研究開発進捗状況 Life science & Transfer Technology 2014年6月19日(木) DDS(ドラッグデリバリーシステム) DDS(ドラッグデリバリーシステム)とは? 医薬品を必要な場所に、必要な時間、必要な量だけ送達する技術 DDS製剤の開発期間は一般的な医薬品開発の場合 と比べて短縮化される(DR研究にも該当) “スマートヘルスケア” 1 ドラッグリポジショニング(DR)とは 臨床で使われて安全性が確認されている薬(既承認薬)の新しい 薬理効果を発見し、その薬を別の疾患治療薬として開発(適応拡大) する創薬戦略、ドラッグリポジショニング(DR)が注目されている。 ドラッグリポジショニング研究の利点 1. 副作用で臨床試験が失敗するリスクが低い 2. 既にあるデータを利用できるので開発に係る時間とコストを削減 できる 人類の努力の結晶である既存薬を用いて疾患の発症機構を 解明し、それを新たな医薬品開発に応用する、 “温故知新”創薬研究 2 主なパイプラインとその状況 臨床開発 パイプライン ① PC-SOD【注射剤】 (LT-0011) 対象疾患 基礎研究 非臨床試験 Phase I Phase II ライセンスアウト 等 潰瘍性大腸炎 特発性肺線維症 2007年8月 北京泰徳製薬 特発性肺線維症 2011年8月CKD ② PC-SOD NE 【吸入製剤】 (LT-0011) COPD 2018年頃 ライセンスアウト ③ステルス型ナノ粒子 PGE1製剤 (LT-0101) 慢性動脈硬化等 2022年頃 ④ ステルス型ナノ粒子 PGI2製剤 (LT-0111) 肺動脈性 肺高血圧症 2019年頃 ⑤ NSAID (LT-0201) 炎症疾患 ⑥ ドラッグリポジショニング (DR) (LT-0302) COPD ⑥ ドラッグリポジショニング (DR) ドライアイ等 ライセンスアウト ライセンスアウト 2021年頃 後期第Ⅱ相臨床 試験終了 3 主な研究開発・事業のテーマ 1. PC-SOD NE (特発性肺線維症) LT-0011 2. PC-SODのCOPD治療薬の実用化開発 LT-0011 3. ステルス型ナノPGE1製剤の開発(第三世代のPGE1製剤) LT-0101 ステルス型ナノ粒子PGI2製剤の開発 LT-0111 4. 副作用の少ないNSAID(F-LOX)の開発 LT-0201 5. ドラッグリポジショニング研究 LT-0302 6. 研究開発戦略 4 1.特発性肺線維症(IPF)に対する PC-SOD NE の開発 1.PC-SOD開発概要 PC-SODとは 多くの疾患の根本的な原因となっている活性酸素を除去する生体内タンパク 質・スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の細胞親和性と血中安定性を、当 社の持つ独自のDDS技術により飛躍的に高めたDDS製剤 対象疾患 特発性肺線維症(IPF):静注及び吸入投与(ネブライザー) 慢性閉塞性肺疾患(COPD):吸入投与(ネブライザー) 潰瘍性大腸炎(UC):静注、経口 予想される売り上げ 特発性肺線維症(IPF):日本 550億円, 世界 4,000億円 慢性閉塞性肺疾患(COPD):日本1,000億円,世界1兆円 潰瘍性大腸炎(UC):日本 180億円, 世界 1,800億円 6 1.PC-SOD構造図 SOD(2量体) レシチン誘導体 LTTは独自の技術で世界で初めて臨床現場で使用可能なSODのDDS製剤を実用化 4分子のレシチン誘導体が二量体のヒト型組換Cu, Zn SODに共有結合している 7 1. 特発性肺線維症治療薬の現状 特発性肺線維症(IPF): 肺の線維化を主体とし、拘束性換気障害をきたす肺疾患である。 医師から確定診断されると決して改善することなく悪化の一途を辿り、 5年生存率は17%である。 一般的に使われているステロイド等には、有効性がない 唯一日本で上市されている治療薬(ピルフェニドン)は、副作用 (光過敏症、消化管傷害)等の関係で投与対象者は患者の約10% PC-SODに対して世界的な期待 8 1.