レジュメ - 立教大学

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租税法研究会 2014.6.21
ラッピング
立教大学法学部 浅妻章如
1.
ラッピングとは1
図1
P
図2
P
図3
P
MC actual
marginal cost
MC expected
MC expected
pt
pt
MC actual
pt
marginal benefit
qc
Q abated
qt qo
qc
qc
qo qt
排出権取引:量規制。価格は市場に任せる。
炭素税:価格規制。量は企業に任せる。2
図1:政府が温暖化ガス削減の限界便益と限界費用を知っているならば、排出権取引では qc(上限規制の場
合の量 quantity with cap であろうか)を指定すればよい。炭素税では pt(税の場合の価格 price with tax であろ
うか)を指定すればよい。
図2:政府が限界便益を知っているが限界費用を知らないで、予想限界費用曲線(MC expected)を基に規制
するならば、排出権取引では qc を指定し、炭素税では pt を指定する。実際の限界費用曲線(MC actual)が予
想より高い場合、エラー(overshooting or undershooting)が発生する。排出権取引では、qo(最適量 quantity
optimal であろうか)よりも過大に削減することになってしまう。炭素税では、qo よりも qt(税の場合の削減量
quantity with tax であろうか)が小さく、過少に削減することになってしまう。実際の限界費用が予想より低い場合
は、逆に、排出権取引では削減量が過少となり、炭素税では削減量が過大となる。限界便益曲線3より限界費用
曲線の方が傾きが急であるならば、炭素税におけるエラーの方がマシである。
source-based 炭素税の方が執行が容易であるが carbon leakage(課税されない所に源泉…製造・採取等…を
移す)が起き、課税国企業を競争上劣位に置いてしまう。destination-based 課税なら競争条件を歪めない(付加
価値税で仕向地主義が支持される話と同じ)。
価格上限付き量規制>価格規制>量規制の順で優れている4。価格規制(炭素税)だけだと carbon leakage
問題が起きる。排出権取引の下で企業が排出枠価格高騰リスクを嫌うならば、企業はヘッジをかければよい5。し
かしヘッジにもコストがかかるなら、炭素税は排出権取引より優れている6。Wrapping a Carbon Tax Around Cap
1
Mark P. Gergen, The Case in Economic Theory of Wrapping a Carbon Tax Around Cap and Trade,
http://www.law.berkeley.edu/files/Gergen_09092013.pdf の要約。
2
連邦でなく州の炭素税について Samuel Eisenberg, Michael Wara, Adele Morris, Marta Darby & Joel Minor, A
State Tax Approach to Regulating Greenhouse Gases Under the Clean Air Act http://ssrn.com/abstract=2440925;
Joseph Whealdon, Validation for Taxation: An Argument for the Implementation of a Carbon Tax under Section
111(D) of the Clean Air http://ssrn.com/abstract=2440737(なぜ州なのか、まだよく理解できてない)
3
なぜ限界便益曲線の傾きが相対的に緩やかであると予想されているかについて説明はない。何となく緩そうと
いう印象はある(温度を下げる方法は温暖化ガス削減だけではないかもしれない……火山噴火と同様の状況を
起こす等)。
4
Pizer, William (2002) Combining Price and Quantity Controls to Mitigate Global Climate Change 85 J. Pub.
Econ. 409 が元ネタらしい。未確認。
5
浅妻:ヘッジが保険として機能しても企業が過大なコストを負わないで済むだけであり、実際の限界費用曲線
が予想より上である場合の社会全体のコストが高くつくことは、変わらないのではなかろうか?
6
排出権取引は市場操作に弱い。排出権取引は市場参加者にコストを強いる。欧州の経験でも上手くいってな
い。炭素税は税収ももたらす。炭素税はエネルギー税の経験から執行も容易。……といったことも述べている。
(炭素税は税収をもたらす、という件は、排出権取引との比較における優位性を基礎づけないであろう)
Reuven S. Avi-Yonah, Taxation as Regulation: Carbon Tax, Health Care Tax, Bank Tax and Other Regulatory
Taxes (http://ssrn.com/abstract=1664045)4 頁は、排出権取引であると配分と監視が面倒であるので、炭素税の
方が effective であると論じている。(同旨 Reuven S. Avi-Yonah & David M. Uhlmann, Combating Global
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and Trade(排出権取引を炭素税で包む)が優れている 。排出権取引+価格上限(price cap…高めの炭素税)は
次善の結果をもたらす。排出権取引を一定額で買い取らせることは、最低価格(price floor)も、ガス削減費用が
予想より低い場合(図3)に有効である。[指摘→本当に傾きだけの問題か?]
