みずほ日本経済情報 2015年3月号 [日本経済の概況] ◆ 日本経済は、回復している。足元の経済指標をみると、輸出・生産が高め の伸びとなる中、設備投資にも回復の動きがみられる。個人消費は足元で 天候要因による下押しがみられるが、雇用・所得環境の改善を背景に緩や かな回復基調を維持している。ただし、経済の活動水準は、潜在生産量(物 価変動に対して中立的とみられる生産量)を引き続き下回っている。 ◆ 先行きの日本経済は、緩やかな回復が続くとみられる。個人消費は、雇用 者所得の回復が支えとなり、緩やかな回復が続く見込みである。設備投資 も、生産や収益が回復していることから引き続き回復するだろう。輸出は、 緩やかながらも海外経済の回復が続く中で円安傾向が定着しつつあるこ とから、緩やかな増加基調を維持するとみられる。もっとも、経済活動の 水準は、潜在生産量を下回る状態が続く見込みである。 ◆ 2014年度の「企業行動に関するアンケート調査」では、今後5年間の企業 の期待成長率(経済成長率の見通し)が名目ベースでは2%近くまで高ま る一方、実質ベースでは1%台前半にとどまった。実質ベースの期待成長 率が足踏みしている背景には、生産性の改善が進んでいないなどの理由か ら、潜在成長率の改善が小幅なものにとどまっていることにある。 ◆ 今後は、生産性の向上をどのように実現するかが、アベノミクスの成否と も関連して問われることになるだろう。報道によれば、政府はサービス業 の生産性向上に向けて、今夏に改訂予定の成長戦略でTFP(全要素生産性) を基にした経営指標を主要業種ごとに設定する方針とされる。また、この 経営指標を補助金の支給や税制優遇などの際に利用することも検討され ているようだ。こうした取り組みが幅広く実現すれば、政府の限られた財 源の効率的な配分につながるとともに、企業の生産性向上へのインセンテ ィブも強化され、潜在成長力の底上げにとって大きな効果が期待される。 2015年 3月 11日 発行 [執筆担当] 徳田秀信(総括) 03-3591-1298 hid enobu.tok uda@mizuh o-ri.co.j p 大和香織(外需) 03-3591-1284 kao ri.yamato @mizuho-r i.co.jp 風間春香(政府・物価) 03-3591-1418 har uka.kazam a@mizuho- ri.co.jp 坂中弥生(企業) 03-3591-1242 yay oi.sakana ka@mizuho -ri.co.jp 齋藤周(雇用・消費) 03-3591-1283 ama ne.saito@ mizuho-ri .co.jp 松浦大将(住宅) 03-3591-1435 hir omasa.mat suura@miz uho-ri.co .jp ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではあり ません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正 確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更され ることもあります。 1.総 括 日本経済の現状 日本経済は回復している。足元の経済指標をみると、輸出・生産が高めの伸び となる中、設備投資にも回復の動きがみられる。個人消費は足元で天候要因によ る下押しがみられるが、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調を維持 している。ただし、経済の活動水準は、潜在生産量(物価変動に対して中立的と みられる生産量)を引き続き下回っている。 経済の各部門を概観すると、海外経済は緩やかに回復している。米国経済は雇 用環境の改善が続くなか回復している。ユーロ圏経済には改善の動きがみられる が、中国経済は減速している。日本の対外交易環境は原油価格の下落などを背景 に大幅に改善している。輸出が増加するなか、輸入も上向きつつある。経常収支 (季節調整値)の黒字幅は拡大傾向にある。 企業部門について、生産・サービス活動は回復している。企業収益は回復して おり、企業マインドも緩やかに回復している。設備投資は回復している。家計部 門について、労働需給が引き締まった状態にあり常用雇用の回復が続いているこ となどから雇用者所得は回復基調にある。消費者マインドが持ち直していること もあり、個人消費は緩やかな回復基調にある。住宅着工戸数は、消費増税に伴う 反動減が一巡しつつあり、持ち直しの動きがみられる。公的需要は緩やかな減少 基調にあり、税収は増加している。 国内企業物価(※)は原油価格の下落などを背景に前年比で低下している。消 費者物価(生鮮食品を除く、 (※) )は伸びが縮小している。日銀は金融緩和を強 (※)消費増税の影響を除くベース。 化している。 日本経済の先行き 先行きの日本経済は、緩やかな回復が続くとみられる。経済活動の水準は、潜 在生産量を下回る状態が続く見込みである。 先行きの海外経済は緩やかな回復が続くとみられる。 円安傾向の定着もあって、 輸出は緩やかな増加基調が続く見通しである。輸入は国内経済の回復に向かう動 きが続く中で、低水準ながらも増加していくとみられる。原油価格が低水準で推 移していることから、対外交易環境は前年比大幅なプラスが続く見込みである。 経常収支の黒字幅は原油安の影響などから高めの水準が続くだろう。 生産・サービス活動は、内外需の持ち直しを背景に緩やかな回復が続く見込み である。企業マインドは国内経済の回復に伴う売上の持ち直しなどを受けて緩や かな回復が続く見通しである。設備投資も、生産や収益が回復していることから 回復が続くだろう。家計部門では、雇用者所得の回復基調が続き、消費者マイン ドも物価の伸びの鈍化や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかに改善するとみら れる。先行きの個人消費は雇用者所得の回復が支えとなり、緩やかな回復が続く だろう。住宅着工戸数も緩やかな持ち直しが続く見込みである。公的需要は 2014 年度補正予算の効果が顕れるまでの間、緩やかな減少基調が続く見通しである。 税収は増加傾向が続く見込みである。 国内企業物価は前年比マイナスが続くだろう。円安による物価上昇を原油価格 下落の影響が上回るとみられることから、消費者物価(生鮮食品を除く、 (※) ) は春頃に前年比マイナスに転じる見通しである。日本銀行は 2014 年 10 月に決定 1 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) した内容に即して金融緩和を進めるとみられる。 (※)消費増税の影響を除くベース。 景気判断上の注目点、リ スク 3 月 3 日に内閣府から発表された 2014 年度の「企業行動に関するアンケート調 査」では、今後 5 年間の企業の期待成長率(経済成長率の見通し)が名目ベース では 2%近くまで高まる一方、実質ベースでは 1%台前半にとどまった(図表 1) 。 アベノミクスに伴いインフレ期待は緩やかに上昇しているものの、経済の成長力 に対する期待は十分に高まっていないことを示す結果といえるだろう。 実質ベースの期待成長率が足踏みしている背景には、アベノミクス開始後の潜 在成長率の改善が小幅なものにとどまっていることがある。みずほ総合研究所の 試算では、 2014 年度の潜在成長率は約 0.7%と、 アベノミクス開始時点である 2012 年度の約 0.6%からわずかな改善にとどまる見込みである(図表 2) 。 潜在成長率に対する労働投入・資本投入・生産性別の寄与度をみると、労働投 入については、就業率が政府目標を上回るペースで上昇することで、人口減少に よるマイナスの影響を相殺している(政府は 2020 年までに 20~64 歳の就業率を 80.0%に高めるという目標を設定しているが、 2014 年の時点で既に 77.5%と 2012 年の 75.2%から大きく改善している) 。就業率改善の中身として非正規雇用の割 合が高いという課題はあるが、アベノミクスで女性の就業を積極的に促進する機 運が高まってきている点は評価できる。