オーファンドラッグ指定 「ミジスマーゼ(遺伝子組換え)」(PC-SOD)が 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)として指定 平成22年6月16日付厚生労働省通知 (指定番号(22薬)第230号) ★ 指定を受けると 医療上、特にその必要性が高いことから次の 優遇措置が受けられる。 ① 優先的な治験相談及び優先審査の実施 ② 再審査期間の延長(最長10年まで延長される) また、この指定を受け医薬基盤研から「試験研究助成金」 を受けた。(H23年度約1億円、H24年度約9,000万円、 平成25年度約5,000万円助成) 9 1.呼吸機能低下に対するPC-SODとピルフェニドンの効果 100 ** vehi BLM (5) 0.6 0.4 + PC (60) + Pir (400) (n = 11-20) 0.2 vehi 80 BLM (5) 70 + PC (60) ** FVC (ml) 90 ** * 0.8 ** SpO2 (%) 1 n.s. + Pir (400) 60 (n = 7-12) 0 50 0 7 14 Time (days) 10 1.Phase I 試験 ★ 健康人の単回投与試験 単回投与試験でPC-SOD 吸入製剤の安全性を検討した。 (投与量: 5, 20, 40mg) ★ 健康人の反復投与試験 反復投与試験でPC-SOD吸入製剤の安全性を検討した。 (投与量: 40mg/日×7日間) ★ IPF患者の反復投与試験 PC-SOD吸入製剤の安全性および薬理効果を見るために、 PC-SOD NEを1日1回10mg7日間、20mg7日間、 40mg14日間と3用量を増量する反復投与を行った。 全ての試験において投与に関して全く問題なく、 重篤な副作用もなく順調に終了 11 1. 現在の進捗状況(日本) Phase II 試験進捗状況 (日本) 治験実施計画書の確定 治験調整委員会 2012年2月4日(東京) 日韓の治験調整医師による治験実施計画書の確定 1)当局への届出申請 治験届提出 2012年2月27日, 承認 2012年3月13日 2)Kick off Meeting: 2012年5月25日 3)最初の患者様の治験への組入れ: 2012年7月 4)患者登録受付終了(登録者数 46名): 2013年6月5日 5)全ての患者様への投与完了: 2013年12月 12 1. 現在の進捗状況(韓国) Phase II 試験進捗状況 (韓国) 治験実施計画書の確定 治験調整委員会 2012年2月4日(東京) 日韓の治験調整医師による治験実施計画書の確定 1)当局への届出申請 治験届提出 2012年4月3日,承認 2012年10月25日 2)Doctor’s Meeting: 6施設で実施 2012年4月3日(ソウル) 3)最初の患者様の治験への組入れ 2012年12月 4)患者登録受付終了(登録者数 53名) 2013年6月5日 5)全ての患者様への投与完了: 2013年12月 13 2. PC-SODのCOPD治療薬の 実用化開発について 2. COPDの患者数・死亡数 今後も増加が予想されているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者数 COPDは死亡原因の第4位(世界での死者数は年間300万人)にもなっており、 医療の進歩により多くの疾患の死亡率が減少している中で、死亡率が上昇して いる疾患である(図1)。 我が国における潜在的患者数は530万人と予想されており、今後も増加が 予想されている。その主な原因は喫煙であり、喫煙率の高い発展途上国では、 さらに急激な患者数の増加が予想されている。 また、「死より怖い病気」と言われるように、 息切れが徐々にひどくなり苦しみながら死に至 る疾患であり、生活の質(QOL)の観点からも大 きな問題となっている。特に我が国においては、 喫煙率の高い団塊の世代がCOPDを発症しや すい年齢に達するため、医療費や介護の点から も大きな社会問題になっている。 (図1) 15 2. PC-SODの競合薬 抗炎症作用を持ったCOPD治療薬として PC-SOD NEを開発する。 