cf.排出権取引は、量を指定して規制する。炭素税は、価格を指定して間接的に量を規制する。だから炭素税
は排出権取引よりも迂遠な方法である、という考え方がかつてあったらしい(典拠思い出せず)。しかし、量を減ら
すことの限界費用と限界便益が釣り合うかが relevant な問題であるといえるとすれば、炭素税が当然に迂遠な
方式とはいえない(排出権取引の方が量を指定して間接的に価格を規制するから、迂遠であるともいいうる?)、
ということを Gergen は暗黙の前提としていると読める。尤も、炭素消費量が一単位増えることで気温が何度上が
るのか、気温が一単位上昇すると社会の厚生損失は幾らなのか、遅れて判明するという時間差を考えると、排出
権取引の下で価格が高騰することがまずいのかどうか、取引時点では分からないままなのではないか、という疑
問は残る。
2. 最適課税論:単一税源(double distortion 批判)vs.複数手法
2.1. 伝統的な議論
才能(endowment, talent)を測定してそれに一括税(lump-sum tax)を課すことができるならば、効率性を害さな
いし、分配の公平の観点からも支持されよう89。才能は測定できないので、代理変数としての賃金のみに課税10
し、労働・余暇の選択が歪むというコストだけにとどめ、その他の歪みを生じさせない(利子に課税して消費・貯
蓄の選択が歪むという追加的なコストを生じさせない)ことが望ましい11。また、一定の仮定の下ではあるが、賃金
のみへの課税(賃金稼得時に課税し貯蓄利子等に課税しない)と消費のみへの課税(賃金稼得時にも利子等
にも課税せず消費時まで課税を遅らせる)とは計算上同等である12。
こうした主流13の議論に対し、lump-sum tax に近付けようとしているモデルなら効率的になるのは当たり前で意
Climate Change: Why a Carbon Tax is a Better Response to Global Warming than Cap and Trade, 28 Stanford
Environmental Law Journal 3-50 (2009))
7
複数手法を用いるということとの関連で、次に紹介する Gamage 論文にも言及している。但し、炭素税が行動
を変化させようとするものであるのに対し、所得税等に関する Gamage 論文は行動の変化を最小化しようとする
ものである、という違いはあるという。
8
再分配の指標として才能が好ましいかについては、金になる労働を促進し金にならない職業を抑圧する、とい
う問題(最適課税論は金銭評価という尺度に一元化してしまっており複数次元の多様な尺度の可能性を蔑ろに
している)がしばしばリベラル派から指摘される(Linda Sugin, A Philosophical Objection to the Optimal Tax
Model, 64 Tax Law Review 229 (2011)等)。私はこの種の指摘にあまり共感できないが、詰めて考えてはいない
ので、今回は職業選択の自由等に立ち入らない。
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統計的に高身長者が高稼得者であるから、高身長者から低身長者への再分配が、効率性・公平両方の観点
から好ましいことになるというのが、厚生経済学の枠組みでの帰結となる筈であるところ、好ましいのでないとした
ら厚生経済学の枠組みに問題があるのか、を考察するものとして、N. Gregory Mankiw & Matthew Weinzierl,
The Optimal Taxation of Height: A Case Study of Utilitarian Income Redistribution,
http://www.economics.harvard.edu/faculty/mankiw/papers/Optimal_Taxation.pdf (リンク切れ)
10
【賃金のみに課税し利子等に課税しない】は、必ずしも再分配軽視ではないし、標準的な最適課税論の示唆
する税率は結構高い(國枝繁樹「最適所得税理論と日本の所得税制」租税研究 690 号 69 頁等)。統計的に
は、経済格差が大きい方が経済成長率が高いとはいえないし、経済格差が小さい方が健康状態は良好であると
される。再分配が(メカニズムについては不明であっても)社会厚生を増大させることは、疑いないといってよかろ
う。James R. Repetti, Democracy and Opportunity: A New Paradigm in Tax Equity, 61 Vanderlande Law Review
1129 (2008); Miranda Perry Fleischer, Equality of Opportunity and the Charitable Tax Subsidies, 91 Boston
Law Review 601 (2011); 小塩隆士『再分配の厚生分析 公平と効率を問う』日本評論社、2010 年等参照。
11
藤谷武史「所得税の理論的根拠の再検討」金子宏『租税法の基本問題』(有斐閣、2007)272 頁;Joseph
Bankman & David A. Weisbach, The Superiority of an Ideal Consumption Tax Over an Ideal Income Tax, 58
Stanford Law Review 1413 (2006)
12
中里実ほか編著『租税法概説』85、230 頁(浅妻章如、神山弘行、有斐閣、2011)参照。
13
誰を「主流」というかというと、立場の違いもあるかもしれないが、それはさておくとしても、理想論のレベルと現
実的処方箋のレベルで、推奨する課税方法が違うということはありうる。Peter Diamond & Emmanuel Saez, The
Case for a Progressive Tax: From Basic Research to Policy Recommendations, 25 Journal of Economic
Perspectives 165 (Fall 2011)は、最適課税論から出発しているが、現実的処方箋としては利子にも課税しておい
た方がいい、と論じている。
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味がない 、という批判もあるが、この批判が当を得ているとしても、利子課税(包括的所得概念に基づく課税)
や相続税・資産課税等の妥当性の論証にはつながらない。
2.2. double-distortion でもコストは下がりうるか?
