液晶表示装置を利用した どこでも使える可視光通信システム 静岡大学大学院 工学研究科電気電子工学専攻 准教授 和田忠浩 1 可視光通信(Visible Light Communications : VLCs) 可視光を用いた無線通信技術 送信機 照明インフラを 通信に利用 セキュアな 通信が可能 人体や精密機器に 与える影響が少ない 電波法による 制限がない レーザー 蛍光灯 LED 液晶 受信機 フォトダイオード イメージセンサ 2 想定される応用例 光源 医療情報 介護情報 車いす 制御情報 応用例1: 病院や工場など、 電磁波による通信の 難しい場所での利用 野球 データ 01001.. 応用例2: 動画像等への埋め込み スマホ等で簡単に送受信 3 受光素子とその特徴 フォトダイオード ・研究の主流 ・高速な通信が可能(例えば数十Mbps) ・高速化にはデバイスの問題が重要な課題 イメージセンサ ・研究の数はフォトダイオードほど多くない ・ディジタルカメラを受信機として使える (だれでもどこでもが容易に実現できる) ・一般的に高速な通信は難しい(カメラは30fps) 送信機 レーザー 蛍光灯 LED 液晶 受信機 フォトダイオード イメージセンサ 4 イメージセンサ(Image Sensor : IS) ✔ソフトウェア上で画像処理による情報復元 ✔イメージセンサが広く普及 送信機 レーザー 蛍光灯 LED 液晶 ✔サンプリングレートが低い (広く普及しているISが30[fps]程度) 通信の高速化手法 ①並列伝送(Parallel Transmission : PT) ②色変調(Color Shift Keying : CSK) IS 受信機 フォトダイオード イメージセンサ 5 ①並列伝送 信号点を複数並べ,同時に情報を送信 並列伝送型無線可視光通信 6 ②色変調 3原色(赤,緑,青)を組み合わせることによって様々な色を作り出すことができる 例えば、3原色をそれぞれON-OFFにして組み合わせる場合23=8色作ることができ、 3[bit]を伝送することができる “black” (R,G,B)=(0,0,0) “blue” (R,G,B)=(0,0,1) “red” (R,G,B)=(1,0,0) “purple” (R,G,B)=(1,0,1) “yellow” (R,G,B)=(1,1,0) “light blue” (R,G,B)=(0,1,1) “green” (R,G,B)=(0,1,0) “white” (R,G,B)=(1,1,1) 7 関連研究の紹介 交通信号による 可視光通信 (名古屋大学他) 可視光通信 プロジェクタ (東京大学他) ピカピカメラ ピ カリコサ ービ ス (CASIO) 本研究 送信光源 LEDアレイ プロジェクタ 液晶表示装置 並列伝送 ○ ○ × LEDアレイ 液晶表示装置 ○ 情報変調 ON-OFF ON-OFF 色変調 色変調 △(信号色+情報) ○ × 今後の課題 高(高コスト) 高(高コスト) 低(汎用) 低(汎用) 情報埋め込み 受光イメージセンサ 撮像速度 低速の汎用のイメージセンサを利用 ■並列伝送型は必須 ■情報埋め込みのためにも色変調を採用 8 並列伝送型可視光通信システムの実験例 USBカメラ 液晶表示装置 9 実験機器 送 信 機 Name of product Display size Resolution Interface Name of product 受 Resolution of images 信 Gradation 機 Frame rate FTD-G722AS2 17[inch] 色変調 液晶表示装置 1280×1024[dot] analog RGB 画像処理 Lumenera Lu75C 640×480[pixel] 8[bit] 5.0-60.0[fps] PC USBカメラ 液晶表示装置 を撮影 10 システムの構成 受信機 送信機 データ入力 データ出力 誤り訂正 復号器 誤り訂正 符号化器 インター リーバ スタートコード 生成器 デインター リーバ 位置信号 生成器 デマッパー マッパー 画像処理 色変調 液晶表示装置 チ ャ ネ ル イメージ センサ 11 複数フレームの送信 より多くの情報を伝送するために 複数のフレームを伝送する⇒動画像処理 #0 #1 #2 ・・・ #k ・・・ #K‐2 #K-1 12 複数フレームの送信 受信側でスタートコードを検出することで何番目のフレームか認識 #K‐2 Start code #1 #2 ・・・ #k ・・・ #K-1 Time 送信側 13 位置検出 表示部分の4角を検出 キャプチャ 位置検出 透視変換 状態判定 14 位置検出 キャプチャ 位置検出用信号の送信符号に M系列を用いる ☆ 優れた自己相関特性 ☆ “0”と“1”の等量性 位置検出 透視変換 状態判定 15 位置検出と透視変換 キャプチャ 位置検出 透視変換 状態判定 Ptl Ptr Pbl Pbr 透視変換 情報部の取り出し フレームの角から最も近い点を 位置検出用信号として検出 16 セルの状態値検出 𝑛d𝑑[pixel] セルの状態値 𝑅 𝑚,𝑛 ,𝐺 𝑚,𝑛 ,𝐵 𝑚,𝑛 ・セルは複数の受信画素に よって構成される 𝑛d [pixel] セルの状態値𝑅 𝑚,𝑛 : セル内の受信画素の赤の受信光強度の平均値 セルの状態値𝐺 𝑚,𝑛 : セル内の受信画素の緑の受信光強度の平均値 