1. 【こ・そ・あ】 フランス語は“ce”で「これ・それ・あれ」のすべてを表します。遠近を区別し、 近くのものを指したいときは、 「この」を意味する“-ci”を名詞の後につけます。 遠くのものを指したいときは、「その・あの」を意味する“-là”を名詞の後につけ ます。 2. 【行きます・来ます】 「行く」を意味する“aller”と、 「来る」を意味する“venir”を使います。“aller” は話し手が聞き手とは違う方向に移動するときや、話し手と聞き手が同じ方向に移 動するときに使い、“venir”は話し手と聞き手が近づくときに使います。そのた め、友達に対して“venir”を使って「あなたの家に行きます」とフランス語では 言えます。 3. 【い形容詞・な形容詞】 い形容詞、な形容詞という区別はありません。フランス語では、形容する名詞が女 性名詞か男性名詞か、単数か複数かによって形容詞の形が変化します。日本語とは 違い、修飾用法は基本的に“名詞+形容詞”の順ですので、注意して教えましょう。 4. 【あります・います】 存在文は“il y a+物・人+場所”の形で表せます。所在文は、英語の be 動詞に相 1 当する“être”を使い“物・人+être+場所”となります。存在文でも所在文でも、 有生・無生という区別をしません。 5. 【~は…が好きです】 動詞の“aimer”を使います。aimer で「~が好きだ」と「~を愛している」両方 を表すことができます。 「ジュテーム」“Je t’aime(私はあなたを愛しています)” などがその好例です。“aimer”は動詞なので、 「~を好きです」にならないように 注意して教えましょう。 6. 【~がほしい】 フランス語では、動詞“vouloir”を使います。例えば、“Je veux du thé.”は「私 は紅茶がほしいです。 」という意味になります。“vouloir”は条件形にすると、よ り丁寧になります。フランス語の“vouloir”の場合、主語は誰でも構わなく、 “Voulez-vous~?”で「~はいかがですか。 」のように人に何かを尋ねることもで きます。 7. 【~たい】 「~たい」は“vouloir+動詞”で表し、主語は誰でも構いません。また、 “Voulez-vous~?”は「~したいですか。 」「~してもらえませんか。 」のように願 望を尋ねたり、何かをお願いしたりする表現にもなります。 2 8. 【て形】 フランス語には「て形」のような動詞の活用がないため、ひとつずつ覚えていく必 要があります。 9. 【普通体】 「あなた」と言うとき、目上の人や親しくない人に対しては“vous”を使い、親し い人に対しては“tu”を使います。どちらの「あなた」を使うかで、動詞の活用が 変化します。日本語では、ひとつずつ普通形を覚えていくのが大切だといえるでし ょう。 10.【あげます・もらいます・くれます】 基本的に物の授受は「与える」という意味の動詞“donner”を使いますが、 「もら う」は“recevoir”でも表せます。 「あげる」 「もらう」「くれる」を教えるときは、 授受の方向を意識させたほうがいいでしょう。 11.【~てあげます・~てもらいます・~てくれます】 対応する表現はありませんが、“se faire+動詞”という形は、 「髪を切ってもらう」 「手伝ってもらう」 「財布を盗まれる」 「車にひかれる」などのように「~てもらう」 または受身で訳されます。どちらの訳し方になるかは文脈で決まるので、日本語の 「~てもらう」とは違い、恩恵や感謝の気持ちが必ずしも出る表現というわけでは 3 ありません。 12.【~んです】 「んです」と同じような要素はありません。 13.【自動詞・他動詞】 フランス語では自動詞と他動詞を区別します。また、“再帰代名詞 se+他動詞”で、 自動詞的な意味を持たせることができます。例えば、 (誰かを)起こす“réveiller”⇒(自分が)起きる“se réveiller” (何かを)洗う“laver”⇒(自分の体を)洗う“se laver” (誰かを)興奮させる“exciter”⇒(自分が)興奮する“s'exciter” のようになります。 14.【受身】 フランス語には受身表現がいろいろあります。“être+動詞の過去分詞”の形以外 にも、“se faire+動詞”の形や、 「人々は」 「誰かが」などのように主語を明確にし ない“on”を使った受身相当の表現、 「自分自身が~する」を意味する再帰代名詞 “se”を使った受身相当の表現などがあります。これらは“être+動詞の過去分詞” の形とは違いますが、日本語に訳すときは受身文になります。日本語の受身表現は、 動詞が受身形になるという説明が必要でしょう。 4 15.【使役】 「自動詞・他動詞」にあるとおり、フランス語には他動詞が使役的な意味を持つも のもあります。強制用法の場合は動詞“faire”、許可・放任用法の場合には動詞 “laisser”を使い、その後ろに動詞を置きます。また、“se faire+動詞”の形で「~ てもらう」と訳せるので「髪を切ってもらう」「手伝ってもらう」などと言うとき はこの形を使います。 16.【尊敬語】 普通体の章で書いたように、フランス語では「あなた」と言うとき、目上の人や初 めての人に対しては“vous”を使います。また、動詞の“pouvoir(~できる)” と“vouloir(~したい)”の条件法を使った“Pourriez-vous~?”、 “Voudriez-vous~?”は「~してくださいませんか。 」のように非常に丁寧な依頼 表現になります。 17.【謙譲語】 定型表現を使うことによって、丁寧な意味合いを出すことができます。例えば、 「~ できる」を意味する動詞“pouvoir”を使った“Je peux~?”や“Puis-je~?”は 「~してもよろしいですか。」といった許可を求める丁寧な表現になります。 18.【~ている・~てある】 5 “être+過去分詞”で結果の状態が表せ、 「 (人)は~した。 」の形で動作主の存在が 出せます。 19.【と・ば・たら】 「~するとき」を意味する“quand”で一般的なことを表し、仮定を表す場合は“si” が使われます。“après~”で動作の順番が言えます。 20.【~ように・~ために】 目的を言うときは“pour~”が使われます。改まった言い方では“afin de~”が使 われることもあります。 21.【~たところ・~たばかり】 動作の直後は“venir (juste) de~”で表せます。 22.【様態の「そうだ」 ・伝聞の「そうだ」 】 「~ように見える」は“sembler” “paraître”、 「言う」を意味する“dire”の条 件法を使った“On dirait que~”などで表せます。また、“dire”の直説法を使っ た“On dit que~”で「~と言われている」という意味になります。“J'ai entendu dire que~”で「私は~と聞いた」といった意味になります。 6 24.【は・が】 使い分けはありません。 25.【場所の「に」と「で」 】 “à”や“en”“dans”などは場所といっしょに使われます。 26.【から・ので】 聞き手が理由を知らないときは“parce que”、知っているときは“puisque”で理 由を表します。また、“comme”も文頭に置くことで理由を表せます。 7
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