エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 2 015年の国内IT市場の主要10項目を発表 IDC Japan 第3のプラットフォーム上で加速するイノベーションと市場拡大 IT 専門調査会社の IDC Japan(以下、IDC)は、2015 年の国内 IT 市場において鍵となる技術や市場トレンド、ベンダーの動 きなど主要 10 項目を発表した。 I D C は、「J a p a n P r e d i c t i o n s シ ブ ロ ボ テ ィ ク ス(Pervasive しかし、これはすべての市場セグ 2014」において、 次世代の IT プラッ Robotics) 、次世代セキュリティソ メントが縮小傾向であるということ トフォームが成長と変革を求めて、 リューションの 6 つの技術が台頭す を意味するわけではない。2013 年 クラウド、モビリティ、ビッグデー ると予測している。特に、ベンダー ∼ 2018 年の年間平均成長率 (CAGR: タ/アナリティクス、ソーシャル技 で あ る IT サ プ ラ イ ヤ ー 企 業 は、 Compound Annual Growth Rate) では、 術の 4 つの主要技術(Four Pillars) 2015 年にはさらなる成長のために 第 2 のプラットフォーム市場はマイ から構成される「第 3 のプラット これらの新たなコア技術への投資の ナス 2.9%であるのに対し、第 3 の フォーム」に移行すると予測した。 集中を迫られ、ICT のエンドユーザー プラットフォーム市場は 4.3%であ そして、その予測通りに 2014 年に である IT プロフェッショナル企業と り、ICT 市 場 の 成 長 を 牽 引 す る。 は、第 3 のプラットフォームが IT の協業と競争という新たな試練に直 2015 年の第 3 のプラットフォーム 市場の成長を支え、第 2 のプラッ 面する年になるとIDCではみている。 市場における成長率は、4.6%とプラ トフォームが衰退しつつあり、今や これらを背景として、以下に 2015 ス成長を維持するのに対し、第 2 の Four Pillars への対応が大手 IT サプ 年の国内 IT 市場における IDC Top プラットフォーム市場は 3.9%のマ ライヤーの経営方針の最優先課題に 10 Predictions の概要を紹介する。 イナス成長である。国内 ICT 市場に なっている。さらに IDC は、2015 おいては第 3 のプラットフォーム市 年には国内市場において、第 3 の 【1】国内 ICT 市場は微減傾向にあ プラットフォームは IT 産業の枠を るが第3のプラットフォームの成長 超え、全産業においてトップ企業の は続く イノベーションと市場拡大を支える 2015 年の国内 ICT 市場(IT 市場、 場が成長を牽引する。 【2】エンタープライズモビリティ の試用期間は終了し導入効果が厳し ビジネスプラットフォームへと進化 通信サービス市場の合計)の成長率 を続けると予測している。 は、マイナス 1.7%となる。最大の 2015 年のモビリティは、スマー 2014 年には、Four Pillars の上に 要因は、2014 年前半まで続いてい トフォンの加入者数が伸び悩み、個 新たな成長を促すイノベーションア た Windows XP のサポート終了に伴 人/家庭領域での成長が期待できな クセラレーターとして IoT(Internet う PC 市場における更新需要増の反 い中、エンタープライズモビリティ of Things) の 台 頭 を 予 測 し た が、 動が本格化し、大幅なマイナス成長 領域での市場機会に対する期待が高 2015 年はイノベーションアクセラ となることである。2013 年まで 2 まる。しかし、エンタープライズモ レーターがさらに拡大し、3D プリ 桁の成長率で市場を牽引してきた移 ビリティの導入済み企業でも、十分 ンティング、IoT、ナチュラルインタ 動 体 デ ー タ 通 信 サ ー ビ ス 市 場 も、 な成果を実感できているところは多 フェース、認知システム、パーベイ 2015 年にマイナス成長に転じる。 くない。継続的な市場の成長のため ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2 く問われる 9 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) には、既存の業務プロセス/ビジネ は、ソーシャル技術、ビッグデータ 【4】ビッグデータを活用したデジ スプロセスがモバイルに最適化さ /アナリティクスが含まれる。