「低圧トップランナーモータ」のJISを制定(JIS C 4213)

資料2
「低圧トップランナーモータ」のJISを制定(JIS C 4213)
-省エネルギーに貢献する低圧トップランナーモータの普及を目指して-
三相誘導電動機(産業用モータ)はポンプ、圧縮機、送風機など多様な用途で幅広
く利用されています。この産業用モータが、昨年11月に、エネルギーの使用の合理
化に関する法律(省エネ法)のトップランナー制度の対象機器に追加され省エネ基準
(エネルギー消費効率に関する目標基準値)が設定されました。
これを受けて、この度経済産業省では、当該省エネ基準を満たすトップランナーモ
ータを実際に製品開発、製造・販売等していく上で必要となる、エネルギー消費効率
以外の諸特性の性能、構造、試験方法等を規定した日本工業規格(JIS)を制定しまし
た。
本規格の制定によりトップランナーモータに対する要求事項が明確になることで、
製品開発が促進され、トップランナーモータの普及拡大、延いては我が国産業の省エ
ネルギーの推進につながることが期待されます。
1.製品の例
産業用モータは、各種ポンプ、圧縮機、工作機械、産業用ロボットなど様々な分野
で広く用いられており、社会生活に欠くことのできない重要な部品となっています。
産業用モータの用途例
トップランナーモータの製品例
2.当該規格の制定の目的及び背景
産業用モータは、国内で毎年約 1 千万台が出荷されており、1 億台を超える台数が
国内にて普及し、多くは、ポンプ、圧縮機、送風機など各種産業用機械に使用されて
います。このように使用台数が膨大であるため、産業用モータのエネルギー消費効率
の改善は大きな省エネルギーにつながります。
この産業用モータについて、我が国では、これまではインバータ技術と組み合わせ
たモータシステム全体としての省エネルギーを推進してきました。このため、JIS にお
いて、JIS C4210(一般用低圧三相かご形誘導電動機:IE*1(標準効率)相当)に加え、
JIS C4212(高効率低圧三相かご形誘導電動機:IE*2(高効率)相当)も制定していま
すが、我が国では高効率モータそのものはほとんど普及していない状況でした。
しかしながら、近年欧米を中心に海外では、更なる高効率(IE*3(プレミアム効率)の
モータの適用義務化が進められており、我が国でも昨年11月に、国内省エネ製品の
普及を目的とした「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)のトップラ
ンナー制度の対象機器に産業用モータが追加され、省エネ基準(エネルギー消費効
率に関する目標基準値)が設定されました。
このような状況を踏まえ、上記省エネ基準を満たすトップランナーモータの普及促進
に寄与すべく、製品開発に必要な製品の性能、構造、試験方法等を規定した、トップ
ランナーモータに関する日本工業規格(JIS)を制定しました。
(*) JIS C4034-30(IEC60034-30)において規定するモータのエネルギー消費効率のクラス(IEコード)
3.当該規格の制定のポイント
(1)本規格の適用範囲は、省エネ法の規定に準じたものとしていますが、定格電圧に
ついては省エネ法が 1000V 以下としているのに対し本規格は 600V 以下としてい
ます。これは日本国内では電気設備技術基準で低圧を 600V 以下と定めているこ
とに加え、定格電圧が 600V を超え、1000V 以下の電動機は特殊な例を除き存在
していないためです。
(2)効率基準値は、基本的には、モータのエネルギー消費効率のクラス(IEコード)を
規定した JIS C4034-30(IEC60034-30)のプレミアム効率クラス(IE3)と一致させて
います。ただし、日本では 50Hz/60Hz 共用タイプで 3 定格又は 6 定格をもたせる
モータが流通しており、当該モータについてはその全ての定格において高い効率
基準値を求めると、体格を大きくする等の対策が必要となり市場への影響が大き
いため、省エネ法ではIE3と異なる基準値を採用しており、本規格でも省エネ法
の基準値を採用しています。
(3)寸法に関して、JIS C4210 及び JIS C4212 では、生産、使用の効率化等の観点か
らモータの枠番号(モータのサイズを示す記号。枠番号の数字はモータの取付面
から出力軸中心までの長さ(センターハイト)によって表す。)と出力の関係を規定
していましたが、本規格では規定していません。これは、本規格において両者の
関係を規定すると、それを外れたモータはこの規格の適用外になると同時に、省
エネ法トップランナー制度の対象外であると誤解される可能性があるためです。
ただし、本規格の使用者の便宜を図る観点から、JIS C4210 及び JIS C4212 の規
定内容を附属書に参考情報として記載しました。
(4)試験方法については、JIS C 4210 及び IEC 60034-1(回転電気機械-第 1 部:定
格及び特性)に規定されている試験項目に合わせて規定しました。また、過速度
試験、騒音試験などのように JIS C 4210 だけでは試験方法が明確でないものは、
業界標準規格の内容を一部取り入れました。
4. 参考
(一社)日本電機工業会では、本規格の基準値をクリアした産業用モータを従来品
と区別しその普及を目指すため、「省エネ」「地球環境」「信頼」をイメージした下記の
ロゴマークをカタログやモータ本体等に表示することを推奨しています。
【担当】
産業技術環境局 情報電気標準化推進室 (直通:3501-9287、内線:3428~3429)
(室長) 辻本 崇紀
(担当) 千葉 孝義
製造産業局 産業機械課
(課長) 須藤 治
(担当) 鹿沼 昇
資源エネルギー庁 省エネルギー対策課
(課長) 福田 敦史
(担当) 畑下 潔