伝統的な主流の議論(賃金課税一本槍)に対し、複数の手法を活用した方が望ましくなりうるという議論15。
○Ramsey モデル:物品税の税率を、弾力性の逆数に比例させよ(弾力性が低い財についても税率は零にはな
らずプラス)とする。
○Atkinson & Stiglitz モデル16:差別的物品税(excise tax)は、(賃金税と同様に)労働意欲を害し(労働・余暇の
選択を歪め、お金のかからない活動を優遇する)、更に商品選択も歪めるという double distortion(二重の歪み)
がある。賃金税は、労働意欲を害するが、商品選択を歪めない。賃金課税だけの方が差別的物品税と併課する
よりも効率的である。
○Gamage モデル:賃金税について有効で差別的物品税には有効でない租税逃れ技術(例えば減価償却費の
利用等の人工的費用計上)がある。差別的物品税と賃金税の税率17が同じなら前者の方がコスト(死荷重)が大
きいかもしれないが、税率の二乗に比例して死荷重は増大する18と考えられているので、低い税率の物品税と高
い税率の賃金税を組み合わせるような、追加的税収をあげるための限界的コスト(marginal cost of public funds:
MCPF)が等しくなるような(Ramsey モデル下で弾力性が低い財でも税率が零にはならないのと同様)、課税手
法選択が考えられる。[指摘→論証不成功?]
○Kaplow & Shavell モデル19:所得税(賃金税)と私法制度を組み合わせて再分配を図るよりも、賃金税だけで
再分配を図る方が、同程度の再分配を達成しつつ効率性を改善することができる。
○Gamage モデル:Atkinson & Stiglitz モデルに対する Gamage モデルによる批判は、Atkinson & Stiglitz モデ
ルの double distortion の枠組みに依拠している Kaplow & Shavell モデルに対する批判としても機能する。賃金
税だけで再分配を図るより、賃金税と私法制度も組み合わせて再分配を図る方が、社会厚生が改善しうる。20
注:この論文は、賃金税と差別的物品税の選択というモデルで論じており、利子課税等の当否は論じられていな
い。別稿(David Gamage, Analyzing the Optimal Choice of Tax Instruments: The Case for Levying (all of) LaborIncome Taxes, Value-Added Taxes, Capital-Income Taxes, and Wealth Taxes 未公刊)のタイトルからすると、利子
課税等の正当化の余地もあると論じられるのかもしれないが、素直に推測すると、包括的所得概念(賃金も利子
も同じ額であれば同じ担税力増加の指標であるという考え方)の支持には繋がらないで、賃金課税と利子課税
の MSPF に応じた税率差が要請される、というのではないかと推測される。
14
Chris William Sanchirico, A Critical Look at the Economic Argument for Taxing Only Labor Income, 63 Tax
Law Review 867 (2010); Joseph Bankman & David Weisbach, A Critical Look at Critical Look -- Reply to
Sanchirico, 64 Tax Law Review 539 (2011) cf. Sanchirico; Chris William Sanchirico, A Counter-Reply to
Bankman and Weisbach, 64 Tax Law Review 551 (2011)の論争。
15
David Gamage, A Framework for Analyzing the Optimal Choice of Tax Instruments, 68 Tax Law Review ___
(2014) http://ssrn.com/abstract=2411272 の要約
16
Anthony B. Atkinson & Joseph E. Stiglitz, The Design of Tax Structure: Direct versus Indirect Taxation. 6
Journal of Public Economics 55-75, 1976
17
一般に、物品税は取引価格に上乗せされ(税率 25%なら税抜価格 80 円の商品が 125 円で取引される)、賃
金税は賃金の内から支払われる(税率 20%なら 100 円の税引前賃金から 20 円の税を納め 80 円が税引後賃
金として残る)。税率を比べる際、賃金税率について 25%と計算しなおす(税抜賃金 80 円について雇用者は
80 円×125%=100 円の税込賃金を払うという計算)。
18
岡村忠生ほか著『ベーシック税法』_頁、井堀利宏『財政』_頁。
19
Louis Kaplow & Steven Shavell, Why the Legal System Is Less Efficient than the Income Tax in
Redistributing Income, 23 Journal of Legal Studies 667-681 (1994)
20
この他、Zachary Liscow, Reducing Inequality on the Cheap: When Legal Rule Design Should Incorporate
Equity as Well as Efficiency, 123 Yale Law Journal 2478-2510 (2014)は、所得以外の属性が再分配に適している
(entitlement を低所得者が多い類型の側に有利に設計する、反応の時間差に由来する+-の割引現在価値
の差に着目、など)こともある、と論じている。税収 1 ドル当たり 1/3 ドルの厚生損失があると推計されているの
で、「効率的」な私法と比較して再分配のために非効率的な私法制度に変更することのコストが再分配の 1/3 を
下回る限り、私法による再分配が効率的であると論じる。(Gamage 論文に似ているが、marginal cost of public
funds 自体は割と古くから用いられている概念らしい。)
租税法研究会 2014.6.21
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補:賃金税だけでなく法制度も用いるべき?21
2.3.
