電事連会長 定例会見要旨 (2015 年 2 月 20 日

電事連会長
定例会見要旨
( 2015 年 2 月 20 日 )
電事連会長の八木でございます。よろしくお願いいたします。本日は、
「 電 力 各 社 の 決 算 の 状 況 」、「 原 子 力 リ ス ク 研 究 セ ン タ ー を 活 用 し た 事 業
者 の 取 り 組 み 状 況 」、そ し て「 エ ネ ル ギ ー ミ ッ ク ス 議 論 に 対 す る 私 ど も の
考え」の3点について申し上げます。
1.「電力各社の決算の状況」
まず、「電力各社の決算の状況」について申し上げます。ご案内の通り、
各社は先月末までに、第3四半期決算を発表いたしました。
今 期 は 、 10 社 合 計 の 経 常 損 益 が 黒 字 に 転 換 す る な ど 、 全 体 と し て 改 善 方
向となりました。しかしながら、収入面では、販売電力量が減少する中で、
お客さまにご負担をおかけしている電気料金の値上げが寄与する形となっ
た 一 方 、費 用 面 で は 、最 大 限 の 経 営 効 率 化 の 成 果 が 現 れ ま し た も の の 、修 繕
工 事 の 後 年 度 へ の 繰 り 延 べ な ど 一 過 性 の 要 因 も 大 き く 、決 し て 持 続 可 能 な 収
益 構 造 と は 言 い が た い 状 況 に あ り ま す 。ま た 燃 料 費 に つ き ま し て も 、約 5.4
兆 円 と 過 去 最 高 で あ っ た 昨 年 度 並 み で 推 移 し て お り ま す 。こ れ は 震 災 前 の 2
倍 を 超 え る 水 準 で あ り 、経 常 費 用 に 占 め る 割 合 は 4 割 程 度 と 、震 災 前 と 比 べ
極めて高い状況が続いております。
こうした 厳しい 経 営状況の 中、 私どもといたしましては、引き続き、経営
効 率 化・コ ス ト ダ ウ ン の 更 な る 深 掘 り に 努 め て ま い り ま す が 、「 低 廉 で 安 定 的
な 電 力 を お 届 け す る 」と い う 私 ど も の 使 命 を 果 た す た め に は 、持 続 可 能 な 収 益
構 造 を 実 現 し 、事 業 を 軌 道 に 戻 し て い く こ と が 、大 変 重 要 で あ る と 考 え て お り
ま す 。そ の た め に は 、や は り 原 子 力 発 電 が 一 定 の 役 割 を 果 た し て い く こ と が ぜ
ひとも必要であり、早い段階での再稼働、この目標の実現に向け、引き続き、
全力を尽くしてまいる所存でございます。
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2.「原子力リスク研究センターを活用した事業者の取り組み状況」
次 に 、「 原 子 力 リ ス ク 研 究 セ ン タ ー を 活 用 し た 事 業 者 の 取 り 組 み 状 況 」に
つ い て 申 し 上 げ ま す 。本 セ ン タ ー は 、規 制 の 枠 組 み を 超 え て 、原 子 力 発 電 の
自 主 的 ・ 継 続 的 な 安 全 性 向 上 を 目 指 す た め の 研 究 拠 点 と し て 、 昨 年 10 月 、
電 力 中 央 研 究 所 内 に 設 置 さ れ ま し た 。 確 率 論 的 リ ス ク 評 価 、 い わ ゆ る PRA
の 研 究 開 発 を 担 う と と も に 、課 題 解 決 策 の 提 言 や 技 術 支 援 を 通 じ 、事 業 者 の
取 り 組 み を 強 力 に 支 援 い た だ き ま す 。お 手 元 の 資 料 に 、現 在 ま で の 取 り 組 み
状況を整理いたしましたので、ご覧いただければと思います。
セ ン タ ー 設 置 以 降 、組 織 と し て の 活 動 方 針 や 研 究 開 発 ロ ー ド マ ッ プ を 策 定
す る 中 で 、私 ど も 事 業 者 が 抱 え る 課 題 や ニ ー ズ を 共 有 す る た め 、セ ン タ ー 所
長 と 原 子 力 部 門 の 経 営 責 任 者 と の 会 議 や 、発 電 所 の ご 視 察 な ど 、様 々 な 機 会