他方、資本投入や生産性の寄与度には明 確な改善がみられていない。資本投入についてはアベノミクス開始後から更新投 資が増加するなど改善の兆しもあるが、生産性は「第 3 の矢」である成長戦略の 進捗が遅れていることもあり、改善の目途が依然ついていない。 今後は、生産性の向上をどのように実現するかが、アベノミクスの成否とも関 連して問われることになるだろう。報道によれば、政府はサービス業の生産性向 上に向けて、今夏に改訂予定の成長戦略で TFP(全要素生産性)を基にした経営 指標を主要業種ごとに設定する方針とされる。また、この経営指標を補助金の支 給や税制優遇などの際に利用することも検討されている模様である。こうした取 り組みが幅広く実現すれば、政府の限られた財源の効率的な配分につながるとと もに、企業の生産性向上へのインセンティブも強化され、潜在成長力の底上げに とって大きな効果が期待される。 図表 1 企業の期待成長率(今後 5 年間の見通し) 図表 2 潜在成長率の推計値 (%) 5 (年率、%) 2.5 4 2.0 3 1.5 潜在資本投入 潜在労働投入 TFP 潜在成長率 2 1.0 1 0.5 名目ベース 0 実質ベース ▲1 0.0 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年度) (注)経済成長率についての今後5年間の見通し。 90 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14 (年度) (注)みずほ総合研究所の推計値。 (資料)内閣府「国民経済計算」などよりみずほ総合研究所作成 (資料)内閣府「企業行動に関するアンケート調査」よりみずほ 総合研究所作成 2 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 3 景気判断 3月 2月 (現状判断) (現状判断) (先行き判断) 総括 対 外 部 門 企 業 部 門 家 計 部 門 政 府 経済活動の方向性 持ち直している 回復している 緩やかな回復が続く 経済活動の水準 潜在生産量を下回っている 潜在生産量を下回っている 潜在生産量を下回る状態が続く 海外経済 緩やかに回復している 緩やかに回復している 緩やかな回復が続く 対外交易環境 大幅に改善している 大幅に改善している 前年比大幅なプラスが続く 輸出 増加している 増加している 緩やかな増加基調が続く 輸入 上向きつつある 上向きつつある 低水準ながらも増加していく 生産・サービス活動 緩やかに回復している 回復している 緩やかな回復が続く 企業マインド やや慎重さが残っている 緩やかに回復している 緩やかな回復が続く 設備投資 持ち直している 回復している 回復が続く 雇用者所得 回復基調にある 回復基調にある 回復基調が続く 消費者マインド 持ち直している 持ち直している 緩やかに改善する 個人消費 緩やかに回復している 緩やかな回復基調にある 緩やかな回復が続く 住宅着工 持ち直しの動きがみられる 持ち直しの動きがみられる 緩やかな持ち直しが続く 公的需要 緩やかな増加基調にある 緩やかな減少基調にある 緩やかな減少基調が続く 税収 国内企業物価 物 価 (注4) (注4) 増加している 増加傾向が続く 前年比で低下している 前年比マイナスが続く 伸びが縮小している 伸びが縮小している 前年比マイナスに転じる 日銀は金融緩和を強化している 日銀は金融緩和を強化している 2014年10月に決定した内容に即して金融緩和を進める 消費者物価 金融政策 増加している 前年比で低下している (注1)矢印の向きは景気の方向性を示している。上向きが拡大局面、横向きが横這い局面、下向きが後退局面を意味する。 (注2)矢印の色は生産の水準感を示している。白は潜在生産量を上回る、紺は潜在生産量を下回る、白紺の縦縞は潜在生産量程度の生産量を意味する。 (注3)先行き判断は、3カ月程度先の経済の動きに関する判断を示している。 (注4)国内企業物価と消費者物価は、消費増税の影響を除くベースで判断している。 (資料)みずほ総合研究所 図表 4 景気の全体観を示す主要統計 FY2012 景気動向指数 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 前期差、Pt - - - - - ▲ 1.9 ▲ 0.6 1.6 ▲ 0.2 n.a. CI 一致指数 前期差、Pt - - - - - 0.3 ▲ 0.9 1.4 2.4 n.a. CI 遅行指数 前期差、Pt - - - - - 0.2 1.2 ▲ 0.3 ▲ 0.9 n.a. DI 先行指数 % - - - - - 20.0 30.0 40.0 55.6 n.a. DI 一致指数 % - - - - - 70.0 60.0 65.0 80.0 n.a. DI 遅行指数 % - - - - - 40.0 80.0 70.0 50.0 n.a. 前期比、% 前期比、% 0.1 ▲ 3.0 1.9 3.2 ▲ 0.1 ▲ 1.9 0.8 1.7 n.a. 4.4 0.1 0.4 0.0 ▲ 0.5 ▲ 0.3 0.8 n.a. 4.0 n.a. n.a. 第3次産業 前期比、% 0.7 1.3 0.4 0.6 n.a. ▲ 0.2 0.2 ▲ 0.3 n.a. n.a. 建設業 前期比、% 5.1 10.9 0.7 1.9 n.a. 1.5 ▲ 0.9 0.1 n.a. n.a. 公務等 前期比、% 0.3 ▲ 0.3 ▲ 0.3 0.2 n.a. 1.2 ▲ 0.2 ▲ 0.7 n.a. n.a. 前期比、% ▲ 0.0 1.6 0.1 0.8 n.a. 0.9 ▲ 0.7 ▲ 0.1 n.a. n.a. 個人消費 前期比、% ▲ 0.2 0.7 ▲ 0.7 ▲ 0.2 n.a. ▲ 0.7 ▲ 0.1 ▲ 0.2 n.a. n.a. 住宅投資 前期比、% 3.7 7.7 ▲ 7.6 ▲ 1.6 n.a. ▲ 0.3 0.3 0.6 n.a. n.a. 全産業活動指数 全産業 鉱工業 全産業供給指数 最終需要部門計 国民経済計算 FY2013 CI 先行指数 設備投資 前期比、% ▲ 1.1 2.8 ▲ 0.1 1.5 n.a. 2.3 ▲ 1.8 ▲ 0.7 n.a. n.a. 政府消費 前期比、% 1.1 0.4 0.0 0.3 n.a. 0.3 ▲ 0.2 0.2 n.a. n.a. 公共投資 前期比、% 10.0 12.2 5.2 1.4 n.a. 2.9 ▲ 3.0 ▲ 1.2 n.a. n.a. 輸出 前期比、% ▲ 2.1 5.7 1.1 6.4 n.a. 5.2 1.0 ▲ 0.9 n.a. n.a. 輸入(控除項目) 前期比、% 2.0 6.4 ▲ 0.5 1.3 n.a. ▲ 2.1 1.5 0.2 n.a. n.a. 前期比、% 1.0 2.1 ▲ 0.7 0.4 n.a. - - - - - 前期比年率、% - - ▲ 2.6 1.5 n.a. - - - - - 民需 寄与度、%Pt 1.4 1.8 ▲ 0.8 0.1 n.a. - - - - - 公需 寄与度、%Pt 0.3 0.8 0.1 0.1 n.a. - - - - - 外需 寄与度、%Pt ▲ 0.8 ▲ 0.5 0.1 0.2 n.a. - - - - - 名目GDP 年率、兆円 474.5 483.1 484.9 489.5 n.a. - - - - - 実質GDP GDPデフレーター 内需デフレーター 前期比、% 0.1 1.8 ▲ 0.9 1.0 n.a. - - - - 前年比、% ▲ 0.9 ▲ 0.3 2.0 2.4 n.a. - - - - - 前年比、% ▲ 0.8 0.4 2.3 2.1 n.a. - - - - - (注1)全産業活動指数は農林水産業生産指数を除く。産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第3次産業と公務等は第3次産業活動指数の値。 (注2)実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (注3)2015年1~3月期前期比は、1月の10~12月期平均に対する変化率。 (資料)内閣府「景気動向指数」、「四半期別GDP速報」、経済産業省「全産業活動指数、全産業供給指数」、「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」よりみずほ総合研究所作成 3 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 2.対外部門 海外経済 海外経済は緩やかに回復している。米国は、2 月の製造業ISM指数が 52.9(1 月 53.5)と 4 カ月連続で低下した(図表 1) 。ドル高進行により輸出受注が悪化し たことなどが低下につながった。もっとも、2 月の非農業部門雇用者数は前月差 +29.5 万人(1 月同+23.9 万人)と大幅に増加するなど雇用環境の改善が続いて おり、景気の回復基調に変わりはない。ユーロ圏の 2 月の製造業PMIは 51.0(1 月 51.0)と横ばいだった。ドイツなどで輸出受注が上向いたものの、販売価格の 弱含みが続いた。中国の 2 月の製造業PMIは 49.9(1 月 49.8)とわずかに上昇 したが、過剰在庫や輸出受注の弱さなどから 2 カ月連続で 50 を下回った。 今後の海外経済は緩やかな回復が続く見込みである。米国経済は雇用情勢の改 善などを背景に、消費を中心に民間需要の拡大が続くとみられる。ユーロ圏経済 はギリシャ問題など不安定要素が燻るものの、ユーロ安を背景とする輸出拡大や サービス部門の堅調が支えとなり、緩やかな回復が続く見込みである。中国は、 2015 年の成長率目標を「7.5%前後」から「7%前後」に引き下げ、経済成長を減 速させつつ過剰供給等の是正を図っていく姿勢を改めて示した。財政・金融政策 の下支えにより景気腰折れこそ回避されるが、減速傾向が続く見通しである。 対外交易環境 対外交易環境は大幅に改善している。2 月は原油安により輸入物価の前年比マ イナス幅が拡大した結果、対外交易条件は前年比+14.1%(1 月同+9.7%)とプ ラス幅が大きく拡大した(図表 2) 。原油価格は足元で下げ止まりつつあるものの、 当面は前年に比べて低水準が続くことから輸入物価も前年比マイナス圏で推移す るとみられる。今後の対外交易環境は前年比でみた大幅なプラス傾向が続くとみ られる。 輸出 輸出は増加している。1 月の輸出数量指数(※)は前月比+3.0%(12 月同 +0.9%)と伸びが高まった(図表 3) 。スマートフォン向け電子部品などアジア 向けがプラスに転じたほか、 米国向けは 4 カ月連続で増加した。 商品別にみると、 電気機器(電子部品等)や一般機械、輸送用機器など幅広く押し上げに寄与した 模様である。先行きについて、緩やかながらも海外経済の回復が続く中で円安傾 向が定着しつつあり、幅広い輸出押し上げが期待される。今後の輸出は緩やかな 増加基調が続く見通しである。 輸入 (※)みずほ総合研究所の季節調整値 輸入は上向きつつある。1 月の輸入数量指数(※)は前月比▲1.1%(12 月同 +4.8%)と減少した。新型スマートフォン輸入が一服したことから電気機器が全 体を押し下げたものの、食料や原料品、鉱物性燃料などは小幅に増加したとみら れ、増税後の落ち込みからの回復傾向は続いている。今後は国内経済の回復に向 かう動きが続くなかで、輸入は低水準ながらも増加していくとみられる。 経常収支 経常収支(季節調整値)は黒字幅が拡大している。1 月は第一次所得収支の黒字 が高水準を維持するなか、原油安や輸出拡大によって貿易収支が東日本大震災後初 めて黒字に転じたことから、経常収支の黒字は+12.7 兆円(季節調整済み年率、 12 月+10.2 兆円)と拡大した(図表 4) 。当面の経常収支の黒字は高めの水準が続 く見込みである。 4 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 1 米欧中の業況感(製造業)の推移 60 図表 2 対外交易条件の推移 (前年比、%) 15 米ISM指数 10 55 5 0 50 ▲ 5 45 中国PMI指数 ▲ 10 ユーロ圏PMI指数 12 13 14 15 12 13 地域別輸出数量指数の推移 総合 米国 欧州 14 15 (注)1.交易条件=輸出物価/輸入物価。直近値は2015年2月。 2.輸入物価は、グラフ中のマイナスが上昇を表す。 (資料)日本銀行「輸出入物価指数」 図表 4 (2010年=100) 120 交易条件 ▲ 20 (年/月) (注)指数が50超のとき業況拡大を示す。直近値は2015年2月。 (資料)米サプライマネジメント協会、Markit、中国物流購買連合会 図表 3 輸出物価 ▲ 15 40 11 輸入物価 25 アジア (年/月) 経常収支の推移 (兆円) 第一次所得収支 経常収支 20 110 15 10 100 5 0 90 ▲5 ▲ 10 80 ▲ 15 サービス収支 ▲ 20 70 10 11 12 13 14 15 13 (注) みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は2015年1月。 (資料) 財務省「貿易統計」よりみずほ総合研究所作成 (年/月) 図表 5 海外経済 CPB生産指数 米国 ユーロ圏 アジア 製造業の業況 米国(ISM) ユーロ圏(PMI) 中国(PMI) 対外交易環境 対外交易条件 輸出物価 輸入物価 実質実効為替レート 輸出 輸出数量 米国向け 欧州向け 中国向け 輸入 対外収支 中国を除くアジア向け 実質輸出 輸入数量 実質輸入 経常収支 貿易・サービス収支 第一次所得収支 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% DI DI DI 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 前期比、% 年率、兆円 年率、兆円 年率、兆円 貿易収支 第二次所得収支 ▲ 25 14 15 (注)季節調整済年率換算値。直近値は2015年1月。 (資料)日本銀行「国際収支統計」 (年/月) 対外部門の主要統計 FY2012 FY2013 1.4 2.6 3.6 3.0 ▲ 2.3 0.4 5.2 5.6 2014Q3 2014Q4 2015Q1 0.2 0.8 n.a. 1.0 1.4 n.a. ▲ 0.5 0.1 n.a. 0.9 1.2 n.a. 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 ▲ 0.0 0.5 0.3 n.a. n.a. ▲ 0.0 1.3 ▲ 0.1 n.a. n.a. 0.2 0.1 ▲ 0.2 n.a. n.a. ▲ 0.1 1.0 1.0 n.a. n.a. - - - - - 57.9 50.6 50.8 57.6 50.1 50.3 55.1 50.6 50.1 53.5 51.0 49.8 52.9 51.0 49.9 ▲ 0.6 0.9 1.7 ▲ 5.7 ▲ 5.8 3.3 ▲ 15.7 ▲ 15.7 ▲ 2.9 10.3 13.6 ▲ 18.8 0.6 ▲ 0.0 ▲ 1.5 3.2 ▲ 1.4 2.4 3.8 ▲ 3.3 0.7 ▲ 2.6 ▲ 1.9 1.7 2.3 5.6 3.3 ▲ 8.0 3.2 3.9 2.1 1.4 n.a. n.a. n.a. n.a. 2.9 5.6 3.5 ▲ 3.2 ▲ 0.1 4.0 4.1 ▲ 5.7 3.6 3.2 10.4 ▲ 0.6 1.9 7.3 5.4 ▲ 10.2 ▲ 2.0 0.6 ▲ 8.2 0.4 5.3 5.6 0.3 ▲ 8.1 0.9 1.9 8.2 ▲ 2.0 9.7 2.3 ▲ 6.7 ▲ 5.5 3.0 4.1 1.1 ▲ 2.0 14.1 2.7 ▲ 9.9 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 1.7 ▲ 2.4 1.6 2.5 4.2 ▲ 9.4 14.6 ▲ 1.8 0.6 1.9 3.7 0.8 ▲ 14.4 16.7 2.6 1.6 ▲ 0.4 0.8 0.8 ▲ 4.7 6.2 5.6 4.9 ▲ 0.1 1.1 3.3 ▲ 3.1 7.0 5.6 6.8 0.3 3.3 n.a. n.a. n.a. 3.1 3.9 ▲ 2.1 ▲ 1.8 10.6 ▲ 10.2 23.6 1.9 ▲ 1.8 ▲ 4.8 0.1 8.9 ▲ 10.2 20.6 ▲ 5.6 3.6 4.8 1.5 10.2 ▲ 7.7 19.0 9.1 5.0 ▲ 1.1 2.2 12.7 ▲ 3.7 17.7 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. (注1) 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (注2)2015年1~3月期前期比は、1月の対2014年10~12月期平均に対する変化率。 (注3) 輸出数量及び輸入数量はみずほ総合研究所による季節調整値。中国を除くアジア向け輸出数量は2010年輸出金額ウェイトにより算出。 (注4) 対外交易条件=輸出物価指数÷輸入物価指数。 (資料) 財務省「貿易統計」、日本銀行「実質輸出入」、「国際収支統計」、「企業物価指数」、「外国為替相場」、CPB Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis 5 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 3.企業部門 生産・サービス活動 生産・サービス活動は回復している。1 月の鉱工業生産指数は前月比+4.0%(12 月同+0.8%)と 2 カ月連続で上昇した(図表 1) 。はん用・生産用・業務用機械 (同+9.4%)や輸送機械(同+4.5%)など速報段階で発表される 15 業種中 13 業種が増産となった。非製造業について、12 月の第 3 次産業活動指数は前月比 ▲0.3%(11 月同+0.2%)と、横ばい圏で推移している(図表 2) 。卸売業などの 活動指数が上昇する一方で、金融業や生活関連サービス業・娯楽業などが全体を 押し下げた。建設業活動指数もこのところ足踏みが続いている。 今後の生産・サービス活動は、緩やかな回復が続く見込みである。製造業では、 円安等を背景にはん用・生産用・業務用機械といった輸出業種が増産基調を維持 するだろう。製造工業生産予測指数をみると、2 月も高水準を維持した後、3 月は 反動もあり減産する計画(2 月:前月比+0.2%、3 月:同▲3.2%)である。2・3 月が予測指数通りと仮定すると、1~3 月期は前期比+3.4%と、高い伸びとなる。 非製造業についても、内需の持ち直しとともに緩やかに回復するとみられる。 企業収益・財務 企業収益は回復している。10~12 月期の経常利益(法人企業統計、金融・保険 業を除く、季節調整値)は前期比+10.0%と 2 四半期連続で増加した(図表 3) 。 製造業の増益が続いたほか、消費増税後に収益が落ち込んでいた非製造業がプラ スに転じた。業種別の経常利益を前年比でみると、製造業では、はん用機械や鉄 鋼の増益幅が大きかった。非製造業では、4~6 月期以降前年比マイナスが続いて いた卸売業・小売業がプラスとなるなど、消費増税後の落ち込みからの回復が確 認できる結果となった。 今後の企業収益は、円安による輸出企業の業績改善や内需の持ち直しに加え、 原油安によるエネルギーコスト減も追い風となり、緩やかな回復が続くとみられ る。 企業マインド 企業マインドは緩やかに回復している。2 月の景気ウォッチャー調査では、現 状判断DI(企業動向関連)が 51.1 と、景気判断の分かれ目となる 50 を 7 カ月 ぶりに上回った。住宅着工件数が少ないといったコメントがみられる一方で、輸 入原材料や人件費上昇分をようやく価格転嫁できるようになってきたという声も みられた。今後の企業マインドは、内需の回復に伴う売上の持ち直しなどを受け て緩やかな回復が続くだろう。 設備投資 設備投資は回復している。1 月の投資財総供給(国内向け出荷+輸入)は前月 比+7.1%と大幅に増加した。先行指標をみると、1 月の機械受注(船舶・電力を 除く民需)は前月比▲1.7%と 3 カ月ぶりに減少したものの、後方 3 カ月移動平 均でみるとプラスとなっており、増加傾向を維持している(図表 4) 。製造業が、 一般機械や情報通信機械の増加基調を受けて上向いていることに加え、非製造業 も底入れした。 1~3 月期見通しによると、 製造業の受注が高水準を維持するほか、 非製造業からの受注も増加基調へ復する見込みである。生産や収益が回復してい ることから、設備投資も回復が続くだろう。 6 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 1 鉱工業生産指数 (2010年=100) 図表 2 第 3 次産業活動指数と建設業活動指数 消費増税後 105 (2005年=100) 105 (2005年=100) 90 予測指数 第3次産業活動指数 100 100 85 95 80 95 建設業活動指数(右目盛) 90 13/6 90 2013 2014 14/2 14/4 14/6 14/8 製造業 10 全産業 75 (年/月) 図表 4 機械受注(船舶・電力を除く民需) (2010年=100) 150 非製造業 12 14/10 14/12 (資料)経済産業省「第3次産業活動指数」、「全産業活動指数」 (年/月) 図表 3 経常利益(法人企業統計ベース) (前期比、%) 13/10 13/12 2015 (資料)経済産業省「鉱工業指数」 14 13/8 非製造業 140 8 130 6 120 4 110 2 0 100 ▲2 製造業 90 ▲4 ▲6 80 2012 2013 (資料)財務省「法人企業統計」 2012 2014 収益・財務 前期比、% 前期比、% 鉱工業在庫指数 出荷・在庫バランス 前期比、% 製造工業設備稼働率指数 第3次産業活動指数 前期比、% 売上高 製造業 前年比、% 非製造業 経常利益 前年比、% %Pt 前期比、% 前年比、% 前年比、% 前期比、% 製造業 非製造業 企業倒産件数 マインド 設備投資 前年比、% 前年比、% 前年比、% 2015 (年/月) 企業部門の主要統計 FY2012 生産・サービス 鉱工業生産指数 活動 鉱工業出荷指数 2014 (注)後方3カ月移動平均値。 (資料)内閣府「機械受注統計調査報告」 (年/四半期) 図表 5 2013 FY2013 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 ▲ 3.0 ▲ 1.9 3.2 2.9 ▲ 1.9 ▲ 0.8 1.7 2.2 4.4 6.0 0.4 0.6 ▲ 0.5 ▲ 1.4 0.8 1.0 4.0 5.8 n.a. n.a. ▲ 3.0 1.1 ▲ 1.4 4.3 1.1 ▲ 4.5 ▲ 0.1 ▲ 7.4 n.a. n.a. ▲ 0.4 ▲ 4.2 1.1 ▲ 11.0 ▲ 0.7 ▲ 5.6 ▲ 0.6 ▲ 7.5 n.a. n.a. ▲ 2.5 0.8 4.8 1.3 ▲ 3.3 0.4 2.7 0.6 n.a. n.a. 0.7 ▲ 0.2 ▲ 0.8 0.2 2.0 ▲ 0.3 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 4.6 ▲ 3.8 2.5 1.7 2.9 0.9 2.4 0.1 n.a. n.a. - - - - - ▲ 4.9 7.9 2.8 23.6 3.8 7.6 3.4 11.6 n.a. n.a. - - - - - 8.0 13.3 23.6 36.0 1.3 19.2 10.0 16.4 n.a. n.a. - - - - - 5.4 ▲ 6.3 17.5 ▲ 5.7 1.4 ▲ 9.6 8.3 ▲ 14.3 n.a. n.a. ▲ 13.5 ▲ 18.2 ▲ 10.9 ▲ 12.5 n.a. - - 13 13 14 12 n.a. n.a. - - - - - 大企業業況判断DI 製造業 %Pt 非製造業 中小企業景況判断指数 %Pt - - 13 - 16 - n.a. - 47.4 47.7 46.7 46.3 46.5 %Pt ▲ 3.0 11.5 5.6 0.4 4.0 46.2 ▲ 6.4 44.6 1.3 46.6 8.3 46.7 ▲ 1.7 51.1 n.a. 