この タルマーケティングに向けた IT 投 れ、真の生産性/業務効率の向上に 動向は、細分化/多様化されたアプ 資が始まる つながるソリューションが提供され リケーション内/外のサービス(機 顧客の嗜好は変化しており、マー る必要がある。 能/データ)を、ビジネス指標に従っ ケティングそのものが製品/サービ エンタープライズモビリティ市場 て組み合わせる、新しい業務アプリ ス事業者側が提供する「マス」的な については、スマートフォンの業務 ケーションのフレームワークを生み マーケティングから、個々の顧客体 活用や、タブレットの産業特化型ソ 出すことになる。この新しい業務ア 験を最適化するマーケティングに軸 リューションを伴った導入による生 プリケーションは「俊敏性」 「柔軟性」 足を移しつつある。このようなマー 産性の向上が図られており、さらな 「連携性」が備わると共に、将来的 ケティングは、個別の事業部門にお る 市 場 拡 大 に 対 す る 期 待 は 高 い。 には、業務担当者が変化する市場環 ける CRM の利用から全社での活動 IDC では、2015 年のスマートフォ 境に合わせ、「ユーザーエクスペリ へと範囲を拡大し、2015 年頃から ンの法人市場の出荷台数は前年比 エンス」「ワークフロー」を容易に 顧客に関わるデータの一元管理や、 26.1%増、タブレットの法人市場 反映させることが可能なプロシュー ナーチャリング製品の本格的な展開 での出荷台数は前年比 23.5%増と マー開発時代をもたらす。この時、 が始まると IDC では予測する。 予測している。 既存アーキテクチャの業務アプリ 特に、モバイルデバイスを経由/ ケーションは競争力を失い、淘汰の 利用したデジタルマーケティングが将 道を歩み始めるそうだ。 来の主流になるとみる企業が、B2B 【3】2015 年はクラウドネイティブ ただし、2015 年は、クラウドネイ / B2C を問わず自動化されたデジタ 2015 年は、パブリッククラウド ティブ時代の幕開けの年であり、ユー ルマーケティングに参入すると考えら の発展とデジタル化する社会/ビジ ザー支出が急速に変化するわけでな れる。この際、導入期間が短く、運 ネ ス の 影 響 が 強 ま り、ERM い。しかし、クラウドネイティブは、 用しやすいクラウド型マーケティング (Enterprise Resource Management) 第 3 のプラットフォームにおける各柱 IT が好まれると IDC では予測してい といった業務アプリケーション領域 を有 機 的に融 合するために必 要な る。こうした背景から、小売業、製 も、サプライヤーによるクラウドネ アーキテクチャの変化である。また、 品開発/提供を行う製造業、飲食業 イティブ化が本格化すると IDC は クラウドネイティブは、クラウドプラッ 大手などで、社内で得られる顧客デー みている。また、クラウドネイティ トフォームにおけるサプライヤー/テク タと社外のソーシャルデータ/モバイ ブのアプリケーションは製品が有す ノロジーの集約化を促進する。その ルデバイスからの出力データなどを る核となる機能に加え、外部サービ 時、多くのサプライヤーは、プラット 活用したマーケティングオートメー スとの連携やアドオン開発が容易と フォームではなく、コンテンツ/デー ションへの投資が 2015 年から活発 なる。さらには、核となる機能は、 タやアプリケーション領域で競争優 化すると IDC では予測する。 自律性を有した機能サービス化さ 位性を示す必要がある。デジタル化 マーケティングオートメーションの れ、他サービスとの連携、セキュリ が進む社会/ビジネス環境に対応し 導入検討が本格化する中で、事業部 ティ/ガバナンス管理やアドオン開 たクラウドネイティブで構築される産 門(LOB)関連での IT 要求と全社で 発を容易とする PaaS(Platform as a 業特化型ソリューションが、多くのサ の顧客体験を最適化するデータ統合 Ser vice) 、サービスカタログ/マー プライヤーにとって IT 市場に生き残 と管理などが重要となる。このため、 ケットプレイスの整備が進む。もち るためにも、成長するためにも必要 従来の IT 製品導入の主力プレイヤー ろん、連携/拡張可能なサービスに な施策となる。 であるサプライヤーと SIer に加え、 時代の幕開けとなる 10 ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 業務に精通したコンサルティングと広 ただし、現時点での IoT サービス プライヤー間の覇権争いは、2015 年 告代理店などの役割が拡大する。