競合薬:ステロイド、ロフルミラスト ・ ステロイドは単独では呼吸器機能の低下を改善しない。 ・ ロフルミラストは呼吸器機能の低下を若干改善するが、 吐き気や体重減少などの重篤な副作用があるため第二選択 薬である。 我々が行った動物実験では、PC-SOD NEはステロイドやロ フルミラストより効果が優れていた (Tanaka et al. AJP 2012)。 16 2. PC-SODのCOPD治療薬の開発状況 2013年「NEDO助成事業」に採択され下記のPhase II試験のため の準備を行った。また、PMDAよりPhase II試験の実施許可を得た 基礎研究により併用薬、併用禁止薬の決定 非臨床試験(毒性試験) ⇒PMDAより「吸入投与における毒性試験の追加は、現在実施済み の試験があれば、追加試験の必要はない」との回答 原薬製造準備(スケールアップ試験、品質試験) 臨床試験の実施計画書の作成 17 3.ステルス型ナノPGE1製剤 (第三世代のPGE1製剤) LT-0101 3. ステルス型ナノPGE1(第三世代のPGE1製剤) 150nm程度の粒子径 生体でゆっくりと分解されるポリ乳酸などの ポリマーに薬物を封じ込める。 CH3O-PEG-OH (Mw:5000) + D,L-Lactide, Glycolide ブロックポリマー PEG ホモポリマー PLA or PLGA PLA or PLGA ブレンド PEG:ポリエチレングリコール PLA:ポリ乳酸 PLGA:ポリ(乳酸・グリコール酸) O/W solvent diffusion method PLA or PLGA PEG鎖 ホモポリマーコアへの アンカリング 薬物(PGE1) 薬物放出速度 PEG遊離速度 薬物封入率 PEG密度 粒径 ターゲッティング能の最適化 薬効の持続性の最適化 19 3. 新規ナノPGI2製剤 エポプロステノール (PGI2) 治療の欠点 頻回投与等、QOLがとても低い 副作用の高発生率 新規PGI2製剤は、必要な量の薬を必要な時間だけ作用させ、 肺内の血管にターゲッティングする。 PGI2 誘導体 ポリエチレングリコール (PEG) ベラプロストナトリウム (BPS) ポリ乳酸 (PLA) 約120nm 20 3. 新規ナノPGI2製剤 1日1回投与(経口) B C MCT MCT 30 0.6 ** ** 20 ** ## ** 10 RV/(LV+S) (mg/g) % wall thickness ** # * ** 0.4 ## 0.2 0 0 CTRL 0 10 30 100 CTRL 0 10 30 100 (n=6) (n=6) (n=3) (n=4) (n=5) (n=6) (n=6) (n=3) (n=4) (n=5) BPS (µg/kg/once daily) BPS (µg/kg/once daily) 1週間1回投与(静注) C B MCT MCT 0.6 ** ## ** 20 10 0 ** # ** ## ** 0.4 ## RV/(LV+S) (mg/g) % wall thickness 30 0.2 0 CTRL 0 20 200 CTRL 0 20 200 (n=3) (n=4) (n=4) (n=4) (n=3) (n=4) (n=3) (n=4) BPS-NP (µg/kg/once weekly) 結果: 投与回数と用量を 下げることができた BPS-NP (µg/kg/once weekly) 21 3. リバビリン含有ナノ粒子製剤 肝臓へのターゲッティング リガンド分子(アラビノガラ クタン)を導入 薬理効果の持続 生分解性ポリマー(ポリ乳酸) の分解に伴う薬物徐放 副作用の抑制 リバビリンを物理的に包埋し、 血中への漏れを抑止 22 3.論文掲載 Pharm. Res., vol. 26, 1792-1800, 2009 Pharm. Res., vol. 25, 1686-1695, 2008 Journal of Pharm. and pharmacology, 65, pp. 1187-1194, 2013 Pharm. Res., vol. 26, 2270-2279, 2009 J Control Release. 