景気ウォッチャー調査DI(企業関連) 機械受注(船舶・電力除く民需) %Pt 前期比、% 建築物着工床面積(非居住用) 民間企業設備投資(全産業供給指数) 前期比、% 前期比、% 9.8 ▲ 1.1 7.9 2.8 ▲ 4.0 ▲ 0.2 4.3 1.5 ▲ 12.1 n.a. 34.9 2.3 ▲ 20.2 ▲ 1.8 ▲ 8.7 ▲ 0.7 1.5 n.a. n.a. n.a. 資本財出荷(除く輸送機械) ソフトウェア受注額 前期比、% ▲ 6.0 5.5 0.1 3.7 12.7 6.2 ▲ 2.8 1.3 4.2 12.8 n.a. n.a. n.a. 2.2 2.0 1.8 3.4 n.a. 5.1 0.8 前年比、% (注1) 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (注2) 2015年1~3月期前期比は、2015年1月の2014年10~12月期平均に対する変化率。 (資料) 経済産業省「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」、「全産業活動指数、全産業供給指数」、「特定サービス産業動態統計調査」、財務省「法人企業統計」、 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、帝国データバンク「全国企業倒産集計」、商工組合中央金庫「中小企業月次景況観測」、 内閣府「景気ウォッチャー調査」、「機械受注統計調査報告」、国土交通省「建築着工統計調査報告」 7 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 4.家計部門 雇用者所得 雇用者所得は回復基調にある。 1 月は有効求人倍率が 1.14 倍と横ばいだったが、 失業率は 3.6%と前月から 0.2 ポイント上昇した。 「自発的な離職」や「新たに求 職」を理由とした失業者数が増加しており、景気回復に伴う転職・求職活動の増 加が背景にあるとみられる。労働需給は引き締まった状態にあり、常用雇用は回 復が続いている。1 月の名目賃金は前年比+1.3%(12 月同+1.3%)と 11 カ月連 続で増加した。所定内給与の増加基調が続いていることや、冬のボーナス増加に よる特別給与の押し上げ、生産の回復に伴う所定外給与の増加がプラスに寄与し た(図表 1) 。物価調整後の実質雇用者所得(常用雇用×実質賃金(※))は、物価 の伸びが緩やかに鈍化していることも寄与し、前年比+0.2%(12 月同 0.0%)と 改善している。 先行きの雇用者所得は回復基調が続くだろう。医療・福祉や宿泊・飲食サービ スなどで労働需要の高い状態が続いており、雇用の改善が続く見込みである。名 目賃金も緩やかな増加傾向が続くだろう。生産とほぼパラレルに推移してきた所 定外給与は、生産の回復に伴い増加が続く見通しである。所定内給与は、2015 年 の春季賃上げ率が昨年よりも高まることで増加するだろう。 (※)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて実質化。 消費者マインド 消費者マインドは持ち直している。1 月の消費者態度指数は、構成項目である 4 つの意識指標のうち「雇用環境」と「耐久消費財の買い時判断」が改善し、2 カ 月連続で上昇した。今後の消費者マインドは、物価の伸びの鈍化や雇用・所得環 境の改善を背景に緩やかに改善するだろう。 個人消費 個人消費は足元で天候要因による下押しがみられるものの、緩やかな回復基調 にある。1 月の小売業販売額は前月比▲1.3%(12 月同▲0.4%)と 4 カ月連続で 減少した。耐久財販売が増加したが、気温上昇により衣類や燃料の販売が減少し た(図表 2) 。2 月の新車販売台数(登録車と軽自動車の乗用車、みずほ総合研究 所による季節調整値)は前月比▲0.1%と 2 カ月連続で減少したが、軽自動車増税 を見越した駆け込み需要を背景に軽自動車の販売が底堅く推移している(図表 3) 。 先行きの個人消費は、緩やかな回復が続くだろう。2015 年 4 月の軽自動車増税 により、4 月以降の新車販売は一時的に停滞するとみられる。その他の消費につ いては、雇用者所得の回復が支えとなる中で緩やかに回復する見込みである。 住宅着工 新設住宅着工戸数は持ち直しの動きがみられる。1 月の着工戸数(季調済み年 率)は 86.4 万戸(前月比▲2.1%)と 2 カ月ぶりに減少した。貸家(同▲6.6%) が大幅に減少したほか、分譲住宅(同+0.7%)も伸びがほぼ横ばいにとどまっ た。分譲住宅は首都圏を中心に持ち直しているが、首都圏以外の地域で回復が遅 れている(図表 4) 。一方、持家(同+2.1%)は増税に伴う駆け込みの反動が薄 れる中で持ち直している。大手ハウスメーカーの持家受注も堅調に推移している 模様だ。 今後は、相続税対策の影響で貸家が高水準で横ばい推移となるなか、持家と分 譲住宅は駆け込みの反動減からの回復が続くため、住宅着工は緩やかな持ち直し が続く見込みである。 8 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 1 名目賃金の推移 図表 2 (前年比、%) 医薬品・化粧品を含むその他 飲食料品 各種商品 小売業計 (前月比、%) 2.5 特別給与 所定外給与 4 2.0 所定内給与 総額 3 1.5 2 1.0 1 0.5 0 0.0 小売業販売額の推移 燃料 織物・衣服・身の回り品 自動車+機械器具 ▲1 ▲ 0.5 ▲2 ▲ 1.0 ▲3 2014/07 ▲ 1.5 2013 2014 (年) (資料)厚生労働省「毎月勤労統計」より、みずほ総合研究所作成 図表 3 新車販売台数の内訳 図表 4 2014/09 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 分譲住宅の地域別着工戸数 (前期比、%) (2013年=100) 150 10.0 登録車 140 2014/08 (年/月) (注)1. 季節調整値。 2. 系列毎に季節調整を行っているため、系列の合計と小売業計との値は一致しない。 (資料)経済産業省「商業販売統計」より、みずほ総合研究所作成 2015 軽自動車 5.0 130 120 首都圏 中部圏 近畿圏 その他地域 0.0 110 ▲ 5.0 100 90 ▲ 10.0 80 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 (月) 2013 2014 ▲ 15.0 上期 2015 (年) 2014年 (注)みずほ総合研究所による季節調整値。 (資料) (社)日本自動車販売協会連合会「新車販売台数状況」、 (社)全国軽自動車協会連合会「軽四輪車新車販売」より、みずほ総合研究所作成 図表 5 雇用・所得 完全失業率 就業者数 有効求人倍率 新規求人数 所定外労働時間 名目賃金 マインド 個人消費 住宅着工 % 前期差、万人 (注)みずほ総合研究所による季節調整値。 (資料)国土交通省「住宅着工」より、みずほ総合研究所作成。 