[削るべきかも]
【才能 talent と努力 labor effort】以外の所得不平等の原因として rent(市場の失敗に起因する)を想定する。
市場の失敗に対処するには税制(ex post)22より法制度(ex ante)の方が優れている。rent は暗黙の物品税
(implicit commodity tax)である。rent は価格の歪み(price distortion)を引き起こすものであり、労働意欲阻害
(labor distortion)を引き起こすものでもあり、性質上逆進的である。例えば、guild(参入障壁)で儲けた分の所得
を区分して課税するよりは参入障壁をなくした方が話が早い。法制度は、ex ante の見込み情報に基づいて規制
するため、rent の発生を防げる訳ではない(例えば、特許法は各発明者の cost に見合った fine tuning なものに
設計できるわけではない…principal-agent 問題)が、税ならばより上手く rent を認識して剥奪できるわけでもな
い。Kaplow & Shavell モデル(税以外の法制度は efficiency だけを追及するべし、efficiency-equity trade-off は
税制だけで考えるべし)は、市場の失敗としての rent が是正された後の世界におけるものであり23、Kaplow &
Shavell モデル(ex post)を De Geest モデル(ex ante)は補完していることになる。
余談:De Geest モデルでは、rent を所得税制下では観察できないということになっているが(もし観察できるなら
課税で収奪した方が良いとは書いている)、移転価格税制は、rent を観察しようとしているのかもしれない。
仮想例)Xは 1000 円の費用をかけて特許発明を開発し特許権を得た。Xは更に 5000 円の事業費用を出し
て、合計 6000 円の費用をもとに特許を実施し製品を製造販売して、6600 円の販売収入を得る予定であった。
しかしYがXの特許発明を勝手に実施し需要を先食いした。Yに先を越されたXは事業費用の出費が 0 円であ
ったが、収入も 0 円であった。XはYに幾ら請求できるか(とりあえず特許法 102 条 1 項はないものとして)。Yに
は特別な才能があったので、Xなら製造販売に 5000 円の費用をかけねばならないところ、Yは 3000 円の費用
をかけて製造販売をし、Xの特許発明を実施することで、6600 円の収入を得た。YはXに 1100 円だけ損害賠償
を払えばすみ、6600-3000-1100=2500 円はY自身の才能及び製造販売活動に由来する利益だから、Xに
1100 円を超える損害賠償を支払う謂れはないと言っている。Yの主張は認められるか?
XとYが対立する二当事者であれば私法の問題であるが、租税法関係者にとっては、XとYが親子会社・兄弟
会社であったり本店支店・支店支店の関係であったりした場合の所得配分が問題となる。Yの才能によってYの
費用が抑えられる場合だけでなく、例えばY所在地国の特殊事情によりYの費用が低くて済む場合にもYの所
得を多く算定すべきかということが議論されたりする(location saving の議論……賛否両論であることはともかくと
して)。
余談:De Geest モデルでは、才能による不平等は市場の失敗による rent と区別されている。しかし私法学者は
この区別を受け容れるであろうか。私法学者は【あなたの才能はあなたのものだ】という発想24を受け容れるであ
ろうか。上の例で、【特許侵害などとけしからんことをするYに、Yの才能に由来する利益をとどめておくのは不正
義である。利益を吐き出させるべきである】という規範的判断(侵害抑止という観点だけでなく)が少なからず支持
されると予想される。
特許侵害以外の例として、Pが所有している農地についてQの方が耕作が上手であるという場合に(しかし、P
が妙な愛着を持っている等何らかの事情で、PとQとの間で農地売買契約または賃貸借契約が成立しない場合
に)、Qが勝手に耕作した場合に、QがPに賃料相当分さえ補償しておけば効率的である(liability rule の発想)
という議論25に対し、嫌悪感を示す私法学者も少なからず存在するであろう。
更に言うと、才能と rent(市場の失敗)との区別は、意味のある区別なのであろうか26。ネットワーク外部性も市
場の失敗としての rent の例として挙げられている(Bill Gates と Mark Zuckerberg の例は rent とされている)が、
映画俳優や運動選手のスーパースター効果27については、才能なのか市場の失敗なのか、判然としない28。
21
Gerrit De Geest, Removing Rents: Why the Legal System is Superior to the Income Tax at Reducing Income
Inequality, http://ssrn.com/abstract=2337720
22
De Geest モデルでは GDP に課税するという想定であるので、利子課税(包括的所得概念に基づく課税)は
暗黙の前提として除外されていると読める。
23
De Geest が引用しているわけではないが、市場の結果に税が介入するという通念への疑問として、Liam
Murphy & Thomas Nagel, THE MYTH OF OWNERSHIP: TAXES AND JUSTICE (Oxford University Press, 2002)等参
照。
24
リバタリアンの一人・森村進『財産権の理論』_頁(弘文堂、1995)。
25
この議論が通用しない鍵は、裁判所による適正な補償額の算定が難しいことにあるが(シャベル『法と経済
学』_頁)、仮に裁判所による適正な補償額の算定がコストなく可能であるという仮定を置いても、liability rule へ
の嫌悪感は消えないかもしれない。
26
標準的な経済学では才能も rent の一部と位置付けられると思われるが、典拠不明。とりあえず課税の効率性
の考え方からは、努力(投資)による稼ぎとそれ以外の稼ぎ(才能も含めた rent)との区別が重要となると思われ
る。
27
マンキュー『ミクロ経済学』_頁
28
アメリカの会社取締役報酬高騰が、rent であるか否か(取締役達の生産性によるものなのか市場構造が取締
役達にタナボタをもたらしているのか、という対立であるが、トートロジカルには、高率で課税されるにふさわしい
か否かと言い換えられよう)、が激しく論じられている。N. Gregory Mankiw, Defending the One Percent, 27 J.
