(4)群馬県薗原ダム流域 【流域概況】 薗原ダム流域は、群馬県北西部の片品川の上流域で、流域面積は 49,500ha である。流域 の位置と地形を図Ⅲ-1-10 に、区分した支川流域を図Ⅲ-1-11、地質を図Ⅲ-1-12、表層地質 割合を図Ⅲ-1-13 に示す。薗原ダム流域内は、流紋岩、安山岩、花崗岩質岩石の出現割合が 高く、礫岩や泥岩等の第三紀堆積岩の出現割合が低い。 薗原ダム貯水池 (基図)分県地図 10 群馬県(エアリアマップ昭文社 1991) 図Ⅲ-1-10 薗原ダム流域の位置及び地形 165 白字 赤字 黄字 黒字 … … … … 支川流域(12 箇所) 本川上中下流域(7 箇所) 薗原ダム流域 根利川(薗原ダム流域外) 7.片品川(大清水) 6.尾名沢 5.笠科川 13.片品川(戸倉) 4.古父山沢 14. 片 品 川 ( 古 3.金井沢 仲) 8.車沢 2.土出川(塩沢) 9.大滝川 15.片品川 (太田) 1.塗川 16.片品川 (鎌田) 17.片品川 (摺淵) 10.大立沢 11.泙川 18.片品川 (吹割) 19.片品川 (鳥古井) 20.片品川 (薗原) 12.栗原川 21.根利川導水路 (1:200,000) (画像調整)国土交通省関東地方整備局利根川ダム統合管理事務所(平成 18 年 3 月) 図Ⅲ-1-11 薗原ダム流域の衛星画像と支川流域区分(採水流域区分) 166 三平峠 流紋岩質岩石 鳩待峠 大清水 片品川 笠科川 安山岩質岩石 菅沼 戸倉 泥岩 丸沼 金精峠 武尊牧場 花 礫片品 大滝川 崗 岩 質 鎌田 岩 石 武尊山 日光白根 山 班岩 安山岩質岩石 花咲塗 川 泙川 礫 追貝 吹割の滝 栗原川 流紋岩質岩石 班岩老神 片品川 薗 根利川 原 ダ ム 砂岩・泥岩互層 (基図)土地分類図(群馬県:経済企画庁総合開発局 1971) 図Ⅲ-1-12 薗原ダム流域の表層地質 167 皇海山 花崗岩質岩石 採水流域の地質割合(%) 流紋岩 花崗岩 礫 泥岩 安山岩 斑岩 斑栃岩 1.塗川 2.土出川 3.金井沢 4.古父山沢 5.笠科川 支 川 流 域 6.尾名沢 7.片品川(大清水) 8.車沢 9.大滝川 10.大立沢 11.泙川 12.栗原川 13.片品川(戸倉) 14.片品川(古仲) 本 川 上 中 下 流 域 15.片品川(太田) 16.片品川(鎌田) 17.片品川(摺淵) 18.片品川(吹割) 19.片品川(鳥古井) 20.片品川(薗原) 0% 20% 40% 60% 80% 100% (注)本図は、図Ⅲ-1-12 で示した地質図を基に区分を行い、その区画を GIS のシェープファイル上でポリゴン化し、 区分別面積とその割合を集計して示したものである。 図Ⅲ-1-13 採水流域の表層地質割合 168 【薗原ダムの諸元】 本研究で水質収支モデルの対象とした薗原ダムは、 洪水調節・発電をおこなう多目的ダムとして 1959 年 に着工し、1966 年に完成した重力式コンクリートダ ムである。薗原ダムの諸元は表Ⅲ-1-7 のとおりであ る。 表Ⅲ-1-7 薗原ダムの諸元 1966年 完成年 型式 重力式 76.5m 堤高 127.6m 堤幅 3 総貯水容量 20,310,000m 2 607.6 km 集水面積 直接:493.9 km2 間接:113.7km 湛水面積 計画高水量 調節流量 2 0.91km2 2,350m3/s 800m3/s 【森林及び土地利用の状況】 薗原ダム流域の森林や土地利用の状況を図Ⅲ-1-14 と表Ⅲ-1-8 に、採水流域ごとの森林 や土地利用状況を面積率で図Ⅲ-1-15 に示す。薗原ダム流域は、流域内の土地状況はバラエ ティに富んでいる。流域の森林率は 91%で、4 割が広葉樹天然林、3 割が針葉樹人工林、2 割が針葉樹天然林である。また、スキー場等開発地の面積が 600ha 以上と多く、様々な種 類の土地・森林から流出してくる流出物質を観測するのに適している。河川ごとに流域の 代表的な土地利用状況を示すと表Ⅲ-1-9 のようになる。 169 黒字 … 支川流域(12 箇所) 青字 … 本川上中下流域(7 箇 所) 赤字 … 薗原ダム流域 7.片品川(大清水) 6.尾名沢 5.笠科川 13.片品川(戸倉) 4.古父山沢 14. 片 品 川 ( 古 3.金井沢 仲) 8.車沢 2.土出川(塩沢) 9.大滝川 15.片品川 (太田) 1.塗川 16.片品川 (鎌田) 17.片品川 (摺淵) 10.