これは交際費?それとも・・・

平成27年1月
これは交際費? それとも・・・
溝端 浩人・税理士 松本 栄喜
公認会計士・税理士 交際費は、資本金の額等によって損金算入できる金額が定められており、その金額を超える部分は損金不算入となるため、税務上不利な取扱い
を受けることになります。
交際費の取扱い
期末資本金の額等
交際費の損金算入限度額
選択可
1億円以下の会社*1
定額控除限度額(年800万円)
交際費の額のうち接待飲食費 × 50%*
1億円超の会社
*1 資本金の額等が 億円以上の法人等の100%子法人を除きます。
* 主として大法人向けの制度として、資本金の額等に関わらず、交際費のうち接待飲食費(社内飲食費を除く)については上限なくその50%を損金算入することができます。
よって、交際費の多い会社や資本金の額等が1億円超の会社にとっては、交際費に該当するのかしないのかによって、税負担が異なってきます
ので、費用の支出には十分な注意が必要となります。
出には十分な注意が必要となります。
【経費のイメージ】
寄附金
交際費*1
(一部損金不算入)
その他の費用
接待飲食費*
(損金算入)
*1 交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、得意先、仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
なお、これらのものに該当すれば会社の経理処理上、たとえば福利厚生費や広告宣伝費等の勘定科目で計上していたとしても、税務上は交際費(他科目交際費といいます)として取り扱われます。
* 飲食費等の税務上の取扱いは、次のとおりです。
《飲食費等の税務上の取扱い》
会社が支出する
飲食費等
新年会等の慰安目的の
飲食や会議目的の飲食
専ら会社の役員、従業員等のための飲食費
福利厚生費や会議費
交際費(社内飲食費)
接待飲食費(50%損金算入)※
1人当たり5,000円超の飲食費
得意先等の社外の者に対
する接待の際の飲食費
福利厚生費や会議費に該当しない接待、供応、慰安
等の飲食
交際費から除かれ全額損金算入※
1人当たり5,000円以下の飲食費
※ これらの規定の適用を受けるには、それぞれ「接待の相手先の名称・氏名等」一定の事項を正しく記録した書類の保存が必要となります。
交際費と隣接費用の判定
経費の中には、交際費に該当するかどうかがまぎらわしい経費もあ
❸ 福利厚生費と交際費
り、その判断に悩むケースがあります。
ポイント 従業員を対象にしているかどうか
以下の判定の違いを理解した上で、規程の整備や支払方法の工夫を
検討されると良いでしょう。
具 体 例
判 定
創立記念日、新社屋完成等の祝賀会の費用で、従業員等*に概ね一
律に社内で供与する通常の飲食に要する費用
慶弔、禍福関係の費用で従業員等*やその親族に対し一定の基準に
従って支給する金品
❶ 広告宣伝費と交際費
専ら従業員等*の慰安のために行われる運動会、旅行等のために通
常要する費用
ポイント 不特定多数を対象としているかどうか
具 体 例
判 定
一般消費者に対する抽選による金品の交付、旅行、観劇への招待の
費用
得意先に対する見本品、試用品の費用
広告宣伝費
カレンダー、手帳その他これらに類する物品を贈与するために通常
要する費用(主として広告宣伝効果を意図する物品でその価額が少
額であるもの)
特定の得意先等に、贈答、謝礼をするための費用
特定の得意先等を旅行、観劇等に招待するための費用
福利厚生費
創立記念日等の祝賀会に得意先等を招待する費用(上記「飲食費等
の税務上の取扱い」参照)
得意先等が出席した宴会等の費用(上記「飲食費等の税務上の取扱
い」参照)
交際費
* 従業員等には、役員やかつて従業員であった者も含まれます。
❹ 寄附金と交際費
交際費
ポイント 事業に関係あるかどうか
具 体 例
判 定
事業に直接関係ない者への金銭でした贈与
❷ 会議費と交際費
ポイント 通常要する程度のものかどうか
神社の祭礼等の寄贈金
具 体 例
判 定
会議、来客との商談、打合せ等に際しての飲食費用で社内や通常会
議を行う場所で通常供与される昼食程度の飲食物費用
会議費
会議・打合せに際し、高額の酒食により会食した費用(上記「飲食
費等の税務上の取扱い」参照)
交際費
みぞばた
著者紹介
寄附金*
社会事業団体、政治団体に対する拠出金
事業に直接関係のある者への贈与
総会対策のために支出する費用
交際費
ビル建設や百貨店進出等の際の近隣対策費
ひろ と
* 寄附金についても、交際費と同様、支出金額がすべて損金とはならず、限度額を超える金額は損
金不算入となります。
まつもと
ひで き
溝端 浩人(公認会計士・税理士)
松本 栄喜(税理士)
朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)
にて実務を経験後、平成 年 月に溝端公認
会計士事務所開業。株式会社コンサルティン
グ・モール代表取締役。
【事務所】大阪市天王寺区(谷町九丁目)
大原簿記専門学校税法講師を経て、妙中
公認会計士事務所にて実務を経験後、平
成18年に税理士事務所開業。税理士法人
松本会計事務所代表。
【事務所】大阪市淀川区西中島
▶著書
会社の
「図解・業務別 会社の
共著)他
税金実務必携」(共著)他