数チャレ 第 160回 (2014年5月)

数チャレ 第 160 回 (2014 年 5 月)
xy 平面上の曲線 C : x3 + y 3 = 26 を考える。C 上の点 P(a, b) で, a, b がと
´
³
53 75
,
は
もに有理数のとき P を C 上の有理点という。例えば (−1 , 3) や
28 28
x(−x3 + 52)
C 上の有理点である。 h(x) =
とおく。
2x3 − 26
(1) a3 + b3 = 26 (a ̸=
√
3
13 , b ̸=
√
3
13 ) のとき, {h(a)}3 + {h( b )}3 の値を求
めよ。
µ ¶
p
p
p′
(
)
p, q は互いに素な整数で q > 0 に対して, h
(2) 有理数
を ′
q
q
q
′
′
′
′
( p , q は互いに素な整数で q > 0 ) と表す。 p が奇数ならば, p は奇数で
q ′ = 2q であることを証明せよ。ただし, 2 つの整数が互いに素とは,その最
大公約数が 1 であることをいう。
(3) C 上には無数の有理点が存在することを証明せよ。
出典:2014 年 京都府立医科大学
解答
(1) a3 + b3 = 26 (a ̸=
√
3
13 , b ̸=
h(a)3 + h(b)3 =
√
3
13 ) のとき
a3 (−a3
+ 52)3
b3 (−b3 + 52)3
+
(2a3 − 26)3
(2b3 − 26)3
=
a3 (b3 + 26)3
b3 (a3 + 26)3
+
(a3 − b3 )3
(b3 − a3 )3
=
a3 (b3 + 26)3 − b3 (a3 + 26)3
(a3 − b3 )3
=
a3 b3 (b6 − a6 ) + 3 q 26a3 b3 (b3 − a3 ) + 26 3 (a3 − b3 )
(a3 − b3 )3
=
−a3 b3 (a3 + b3 ) − 3 q 26a3 b3 + 26 3
(a3 − b3 )2
−26a3 b3 − 3 q 26a3 b3 + 26(a3 + b3 )2
(a3 − b3 )2
©
ª
26 −4a3 b3 + (a3 + b3 )2
=
(a3 − b3 )2
=
=
26(a3 − b3 )2
(a3 − b3 )2
= 26 (答)
— 1 —
³p´
(2) h
=
q
p
q
µ
p3
− 3 + 25
q
p3
2 q 3 − 26
q
¶
=
p(−p3 + 52q 3 )
2q(p3 − 13q 3 )
¡
¢
d = gcd p(−p3 + 52q 3 ), 2q(p3 − 13q 3 ) とおくと
1
p(−p3 + 52q 3 ) = dp ′
······ ⃝
3
3
′
2
2q(p − 13q ) = dq
······ ⃝
である。
1 より約数 p ′ も奇数である。
p が奇数ならば, − p3 + 52q 3 も奇数であるから, ⃝
gcd(p, q) = 1 より
gcd(−p3 + 52q 3 , q) = gcd(−p3 , q) = 1
であり,p(−p3 + 52q 3 ) は奇数であるから,2q は p(−p3 + 52q 3 ) と互いに素である。
⃝
1 より
2q と d は互いに素
2 より
であるから, ⃝
¯ ′
¯
2q q
′
q も q も正の整数であるから
(証明おわり )
2q 5 q ′
(3) a1 = −1, b1 = 1,
³a ´
n
h
=
bn
³c ´
n
=
h
dn
c1 = 3, d1 = 1 とし,
an+1
, gcd(an+1 , bn+1 ) = 1, bn+1 > 0
bn+1
cn+1
, gcd(cn+1 , dn+1 ) = 1, dn+1 > 0
dn+1
により,整数からなる数列 {an }, {bn }, {cn }, {dn } を定める。
³a
c ´
(1)より点 Pn n , n は C 上の有理点であり,a1 , c1 は奇数であるから,(2)より
bn d n
つねに bn+1 = 2bn , dn+1 = 2dn
特に
0 < b1 < b2 < b 3 < · · · , 0 < d 1 < d 2 < d 3 < · · ·
であるから,点 Pn はすべて相異なり, C 上には無数の有理点 Pn が存在する。
(証明おわり )
— 2 —