DART-MS による新規デバイスを用いた揮発性成分の高感度分析 (株式会社バイオクロマト 1・エスビー食品株式会社 2) くどう ゆ き さ が わ たけひと にしぐち た か お ○工藤由貴1・佐川 岳 人 2・西 口 隆夫1 Dramatically improved direct sensitive analysis of volatile compounds using a novel device with DART-MS (BioChromato, Inc.1, S&B FOODS Inc.2) ○Y.Kudo1, T.Sagawa2, T.Nishiguchi1 Short Abstract: Few high sensitive techniques has been yet available for analyzing volatile compounds such as flavors and odors in real time under atmospheric pressure. Direct analysis in real time coupled to mass spectrometry, DART-MS is one of candidate for ambient mass spectrometry for volatile compounds. However, we realized two hurdles as follows: 1) dispersion of ions because of open system, 2) low introduction and concentration of ions into a mass spectrometer due to the structural feature of DART-MS. In this study, we developed and investigated a novel technique to utilize DART-MS for efficient analysis of volatile compounds such as flavors. This result demonstrated ion collection and concentrated introduction with the device were effective for increasing the sensitivity for volatile compounds. Keywords: DART-MS, volatile compounds, device, sensitive analysis, rapid analysis 従来技術における質量分析法では、大気圧下においてリアルタイムで揮発性化合物を高感度に分析 する手法はなく、大気圧下でリアルタイム分析ができる直接質量分析法(Direct Analysis in Real Time、 以下 DART-MS)が期待されている。特に Time of flight(TOF)-MS を組み合わせた DART-TOF-MS では、 迅速簡便に同定能力の高い分析が可能となる。しかし、DART は開放系でイオン化を行うため揮発性 成分が大気に拡散してしまう。加えて装置の構造上、イオン化された物質を質量分析計に取り込む領 域が狭いため、感度が悪い、あるいは検出できないことが問題であった。この課題を解決するため、 イオン化した成分を効率よく質量分析計に取り込む手法を検討し、本デバイスを開発した。 (1)標準品の分析 香気成分として知られる vanillin(和光純薬製)を測定し、本デ バイスの有無による感度の比較を行った。試料は 1.5mL バイアル 瓶中に約 1mg 採取し、常温で測定した。デバイスの使用に関わ らず、vanillin 由来のイオン、[M+H]+(m/z 153.05)にピークを検 出した(Fig.1)。しかし本デバイスを使用することにより、試料 由来のピーク強度が約 9 倍上昇した。このことから本デバイスの 使用により、高感度に測定できることが分かった。 (a) (b) (2)製品中に含まれる揮発性成分の分析 同一メーカーの市販のチョコレート、ミルクチョコレートとブ ラックチョコレートの 2 種を測定した。試料は 1.5mL バイアル瓶 中に約 30mg 採取し、常温で測定した。2 種の試料の測定結果を Fig.2 に示す。 この 2 種の試料は同様の位置にピークを検出した。 中でも m/z 137.13 は limonene あるいは linalool 由来のイオン、m/z 153.05 は vanillin 由来のイオン[M+H]+と推測できるが、2 種の試 料はこれらのピーク強度の比率が異なった。m/z 137.13 と m/z 153.05 の比率が、ミルク チョコレートは 100:7.5 であるのに対し、ブラッ ク チ ョ コ レ ー ト は 100:2.8 であった。この差 が、風味の識別を指名し ている可能性も示唆さ れる。 (a) Fig.1 DART mass spectrum of vanillin (a)with the device (b)without the device (b) Fig.2 DART mass spectrum of chocolate with the device (a)milk chocolate (b)black chocolate
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