大立沢 11.泙川 18.片品川 (吹割) 19.片品川 (鳥古井) 20.片品川 (薗原) 12.栗原川 (1:200,000) (注)本図は、図Ⅲ-1-10 で示した衛星画像を基に、森林・土地利用状況区分を行い、その区画を GIS のシ ェープファイル上でポリゴン化して色分けしたものである。 図Ⅲ-1-14 薗原ダム流域の森林や土地利用の状況(平面) 170 表Ⅲ-1-8 薗原ダム流域における森林や土地利用状況別の面積(単位:ha) 採水流域 1.塗川 針葉樹人 広葉樹天 工林 然林 針葉樹 天然林 スキー 場 農用地 送電 線敷 湖沼・ 貯水池 集落 山腹崩 流域面積 壊等 2752.87 2043.51 36.03 261.11 393.69 0.00 0.00 22.66 19.12 5529.00 2.土出川 171.88 181.78 0.00 128.20 36.73 0.00 0.00 3.62 0.00 522.20 3.金井沢 280.25 160.45 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 7.12 447.82 4.古父山沢 89.22 43.20 2.04 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 134.46 5.笠科川 64.15 2638.37 1531.15 17.54 0.00 0.00 2.82 0.00 25.35 4279.38 6.尾名沢 24.30 183.61 108.89 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 9.27 326.08 7.片品川 (大清水) 61.18 1556.80 2430.54 0.00 0.00 15.74 0.00 0.00 15.95 4080.21 598.95 335.04 309.80 0.00 3.30 0.00 0.00 11.46 1266.50 9.大滝川 1967.37 2160.52 83.37 13.25 166.23 92.67 201.26 8394.38 10.大立沢 472.80 532.12 47.99 0.00 72.31 3.89 0.00 0.34 2.06 1131.50 11.泙川 1144.62 5679.43 228.32 0.00 282.13 2.56 0.00 32.14 80.88 7450.08 12.栗原川 3203.27 1581.92 111.86 0.00 22.31 2.26 0.00 12.59 52.16 4986.38 8.車沢 3579.60 130.10 7.95 13.片品川 761.07 3352.64 3645.76 1.15 2.45 27.84 0.00 21.68 36.24 7848.84 (戸倉) 14.片品川 1345.80 6327.64 5201.81 37.99 25.08 27.84 2.82 25.87 70.29 13065.15 (古仲) 15.片品川 3122.49 7055.98 5511.61 166.19 247.62 36.55 2.82 121.98 81.75 16346.98 (太田) 16.片品川 5357.58 9236.82 9091.21 316.56 463.40 50.99 169.06 247.37 283.02 25216.00 (鎌田) 17.片品川 6792.27 9833.85 9224.33 371.67 862.70 58.56 169.06 316.61 288.19 27917.23 (摺淵) 18.片品川 11120.65 17935.31 9498.50 664.92 1849.16 61.12 169.06 399.77 393.04 42091.52 (吹割) 19.片品川 15190.26 19535.28 9610.37 664.92 2115.59 63.38 169.06 455.94 447.77 48252.57 (鳥古井) 20.片品川 16131.96 19545.94 9610.37 668.76 2304.86 63.38 236.73 483.77 454.24 49500.00 (薗原ダム) (注)本表は、前述した図Ⅲ-1-14 の森林・土地利用状況別の図を基に、GIS 上にて、森林・土 地利用状況区分別の面積を集計したものである。 