家計部門の主要統計 FY2012 FY2013 4.3 3.9 ▲5 47 2014Q3 2014Q4 2015Q1 3.6 3.5 3.6 10 2 14 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 3.5 3.5 3.4 3.6 n.a. ▲8 ▲4 26 ▲2 n.a. 0.82 10.1 ▲ 0.3 ▲ 0.7 0.98 8.4 4.5 0.1 1.10 ▲ 0.5 ▲ 2.0 1.4 1.12 1.8 ▲ 0.1 0.7 1.14 2.8 1.4 1.3 1.10 ▲ 0.4 0.0 0.2 1.12 1.6 ▲ 0.7 0.1 1.14 2.9 ▲ 0.3 1.3 1.14 0.4 1.9 1.3 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 0.5 ▲ 0.1 0.1 - ▲ 1.0 1.1 ▲ 0.0 - ▲ 2.5 3.1 ▲ 0.8 - ▲ 2.2 2.3 ▲ 0.7 - ▲ 1.4 3.3 0.6 - ▲ 3.0 1.8 ▲ 1.4 38.9 ▲ 2.7 1.7 ▲ 1.1 37.7 ▲ 1.7 2.9 0.0 38.8 ▲ 1.5 3.1 0.2 39.1 n.a. n.a. n.a. n.a. 1.3 1.3 443.9 1.5 1.9 483.7 0.3 1.2 ▲ 3.2 435.3 0.3 1.3 ▲ 2.4 473.6 0.6 ▲ 0.9 ▲ 7.7 424.7 ▲ 0.5 0.4 ▲ 2.4 ▲ 2.2 451.7 0.7 0.8 ▲ 2.4 ▲ 1.0 446.0 ▲ 0.2 ▲ 0.6 ▲ 2.5 ▲ 1.7 523.1 n.a. ▲ 0.7 ▲ 4.6 ▲ 2.8 424.8 n.a. n.a. n.a. n.a. 424.5 年率、万戸 1.5 89.3 31.7 1.2 98.7 35.3 0.7 86.1 27.0 0.7 88.0 27.0 n.a. 86.4 28.0 ▲ 1.1 42.3 88.6 26.7 1.2 39.5 87.3 27.0 0.1 44.2 88.3 27.4 n.a. 43.9 86.4 28.0 n.a. 48.4 n.a. n.a. 年率、万戸 32.1 37.0 34.3 35.8 33.9 35.9 35.1 36.3 23.3 33.9 23.4 n.a. n.a. 倍 前期比、% 前期比、% 前年比、% 実質賃金 名目雇用者所得(常用雇用×名目賃金) 実質雇用者所得(常用雇用×実質賃金) 消費者態度指数 前年比、% 消費総合指数 家計消費水準指数(除く住居等) 実質小売業販売額 百貨店売上高(既存店) 新車販売台数(乗用車) 前期比、% 広義対個人サービス活動指数 景気ウォッチャー調査DI(家計関連) 合計 持家 前期比、% 貸家 分譲住宅 下期 前年比、% 前年比、% % 前期比、% 前年比、% 前年比、% 年率、万台 %Pt 年率、万戸 25.0 25.9 24.2 24.1 23.4 25.3 23.7 年率、万戸 (注1) 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (注2) 2015年1~3月期の前期比・前期差は、2015年1月の2014年10~12月平均に対する変化・変化率。 (注3) 2015年1~3月期の新車販売台数は、2015年1・2月平均の値。 (注3) 消費総合指数は四半期系列、月次系列ごとに季節調整がかけられるため、月次平均と四半期値は一致しない。 (注4) 実質小売業販売額は、名目販売額を消費者物価指数(「電気・都市ガス・水道」を除く「財」の全国消費者物価指数)で除したもの。 (注5) 新車販売台数はみずほ総合研究所による季節調整値。 (注6) 2012年度の就業者数(前期差)は、算出の基礎に用いている推計人口の基準切り替えに伴う断層を調整した時系列接続用数値より計算。 (資料) 総務省「労働力調査」「家計調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計」、内閣府「消費動向調査」「景気ウォッチャー調査」「消費総合指数」、 経済産業省「商業販売統計」「第3次産業活動指数」、国土交通省「建築着工統計」、日本百貨店協会、日本自動車販売協会連合会等より、みずほ総合研究所作成 9 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 5.政府部門 公的需要 公的需要は緩やかな減少基調にある。12 月の公共投資(全産業供給指数) 、公 共工事出来高はともに減少した。2013 年度補正予算による押し上げ効果がはく落 しているとみられる。他方、先行指標の公共工事請負金額には底入れの動きがみ られる(図表 1) 。2011 年度以降の公共事業は、建設業の人手不足や資材価格の高 騰などにより事業の進捗が遅れ気味であったが、建設業の人手不足度合いは足元 にかけて緩和傾向にあり、資材価格の上昇にも一服感がみられる(図表 2) 。こう した供給制約の緩和が工事の受注を後押ししている面もあるだろう。進捗ベース の公共投資は当面減少基調が続く見込みだが、2014 年度補正予算の効果が徐々に 顕在化する中で、年央に一旦下げ止まる見通しである。政府消費は、社会保障給 付の拡大により増加が続くだろう。今後の公的需要は当面緩やかな減少基調が続 くとみられるが、2015 年半ば以降徐々に底入れから持ち直しに向かうだろう。 税収 税収は増加している。1 月の国税収入は前年比+18.3%(12 月同+11.4%)と なった(図表 5) 。株式配当や冬のボーナス増加などにより、所得税収の伸びが大 きく高まった。 2014 年 4 月~2015 年 1 月までの累計は税収全体で前年比+12.3% となり、補正予算後の 2014 年度税収見積もり額の伸び(+10.2%)を上回ってい る。景気が回復基調を維持する中、税収は今後も増加傾向が続くとみられる。 経済政策 3 月 2 日、会計検査院は東日本大震災復興事業の実施状況に関する調査報告書 を公表した。報告書によると、2011~2013 年度に計上された復旧・復興予算現額 は 25.1 兆円で、支出済額は 20.1 兆円(執行率 80.1%)であった(図表 3) 。3 カ 年予算の約 6 割を占める 2011 年度予算(予算現額:14.8 兆円、支出済額:12.6 兆円(執行率 84.7%) )のうち、執行率が 50%台にとどまっているのは①「被災 者生活再建支援金補助事業」 、②「災害復旧等事業費(水産) 」 、③「放射性物質に より汚染された土壌等の除染の実施」であった。予算執行が進まなかった理由と して、 ①は市街地・居住地復興が遅れているため支援金の申請が少なかったこと、 ②・③は地元住民との調整が遅れていることが挙げられた。復興予算の使い道に やや厳しい目が向けられる中、政府は「集中復興期間(2011~2015 年度) 」終了 後の新たな予算フレーム作りを開始している。2016 年度以降は被災自治体に一部 負担を求める案も出ているようだが、復興予算の効率的・効果的な執行につなげ ていくための議論が求められよう。 また、2 月 19 日に観光庁は「世界に誇れる広域観光周遊ルート検討委員会」の 初会合を開いた。都道府県別の外国人延べ宿泊者数をみると、いわゆる「ゴール デンルート」と呼ばれる一部地域などに偏っているのが分かる(図表 4) 。複数の 都道府県にまたがるテーマ性・ストーリー性を持った観光地を結ぶ「広域観光周 遊ルート」を形成し、海外へ情報発信することで、地方への訪問を拡大させる狙 いがある。観光庁は今後、検討委員会での議論を踏まえて周遊ルートの基本要件 を提示し、地方自治体から具体的な提案を募る予定である。国の認定を受けた自 治体に対しては、マーケティング調査、外国人受け入れ環境の整備などを、観光 庁がパッケージで支援する (費用負担含む) 。 地方を訪れる内外の観光客を増やし、 人口減少の克服と地方の創生につなげていくことが期待される。 10 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 1 公共工事請負金額 図表 2 建設労働者の過不足率と建設資材価格 (過不足率、%) (兆円) (2010年=100) 3 1.6 115 建設技能労働者過不足率 (8職種計) 1.5 2 1.4 110 2月 建設資材価格(土木用) 1.3 1 不 足 1.2 105 1.1 0 1.0 10~12月平均 100 過 剰▲1 0.9 0.8 0.7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 95 2010 11 12 13 14 15 2010 11 12 13 14 (年/四半期) (年/月) (注)みずほ総合研究所による季節調整値。 (資料)保証事業会社3社「公共工事前払金保証統計」 図表 3 ▲2 15/1 15 (年/四半期) (注)1.過不足率=(確保出来なかった労働者数-過剰となった労働者数)/(確保している労働者数+確保出来なかった労働者数)×100。 2.建設技能労働者不足率の直近値は2015年1月。建設資材価格指数(土木用)の直近値は2015年1~2月平均。 (資料)国土交通省「建設労働需給調査結果」、一般財団法人建設物価調査会よりみずほ総合研究所作成 復興予算の執行状況 図表 4 都道府県別外国人延べ宿泊者数(2013 年) (万人泊) 2011年度 2012年度 2013年度 (復興特会) (復興特会) (単位:兆円) 1,200 合計 1,000 予算現額 14.8 5.0 5.3 25.1 支出済額 12.6 4.3 3.2 20.1 繰越額 - 0.2 1.8 2.0 不用額 2.3 0.4 0.3 3.0 執行率(%) 84.7 87.4 60.5 80.1 600 400 200 静岡県 福岡県 神奈川県 愛 知県 沖縄県 千葉県 京都府 北海道 大阪府 東京都 0 ・・・・・ (注)枠で囲っているのはゴールデンルート。 (資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」よりみずほ総合研究所作成 政府部門の主要統計 FY2012 公的需要 約65% 800 (注)執行率は2015年度末までの累計執行率。執行率=支出済額/予算現額*100。 (資料)会計検査院「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する 会計検査の結果について」(2015年3月) 図表 5 全国計(3,350万人泊)に対する 上位5位の都道府県の割合 FY2013 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 政府消費(全産業供給指数) 前期比、% 1.1 0.4 0.0 0.3 n.a. 0.3 ▲ 0.2 0.2 n.a. n.a. 公共投資(全産業供給指数) 前期比、% 10.0 12.2 5.1 1.5 n.a. 2.9 ▲ 3.0 ▲ 1.2 n.a. n.a. 公共工事出来高 前期比、% 12.4 19.6 6.6 ▲ 0.9 n.a. ▲ 0.8 ▲ 1.2 ▲ 0.8 n.a. n.a. 公共工事請負金額 前期比、% 10.3 17.7 ▲ 16.5 ▲ 4.7 8.3 ▲ 1.4 ▲ 3.7 13.2 0.2 1.9 兆円 ▲ 34.5 ▲ 38.6 1.9 ▲ 8.6 n.a. ▲ 4.7 ▲ 1.7 ▲ 2.2 2.4 0.6 前年差、兆円 12.4 ▲ 4.2 4.8 3.1 n.a. 0.5 0.4 2.1 ▲ 0.0 n.a. 財政フロー 財政資金対民間収支(一般+特別) 一般会計租税・印紙収入 兆円 - - 11.9 13.1 n.a. 3.3 6.9 3.0 4.9 n.a. 前年比、% - - 10.9 13.3 n.a. 13.2 14.1 11.4 18.3 n.a. 会計年度累計、兆円 43.9 47.0 - - - 18.1 25.1 28.0 32.9 n.a. 会計年度累計、前年差、兆円 1.1 3.0 - - - 1.7 2.6 2.9 3.6 n.a. 所得税 前年比、% 2.7 11.8 10.2 10.2 n.a. 16.8 1.9 14.8 24.3 n.a. 法人税 前年比、% 4.1 ▲ 0.4 11.7 19.0 n.a. - 21.4 ▲ 7.9 7.2 n.a. 消費税 前年比、% 0.3 4.3 16.1 24.5 n.a. 28.5 21.6 24.9 26.7 n.a. n.a. 財政ストック 政府債務残高 兆円 991.6 1,025.0 1,038.9 1,029.9 n.a. 1,045.4 1,053.1 1,029.9 1,047.5 前年差、兆円 31.7 33.4 27.7 12.0 n.a. 30.0 31.2 12.0 27.7 n.a. 内国債 兆円 774.8 812.1 830.0 836.7 n.a. 837.3 845.5 836.7 844.5 n.a. 国庫短期証券 兆円 162.0 157.4 154.4 138.0 n.a. 153.8 152.2 138.0 148.1 n.a. 借入金 兆円 54.9 55.5 20.7 32.4 n.a. 23.9 28.2 32.4 35.3 n.a. 10億ドル 1,254.4 1,279.3 1,264.4 1,260.5 n.a. 1,265.9 1,269.1 1,260.5 1,261.1 1,251.1 外貨準備高 (注1)一般会計租税・印紙収入の月次の会計年度累計のうち、4・5月は前会計年度分の累計値。 (注2)公共工事出来高、公共工事請負金額はみずほ総合研究所による季節調整値。年度は原数値。 (注3)公共工事請負金額の1~3月期前期比は、1・2月平均の10~12月平均に対する変化率。 (資料)日本銀行「金融経済統計月報」、財務省「租税及び印紙収入、収入額調」、「財政資金対民間収支」、経済産業省「全産業供給指数」、国土交通省「建設総合統計」、 保証事業会社「公共工事前払金保証統計」 11 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 6.物価 国内企業物価 国内企業物価(※)は前年比で低下している。2 月の国内企業物価指数(消費 税を除くベース)は前年比▲2.3%と 1 月(同▲2.5%)から減少幅が縮小したが、 4 カ月連続のマイナスとなった(図表 1) 。石油・石炭製品が前年比ベースの企業 物価を押し下げる状況が続いている。 先行きを展望すると、ドル円相場が円安基調で推移していることは物価の押し 上げ要因となる。他方、原油価格は足元で下げ止まっているが、前年比でみると 大幅なマイナスが続いている。これまでの原油価格下落による物価押し下げ圧力 が円安の影響を上回り、国内企業物価指数は前年比マイナスが続く見込みである。 消費者物価 消費者物価(※)は伸びが縮小している。1 月の生鮮食品を除く総合指数(コ アCPI、消費増税の影響を除く)は前年比+0.2%と 12 月(同+0.5%)から上 昇幅が縮小した(図表 2) 。電気代・ガス代は伸びが拡大したが、ガソリン代・灯 油代のマイナス幅が拡大し、エネルギー価格全体を押し下げた(図表 3) 。テレビ など耐久消費財のマイナス幅が拡大したことも、コアCPIの伸び率鈍化につな がった。2 月の東京都区部コアCPI(消費増税の影響を除く)は前年比+0.3% と、伸び率は前月から変わらなかった。 今後のコアCPIは春頃に前年比マイナスに転じる見通しである。円安による 価格押し上げ効果を原油価格下落の影響が上回るとみられることから、エネルギ ー価格はマイナス幅が一段と拡大する見通しである。ガソリン店頭価格は足元で 上昇に転じているが(図表 4) 、電気代・ガス代は「原燃料費調整制度」を通じ、 2015 年度入り後から値下げ方向に転じるとみられる。他方、食料(酒類除く) ・ エネルギーを除く総合指数(米国基準コアCPI)は、内需の回復が続く中で底 堅い動きを維持するとみられ、コアCPIと米国基準コアCPIの動きには乖離 が生じるだろう。 (※)消費増税の影響を除く。 金融政策 日銀は金融緩和を強化している。2/17・18 の金融政策決定会合では、10 月に追 加した枠組みに沿って金融緩和を進めていくことを決定した。2 月 27 日、黒田総 裁は日本記者クラブで講演し、2015 年度を中心とする 2%インフレ目標の達成に 強い自信を示した。昨年夏以降の原油価格下落を背景に足元の物価上昇率は大き く鈍化しているが、10 月末の追加緩和措置により、 「デフレ心理の転換が遅れる リスク」はひとまず回避できたと発言した。