意識の高まり等から、給水量は逆に減少傾
向が見受けられますことから、水道料金収入は、本年度を若干下回る 34 億
6,000 万円余を計上いたしました。また、用水供給事業では、松本市、塩尻市、
山形村に年間給水量 2,800 万立方メートル余を予定し、用水料金収入は、本年
度とほぼ同額の 13 億 8,000 万円余を計上いたしました。
また、資本的支出のうち、建設改良費につきましては、末端給水事業では、
耐用年数が経過し、機能維持が困難なものや、破損の恐れのある設備・管路の
更新、及び、耐用年数にかかわらず重要な施設や基幹管路の耐震化の積極的推
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進、並びに用水供給事業では浄水池増設工事の本格化等により、本年度より 20
パーセント増の 31 億 7,000 万円余を計上いたしました。
なお、これら建設改良費の財源については、安定経営の確保を図るため、末
端給水事業の企業債の発行額を償還額の範囲内に抑制することとし、企業債の
借入額 17 億 5,700 万円を予定しております。加えて、内部留保資金についても
過去の経営実態を踏まえて一定額を確保し、経営の安定に配慮したところでご
ざいます。
次に、水道事業の主な取組について申し上げます。
「経営の安定」に向けた取組としては、老朽化施設・設備の更新を積極的に
推進するとともに、経営に直接影響するとされる有収率向上について、これま
での対症療法的な対応だけでなく、抜本的な解決を図るため、全国の先進事例
調査を踏まえ、新たな手法を導入試行することといたしました。このほか、検
定満期となった水道メーターを、これまで新規購入してまいりましたが、計量
法の基準を確保したうえで、修繕再利用する方式を導入することで、年間約
1,300 万円余の削減効果を見込んでおります。
「県土強靭化」の取組としては、災害に強い安定した水道を確保するため、
施設の耐震化を積極的に進めるとともに、昨年、事業開始以来、初めて発生し
た「カビ臭」については、多くの住民の方々にご迷惑をおかけしたことから、
早期に必要な対応が取れるよう、検査体制の強化を図ることといたしました。
このほか、自然災害以外の危機管理事象にも的確に対処するため、体制の充実
を図ってまいります。
「地域の共存・共栄、顧客サービスの向上」につきましては、水道の水圧が
低い地域の利便性の向上のため、新規配水管をバイパス布設する事業や、利用
者からの漏水通報に、より迅速に対応するための委託業務の拡充など体制の強
化を図ってまいります。
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また、過疎町村にあっては、暮らしの基礎である水道施設の整備等が困難な
事業体もあることから、企業局の持つマンパワー、技術力、信用力を活用した
支援事業を検討してまいります。なお、国に対し、国としての支援を既に要請
しており、前向きに検討いただいていることから、今後とも、連携を密にして、
具体化に向けて努力してまいります。
このほか、末端給水事業につきましては、関係市町と共に、地域におけるよ
り良い事業のあり方を研究するため、本年度、研究会を設置し、各事業体の現
状把握から進めてまいりました。今後、事業体ごとの運営上の課題について整
理し、それぞれに意見交換を行い、一つ一つ理解を得ながら、前へ進めてまい
りたいと考えております。
以上、電気事業会計と水道事業会計を合わせた企業局全体の予算額は、収益
的収入と資本的収入の合計額 118 億 1,970 万8千円で、本年度より 1.5 パーセ
ント減少しておりますが、新会計制度への移行にともない本年度予算に計上し
た臨時的収入を除いた合計額では、3パーセント増となっております。一方、
収益的支出と資本的支出の合計額 149 億 2,189 万1千円で、本年度より5パー
セント増加となっております。
以上、企業局関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。
よろしく御審議の程をお願い申し上げます。
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