148(2):249-54, 2010 23 3. まとめ 我々は、徐放性とターゲティング能を併せ持つ新規PGE1製剤の開 発に世界で初めて成功した(ナノPGE1)。 またこの技術を応用し、ナノベラプロスト、ナノリバビリンを開発した。 これらは既存薬をDDSにより改良したものであり、低コストかつ 低リスクで開発ができる。また、この粒子に任意の薬物を封入する 技術を確立し、企業から委託を受けて薬剤封入ナノ粒子を開発する ビジネスも展開している。 24 4.副作用の少ないNSAID(F-LOX)の開発 LT-0201 4.NSAIDについて 非ステロイド抗炎症薬(NSAID) 優れた解熱・鎮痛・消炎薬 Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs 市場 日本:約1,900億円 世界:約1兆5,000億円の売上高 問題点 日本:第二世代NSAID(胃潰瘍副作用) 世界:第三世代NSAID(心筋梗塞副作用) 我々は、胃潰瘍誘発副作用及び心筋梗塞誘発副作用のない 第四世代のNSAIDの開発を目指した 26 4. 技術開発の目的 インドメタシンやジクロフェナク(非ステロイド抗炎症薬): 世界で最も使われている医薬品の一つ⇒胃潰瘍副作用が大きな問題 胃潰瘍副作用(NSAID潰瘍)が発生するのは、NSAIDがCOX-1(COX には2つのサブタイプCOX-1とCOX-2がある)を阻害することにより、胃 粘膜保護物質を減少させるためであると考えられていた。 そこで、胃潰瘍副作用の少ないNSAIDとしてCOX-2選択的NSAID (セレコキシブ、ロフェコキシブなど)が開発された。 しかし、COX-2選択的NSAIDには、心筋梗塞を誘発する 副作用があることが懸念。そしてロフェコキシブの使用により 心筋梗塞の発症リスクが有意に上昇。⇒販売を中止 我々は、細胞傷害性がなく、かつCOX-2に対する選択性がないNSAID が、胃潰瘍も心筋梗塞も起こさない安全なNSAIDになることを発見した 27 4. 新規NSAID(F-LOX)について 副作用 新規NSAID (F-LOX) 従来のNSAID COX2阻害NSAID 胃潰瘍 発生しにくい 頻発する 発生頻度やや低い 心筋梗塞 発生しにくい 発生しにくい 発生する ロキソプロフェン(我が国で一番よく使用されている)よりも細胞膜 傷害及び胃潰瘍発症を低減する ロフェコキシブ、セレコキシブよりもCOX-2選択的阻害作用を 低減する。心血管イベントを低減する COX-1とCOX-2をバランス良く阻害する 優れた抗炎症作用を有する 28 4. LOX, F-LOXによる胃潰瘍形成、小腸潰瘍副作用の比較 LOX, F-LOXによる胃潰瘍の形成 (mg/kg) LOX F-LOX ロキソプロフェン誘導体 の抗炎症作用 29 5.ドラッグリポジショニング研究 5. ドラッグリポジショニング研究の背景 既存薬の中には、作用・副作用を発揮する分子機構が よく分かっていない医薬品が多い 病気に効くことが伝承されてきた植物などから開発された ため、「どのように作用するか?ターゲット分子は何か?」という研究が なされなかった。 古い医薬品が開発された当時は、分子レベルで作用機構を解析 出来なかった 低分子化合物が一つの分子だけに作用する(NSAID:COXなど)とは 考えにくく、複数の生体分子に作用し様々な(未知)の薬理作用を 持つはずである 疾患の分子機構の解明が進み、多くの疾患の根本的な原因は かなり共通している(慢性炎症など)ことが判明:既存薬が他の 疾患にも有効である可能性(疫学研究からも支持) 31 5. ドラッグリポジショニング研究について(DR) 臨床で使われて安全性が確認されている薬(既承認薬)の新しい 薬理効果を発見し、その薬を別の疾患治療薬として開発(適応拡大) する創薬戦略、ドラッグリポジショニング(DR)が注目されている。 ドラッグリポジショニング研究の利点 1. 副作用で臨床試験が失敗するリスクが低い 2. 