セルの状態値𝐵 𝑚,𝑛 : セル内の受信画素の青の受信光強度の平均値 17 状態判定 基準値とセルの状態値の 距離から色判定 𝑅 𝑚,𝑛 ,𝐺 𝑚,𝑛 ,𝐵 𝑚,𝑛 R G B 𝑑𝑐 = 𝑅 𝑚,𝑛 𝑐 − 𝑅𝑎𝑣𝑒 𝜎𝑅𝑐 2 + 𝐺 𝑚,𝑛 𝑐 − 𝐺𝑎𝑣𝑒 𝜎𝐺𝑐 2 + 𝐵 𝑚,𝑛 𝑐 − 𝐵𝑎𝑣𝑒 𝜎𝐵𝑐 2 𝑐 = "Black", "Blue","Green", "Light Blue", "𝑅𝑒𝑑", "𝑃𝑢𝑟𝑝𝑙𝑒", "𝑌𝑒𝑙𝑙𝑜𝑤", "𝑊ℎ𝑖𝑡𝑒" 18 実験概要 通信距離に対する BER(Bit Error Rate)特性 USBカメラ 液晶表示装置 BER = 誤って受信したビット数 受信ビット数 Communication distance Number of trials 100-250[cm] Modulation method Color-Shift Keying Frame rate 5.0[fps] Environment Indoor, 830[Lux] 1000[times] 19 液晶表示装置の表示パターン Ex1 Ex3a Ex3b Ex3c The number of boxes per frame (M×N) 648 (18×36) 968 (22×44) 1922 (31×62) 1300 (26×50) The number of pixels per box (height×width) 484 (22×22) 324 (18×18) 169 (13×13) 256 (16×16) The number of colors 8 (black, blue, green, light blue, red, purple, yellow, white) 4 (black, blue, red, purple) 2 (black, red) 8 (black, blue, green, light blue, red, purple, yellow, white) FEC (Code Rate) Uncoded (1.00) Uncoded (1.00) Uncoded (1.00) Turbo, encoded (0.50) Symbol per frame 644 964 1918 1296 Bit per frame 1932 1928 1918 1942 20 液晶表示装置の表示パターン Ex1 Ex3a Ex3b Ex3c The number of boxes per frame (M×N) 648 (18×36) 968 (22×44) 1922 (31×62) 1300 (26×50) The number of pixels per box (height×width) 484 (22×22) 324 (18×18) 169 (13×13) 256 (16×16) The number of colors 8 (black, blue, green, light blue, red, purple, yellow, white) 4 (black, blue, red, purple) 2 (black, red) 8 (black, blue, green, light blue, red, purple, yellow, white) FEC (Code Rate) Uncoded (1.00) Uncoded (1.00) Uncoded (1.00) Symbol per frame 644 964 1918 1296 Bit per frame 1932 1928 1918 1942 Turbo, encoded ターボ符号 (0.50) (誤り訂正符号) 21 実験: 通信距離に対するEx1, Ex3a, Ex3b, Ex3cのBER特性 Parameters of the Turbo code 2色, Uncoded 13×13[pixel/box] 4色, Uncoded 18×18[pixel/box] 8色, Uncoded 22×22[pixel/box] ExBは150,200[cm]で誤りがなかった 8色, Turbo encoded 16×16[pixel/box] Constraint length 3 Generator matrix (5,7) Coded rate 1/2 Word length Information:1942[bit] Code:3888[bit] Decoding 10[times] ☑250[cm]以下ではEx3cは BER特性が最も優れている ⇒ターボ符号が有効である 22 本研究の成果と今後の課題 研究成果: ・色変調の導入によって伝送速度がおよそ3倍に ・誤り訂正符号と色変調の組み合わせで、誤り無く通信でき る距離が2.5倍程度に 今後の課題 ・計算量の低減+JAVAなどでの開発(スマートフォンなど への組み込みのため) ・情報の埋め込み技術 など 23 お問い合わせ先 静岡大学大学院工学研究科電気電子工学専攻 准教授 和田忠浩 Tel: 053-478-1611 Email: [email protected] 静岡大学 イノベーション社会連携推進機構 特任准教授 鈴木俊充 Tel: 053-478-1713 Email: [email protected] 24
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