企画書 田吾作どんのいる村 2016 / カラー / HD / 30 分 製作:「田吾作どんのいる村」製作委員会 監督 :猪浦 直樹 問い合わせ:「 田吾作どんのいる村」製作委員会 090ー1810 ー 7925 EーMAIL :[email protected] 企画意図 原発事故以降、人間と自然との関わり方が問われています。 科学への信仰が行 き過ぎた弊害が、私たちの生活を蝕み始めていないでしょうか? かつての日本人の信仰の対象は、“自然”でした。農耕民族は、雨や日光を神に祈 るしかないからでした。 かといって、古代人に戻れるはずはありません。でも、自然と共存して行こうと する姿勢は、持てるのではないでしょうか? 自然に対して、人間が奢っていなかった頃の物語を、厳しくも美しい新潟の自然 の中で、描きたくなりました。宮沢賢治の童話「虔十公園林」(けんじゅうこうえ んりん)のような地方都市とそこに暮らす人々の普遍的な物語になればいいなあと 思っています。 内容 新潟と言えば、雪国です。 山間部では、毎年大変な積雪量を記録し、気温も低 く、毎日の雪おろし作業は、大変な肉体労働で、吹雪ともなれば、交通機関は麻痺 し、家に閉じ込められてしまいます。しかし、その雪は芳醇な水となって、お米や 農産物という恵みを授かるのです。不便なもの、格好悪い事のなかにこそ、人間に とって本当に大切なものが隠れているのです。その冬の厳しさと美しさを映像に閉 じ込めたいと思います。 人間の生活に最も大切な“水”がもう一つのテーマです。人間の体の 60%が水であ ることは、よく知られています。雪解け水は川となり、海に注ぎ、蒸発して雲とな り、雨や雪となって大地に吸収される。この循環の中で、人間は自然に生かされて いるのです。 水の汚染が進行しています。近い将来、世界中で水の奪い合いが始まるだろうと 言われています。 今こそ、水を大事にする時なのです。 開拓時代。新潟県内の山間部、雪深い村の言い伝えとなる悲恋が、この映画の主 軸となります。少年の叶わぬ恋心は、結果的に村を救うことになります。 ストーリー 豪雪地帯のある村の藁葺き屋根の家では、囲炉裏を囲んで祖母が孫に、この村に伝わる 伝説を話していました。 「ある村に、“田吾作どん”という知恵遅れの少年が住んでいました。でも、村人は誰も彼 を馬鹿にはしませんでした。昔は、村に必ずそういう子がいました。その村では、長い凶 作が続き、どの家の生活も苦しいものでした。田子作どんの家も、貧しい農家でしたが、 田吾作どんは、家の手伝いもせずに、たんぼの中を駆け回ったり、黙って夕陽を眺めてい たり、トンボを追いかけたりの毎日でした。」 ある秋の日、田吾作どんは、村の娘に恋をしました。田吾作どんは、自分の気持ちをう まく伝える事が出来ずに、一人悶々とし、黙って物陰からそっと娘を見つめる事しかでき なかったのです。娘には、許嫁がいました。もちろん、娘が田吾作どんの気持ちになど気 付くはずもなく、また、気付いても結果は同じ事だったでしょう。 その娘の祝言の日、田んぼの中の婚礼の行列を、田吾作どんは、成す術もなく、見つめ ていました。田吾作どんは、山の頂きの岩の上で号泣しました。すると、辺りの 雲行き が怪しくなり、雨が降り始めました。やがて、雨は雪に変わり、吹雪となっても田吾作ど んの慟哭は止まりません。 吹雪は一ヶ月も吹き荒れ、村をすっぽり覆い尽くしてしまいました。 田吾作どんは、 あの祝言の夜から、行方不明で、両親が捜索に行きたくても、この吹雪では身動き出来ま せんでした。また、探しに行ったとしても、この寒さでは、生きてるはずもありませんで した。 やがて、春が来ました。しかし、奇妙なことに、雪が溶けても、田吾作どんの死体は、 どこからも発見されませんでした。 もっと驚いたのは、凶作続きのこの村が、その年始 めて豊作になってのです。全ては、あの豪雪のおかげでした。あの雪は春になり、大量の 雪解け水となり、田畑を潤したのです。村には、澄んだ地下水が不足していたのです。 村人は、いつしかあの雪は、田吾作どんの涙が凍ったものだと、噂するようになりまし た。田吾作どんは、この村の守り神となったのです。村のはずれの神社に墓を作り、毎年 秋になると、田吾作祭で、豊作に感謝するのです。 現代の藁葺き屋根の家の囲炉裏の回りでは、祖母が話の最後に、孫に言った。 「だから今でも、この村では、吹雪になる事を、『また、田吾作どんが振られた』 と言って、豊作が約束された事を喜ぶようになったんじゃ。おしまい」 キャスト 田吾作どん 福士蒼汰(イメージキャスト) 村の娘 黒木華(イメージキャスト) 母 風吹ジュン(イメージキャスト) 父 田中要次(イメージキャスト) 制作スケジュール 2015 年 2 月中旬〜下旬ロケハン予定 2015 年 3 月〜2015 年 12 月 撮影予定 2016 年 1 月〜3 月 編集•仕上げ 2016 年 春 公開予定 「彼」と二本立てで、東京 • 新潟 他で、自主上映。 ロケ地 新潟県内(柏崎、十日町、他を予定。) 2014.12.16.現在
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