「ダイバシティ・ナビゲーション」の実現に向けて(PDF:647KB)

エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ)
ダ イバシティ・ナビゲーションの実現に向けて
NTT
高精度測位社会の実現に向けた実証実験に参画し、技術実証を実施
日本電信電話(以下、NTT)は、今後さらなる少子高齢化や訪日外国人の増加などが進展する社会に向けて、車椅子やベビーカー
で移動される方や高齢者、訪日外国人などの身近な移動を安心・便利にサポートする「ダイバシティ・ナビゲーション」をコ
ンセプトとした研究開発を推進している。
国土交通省は、2020 年の東京オ
といった課題があったが、NTT が
PUSH 配信基盤を利用し、訪日外国
リンピック・パラリンピック開催時
開発した技術により、低コストでの
人や車椅子を利用している方等への、
に高度な測位環境を活用した様々な
地図の作成や装置設置を伴わない測
ユーザーの属性や場所情報に応じた
サービスの実現を目指す「東京駅周
位を実現可能にした。
リアルタイムな情報配信を実施。
辺高精度社会プロジェクト検討会」
①ソーシャル・バリアフリーマップ
⑤ BaaS(Backend as a Service)
を立ち上げ、2015 年 1 月下旬から、
生成:車椅子に取り付けた加速度セ
により地図配信や測位などの情報活
東京駅とその周辺において、高精度
ンサ等の情報やスマートフォンなど
用技術を基盤化:クラウド上の様々
な屋内測位を効率的に実現するため
から、段差や傾斜、移動の軌跡等の
なシステムの API やユーザー認証
手法等に関連した実証実験が行われ
情報を取得・解析し、それらの情報
方式を統合し、共通の API を提供
た。NTT は、このプロジェクトと
を地図上にマッピングすることで、
できる BaaS 基盤技術により、地図
実証実験に、東京駅周辺の鉄道やビ
車椅子やベビーカー、歩行者等の移
配信や測位などの情報活用技術をプ
ル等の施設管理者等とともに参画
動を支援する「ソーシャル・バリア
ラットフォーム化し、多様なアプリ
し、次のような技術実証を実施した。
フリーマップ」の効率的生成を実施。
ケーションによる活用やマッシュ
NTT の研究所が持つ地図技術を
②パラメトリック地図技術によるナ
アップを促進した。
用いて、車椅子に付けた加速度セン
ビゲーション:地図データを地物オ
NTT では、「ダイバシティ・ナビ
サなどから段差や移動軌跡等の情報
ブジェクトに変換し、サービス毎に
ゲーション」実現に向け、今回の実
を取得・解析し、車椅子やベビー
高度なカスタマイズやインタラク
証実験で得られた技術的な課題の解
カー、歩行者などの移動を支援する
ションを可能にする「パラメトリッ
決を図っていくほか、画像認識技術
「ソーシャル・バリアフリーマップ」
ク地図」により、様々な方の移動を
と多言語翻訳技術の融合などを通じ
を作成。また、画像認識技術を用い
最適にナビゲーションする。
て、様々な人々をサポートする技術
て、スマートフォンで看板など周辺
③画像認識技術の屋内測位への応
の研究開発などを推進していく。こ
を撮影し、現在地を特定して目的地
用:画像認識技術を活用して、スマー
れらに取り組むことで、NTT グルー
へのナビゲーションを行なう技術の
トフォンから看板等の周辺を撮影
プの事業会社を通じたビジネス展開
検証などを行った。
し、撮影した写真から現在地を特定
に向けた検討を進めていく。
これまで、高精度の屋内位置情報
して目的地へのナビゲーションを行
を活用したナビゲーション等のサー
うなど、従来のビーコン等の機器設
ビス実現に向けては、屋内地図の整
置を前提としない屋内測位を実施。
備・運用コストや、屋内測位技術の
④ PUSH 配線基盤技術による最適情
確立、センサ等の設置・運用コスト
報 配 信: ク ラ ウ ド 上 に 構 築 し た
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●お問い合せ先●
日本電信電話㈱
研究企画部門 プロデュース担当
E-mail:[email protected]
ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2