171 採水流域の土地状況割合(%) 針葉樹人工林 天然林(広葉樹) 天然林(針葉樹) スキー場 農用地 送電線敷 湖沼・ダム貯水池等 集落 山腹崩壊地・渓流荒廃地 1.塗川 2.土出川 3.金井沢 4.古父山沢 5.笠科川 支 川 流 域 6.尾名沢 7.片品川(大清水) 8.車沢 9.大滝川 10.大立沢 11.泙川 12.栗原川 13.片品川(戸倉) 14.片品川(古仲) 本 川 上 中 下 流 域 15.片品川(太田) 16.片品川(鎌田) 17.片品川(摺淵) 18.片品川(吹割) 19.片品川(鳥古井) 20.片品川(薗原) 0% 20% 40% 60% 80% 100% (注)本図は、表Ⅲ-1-8 で示した面積を基に面積割合を求め集計し示したものである。 図Ⅲ-1-15 薗原ダム流域内の採水流域単位における森林や土地利用状況割合 表Ⅲ-1-9 河川ごとの代表的な土地利用状況 河川名 森林率 (%) 1 塗川 87 12 2 土出川 68 32 3 金井沢 98 0 4 古父山沢 100 0 5 笠科川 99 0 6 尾名川 97 0 7 片品川(大清水) 99 0 8 車沢 98 1 9 大滝川 92 4 10 大立沢 93 7 11 泙川 95 4 12 栗原川 98 1 No. 開発地率 土地利用等から見た (%) 流域の特徴 支川 開発地流域 (スキー場・農用地) 開発地流域 (スキー場) 森林流域 (針葉樹人工林) 森林流域 (針葉樹人工林) 森林流域 (広葉樹天然林) 森林流域 (広葉樹天然林) 森林流域 (針広天然林) 森林流域 (針葉樹人工林) 開発地流域 (スキー場) 開発地流域 (農用地) 開発地流域 (農用地) 森林流域 (針葉樹人工林) 172 河川名 森林率 (%) 開発地率 (%) 13 片品川(戸倉) 99 1 14 片品川(古仲) 99 1 15 片品川(太田) 96 4 16 片品川(鎌田) 94 4 17 片品川(摺淵) 93 6 18 片品川(吹割) 92 7 19 片品川(鳥古井) 92 7 No. 本川 【河道特性】 片品川の最上流部に該当する 7.片品川(大清水)を除いた 11 の支川と、7.片品川(大清水) を含めた片品川本川の特性を表Ⅲ-1-10 に示す。記載の順序は流域出口が下流にある順とし ている。 表Ⅲ-1-10 片品川と主な支川の河道特性(河川距離・標高差・河道勾配) 本・支川名 流域面積(ha) 片品川 12.栗原川 11.泙川 1.塗川 10.大立沢 9.大滝川 2.土出川 8.車沢 3.金井沢 5.笠科川 4.古父山沢 6.尾名沢 49,500.00 4,986.38 7,450.08 5,529.00 1,131.50 8,394.38 522.20 1,266.50 447.82 4,279.38 134.46 326.08 河川距離(m) 標高差(m) 45,000 17,000 20,000 16,000 8,000 19,500 3,000 9,500 4,000 11,500 2,500 3,500 勾配(%) 1,320 925 785 805 815 1,160 350 1,000 590 770 460 670 2.93 5.44 3.93 5.03 10.19 5.95 11.67 10.53 14.75 6.70 18.40 19.14 注)国土地理院の 50,000 分の 1 の地形図より測定した。 採水河川縦断図 2,500 黒字:支川(11 河川) 赤字:片品川本川上中下流(7 地点) 2,000 片品川 1 塗川 8.車沢 3.金井沢 6.尾名沢 泙川 12.栗原川 4.古父山沢 5.笠科川 標高(m) 栗原川 9.大滝川 片品川 10.大立沢 1,500 大立沢 2 土出川 大滝川 薗原ダム貯水池 土出川 11.泙川 1,000 塗川 車沢 金井沢 7.大清水 13.戸倉 500 笠科川 15.太田 14.古仲 17.摺淵 16.鎌田 19.鳥古井 古父山沢 18.吹割 尾名沢 0 0 10,000 20,000 30,000 水平距離(m) 40,000 (注)本図は、国土地理院の 50,000 分の 1 の地形図より水平距離別標高を測定して図示した。 図Ⅲ-1-16 片品川と主な支川の河道縦断 173 50,000
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