Econ. Perspectives 21 (2013) (紹介として http://econ101.jp/グレッグ・マンキュー、トップ 1 を擁護する/); Josh
Bivens & Lawrence Mishel, The Pay of Corporate Executives and Financial Professionals as Evidence of Rents in
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5
3. 小括:理想論(最適課税等)と妥協の設計
理想論のレベルでは、lump-sum tax が効率的であることは決まりきっているので、最適課税論では、如何に才
能に対する lump-sum tax29に近付けるかという設計の議論となる。理想論に対し、才能を測定できないという制
約を加味しても、賃金のみに課税することが課税のコストの最小化につながると従来考えられてきた。才能が望
ましい課税対象であるかはともかく、distortion の発生原因を一つに絞ることが伝統的に目指されてきた。
温暖化対策に関しても、限界費用曲線・限界便益曲線が分かっているならば、排出権取引であれ炭素税であ
れ、効率性の観点から最適な設計をすることはできる。最適な量・価格が分からない場合の設計ミスに対する補
完がラッピングの思想であると読める。
現実世界において複数手法30を用いている(或いは用いることが可能かもしれない)領域は、他にどんなもの
があろうか?
4. 複数手法の応用可能性?
4.1. R&D投資
排出権取引(最適量政策)と炭素税(最適価格政策)のプラスとマイナスを逆にして正の外部性(例えばR&
D:研究開発)について考える。
図4:限界便益曲線と限界費用曲線の交点の量のR&Dがなされることが望ましい。しかし発明・著作物等の公
共財的性格により、社会限界便益曲線よりも私的限界便益曲線が下に位置してしまい、R&Dの過少供給が起
きてしまう。
図5:R&Dに関する特許権・著作権等は、私的限界便益曲線を上方にシフトさせ社会限界便益曲線に近付
Top 1 Percent Incomes, 27 J. Econ. Perspectives 57 (2013) (紹介として http://econ101.jp/アメリカのトップ 1 は成
長の果実を独り占め/)を含む Journal of Economic Perspective の特集(まだちゃんと読んでない)参照。
なお仮に rent であるとしても、高率で課税すると逃げられるならば、課税しようとする社会にとって社会厚生の
改善には繋がらない。rent であるか否かと逃げられるか否かとは、必ずしも一致しない。例えば、リーマンショック
後の英国で金融機関の高額ボーナスに課税することを試みたところ、スーパースタートレーダーの流出を恐れ
た金融機関が末端従業員の解雇に走った、と報道されている(__)。トレーダーは、英国プレミアのスターサッ
カー選手と同様であるということになる。
29
生まれてから金銭獲得のために最大限の努力をしたと仮定した上での賃金ということになる(学者なんかやっ
とらんで弁護士・会計士等を目指して最大限の稼ぎを得ろ、といった類)。何が金銭獲得のために資する努力で
あるかについてすら議論の一致を見ないであろうから(例えばいわゆるゆとり教育の是非など)、非現実的な仮
定ではあるが、理想論に対して非現実的な仮定だという批判は規範的批判として弱い。批判するとすれば目標
としてふさわしいか否かという規範的な議論となろうか。
30
Joshua D. Blank, Collateral Compliance, 162 University of Pennsylvania Law Review 719-800 (2014)が
Kawashima v. Holder, 132 S.Ct. 1166 (2012); affirming 615 F.3d 1043 (9th Cir. 2010)(a false statement in
violation of section 7206(1) and (2) constitute deportable offenses…カリフォルニア州レストラン ChoChoSan 経営
日本国籍かわしま夫妻の約 25 万ドルの脱税(加算税・利子税・懲役 4 か月)→国外追放)を例に挙げて、
monetary penalty 以外の penalty(付随罰…国外追放のほか、事業免許・運転免許停止、名声など)を考えること
