研磨パッド内部構造が及ぼす研磨性能への影響

Copyright Ⓒ 2014 JSPE
D08
研磨パッド内部構造が及ぼす研磨性能への影響
ニッタハース株式会社
○藤本圭一朗
宮本一隆 薄谷美由紀 尾形謙次郎
The effect of polishing pad internal structure on the polishing performance
Nitta Haas Inc. Keiichiro Fujimoto, Kazutaka Miyamoto, Miyuki Usutani, Kenjiro Ogata
Type of the polishing pad may vary. For example Closed-cell, Non-foamed, and Teardrop structure.
The present study investigates parameters of a pad internal structure which determine the polishing performance.
1.緒言
触面積を測定した。接触面積測定時の押し付け圧力に
半導体デバイスの微細化・多層化が進むにつれて
関しては研磨条件と同一の 350g/cm2 とした。
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は半導体プロ
セスに必要不可欠な技術となっている。CMP の中で
3.実験結果および考察
主要な部材の一つであるパッドの素材、内部構造は
各発泡径、密度における研磨レート結果を Fig.1 に
様々である。一般的に内部構造として「無発泡、涙滴
示す。結果から密度値に反比例して研磨レートが向上
発泡、独立発泡」等が挙げられる。研磨対象、工程に
している。低密度領域においては発泡径による研磨レ
よって必要とするパッドの内部構造は種々さまざま
ート差は観られず、各発泡径の研磨レートは同等であ
であるが、パッド内部構造は研磨性能に大きく寄与す
る。高密度領域においては発泡径間において差が観ら
る。本研究では独立発泡タイプのパッドにおいて、異
れ、発泡径に比例して研磨レートが向上している。要
なる発泡径、密度を用いて比較研磨試験を行い、研磨
因解析として、パッド諸物性「パッド表面状態、弾性
性能に影響を及ぼすパッド内部構造の要因解析を行
率」等の分析を行った。
った。
2.実験方法
Table1. 研磨条件
試験には、平均発泡径が 20um、40um、80um を
試験装置
有する三種のポリウレタンパッドを用いた。
三種の発泡径を用いた。
種々のパッドにて研磨を行い、研磨レートを確認した。
研磨条件
またパッド密度を振り、同時に各密度において上記の
CMP研磨装置
(荏原製作所 EPO222D)
ドレッサー
EP1AG-150730-NC
スラリー
ヒュームドシリカスラリー
パッド
独立発泡タイプ ポリウレタン
パッド
(発泡径:20,40,80um)
研磨試料
φ 200mm TEOS膜付きウェハ
ウェハ回転数 (rpm)
60
定盤回転数 (rpm)
41
定し、各パッド物性を把握した。
研磨圧力 (g/cm2)
350
研磨条件を Table 1 に示す。
スラリー流量 (ml/min)
150
研磨時間 (s)
60
ドレッサー回転数 (rpm)
17
また、パッドの表面状態と接触面積、及び弾性率を測
膜付きウェハとした。パッド表面状態に関しては、レ
ーザー顕微鏡(KEYENCE 社製 VK-9700)を用いて
観察を行った。
またレーザー顕微鏡を用いてウェハに見立てたガラ
ス板に押し当てた際の接触面を撮影、及び解析して接
2014 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集
- 281 -
コンディショニング
条件
研磨試料は、層間絶縁膜の CMP を想定して、TEOS
定盤回転数 (rpm)
40
ドレッサー押し付け力 (N)
100
潤滑液
超純水
処理時間
Break-in (s)
1800
Ex-situ (s)
30
Copyright Ⓒ 2014 JSPE
D08
Fig.2 に研磨後パッド表面粗さを示す。
結果から、密度値に反比例して表面粗さは向上してい
る。また発泡径に比例して表面粗さは同様に向上して
いる。高密度領域においてはパッド表面粗さに比例し
て研磨レートが向上しており、表面粗さと研磨レート
間に相関の可能性が示唆される。一方、他密度領域に
おいては、低密度領域に代表されるように、発泡径間
によって表面粗さに差は観られるが、研磨レートには
Fig1. 研磨レート
差が観られない。ある一定密度以下領域においては、
パッド表面状態と研磨レート間における相関性の可
能性は低いことが示唆される。
16.00
Fig.3 にパッド弾性率結果を示す。結果から密度値
泡径に関わらず弾性率の差は観られず、同等であった。
Pad roughness Ra [um]
に比例して弾性率が向上している。低密度領域では発
14.00
12.00
10.00
8.00
6.00
20um
4.00
40um
増加が見られた。
2.00
80um
弾性率に差が見られることから、研磨時、つまりパッ
0.00
高密度領域においては発泡径に反比例して弾性率の
0.50
0.60
0.70
ド圧縮時において研磨レート差に寄与する可能性が
0.80
0.90
1.00
Density [g/cm3]
Fig2. 研磨後パッド表面粗さ
考えられる為、パッド接触面積測定を行った。
Fig.4 に研磨後パッド接触面積率を示す。結果から
1200
度領域では発泡径に関わらず、接触面積率の差は観ら
1000
れず同等であった。高密度領域においては発泡径に比
例して接触面積率の増加が見られた。弾性率の低下に
より、パッド自体が軟性となり、研磨圧縮時において
Elastic modulus [MPa]
密度値に反比例して接触面積率が向上している。低密
800
600
400
20um
40um
接触面積率が高まり、研磨レートに影響したことが示
200
唆される。また高密度領域においては発泡径によって
0
0.50
80um
0.60
0.70
弾性率に差が見られ、同時に接触面積率にも差が見ら
0.80
0.90
1.00
Density [g/cm3]
Fig3. パッド弾性率
れる。研磨レートにも同様の傾向が観られることから、
ある一定密度以上領域においては、パッド弾性率に発
泡径が寄与していることが考えられる。
4.結言
本研究では、発泡径、および密度の異なるパッドを
用いてパッド内部構造が、研磨性能に及ぼす影響の検
Contact area ratio [%]
2.50
2.00
1.50
1.00
討を行った。結果、発泡径、密度と弾性率、および研
0.50
磨レートに相関が見られた。このことから発泡径、密
0.00
度が研磨性能を決定する指標となりうると考える。
20um
40um
80um
0.50
0.60
0.70
0.80
0.90
Density [g/cm3]
Fig4. 研磨後パッド接触面積率
2014 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集
- 282 -
1.00