専 の導入率を業種別に比較した場合、 にはますます激化すると考えられる。 任のデータサイエンティストを必要と 製造業や流通業といった比較的 IoT しない、機械学習を含むセルフサー と「相性の良い」産業がその多くを 【7】企業内 IT ユーザー部門が主導 ビス型ビッグデータアナリティクスを 占めていると IDC ではみている。し する投資プロジェクトが増加する コンサルタント/広告代理店、また たがって IoT に関わるサプライヤー IDC が 2014 年 4 月に行った「国 企業の事業部門で活用するためのク は、これまでリーチしてこなかった 内 CIO 調査」の結果によると、国 ラウド型マーケティングオートメー 新しい業種に対する IoT サービスの 内中堅∼大手企業(正社員数 100 ション/ビッグデータアナリティクス 拡大の必要に迫られてきている。 人以上)の 36.0%が、「情報システ は 2015 年 に 市 場 形 成 期 を 迎 え、 また、IoT の用途という側面にお ム部門が策定/執行に関与しない 2020 年の東京オリンピック/パラリ いて、20 年ほど前から粛々と利用し IT 予算がある」と回答した。つまり、 ンピックでの国内市場活性化に向け ている企業ユーザーの多くは、人件 IT の ユ ー ザ ー 部 門 で あ る 事 業 部、 た本 格 的なデータ活用型デジタル 費削減や業務プロセス合理化を実施 営業部門、マーケティング部門など マーケティング時代に突入する。 するといった単純なものに限られて が、独自に IT 投資を行っていると おり、ユーザー拠点内に閉じた形で いうことである。さらに、これらの 【5】第 3 のプラットフォームは IT 利用する形態がその多くを占めてい 企業の約 3 割が、こういった情報 インフラサプライヤーの自己変革を ると考えられる。しかし、昨今のア システム部門が関与しない IT 予算 加速させる ナリティクス分野における技術の高 は今後増えるとみている。また、情 第 3 のプラットフォームの成長は 度化やコストの低減によって、顧客 報システム部門が関与する IT 予算、 IT インフラ市場にも新しい成長機会 分析/マーケティングや顧客に提供 IT 投 資 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て も、 をもたらす。 ITインフラサプライヤー する製品/サービスの利用付加価値 IT ユーザー部門が積極的に関わっ が縮小する第 2 のプラットフォーム 向上など、IoT サプライヤーが顧客 たり、主導したりするケースがます に留まらず、成長市場である第 3 の のサービス価値を向上させるために ます増えるであろう。 プラットフォームで主要プレイヤー IoT を効果的に使っている事例を増 として活動していくためには、様々 やすことが必須になってきている。 IT ユーザー部門が IT プロジェク トへの積極的な関与を深める背景に な面から早急な自己変革が求められ さらに、国内という閉じた市場に は、情報システム部門、IT ユーザー る。2015 年は IT インフラサプライ 留まることなく、ユーザー企業のグ 部門それぞれの事情がある。情報シ ヤーに自己変革の加速を迫る動きが ローバル化に合わせ、IoT サプライ ステム部門では、多くの場合、第 2 より明確になる。 ヤーは、世界中どの地域であっても のプラットフォーム上で構築された 既存の国内サービスを含めた一元的 既存システムの保守/運用に多くの なサービス提供をするための体制作 時間が割かれているという現状があ りが求められている。 る。もちろん既存システムの保守/ 【6】IoT プラットフオームを巡るサ プライヤー間の覇権争いが激化する 国内の IoT 市場は、事業者間の競 こうした背景から国内 IoT 市場で 運用は、現在それらのシステムを利 争激化や、サービス利用コストの低 は IoT の「利用業種の拡大」 「利用用 用している企業内 IT ユーザーの業 廉化、通信や分析技術の向上、周辺 途の拡大」 「利用地域の拡大」といっ 務遂行を継続的にサポートする意味 環境の充実といった様々な要因に たことを目的として、様々なプラット でも、不可欠である。ただし、それ よって急速に注目を集めるように フォームが台頭してきており、そうし が情報システム部門の多くのリソー なってきている。 たプラットフォームを活用した IoT サ スを使い、第 3 のプラットフォームな ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2 11 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) ど 新たな技 術を利 用した新 規プロ 変えればよいのであろうか。