既にあるデータを利用できるので開発に係る時間とコストを削減 できる 人類の努力の結晶である既存薬を用いて疾患の発症機構を 解明し、それを新たな医薬品開発に応用する、 “温故知新”創薬研究 32 5. ドラッグリポジショニング研究について(DR) ヒトでの安全性と体内動態が充分に確認されている既存薬 及び、安全性と動態が確認されている開発中止(途中)品 臨床データ (疫学、適応外使用) ドラッグ リプロファイリング 基礎研究データ (疾患原因、ターゲッ ト分子の新機能 既存薬等の新しい薬理効果(臨床効果)の予測、 動物・臨床試験での確認 既存薬等を別の疾患治療薬としての開発(適応拡大) (胃薬のアルツハイマー病治療薬として開発など) 33 5. 開発中止薬剤 1996年から2000年までに、国内製薬企業18社で 前臨床試験に入った240化合物に関する追跡調査 承認63個、ドロップアウトした化合物の中で安全性 が担保されている化合物は50個以上 Laura Suterらの報告によると、前臨床試験に入った 192化合物に関して 承認薬が10個に関して、後期臨床試験で安全性が確認 された後ドロップアウトした化合物は50個程度 臨床試験で安全性が確認された後、薬効不足等で ドロップアウトした化合物の新しい薬理効果を発見できれば、 その医薬品を復活させることが出来る (かかった開発費を無駄にしない) 34 5.既存薬ライブラリーを用いたDR研究 既存薬ライブラリー 癌幹細胞分化 促進剤 スクリーニング 糖尿病治療薬 スクリーニング COPD治療薬 スクリーニング ドライアイ治療薬 スクリーニング 国内で使用されている既存薬約1300種のほとんどを網羅した 既存薬ライブラリーを独自に構築、様々なスクリーニングを実施 ライブラリーを無償提供し、共同開発を実施 35 ドラッグリポジショニング技術を用いた COPD治療薬の開発 5.慢性閉塞性肺疾患(COPD) ステロイドに代わる新しいタイプの抗炎症薬の開発 COPDは、喫煙等が原因で、肺や気管支に慢性炎症が生じ、肺胞壁の 破壊や気管支の肥厚が起こる疾患の総称である COPDの治療には、抗コリン薬、2刺激薬などの気管支拡張薬 (気流障害の一時的改善)とステロイド などの抗炎症薬が使用されている 既存の抗炎症薬(ステロイド)では、COPDの進行を抑制することはできない COPDの症状を改善し、進行を抑制できる 新規抗炎症薬の開発は大変重要 37 5. DR技術を用いたCOPD治療薬の開発(1) ステロイドより高い抗炎症効果と気管支拡張効果を 併せ持つ消化器疾患治療薬「メペンゾラート」 我々はCOPDに関してドラッグリポジショニングを展開 消化管運動改善薬として40年以上の使用実績を持つメペンゾ ラートがCOPD動物モデルで顕著な抗炎症効果、及び気管支拡 張効果を示すこと、及びその抗炎症効果は現在臨床で使用さ れているステロイドなどよりも格段に高いことを見出した。 38 5. DR技術を用いたCOPD治療薬の開発(2) Elastase依存の肺傷害に 対するメペンゾラートの効果 気道収縮に対する メペンゾラートの効果 39 5. DR技術を用いたCOPD治療薬の開発(3) 1. メペンゾラートは、競合技術(ロフルミラスト、ステロイド)に比べ COPD動物モデルで顕著な抗炎症効果を示した。 2. メペンゾラートは気管支拡張薬としてもCOPD治療に有用で あることを示した。 3. 既承認薬であるので安全性の問題で開発が失敗するリスクが 少ない。(競合技術は副作用の問題が臨床現場で生じている) 40 5. 論文掲載 英国ネイチャーコミュニケーションズ に掲載 (2013年) 41 ドライアイ治療薬の開発に関するDR研究 5. ドライアイ発症・進行メカニズム 涙液産生の減少 涙液蒸発の亢進 涙液の高浸透圧化 角膜上皮 炎症反応 細胞傷害 水層の減少 ムチン層の欠落 角膜上皮の細胞傷害抑制をターゲットとした治療薬は 存在していない 43 5. 新規ドライアイ治療薬のスクリーニング DR研究の手法を用い、角膜上皮細胞における 高浸透圧ストレス依存細胞障害を抑制する薬剤を探索 細胞障害 ドライアイ症候群 ヒト角膜上皮細胞 既承認薬 (654 薬剤) 候補薬剤 (ジクロフェナク) スクリーニングの結果、654薬剤の中からジクロフェナクを選出 44 5. 