が tax compliance の向上につながるのではないかと論じていることも、興味深い。が、今日は深入りする余裕が
ない。
(1)非金銭懲罰は目立つ(salient)。
(2)政府便益否定は納税者の loss aversion biases に訴えかける(行動経済学)。
(3)付随罰は金銭懲罰より大きな負荷(特に裕福な人にとって)となることがある。
(4)付随罰は納税者の名声を傷つけうる。
(5)加算税が納税者のプライバシーで隠されるのと対照的に付随罰は一般予防効果を持ちうる(observablility)。
(6)政府便益剥奪の脅しは duty of citizenship の意識を高めうる。
付随罰の欠陥としては、罰の程度が不連続的となることにあるのかな、という気もする(Cf. Blank・777 頁以下。
尤も Proportionality principle とか言ったところで連続的な負荷の設計が可能となる訳でもない)。不連続な扱い
の衡平の量的表現を試みるものとして Bradley T. Borden, Quantitative Model for Measuring Line-Drawing
Inequity, 98 Iowa Law Review 971-1039 (2013)は面白かった。
また、事業免許停止のような付随罰を考えると、事業機会が脱税者から新規参入者に移るだけならば社会厚
生損失は小さいであろうが、脱税者の事業を停止させて代わりの事業者が参入してこないような場合の社会厚
生損失は、tax compliance 向上というメリットに対して釣り合うのかという問題もあるかもしれない。
6
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3132
33
け 、R&D過少供給を解決しようとしている(排出権取引と似ているかはよく分からない )。しかし、恐らく私的
限界便益曲線が社会限界便益曲線に一致するほどまでに上昇することはないのではなかろうか、という点で、
過少供給の程度を弱めることはできても過少供給を解消することはできないと予想される。また、私権設定により
R&D 費用が増大してしまう(他人の権利侵害にならないようにするため)、と予想される。
図6:R&D補助金(炭素税の逆バージョン)は、限界費用曲線を下げることによって過少供給を解決しようとし
ている。
図4:過少投資
限界便益・費用
社会限界便益
図5:私権設定
図6:補助金・減税
R&D 限界費用
私権設定後私的便益
↓
私的限界便益
↑私権
社会限界便益
↑R&D
限界費用
無権利私的
限界便益
投資量
実際の投資 最適投資
無権利投資 私権設定後投資
私的限界便益
R&D 限界費用
↓
補助後 R&D
限界費用
無補助投資 補助後投資
図5と図6を組み合わせるべきか?:併用が望ましいのかもしれない。
図6だけでは駄目なのか?:補助金よりも私権設定の方が成果を出しやすいのだろう。成果のみに補助金を出
す方法としてはパテントボックス税制の方が研究開発投資減税より効くのかもしれない(煮詰まらないです)が、
私権設定なしではパテント収入の定義が難しいのだろう。
図5・図6が適する領域の違いは?:著作権法は表現のみを保護しアイデアは保護しないなどの点で、私的限
界便益曲線を社会限界便益曲線に一致させることを最初から諦めている34。他方、大学・研究機関等に国費が
投入されるのは、アイデアの過少供給問題を解消することを狙ってのことであろうと推測される。
4.2. 企業課税と国外流出
図7:国内資本収益が課税され国外資本収益が課税されないとすると、国内資本収益曲線だけ下方にシフト
し、最適な国内資本量と比べ、実際の国内投資量が過少となる。最適資本投資量 F と課税後の資本投資量 G
との差が、企業の国外流出(企業に個人も含め、資本に人的資本も含めれば、いわゆる才能流出も含まれる)と
なる。BCDE が国内税収(再分配等にあてられる)となり、AFGC が国内から失われる収益(うち ABC は死荷重)
となる。課税後の国内資本限界私的収益が図のように下方にシフトしても、他国も日本と同様に課税して国外資
本の限界私的収益が同様に下方にシフトしていたら、国内投資量は F となり、国内税収は HADE となる。税率
の国際協調ができるならば死荷重 ABC が生じないという意味で効率的であろうが、他国としては日本より税率
を下げることで ABGF を日本から自国に誘致する誘因があり、国際協調はうまくいかない?
