Market-Rating Migration and Transition Analysis 明治大学グローバル・ビジネス研究科 東邦大学理学部情報科学科 明治大学先端数理科学研究科 明治大学グローバル・ビジネス研究科 ZWシステム 刈屋武昭 高田英行 田野倉葉子 山村能郎 王竹 1.はじめに 本研究は,国債価格モデルおよび社債価格モデルのクロスセクション分析から信用リスクを分 析するためのフレームワークを提案し,その有効性を検証することを目的としている. 2.内容 はじめに,日本国債価格モデル(Kariya et al.(2012))で推定された割引率関数 Dk (skj ) と社債価格か ら信用リスク指標として S-CRiPS (Standardized Credit Risk Price Spread)を定義している.そこでは, 個別社債(k)ごとに満期とクーポンの債券属性を考慮した上で,国債と同等な信用リスクを有する 社債価格 Pˆk を算出し,社債の市場価格 Vk とのスプレッド yk を S-CRiPS( k )と定義している(以下, Ck ( skj ) はクーポンおよび元本 M(k)は満期を表している).本研究では金融危機を含む 2006 年 9 月 ~2013 年 3 月の各月末時点を対象に,期間平均約 1,500 銘柄の日本社債に対して S-CRiPS を計測 している. k yk / skM ( k ) yk Vk Pˆk M (k ) Pˆk C (s k kj ) Dk ( skj ). j 1 次いで,S-CRiPS から以下で定義される市場情報に基づく新たな格付け方法(Market-Rating) を提案し,上記の分析期間を対象に個別社債の Market-Rating を算出している. Assign Corporate Bondk to M-Rating index m if 0 a(0) a(1) k (a(m), a(m 1)] , a( J 1) a( J ) 個別社債の Market-Rating の時系列変動および分布に関する考察から金融危機前後の信用リスクの 変動実態を明らかにするとともに,Kariya(2013)の社債価格モデルを適用して M-Rating ごとのデ フォルト確率の期間構造を導出している. さらに,Market-Rating の推移確率を導出し,分析期間における格付け推移に関する考察を行っ ている. 【主要参考文献】 Kariya, T., Wang, J., Wang, Z., Doi, E. and Yamamura, Y. (2012) Empirically Effective Bond Pricing Model and Analysis on Term Structures ofImplied Interest Rates in Financial Crisis. Asia-Pacific Financial Markets, 19, 259-292. Kariya, T. (2013) A CB (corporate bond) Pricing Model for Deriving Default Probabilities and Recovery Rates. Advances in Modern Statistical Theory and Applications: A Festscrift for Professor Morris L. Eation, eds: Garlin, J, and Xiaotong, S., 136-155, Institute of Mathematical Statistics.
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