細胞障害の抑制効果 A ** 1200 1000 ** Caspase-3-like activity (unit/mg protein) Caspase-3-like activity (unit/mg protein) 1000 800 600 400 200 0 ジクロフェナク (µM) 0 NaCl (mM) 0 0 1 10 ** 800 600 400 200 0 ブロムフェナク(µM) 0 NaCl (mM) 150 0 10 1 0 150 B NaCl (150 mM) NaCl (150 mM) 100 100 ** BrdU incorporation (% of control) BrdU incorporation (% of control) * 80 60 40 20 80 60 40 20 0 0 0 1 5 ジクロフェナク(µM) 10 0 0.1 1 10 100 ブロムフェナク (µM) 45 5. ドライアイモデルラットにおける角膜傷害に対する ジクロフェナクの効果 Sham Vehicle n.s. Diclofenac Bromfenac Fluorescein score 15 * * n=14 * * 10 n=8 5 n=10 n=6 0 Sham Vehicle Diclofenac Bromfenac ジクロフェナクは、ドライアイによる角膜傷害を 有意に抑制した。 46 5. 新聞掲載 2013年8月25日 読売新聞 47 5. 慶應ネットワークによるDR研究(Phase 0研究) 薬学部 既存薬ライブラリー (信濃町医薬合同ラボ) SFC 他の医学部研究室 理工学部 鶴岡研究所 FD, IBS 消化器内科 他の医学部研究室 臨床試験の成功確率が下がっている現状で、Phase 0 (まず患者さんに投与する)ことは重要(効果確認後、本格開発) 安全性が担保されている既存薬を臨床医と一緒に研究することにより、 Phase 0へ 速やかに移行できる FD、IBSなどは、患者さんにしか分からない症状で評価するしかなく、より Phase 0が重要 学者同士の共同研究なので、臨床医のモチベーションが高く、驚くべき 低コストで臨床効果を確認できる 48 6.研究開発戦略 6. 研究開発戦略 慶應大学、聖マリアンナ医科大学、日本大学との産学連携 北京泰徳製薬との強力なパートナーシップを構築 (億円) 350 PC-SODは現在、当社から製造技術指導を 300 行い、製造工程に係るスケールアップに成功。 250 原薬製造の設備施設は、2015年春に稼働予定。200 150 中国でのIND申請状況については、SFDA 100 (中国当局)の審査の結果、追加資料の要求が 500 あり、今年中に資料を提出すべく準備中。 Kaifen/Others Kaishi 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (年) 北京泰徳製薬売上げ 研究資金確保のための活動(積極的に研究公募テーマに応募など) H21、22年度: NEDO助成事業(PC-SOD吸入製剤) 目標を達成 H22、23年度: NEDO助成事業(ステルス型ナノ粒子PGE1製剤) 目標を達成 H23~25年度: 医薬基盤研助成金(希少疾病用医薬品等試験研究) 平成23年度約1億円、平成24年度約9,000万円、 平成25年度約5,000万円助成 H24年度: NEDO助成事業(レシチン化SOD吸入製剤のCOPD治療薬としての開発) (助成期間:H25.4.30~H26.2.20)約5,300万円助成 目標を達成 50 本日は有難うございました。 今後とも一層のご指導ならびにご鞭撻のほど 何卒宜しくお願い申し上げます。 株式会社LTTバイオファーマ 〒105-0022 東京都港区海岸1丁目2番20号 汐留ビルディング3階 TEL:03-5733-7391 FAX:03-5733-7397 URL http://www.ltt.co.jp E-mail: [email protected]
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