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特集
IoT/M2Mソリューション
現場情報を活用した
業務革新への挑戦
いま国際社会はエネルギーや食糧、医療など、複雑で解決が困難な多くの課題に直面しています。ビジネス
社会でも、少子高齢化による就労人口の低下や技術・ノウハウの継承が課題となる中、さらなる成長加速に向
けたITの積極的な活用が重視されています。そこで注目されているのが、さまざまなモノや人がインターネット
を介してつながるIoT※1と、その実現を支えるM2M※2の技術です。今回の特集では、社会や企業活動を通じ
て生成される多種多様なデータを、状況把握・将来予測・施策立案に役立てることで、社会とビジネスのイノ
ベーションを加速させる日立の取り組みをご紹介します。
※1 Internet of Things
※2 Machine to Machine
IoT/M2Mが導く
絞って活用するのが一般的でした。それ
名付けた産官学一体の大規模プロジェ
パラダイムシフト
をモノが発信する、
より詳細なデータをイン
クトを推進しています。これはIoT/M2M
ターネットで効率よく集約し、各種アプリ
やFA※3の 技 術を駆 使して、工 場 のス
私たちのビジネスや社会は、数多くの
ケーションと連携・統合させ、他の工場
マート化と生産技術、生産プロセスの次
ITデバイス、ネットワークによって支えられ
あるいは企業間、異業種との間で相互
世代化を図り、製造ラインだけでなく製造
ています。そして自動認識や制御といっ
活用できるようにすれば、今までにない
業のすべてのプロセスをITで連携・統合
たセンサー技術の進化と低コスト化による
新しいサービスが創出できる、これこそが
しながら、モノづくりを変革させていく
「第
M2Mの進展、より高速化したデータ収
IoT/M2Mが提供するパラダイムシフトで
4次産業革命」
と位置づけられています。
集・分析技術により、コンピュータやスマー
す。今までつながることのなかった企業、
トフォンだけでなく、あらゆるモノと人、環
異業種、人をつなぎ、さまざまなシステムや
するあらゆるデータを、M2Mを通して蓄
境の情報がインターネットでグローバルに
プロセスを個別最適化から全体最適化
積し、スマートな生産とバリューチェーンを
つながり、
リアルタイムに「見える化」され
へと導き変革していく、それがIoTが実現
提供していく重要な役割を担っています。
るIoTの世界が現実のものとなろうとして
する新しい価値なのです。
そしてこの新たな潮流は、
日本においても
その中でIoTは、設計・開発・生産に関
製造業のみならず、幅広い事業分野に
います。
これまでもセンサーノードは、産業系の
さまざまな事業分野に
大きな影響を与えていくものと予想されて
監視・制御の現場などで活用されてきまし
変革をもたらす可能性
います。
た。しかし、従来は単機能のセンサーを有
線ネットワークでつなぎ、工場内で用途を
※3 Factory Automation
インダストリー
現 在、
ドイツ政 府は「Industrie4.0」
と
はいたっく 2015.2
All Rights Reserved,Copyright ©2015,Hitachi,Ltd.
2
日立の取り組み
情報活用ソリューション
Intelligent Operations
状況把握
現場のリソース
(ヒト、モノ、カネ)を
リアルタイムで把握
将来予測
課題解決
テム構築・運用保守サービスである「バー
状況を可視化し、
将来を予測
ティカルサービス」
、共通的な基盤を提供
施策立案
す る「ITプ ラットフォー ム サ ー ビ ス
経営戦略・現場対策立案
現場機器の制御
(Intelligent Operations Suite)」の3つ
提供サービス
コンサルティング
サービス
バーティカル
サービス*
のレイヤーで構成されます。
ITプラットフォーム
サービス
なかでも、お客さまの業種ごとに特化し
* 各業種向けのサービス
たソリューションを展開するバーティカル
図1 Intelligent Operations
付加価値の高い
サービスでは、製造、農業、ヘルスケア、エ
現場のきめ細かな情報を新たなイノ
ネルギーなど、10の業種領域で付加価値
ベーションにつなげるには、
「情報技術
の高いサービスを用意(図2)。それぞれ
(IT)
」
と、さまざまなデバイスからの情報
の現場から収集・蓄積された人や機器、
IoT/M2Mのグローバル展開に不可欠
収集・制御を担う
「制御技術(OT )
」を
環境などの情報(ビッグデータ)をもとにし
なのは、
さまざまな事業・業種の業務ノウ
融合し、現場の熟練者の業務ノウハウや
た正確な「状況把握」、その情報を詳細
ハウの蓄積と、お客さまニーズに合った設
分析技術を活用することで、情報が持つ
に分析・シミュレーションした「将来予測」
備設計やサービス開発、各種IT基盤を
潜在的な価値を発見し、具体的な意思
から、経営や現場課題の解決に向けた
構築するハードウェア、ソフトウェアの総合
決定やデバイスの制御にフィードバックし
「施策立案」を行うという一連のサイクル
力にほかなりません。
ていく仕組みが必要です。
インテリジェンスを創出
※4
で、お客さまのビジネスを最適化し、継続
的な成長をサポートしていきます。
日立は国内外のお客さまが抱える課題
そこで日立は、高度なITと現場のノウ
を解決し、快適で利便性が高い社会をつ
ハウを組み合わせた情報活用ソリュー
くるため、エネルギーや都市、交通、ヘル
ションをIntelligent Operationsという体
幅広い業務ナレッジの活用をキーとした日
スケア、水・資源、物流、金融などの幅広
系の下で整備し、社会、企業、お客さま
立のIntelligent Operationsが、実際ど
い事業分野で、ITを活用して社会インフ
