微小粒子状物質(PM2.5)成分分析調査

微小粒子状物質(PM2.5)成分分析調査
PM2.5 については、平成 21 年9月に環境基準が設定された。これを受けて本市では平成 23
年度より自動測定機を用いて連続的に質量濃度測定を行っている。また、効果的な PM2.5 対策
の検討のため、平成 24 年度より、質量濃度に加え PM2.5 の成分分析調査を行っている。
1.調査地点及び捕集期間
自動測定機を用いて連続的に PM2.5 質量濃度測定を行っている大気測定局から選定した、灘浜
大気測定局及び須磨大気測定局の2地点で、四季に1回(年4回)
、各2週間捕集を行った。
春季:平成 25 年5月8日~5月 22 日
夏季:平成 25 年7月 24 日~8月7日
秋季:平成 25 年 10 月 28 日~11 月 10 日
冬季:平成 26 年1月 22 日~2月5日
2.調査項目及び測定方法
試料採取は、米国の標準測定法(FRM)に準拠した PM2.5 捕集用ローボリュームエアサンプラ
ーを用いて行い、調査項目は、
「微小粒子状物質(PM2.5)の成分分析ガイドライン」において
推奨されている 41 項目とした。区分毎の分析対象項目及び分析方法を表1に示す。
表1 分析対象項目
区分
項目
2-
分析方法
-
-
硫酸イオン(SO4 )、硝酸イオン(NO3 )、塩化物イオン(Cl )、 イオンクロマトグラフ
イオン成分
ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、カルシウム 法
イオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、アンモニウムイ
オン(NH4+) (8 成分)
ナトリウム(Na)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、カリウ 誘導結合プラズマ質量
ム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、 分析法
バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コ (ICP-MS 法)
無機元素成分
バルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ヒ素(As)、
セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、モリブデン(Mo)、アンチモ
ン(Sb)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セ
リウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ハフニウム(Hf)、タングス
テン(W)、タンタル(Ta)、トリウム(Th)、鉛(Pb) (30 成分)
炭素成分
元素状炭素(EC)
,有機性炭素(OC)
,炭化補正値(OCpyro) サーマルオプティカル・
(3 成分)
リフレクタンス法
3. PM2.5 の組成
地点ごとの PM2.5 質量濃度に占める各成分濃度及びその割合(年平均値)を図1に、PM2.5
成分濃度の季節平均値を図2に示す。
年間の平均値で見ると硫酸イオン(SO42-)の占める割合が約3割と最も高く、有機炭素(OC)が
約2割、アンモニウムイオン(NH4+)が約1割を占め、次いで元素状炭素(EC)及び硝酸イオン(NO3-)
が高かった。2地点間で大きな差はなく、全国の調査結果(平成 24 年度)の平均値から求めた
組成と同じ傾向を示した。
元素状炭素や無機元素成分等は、発生源から直接排出された一次粒子であるが、有機性炭素、
硫酸イオン、硝酸イオン等は発生源からガス状で排出されたものが大気中で粒子化する二次粒
子で、その存在割合が高いといえる。硫酸イオンは主に工場などが主な発生源である二酸化硫
黄(SO2)がオゾン等の酸化物質によって酸化され生成し、硝酸イオンは工場などのばい煙や自動
車排出ガスから排出される二酸化窒素(NO2)が酸化されて生成する。これらが、大気中に多く
存在しているアンモニアガス(NH3)と結びついて、硫酸アンモニウム((NH4)2 SO4)、硝酸アン
モニウム(NH4 NO3)の粒子を形成する。
また、季節変動を見ると、夏季には硫酸イオン(SO42-)が多く、硝酸イオン(NO3-)は冬季に多
い傾向がみられた。硫酸イオン、硝酸イオンともに光化学反応の影響を受け生成されるので、
日射量が強く光化学反応が盛んな夏季は濃度が高くなると考えられるが、硝酸イオンは揮発性
が高いため、気温が高い夏季はガス化して粒子中の濃度は高くならないと考えられる。
灘浜大気測定局
その他
4.0
19%
須磨大気測定局
有機炭素
(OC)
4.4
20%
その他
4.8
23%
無機元素
1.0
元素状炭素
5%
(EC)
PM2.5質量濃度
1.5
アンモニウム
21.2(μg/m3)
7%
イオン
2.5
12%
硫酸イオン
硝酸イオン
(SO42-)
(NO3-)
6.6
1.3
31%
6%
有機炭素
(OC)
4.0
19%
元素状炭素
(EC)
1.3
PM2.5質量濃度
6%
無機元素
1.0
21.3(μg/m3)
5%
アンモニウム
イオン
硫酸イオン
2.5
(SO42-)
11% 硝酸イオン
6.4
(NO3-)
30%
1.3
6%
図1 PM2.5 質量濃度に占める各成分濃度及びその割合(年平均値)
(μg/m3)
30.0
灘浜大気測定局
その他
25.0
無機元素
20.0
アンモニウムイオン(NH4+)
15.0
硝酸イオン(NO3-)
10.0
硫酸イオン(SO42-)
元素状炭素(EC)
5.0
有機炭素(OC)
0.0
春季
夏季
(μg/m3)
30.0
秋季
冬季
年間
須磨大気測定局
その他
25.0
無機元素
20.0
アンモニウムイオン(NH4+)
15.0
硝酸イオン(NO3-)
硫酸イオン(SO42-)
10.0
元素状炭素(EC)
5.0
有機炭素(OC)
0.0
春季
夏季
秋季
冬季
年間
図2 PM2.5 成分濃度の季節平均値