EMCの視点で見るUHS-II その実力は?

EMCの視点で見るUHS‐II
その実力は?
株式会社村田製作所
コンポーネント事業本部
目 次
1. はじめに
2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
5. まとめ
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1. はじめに
次世代SDカード規格 UHS‐II はEMCに配慮した仕様と言われています
本当に放射電磁ノイズが出ないの?
Legacy(UHS‐I) と比較しました
もし電磁ノイズが出るなら対策方法を知りたい!
下位互換性があるため、Legacy(UHS‐I)と UHS‐II の両回路の対策が必要です
それぞれの対策方法をご説明します
従来インターフェース(Legacy)は
シングルエンド伝送
追加ピン(UHS‐II)は
差動伝送
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目 次
1. はじめに
2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
5. まとめ
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2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
UHS‐I / II のスペック比較
UHS‐I
UHS‐II
伝送方式
シングルエンド
差動
信号周波数
208MHz
780MHz (1.56Gbps)
信号振幅
1.8V
460mV (差動)
終端
なし
あり
電磁ノイズに優位な方を
赤字で表示
UHS‐II は差動 / 小振幅伝送、および終端の採用により電磁ノイズが発生しにくいことが特長です。
では、従来規格(UHS‐I)と比較してどの程度の差があるのでしょうか?
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2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
放射電磁ノイズ(EMI)評価条件
Anechoic Chamber
Mobile PC +
Evaluation board
EMI Test Receiver
3m
UHS‐I / II 対応の評価ボードを使用し、電波暗室にて放射電磁ノイズの測定を行いました。
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2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
放射電磁ノイズ(EMI)評価結果
60
UHS‐I
Noise level [dBuV/m]
50
40
30
データ転送あり(対策なし)
データ転送なし
20
10
0
0
200
400
600
800
1000
60
60
50
50
Noise level [dBuV/m]
UHS‐II
Noise level [dBuV/m]
Frequency [MHz]
40
30
20
10
0
40
30
20
10
0
0
200
400
600
Frequency [MHz]
800
1000
1000
2000
3000
4000
5000
6000
Frequency [MHz]
UHS‐I は、データ転送なしと比較して最大30dB増加する高いレベルの電磁ノイズが発生しています。
一方UHS‐II は、データ転送なしと同等レベルであり電磁ノイズの増加が見られませんでした。
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目 次
1. はじめに
2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
5. まとめ
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3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
UHS‐I の電磁ノイズ発生
60
データ転送あり(対策なし)
データ転送なし
SDカード
リーダーライター
Impedance [ohm]
50
30
20
10
60
0
0
評価基板
50
200
400
600
800
1000
800
1000
800
1000
Frequency [MHz]
60
50
40
ノートパソコン
30
Impedance [ohm]
Noise level [dBuV/m]
40
20
40
30
20
10
0
10
0
200
400
600
Frequency [MHz]
60
0
200
400
600
800
Frequency [MHz]
1000
50
デジタル
一眼レフカメラ
Impedance [ohm]
0
40
30
20
10
0
0
200
400
600
Frequency [MHz]
UHS‐I に起因する電磁ノイズは比較的高いレベルで生じる傾向にあります。
では、UHS‐I (高速シングルエンド伝送)の対策はどのように行えばよいでしょうか?