そのヒ 度の改定が有効である。中でも最も ジェクトへのリソース投入を妨げる一 ントは「いつでも」「どこでも」「ど 重要なコンセプトが「テレワーク」 因となっていることも否定できない。 のようなデバイスでも」働ける環境 と「在宅勤務制度」である。「在宅 他方、IT ユーザー部門では、モバイ を作ることにあると IDC ではみて 勤務制度」は女性を生かす制度、介 ルやソーシャル機能への対応、デジ いる。その実現の鍵は、 「IT の活用」 護に携わる社員を生かす制度として タルマーケティングの実 施など、IT をいかにうまく利用できるかが競争力 を左右することに気付き始めており、 「人事/労務面での施策」「ファシリ 非常に有効な制度である。 ティ(施設)の改善」にある。 「フリーアドレスの導入」 「オープ 個人所有のスマートフォンやタブ ンスペースやコミュニケーションス これまで以上に IT への積極的な関 レットなどの増加に伴い、これらモ ペースの設置」などファシリティ面 与意識が高まっている。また、第 3 バイルデバイスの企業活用、いわゆ での改善は「ペーパーレス」 「会議室 のプラットフォームがもたらした「IT る BYOD 施策が増加している。モバ 削減」など大きな効果が期待できる。 のサービス化」、IT ユーザー部門に イルデバイスの社外利用に当たって、 おける IT リテラシーの向 上は、IT 最大の課題はモバイルデバイス上の ニューワークスタイルは実践されな ユーザー部門独自の IT 投資、IT 利 機密データの保護であり、暗号化技 い。企業規模、従業員数、業態、勤 用のハードルを下げており、さらに 術、 コンテナ技術、 仮想デスクトップ、 務地域、職種、人種、性別、年齢、 IT ユーザー部門の IT 投資プロジェク リ モ ー ト ア ク セ ス ツ ー ル、EMM 雇用形態(正社員/非正規社員)な (MDM)などが挙げられる。特に仮 ど企業には非常に多くの形態がある。 2015 年は、こういった企業内 IT 想化技術はデバイスそのものにデー これらの変動要因を頭に入れ、いか ユーザー部門が主導する IT 投資プ タを残さない仕組みのため、情報漏 にニューワークスタイルを運用して ロジェクトが国内 IT 市場、特に第 洩対策として期待されている。さら いくかが最も重要な点である。今後 3 のプラットフォーム関連市場の成 にデスクトップ仮想化サービス、い は外国人の採用も増えダイバーシ 長に明示的な影響を与える 1 年に わゆる DaaS(Database as a Service) ティ(多様性)も重視されるそうだ。 なるそうだ。 においては、プライベートクラウド 2015 年は、テレワーク、在宅勤 DaaS が主流であったが、AWS がパ 務を導入する企業が増加し、かつ各 【8】ニューワークスタイルに取り ブリッククラウド DaaS、WorkSpaces 企 業 に お け る 利 用 割 合 も 高 ま り、 組む企業の増加と職業の再定義が始 の東京リージョンを開設したことに まる よって、学生、SOHO、従業員 100 ト主導の流れを加速させている。 企業経営から見た「多様な選択肢 上記の 3 点を導入しただけでは、 「ニューワークスタイル元年」にな ると IDC ではみている。 人未満の中小企業そして企業のユー 次に、IT の発達によって、今後 を用意し、個人が自らのパフォーマ ザー部門などのホワイトスペースが、 どのような仕事がなくなり、どのよ ンスを最大限に引き出せる職場環境 このサービスの検討を開始すると うな仕事が残るのか。代表的なもの を実現すること」そして従業員から IDC ではみている。 に、認知システムとパーベイシブロ 見た「企業が提供する環境で自らの 業務ルール/規定をニューワーク ボティクスが挙げられる。認知シス 働き方を創造し、仕事だけでなく自 スタイルに適合した形に改定しなけ テムは観測、学習、分析、提案、新 らのライフスタイルとのバランスを ればならない。フレックス勤務、裁 しいアイデアの創造を行うシステム 考慮し実現すること」を IDC では 量労働、時短勤務、適正な残業労働、 で、IT の進歩によって、サービス 「ニューワークスタイル」と定義し 有給休暇制度など「業務時間」の改 産業の在り方を根底から変えてい ている。ニューワークスタイルを実 定や、在宅勤務、育児休暇、介護休 く。