図8:縦軸を社会限界便益(または損失)とし、横軸を企業税率(図7の BC)とする。税率が低い時は、限界便
31
Andrew Blair-Stanek, Intellectual Property Law Solutions to Tax Avoidance, 62 UCLA Law Review __ (2014)
は、移転価格問題に関し、納税者がアメリカからアイルランド等に移転された特許権等の価値が安いと主張する
ならば、当該特許権等の保護を弱くすればよい、と論じている。最初、面白い主張であると思いかけたが、ワーク
しないような気がする。
32
ネットワーク外部性があるため、私的限界便益曲線が社会限界便益曲線より上に位置してしまっている場合
もあるのではないか、という疑問が考えられる。この点、煮詰まらないが、ネットワーク外部性は博打の分散を大き
くしているのではないか(分散が大きくなるだけであるとすると、リスク中立を仮定すればネットワーク外部性があ
るといえどもR&D投資が過大になることはない)と思われる。映画俳優のスーパースター効果についても分散の
問題のような気がする。
33
排他権(報酬請求権にとどまる場合もあるが)の設定が、排出権取引における property rule の活用という点で
似ているような気もする一方、排他権設定はR&Dの量をコントロールしているわけではないという点で似ていな
いような気もする。
34
アイデアを私的独占させると弊害が大きい(例えば教育できなくなる等)と説明されるが、どちらかというと執行
可能性の問題ではないかと思われる。
7
租税法研究会 2014.6.21
35
益の高い使途(公共財提供 、再分配)に用いられ、税率が高くなるほど限界税収は減っていき(ラッファーカー
ブの右側までいけば限界税収はマイナスになるであろうが、そこまでは視野に入れない)、財政支出の限界便益
も下がっていくと推測されるので、右下がり曲線であると推測される。税率が高くなるほど企業の国外流出(図7
の AFGC)が増大し、かつ、限界損失は右上がり曲線であると推測される36。企業の国外流出による限界損失
が、財政支出による限界便益を越えないところまで、企業税率を高くすることが、最適であろう37。
図7:企業流出
限界収益
無税
国内資本
D
E ↓
課税後
国内資本
図8:企業税収と社会厚生
限界便益・損失
国外資本
C
B
A
↓
財政支出の
限界便益
図9:国外流出予測の誤り
限界便益・損失
今の企業流出
限界損失
↑
昔の企業流出
限界損失
H
G F
資本量
課税後資本 無税下資本配分
今の税率
企業税率
昔の税率
企業税率
交点より低い企業税率を課している場合、企業流出限界損失は低レベルであるが、財政支出が最適水準より
不充分なので、国内で経済格差が(功利主義を前提としても)広がってしまっているであろう。
交点より高い企業税率を課そうとする場合、企業流出が進行してしまい……(どうなるかよく想像できない。予
測より税収が少なくなるであろうが、最適税率の場合よりは多くの税収をあげることになろう)限界便益が限界損
失を下回り、経済厚生が悪化する上に、国内経済が縮んでいくであろう38。
昔と比べて今は企業が海外に流出しやすくなったとすると、同じ企業税率における企業流出限界損失は、上
方にシフトしているのではないかと推測される39。昔より今の方が最適企業税率が低くなっているのではないかと
推測する。(しかし 20 世紀終盤以降の統計として、法人税収40の対 GDP 比がOECD加盟国で目立って減って
いるわけではなく、政府の規模も近年目立って小さくなっているわけではないとすると、税率41はまだまだそれな
35
公共財提供のための税収は、企業から見れば弱い意味ながら対価性があるので負担ではなく、図7の実線
の右下がり曲線は公共財提供のための課税がされた後を示し、実線と一点破線との差の税収(BCDE)が再分
配にあてられる、と解釈すべきか、公共財提供のための税収であっても企業から見て回避できるものなら回避し
たいので、BCDE は公共財提供と再分配両方のためにあてられる、と解釈すべきか、まだ煮詰まらない。
36
死荷重(図7の ABC)は税率の 2 乗に比例して増大することが知られているが、国外流出(図7の AFGC)
は、2 乗に比例するというほどには増大しない。しかし長方形ではなく台形なので、右上がり曲線になると推測さ
れる。
37
限界便益と限界損失とを比較する功利主義の発想であり、平等を重視する社会厚生関数を前提とするかどう
かはそこでは考えられていないモデルである、ということになりそうである。平等重視的(egalitarianism…私は再
分配重視的という意味であると理解していたが「平等主義」は必ずしも再分配重視とは限らない?用語の意味、
後で確認)社会厚生関数を前提とし、縦軸を限界便益ではなく限界社会厚生とすれば、右下がり曲線が上方に
シフトし(←再分配による社会厚生の増大が、大きくなるとの想定)、傾きが急になる(←最初に再分配の原資を
貧しい人に配り、税収に余裕があれば中流層にも配る、とすると、最初の財政支出のうちの再分配のもたらす社
会厚生の増大は大きい、との想定)のであろうか?それとも、図7における BC という課税は付加価値に対する比
例税であると解釈すると、何らかの社会厚生関数を導入するならば再分配のために別の課税方法(資産課税と
か?)を導入せよということになろうか。
38
ジンバブエとかで、庶民受けの政治をしようとした結果、国内企業活動が縮小した、ということはあるかもしれ
ないが、日本を含めた先進国では経済活動が成長不足ではあっても縮んだと悲観する程ではないといえるとす
ると、最適企業税収水準以下の課税に抑えられている、と解釈できようか。中国等アジア各国では無茶苦茶な
課税を受けるらしい(と日本企業の方からうかがう)が、それでも経済が成長しているということは、最適税率より
高い税率にはなっていないと解釈できようか?寧ろ、中国の大気汚染などを考えると、もっと課税してもっと環境
改善などのために財政支出すべきという状態であると解釈できようか?