のイノベーションを実現するお手伝いをし
のように現場の課題を解決し、
ビジネスを
ラの高度化を推進する「社会イノベーショ
ています(図1)
。
革新しているのか、いくつかのユースケー
ン事業」に取り組んでいます。
※4 Operation Technology:制御技術および業務ナレッジ
スでご紹介します。
では、IoT/M2Mとビッグデータ解析、
ITでビジネス、そして社会がグローバ
ルでつながり、情報のデジタル化が進ん
Intelligent Operationsが
できた今、社会イノベーションをけん引す
提供する機能
情報の一元管理で
るビッグデータを活用し、経営判断やサー
Intelligent Operationsのソリューショ
製造業では完成した製品を納めた後
ビスの高度化に役立つ付加価値の高い
ン体系は、課題の発見、解決策の立案、
にも、お客さまとの保守契約に基づき、製
インテリジェンスの創出を図っていくことに
運用の支援を行う
「コンサルティングサー
品を継続的に保守・メンテナンスしていく
あります。
ビス」、各業種向けに最適化されたシス
アフターサービス業務があります。
る鍵は、IoTやM2Mによって生み出され
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はいたっく 2015.2
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■
【製造(Manufacturing)
】
製品ライフサイクルをサポート
IoT/M2Mソリューション
特集
Intelligent Operations
コンサルティングサービス
そこで「状況把握」では、製品に搭載
エネルギー
したセンサーからリアルタイムに稼働情報
モビリティ
を収集し、1台1台の機械台帳にひもづ
リテール
詳細なデータ解析とシミュレーションに
率向上と保守コスト削減に向けて適切な
「施策立案」につなげていきます。この仕
掛 けを具 現 化したの がSaaS
※5
型機
農業
製造
ファシリティー
マイニング
ITプラットフォームサービス
よって、故障予兆の検知や保守部品の
需要といった「将来予測」を立て、稼働
コミュニティ
バーティカルサービス
ロジスティクス
け、保守履歴とともに情報を一元管理。
ヘルスケア
-I
nte
l
l
i
gentOperat
i
onsSu
i
te -
図2 Intelligent Operationsサービス体系
て、実稼働しているのが「植物工場生産
ノウハウの蓄積を生かし、早くからITや
支援クラウドサービス」です。
IoT/M2Mを駆使した設備管理のサービ
同サービスは、株式会社グランパが開
ス分 野に参 入。
「Doctor Cloud」
「施 設
e-Service on TWX-21」です。
発したグランパドームにも採用されており、
モニタリングサービス」
「M2Mトラフィックソ
※5 Software as a Service
複数拠点の栽培設備のリアルタイムな遠
リューション」などに代表される革新的な
隔監視や遠隔制御をクラウド上で実現。
サービスの提供によって、社会インフラの
■
【農業(Agriculture)
】
植物工場の管理コストと生産者の負荷を
ライフサイクル管理の高度化と、予防保
生産の安定化と作物の
ともに低減しながら、生産品質の均一化
全によるリスク低減に寄与してきました。
器ライフサイクルサポートサービス「Global
高付加価値化に寄与
にも貢献しています。
このように日立グループは、社会イノ
ベ ーションをIoT/M2Mで 加 速 す る
日本の農業は、高コスト体質や後継者
不足などに加えて、生産物の付加価値
IoT/M2Mを活用した
Intelligent Operationsをグローバルに展
をいかに高め、適切な流通・販売に結び
社会イノベーションに挑む
開することで、業種や地域の特性を踏ま
えた、生活・社会インフラの高度化とビジ
付けるかが、収益拡大や地域活性化に
今後日本では、高度経済成長期に整
ネスの革新を図り、お客さまの安全・安心
備された道路や橋梁、
トンネル、斜面など
な社会の実現を永続的に支援していきた
などに設置した日射量・雨量・温湿度セ
の社会インフラが老朽化を迎えつつあり、
いと考えています。
ンサーやWebカメラなどから得られる
これらの長寿命化と補修費削減のため、
データによって農作物の生育状況を可視
適切な維持管理が求められています。ま
を集めている製 造 業 向けの「Global
化し、経験や勘が頼りだった農作業を客
た、電力や水道、ガス、交通などの分野
e-Service on TWX-21」
と、施設・設備管
観的に数値化。データの解析結果から
でも、施設・設備の管理や予防保全への
理業向けの「Doctor Cloud」
「施設モニ
今後の生育状況や収量を「将来予測」
ニーズが 高まり、そこでもIoT/M2Mや
タリングサービス」
、および「鉄道電力設
し、需要に合わせて収量を最大化するよ
ビッグデータ解析の技術が大きな役割
備における無線式センサーの導入につい
うに生育環境をコントロールする「施策立
を果たしています。日立は幅広い社会
て」の内容を詳しくご紹介していきます。
案」へとつなげていきます。その一例とし
インフラの構 築・保 守を手 掛けてきた
向けた重要な課題となっています。
そこで「状況把握」では、農地や温室
きょうりょう
次のページからは、国内外から注目
お問い合わせ先
(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/smart/general/form.jsp
■ 情報提供サイト
http://www.hitachi.co.jp/smart-it/ht573/
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