パーベイシブロボティクスはデ 現するためにはどのように働き方を 暇、ボランティア休暇などの人事制 ジタル世界の知識が、ロボットを通 12 ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) して実世界のアクションに変換され ドによるデバイスロックだが、パス イバーセキュリティ対策が国の責務 導入される。具体的には自動車の自 ワードが盗まれればロックが解除さ であることを明確にした。2015 年 動運転技術、ドローン、医療用ナノ れてしまう。このため、モバイルデ は、国の責務の下で官民が連携して ロボットなどである。その結果どの バイスに搭載されたカメラや指紋認 サイバーセキュリティへの取り組み ような職業がなくなるのであろう 証デバイスを活用した、 セキュリティ が本格的に始まる。関係する事業者 か。たとえば、物流、営業、事務お 強度の高い生体認証技術によるデバ などは、セキュリティ対策の棚卸と よび秘書業務、サービス業、製造業 イスロック機能の利用が広がる。ま 見直し、セキュリティ脅威情報の共 などは、コンピューターやロボット た、モバイルデバイスからの社内シ 有化とリスク管理、サイバーセキュ によって代替される可能性が高く、 ステムやクラウドサービスの利用時 リティに対する組織体制の見直しが 一方、経営、財務、エンジニア、教 におけるなりすまし防止策として、 求められるとみている。このような 育、芸術、ヘルスケア業務などはコ ユーザー ID と固定パスワードのほ 状況下で、官民連携で構築されるセ ンピューターによる影響は少ないと かに、IP アドレスやワンタイムパス キュリティインテリジェンスを、外 考えられる。 ワード、リスクベース認証などを組 部脅威対策製品やマネージドセキュ み合わせた多要素認証が重要である。 リティサービスとインタラクティブ 能であったのは、効率化、単純化で そして、モバイルデバイスの企業利 に連携させて活用するプロアクティ きる仕事であったが、徐々に認知能 用が拡大する中、モバイルデバイス ブ防御対策が促進するとみている。 力を必要とする仕事もこなせるよう 上の機密データの保護が求められて になってきている。2020 年までに おり、モバイルデバイス上を暗号化 【10】各産業のトップ企業が第 3 の コンピューターやロボットは、単純 技術などで個人利用領域と業務利用 プラットフォームをビジネスプラッ な作業だけでなく、膨大な情報から 領域に分けて企業の機密データを保 トフォームとして活用し始める 必要な情報を絞り込み理由付けを行 護するコンテナ技術や、モバイルデ 第 3 のプラットフォームは、IT イ い、従来の労働の一部を肩代わりす バイスに対するデスクトップ仮想化 ンフラやデータセンターの在り方を るようになるそうだ。その時、人間 技術の活用が進むと考えられる。 変革するだけでなく、全産業におい これまでは、コンピューターが可 はコンピューターやロボットの支援 インフラ環境のみをクラウド化 てトップ企業の成長と革新を支える を得ながら、より創造的で高度な判 し、既存のソフトウェアアーキテク ビジネスプラットフォームへと進化 断を求められる業務に集中するよう チャを変更せずにクラウド化するク を続ける。その結果、IT プロフェッ になると IDC ではみている。 ラウドイネーブルドの進展によっ ショナル企業特有のニーズにどう応 て、クラウド環境を経由して企業情 えられるかによって、 IT サプライヤー 報を共有する機会が増加する。その のポジションが決まり、各産業のトッ ため、クラウド環境でのデータ保護 プ企業は第 3 のプラットフォームを 2015 年は、 第 3 のプラットフォー の重要性が高まり、ファイルスキャ IT ではなく、ビジネスのプラット ムに最適化されたセキュリティと巧 ンによる情報資産の把握や機密デー フォームとして活用し始める。 妙化するサイバー攻撃に対するサイ タの検知/制御が行える DLP(Data バーセキュリティ技術が台頭し、次 Loss Prevention)、データの暗号化 世代セキュリティ技術の導入が進む といったクラウド環境でのデータ保 と IDC ではみている。 護技術が台頭するそうだ。 【9】次世代のセキュリティ技術の 導入が進む モバイルデバイスの基本的なセ 2014 年 11 月 12 日 に サ イ バ ー キュリティ対策は、 デバイスパスワー セキュリティ基本法が施行され、サ ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.2 ●お問い合せ先● IDC Japan 株式会社 セールス E-mail:[email protected] TEL:03-3556-4761 13
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