39
上方にシフトしたと考えるべきか?傾きが急になったと考えるべきか?図7の AFGC を見ると傾きが急になっ
たとは解釈しにくいと考えられる。
40
個人事業主の法人成りを考えると、法人税収だけに着目するのは不充分ではあるが。
41
法定税率が減っても課税ベースを広げることで法人税収があまり減ってないと言われることもある。しかし図7
租税法研究会 2014.6.21
8
りに高いままであるのかもしれない)
図8の別の解釈?:右上がり曲線は、企業が国外流出することによる限界損失のみならず、労働意欲阻害(余
暇の増大)も含めた限界損失であると解釈できるであろうか。
労働意欲阻害(図7の右側が余暇であるとの解釈)は、AFGB が労働から余暇に切り替わるということであっ
て、その点で社会全体の損失は発生しない(損失は ABC の部分)。国外流出と余暇は違う。
では、図8の右上がり曲線を、国外流出と余暇の両方を含むものとして作図しなおせないか?――できそうな
気もするけど確信が持てない。
図9:企業税収及び再分配の社会便益は比較的容易に見積もることができるが、企業税収に対する企業の国
外流出の感応度は比較的予測しにくいと仮定する。図9では、実線が予測の企業国外流出限界損失、一点破
線が、実際の企業国外流出限界損失であるが、
右上がり曲線の傾きは相対的に急なのか緩やかなのか?企業立地に及ぼす税の影響は5番目らしい42ので、
税負担への企業の感応度は小さいとすると、傾きは緩やかなのかもしれない。また、図7の税率(BC)を少しず
つ高くしていった場合の【税収(BCDE)の変化】(更に図8・9では最初の税収を便益の高い財政支出をすると想
定)と【国外流出(AFGC)の変化】とを見比べると、右上がり曲線の傾きは相対的に緩やかであろうと推測され
る。が、念のため右上がり曲線の傾きが相対的に急である場合の図も描いておく。
右上がり曲線の傾きが相対的に緩やかならば、企業税率(Gergen 論文の炭素税に相当するといえようか)の狙
いが外れた場合の痛手が小さい。逆に、財政支出の社会便益を見積もってから、それに要する税収を企業から
徴収するというタイプ(Gergen 論文の排出権取引に相当するといえようか)は、狙いが外れた場合の痛手が大き
い、ということになろうか。
右上がり曲線の傾きが相対的に急であるならば、企業税率の狙いが外れた場合の痛手が大きい。とりわけ、最
適税率より結果的に高い税率となって国外流出が予測より進行してしまうと、取り返しがつかないかもしれない。
最適税率よりも低めを狙って課税し、財政支出による社会便益の不足を補うために、別の財源(企業以外への
課税、例えば資産税43とか?あるいは国債44も?)で調整する、というのが現実のあり方ということになろうか。
社会保険の領域において、必要な保険支出を見積もってから、賦課徴収するというタイプは、個人が社会保険
負担に感応して足での投票をすると想定するならば(右上がり曲線の傾きが急であると想定するならば45)、効果
的な手法ということになる。地方公共団体間の生産要素の移動が激しい(財政負担への感応度が高い)ならば、
地方公共団体が税率に基づく税収変動の激しい財源よりも、安定的な財源を求めることは、理に適っているの
かもしれない?
補:法人税率 20%台を目指す議論を念頭に思い浮かべながらモデルをこねこねしていたが、どうも直接には
関係しないように思われる。
法人税率を下げる代わりに代替財源を探しているところ、税調等では、課税ベースを広げる方向の議論がされ
ており、企業以外のところに財政負担を求める(付加価値税増税とか社会保障給付削減とか)ことは考えられて
いないらしい。
の BC が示す【税率】は、法定税率ではなく実効税率なのであろう。[指摘→実行税率と限界税率の心理]
42
財務省資料__
43
図7は比例税率を想定している図になっているので、最適課税論が推奨する賃金への累進課税による再分
配が考慮されてない。賃金累進課税も含めて図7のような課税になっているのだ、と解釈してよいのか、それとも
図7はあくまで比例税率であり再分配は賃金累進課税や資産税や利子課税の組み合わせで考えるべきなの
か、まだ整理がつかない。
44
図9で時間軸は考慮されてないので、国債は言及しない方が無難かもしれない。
45
地方団体間の移動は企業の国外流出より税負担への感応度が高いとすれば傾きは急であるかもしれない
が、右上がり曲線が右下がり曲線よりも傾きが急であるかは分からない。