ヒトに対する栄養と 運動の相乗効果の検証 樋口 満 早稲田大学スポーツ科学学術院 専門 健康増進と加齢に関する運動生理・生化学 学歴 略歴 職歴 1971 年3月 1975 年3月 1977 年 12 月 1987 年3月 1978 年1月 名古屋大学理学部化学科卒業 1987 年7月 2002 年6月 2003 年4月∼ 2013 年 6 月∼ 健康増進部健康指標研究室 室長 東京大学大学院教育学研究科 修士課程体育学専門課程修了 同上博士課程単位取得中途退学 教育学博士(東京大学)取得 厚生省 国立栄養研究所(現 独立行政法人 国立健康・栄養研究所) 健康増進部運動生理研究室 研究員 健康増進研究部 部長 早稲田大学スポーツ科学部(現 スポーツ科学学術院) 教授 早稲田大学重点領域研究機構 アクティヴ・エイジング研究所 所長 食や運動のタイミングおよびそれらの相 互作用が高齢者の健康・身体機能に及ぼす 影響を検討するため、早稲田大学人間科学 部・スポーツ科学部が拠点とする所沢キャ ンパスを中心とした所沢市をフィールドと して、3 年間にわたって、毎年、被験者と して参加する中高年 200 名を対象に調査 研 究 を 実 施 す る。 食 生 活 に 関 し て は BDHQ(簡易式自記式食事歴法質問票)を 用いて、栄養摂取状況と食事内容の評価を 行う。生活リズムは、加速度型、モーショ ンウオッチと質問紙を併用し、食事・運 動・睡眠のタイミングを調査する。また、 時計遺伝子、肥満関連遺伝子などの SNP 解析により評価した遺伝素因を踏まえて、食や運動のタイミングが高齢者 の健康・身体機能に及ぼす影響を検討する。健康・身体機能に関しては、DXA 法による体脂肪率と骨密度、MRI 法に よる内臓脂肪蓄積の評価、そして運動負荷試験による心肺体力、フィールドテストによる筋力や調整力・動的バラン ス能力の評価、さらには血液生化学検査を行う。これらの基礎研究データを基に、平成 29 年度から実施する、機能 性食品の摂取タイミングと運動の相乗効果を検証するための介入実験のグループ分けを行う予定である。 食や運動のタイミングと高齢者の健康・身体機能との関連を調査するに先立ち、平成 26 年度までに収集した中高 齢男性約 200 名のデータを用いて、食事・運動・遺伝素因が健康・身体機能に及ぼす影響について予備的検討を行っ た。その結果、1)高齢者においてタンパク質エネルギー摂取比率と微量栄養素の充足状況が高い者では脚伸展パワ ーが高いこと、2)高齢者においては高強度の身体活動量時間は心肺体力や筋力に強く関連するが、中強度の身体活 動量時間とこれら身体機能指標との関連は弱いこと、3)30-64 歳の中年男性においては、時計遺伝子の1つである メラトニン受容体の遺伝子型が GG 型の者は CC 型の者と比較して空腹時血糖値が有意に高いが、65 歳以上の高齢男 性においては遺伝子型による差は認められないことなどを明らかとしている。 これらの結果を踏まえ、時間栄養学・時間運動学の視点から高齢者の健康・身体機能に及ぼす食と運動の相乗効果 を検証していく。 17
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