を 活 用 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 重 ね て お り ま す 。ア ポ ス ト ラ キ ス 所 長 か ら
は 、継 続 的 な 安 全 性 向 上 の た め に は 、常 に 感 度 を 高 め て 新 た な リ ス ク を 見 つ
け 出 す と と も に 、リ ス ク 情 報 を 的 確 に 活 用 し て 意 思 決 定 を 行 う こ と の 重 要 性
など、大変貴重なアドバイスをいただいております。
今 後 と も 、セ ン タ ー と 密 接 に 連 携 す る と と も に 、活 動 方 針 や 研 究 成 果 、ご
助言を最大限尊重し、自らの事業活動にしっかりと反映してまいります。
事 業 者 の 取 り 組 み と い た し ま し て は 、PRA の 活 用 方 針 の 策 定 や 高 度 化 に 向
け た 検 討 を 行 う た め 、本 年 1 月 、電 気 事 業 連 合 会 の 中 に「 PRA 活 用 推 進 タ ス
ク チ ー ム 」を 設 置 い た し ま し た 。具 体 的 に は 、四 国 電 力 伊 方 発 電 所 3 号 機 を
モ デ ル プ ラ ン ト に 選 定 し 、セ ン タ ー の 支 援 を い た だ き な が ら 、PRA 手 法 の 検
討 を 行 い ま す 。そ こ で 得 ら れ た 成 果 や 改 善 点 は 、全 て の 事 業 者 に 水 平 展 開 し 、
再稼働の後、初めての定期検査後に実施を予定している「安全性向上評価」
に お い て 、順 次 適 用 し て ま い り ま す 。更 に 、セ ン タ ー の 最 新 の 研 究 成 果 も 取
り込みながら、継続的に検討を進め、一層の高度化を目指してまいります
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私 ど も と い た し ま し て は 、安 全 確 保 に 向 け た 取 り 組 み に 、「 も う こ れ で 十
分 」と い う ゴ ー ル が 存 在 す る こ と は な く 、常 に 進 化 さ せ な け れ ば な ら な い と
考えております。本日ご報告いたしました原子力リスク研究センターや、
JANSI な ど 外 部 の 機 能 も 積 極 的 に 活 用 す る こ と に よ り 、更 な る 高 次 元 の 安 全
の追及に、弛まぬ努力を続けてまいります。
3.「エネルギーミックス議論に対する私どもの考え」
次 に 、「 エ ネ ル ギ ー ミ ッ ク ス 議 論 に 対 す る 私 ど も の 考 え 」に つ い て 申 し 上
げ ま す 。今 年 は 、エ ネ ル ギ ー 基 本 計 画 の 具 体 化 に 向 け 、さ ら に は 、国 と し て
の 温 暖 化 対 策 目 標 も 視 野 に 、い よ い よ エ ネ ル ギ ー ミ ッ ク ス 策 定 に 向 け た 検 討
が本格化いたします。
資 源 に 乏 し い 我 が 国 は 、エ ネ ル ギ ー 自 給 率 が 5 % と 極 め て 脆 弱 で あ り 、常
に 燃 料 調 達 リ ス ク に さ ら さ れ て お り ま す 。価 格 変 動 の 影 響 も 受 け や す く 、エ
ネ ル ギ ー コ ス ト の 上 昇 は 、国 民 生 活 に 大 き な 打 撃 を 与 え 、産 業 の 空 洞 化 を 招
く 恐 れ も あ り ま す 。具 体 的 な 電 源 構 成 に つ き ま し て は 、ま さ に 今 後 、議 論 が
な さ れ ま す が 、こ う し た 我 が 国 の 実 情 、更 に は 地 球 温 暖 化 問 題 へ の 対 応 を 踏
ま え ま す と 、特 定 の 電 源 や 燃 料 源 に 過 度 に 依 存 す る こ と な く 、バ ラ ン ス の と
れ た 供 給 体 制 を 構 築 す る こ と が 、大 変 重 要 に な る と 考 え て お り ま す 。そ う し
た 中 で 、3 E の バ ラ ン ス に 優 れ 、ベ ー ス ロ ー ド を 担 う 原 子 力 発 電 は 、安 全 の