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3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
シングルエンド伝送の電磁ノイズ対策
信号
電磁ノイズ
(低周波)
(高周波)
Level
Level
周波数の違いを
利用して分離
フーリエ
変換
Time
Frequency
フィルタ挿入
Level
Level
維持
逆フーリエ
変換
Time
遮断
特性が急峻な
ローパスフィルタ挿入
Frequency
シングルエンド伝送では信号と電磁ノイズは隣り合う関係であり、最適なバランスでの減衰が
求められます。電磁ノイズ面から見れば、波形品質の許容限界までなまらせることが有効です。
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3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
LCフィルタのご紹介
抵抗付き1005サイズのLCフィルタ
(弊社品番 : NFL15STシリーズ)
LCフィルタに
抵抗も内蔵
合計約10~20Ω
カットオフ周波数 150MHz品
カットオフ周波数 200MHz品
カットオフ周波数 300MHz品
カットオフ周波数 500MHz品
0
GND
Imsertion loss [dB]
10
20
30
従来
LCフィルタ
1608サイズ
抵抗
1005サイズ
40
50
抵抗付き
LCフィルタ
60
LCフィルタ
1005サイズ
70
10
100
1000
10000
Frequency [MHz]
実装面積の削減に
貢献
挿入損失特性が急峻なローパスフィルタの代表はLCフィルタです。
その中でも、抵抗付き1005サイズのLCフィルタは実装面積削減に貢献します。
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3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
UHS‐I の電磁ノイズ対策結果
データ転送あり(対策なし)
データ転送あり(LCフィルタ挿入)
20dB低減
60
Noise level [dBuV/m]
50
DAT
40
CLK
30
Host IC
CMD
Card
20
DAT
10
0
0
200
400
600
800
1000
LCフィルタ(300MHz品)を
計6ラインに挿入
Frequency [MHz]
LCフィルタをCLK, CMD, DAT0~DAT3の計6ラインに挿入することで、放射電磁ノイズは最大20dB低減
することを確認しました。
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目 次
1. はじめに
2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
5. まとめ
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4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
UHS‐II の電磁ノイズ発生
磁界が打ち消し合うため
放射電磁ノイズが少ない
データ転送あり(対策なし)
データ転送なし
60
評価基板
Noise level [dBuV/m]
50
40
30
20
と言われていますが
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電磁ノイズ放射の原因
0
0
200
400
600
800
Frequency [MHz]
1000
・ バランス崩れによるコモンモードノイズの発生
・ Host IC内部や他の回路からのノイズの誘導
実際には、多くの差動インターフェースで、フィルタや
パターン設計による対策が行われており注意が必要です
UHS‐II に起因する電磁ノイズは極めて低いレベルであることが分かりました。
では、UHS‐II (差動伝送)の対策は本当に不要なのでしょうか?
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4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
自家中毒(イントラシステムEMC)とは
放射
電磁ノイズ
距離が遠い
距離が近い
距離が近い
自家中毒
自身のノイズが無線通信に悪影響をおよぼす “自家中毒 ” は、放射電磁ノイズと比較して
アンテナまでの距離が近く、より微弱なレベルでも問題が生じるために注意が必要です。
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4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
差動伝送の電磁ノイズ対策
モードの違いを
利用して分離
信号
(ディファレンシャル
モード)
・ディファレンシャルモードに対しては
低いインピーダンス(通す)
・コモンモードに対しては
高いインピーダンス(通さない)
電磁ノイズ
(コモンモード)
コモンモード
チョークコイル挿入
差動伝送では信号と電磁ノイズはモードが異なる場合が多く、これを利用して対策を行います。
コモンモードチョークコイルはそれぞれのモードに対する挙動が異なり、電磁ノイズのみ遮断します。
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4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
コモンモードチョークコイルのご紹介
高カットオフ周波数 / 小型のコモンモードチョークコイル
(弊社品番 : DLP0NSN / DLP11SAシリーズ)
コモンインピーダンス@100MHz
コモンインピーダンス@100MHz
コモンインピーダンス@100MHz
フィルタなし
35Ω品
67Ω品
90Ω品
1000
コモンモードチョークコイル
(90Ω品)
Impedance [ohm]
Common
mode
100
10
Differential
mode
波形品質の劣化が
少ない
1
1
10
100
1000
Frequency [MHz]
10000
※UHS‐II の最大転送速度 1.56Gbps (780MHz)
を想定した波形を入力
高カットオフ周波数 / 小型のコモンモードチョークコイルがUHS‐II に最適です。
波形品質に影響を与えることなく、コモンモードノイズのみ低減することが可能です。
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4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
UHS‐II の近傍磁界対策結果
フィルタ通過後の
磁界レベルに差異
近傍磁界テスター
D1
Host IC
高
D0
D1
Host IC
低
D0
コモンモードチョークコイルを
D0, D1の2ラインに挿入
※無線LAN周波数 (2.4~2.5GHz)での磁界レベルをプロット
近傍磁界テスターを使用したところ、コモンモードチョークコイル通過後の磁界レベルに差異が生じて
いることが確認できました。UHS‐II に起因する自家中毒の予防や対策に有効と考えられます。
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目 次
1. はじめに
2. UHS‐I と UHS‐II の電磁ノイズ比較
3. UHS‐I の電磁ノイズ対策
4. UHS‐II の電磁ノイズ対策
5. まとめ
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5. まとめ
本当に放射電磁ノイズが出ないの?
UHS‐I が高いレベルの電磁ノイズが発生する一方、
UHS‐II はデータ転送なしと同等レベルでした
もし電磁ノイズが出るなら対策方法を知りたい!
UHS‐I で使われるシングルエンド伝送では
信号と電磁ノイズの周波数の違いを利用して対策を行います
挿入損失特性が急峻なローパスフィルタであるLCフィルタが有効です
UHS‐II で使われる差動伝送では
信号と電磁ノイズのモードの違いを利用して対策を行います
高カットオフ周波数のコモンモードチョークコイルが有効です
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