需給ギャップが改善するもとで、基 調的な物価上昇率が着実に高まり、原油価格下落による影響も徐々にはく落する ことから、目標は達成可能であると述べた。他方、政府はインフレ目標を達成す る時期について、必ずしも 2 年にこだわる必要はないとのスタンスに切り替えて いるようだ。1 月の月例経済報告では、目標の達成を期待する時期について、 「で きるだけ早期に」との文言を削除し、 「経済・物価情勢を踏まえつつ」との表現に 改めた。甘利経済再生担当大臣も、政府・日銀は厳格な期限をコミットメントし ているわけではないと発言している(1 月 27 日閣議後の記者会見) 。今後の金融 政策決定会合では、インフレ率 2%達成時期の修正が必要かどうかも含め、その 実現可能性について改めて検討されることとなるだろう。 日銀は当面、昨年 10 月に決定した内容に即して金融緩和を進めるとみられる。 12 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号) 図表 1 国内企業物価指数 その他 電力・都市ガス・水道 食料品・飲料・たばこ・飼料 化学製品 非鉄金属 鉄鋼 石油・石炭製品 (前年比、%) 5.0 4.0 3.0 図表 2 生鮮食品を除く総合消費者物価指数 (前年比、%) 3.5 3.0 総平均 2.5 1.0 0.0 消 費 増 税 の 影 響 米国基準コアCPI 2.0 消 費 増 税 の 影 響 2.0 コアCPI 食料(酒類・生鮮食品除く) エネルギー 1.5 1.0 0.5 0.0 ▲ 1.0 ▲ 0.5 ▲ 2.0 (消費増税の影響を除く) ▲ 1.0 ▲ 3.0 13/1 (消費増税の影響を除く) 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 ▲ 4.0 13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 図表 3 (注)消費増税の影響は、全ての課税対象品目が増税分だけ上昇した場合に想定 される物価上昇幅(+2.0%Pt)。ただし、2014年4月は経過措置の対象となった一部の 品目について旧税率が適用されたため、+1.7%Pt押し上げられる計算。 (資料)総務省「消費者物価指数」よりみずほ総合研究所作成 (年/月) (資料)日本銀行「企業物価指数」 エネルギー価格(消費増税の影響除く) (前年比、%) 図表 4 ドバイ原油価格とガソリン店頭価格 (ドル/バレル) ガソリン エネルギー価格 10 14/7 14/10 15/1 (年/月) (円/リットル) 120 灯油 8 ガス代 110 6 電気代 100 4 90 2 80 0 70 ▲2 60 ▲4 50 180 ガソリン店頭価格(右目盛) 170 160 150 ドバイ原油価格 140 130 40 ▲6 13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 企業向け 素原材料 中間財 最終財 総平均 サービス価格 (消費増税の影響を除く) 国際運輸を除く 金融・保険 消費者物価 金融政策 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 不動産 運輸 情報通信 広告 前年比、% リース・レンタル 諸サービス 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 総合 前年比、% 生鮮食品を除く (消費増税の影響を除く※当社推計値) 酒類を除く食品・エネルギーを除く 前年比、% (消費増税の影響を除く※当社推計値) 耐久消費財 半耐久消費財 非耐久消費財 前年比、% 一般サービス 公共サービス 無担保コール翌日物金利(末値) 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% 前年比、% % 14/10 15/1 (年/月) 物価の主要統計 FY2012 商品市況 日本銀行国際商品指数 国内企業物価 総平均 (消費増税の影響を除く) 14/7 (注)週次データ。ガソリン価格は給油所小売価格(レギュ ラー) の全国平均値。 (資料)日経NEEDS、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」 (注)経過措置の対象となった電気代、ガス代は2014年5月から8%の消費税率が適用される前提。 (資料)総務省「消費者物価指数」よりみずほ総合研究所作成 図表 5 120 14/4 14/10 15/1 (年/月) ▲ 8.6 ▲ 1.1 - FY2013 2014Q3 2014Q4 2015Q1 2014/10 2014/11 2014/12 2015/01 2015/02 ▲ 5.3 1.9 - ▲ 7.8 4.0 1.1 ▲ 28.4 2.4 ▲ 0.4 n.a. n.a. n.a. ▲ 19.0 2.9 0.1 ▲ 28.9 2.6 ▲ 0.2 ▲ 37.0 1.8 ▲ 1.0 ▲ 43.1 0.3 ▲ 2.5 ▲ 34.6 0.5 ▲ 2.3 0.4 1.1 1.1 0.3 3.3 2.9 0.1 0.2 ▲ 0.8 1.9 ▲ 0.1 3.5 ▲ 5.8 0.0 ▲ 0.6 3.5 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 3.7 0.5 ▲ 0.3 3.6 ▲ 6.1 0.4 ▲ 0.5 3.6 ▲ 7.6 ▲ 0.7 ▲ 1.0 3.5 ▲ 7.8 ▲ 2.6 ▲ 1.7 3.4 ▲ 6.9 ▲ 2.8 ▲ 1.3 n.a. ▲ 0.3 ▲ 0.2 0.1 1.2 0.8 3.5 4.0 0.8 3.6 3.8 n.a. n.a. n.a. 0.9 3.6 3.9 0.9 3.7 3.8 0.8 3.5 3.7 0.7 3.6 3.5 n.a. n.a. n.a. ▲ 2.0 0.3 ▲ 0.7 1.2 ▲ 1.1 0.7 ▲ 0.8 0.8 3.2 3.7 2.8 3.5 3.1 3.9 3.2 3.6 n.a. n.a. n.a. n.a. 3.3 3.8 3.2 4.5 3.1 4.1 3.2 3.0 2.8 3.6 3.0 3.1 3.0 3.3 2.8 4.7 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 2.4 0.1 ▲ 0.3 0.2 0.5 0.9 4.0 4.0 3.3 4.8 3.8 2.6 n.a. n.a. n.a. 4.4 3.8 2.9 5.1 3.9 2.4 4.9 3.8 2.4 4.5 3.9 2.4 n.a. n.a. n.a. ▲ 0.2 ▲ 0.6 0.8 0.2 3.2 1.2 2.3 2.7 0.7 2.1 n.a. n.a. n.a. 2.9 0.9 2.2 2.7 0.7 2.1 2.5 0.5 2.1 2.2 0.2 2.1 n.a. n.a. n.a. ▲ 4.5 ▲ 0.4 0.1 ▲ 0.9 0.7 2.1 0.6 3.8 3.0 5.4 0.4 2.9 3.6 3.4 n.a. n.a. n.a. n.a. 0.5 3.6 3.7 4.1 0.4 2.6 3.7 3.2 0.4 2.4 3.4 3.1 0.4 1.5 4.0 3.1 n.a. n.a. n.a. n.a. ▲ 0.3 0.4 0.06 0.0 1.5 0.04 1.2 3.5 0.03 1.3 3.2 0.07 n.a. n.a. n.a. 1.4 3.2 0.06 1.2 3.2 0.07 1.3 3.2 0.07 1.3 3.2 0.07 n.a. n.a. 0.07 ▲ ▲ ▲ ▲ (注)実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。 (資料)日本銀行「企業物価指数」、「企業向けサービス価格指数」、総務省「消費者物価指数」 13 みずほ日本経済情報(2015 年 3 月号)
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