確 保 や 技 術・人 材 基 盤 を 維 持 し て い く 観 点 か ら も 、将 来 に 亘 っ て 一 定 規 模 を
確保していくことが、必要であると考えております。
エネルギーミックスの策定に向けましては、既 に1 月 末か ら、 小委 員 会 で
の 議 論 が ス タ ー ト し て お り 、発 電 コ ス ト の 検 証 も 同 時 に 進 め ら れ て お り ま す 。
ぜ ひ と も 、現 実 的 な エ ネ ル ギ ー ミ ッ ク ス の 姿 と 、そ れ を 実 現 す る た め の 施 策
について、幅広い視点からご議論をお願いしたいと考えております。
以
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上
資 料
原子力リスク研究センター(NRRC)を活用した事業者の取り組み状況について
2015 年 2 月 20 日
電気事業連合会
1.NRRC 発足(2014 年 10 月 1 日)以降の活動実績
事業者のリスクマネジメント強化への取り組み支援に向け、様々なコミュニケーション
機会を通じ各社の状況やニーズを共有しながら、NRRC の活動方針や研究開発ロードマップ、
研究計画等を策定。
原子力経営責任者会議(CNO 会議)
NRRC 所長と事業者の原子力本部長(副社長クラス)が
NRRC の活動方針を共有、研究計画や活動成果等を審議。
・第 1 回 10 月 3 日 アポストラキス所長との意見交換
NRRC の活動方針を共有。
・第 2 回 12 月 5 日 第 1 回技術諮問委員会の結果に対する
対応方針、次年度研究計画等議論。
原子力経営責任者会議(CNO 会議)
技術会議
NRRC、事業者、メーカー、JANSI 等の部門長クラスで構成。CNO 会議付議事項につい
て、主に技術的な見地から検討・審議。
・第 3 回 10 月 21 日 研究開発ロードマップ、次年度研究計画の検討。
・第 4 回 11 月 28 日 第 1 回技術諮問委員会の結果に対する対応方針、次年度研究計画等議論。
技術諮問委員会
NRRC 所長に対する独立した技術的な諮問機関。確率論的リスク評価(PRA)、過酷な
自然事象のハザード評価、リスクマネジメント等の分野における国際的権威で構成。
NRRC の研究計画及び成果が技術的に最高水準になるよう、確認・評価・助言。
・第 1 回 10 月 27~31 日
・第 2 回
1 月 19~23 日
PRA 高度化に向け、モデルプラントに選定した四国電力㈱伊方発電所
3 号機の状況説明。
PRA 高度化に係る短・長期達成目標に関する議論。
その他
机上の検討と現場の現状・ニーズがしっかり噛み合った議論や検討を進めていくた
め、所長などによる発電所訪問と経営トップとの面談を実施。
・1 月 14 日 アポストラキス所長、メザーブ顧問が中部電力㈱浜岡原子力発電所を視察。
・1 月 15 日 上記両氏ならびにステットカー技術諮問委員長と中部電力㈱水野社長が意見交換。
中部電力㈱水野社長との対話
浜岡原子力発電所視察(防波壁前にて)
1
2.PRA 活用に向けた検討体制の構築
・PRA の活用方針の策定および高度化に向けた検討を目的に、2015 年 1 月、電気事業
連合会内に「PRA 活用推進タスクチーム」を設置。
・四国電力㈱伊方発電所 3 号機をモデルプラントに選定し、NRRC の指導・助言を得な
がら、PRA 手法等を検討。得られた成果や改善点は全ての事業者に水平展開し、安全
性向上評価※に順次適用。
※安全性向上評価:原子炉施設の安全性について PRA 等を用いて評価し、更なる安全性向上に向け
自主的に実施する措置を計画し、届出をする制度。
(初回届出は、再稼働後の定期検査終了後、6 ヵ月以内とされている)
(参考)事業者による PRA 高度化のための取り組み
①現行、
新規制基準適合性審査にあたり従来の設置許可ベースを対象とした PRA を実施。
②今後、シビアアクシデント対策等を反映した国際的な水準の PRA に引上げ、安全性向
上評価に順次適用。
③その後も継続して PRA の品質向上や実施対象設備・事象の範囲拡大を図り、NRRC の研
究開発成果を活用して、一層の高度化を目指す。
以
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上