資料1 原子力発電の安全性向上に向けた 自主的かつ継続的な取組み 平成27年1月13日 関西電力株式会社 目次 1.当社の安全性向上活動の変遷について 2.美浜発電所3号機事故を原点とした安全最優先の事業活動の展開 3.美浜発電所3号機事故における風化防止の取組み 4.自主的安全性向上への取組み(ロードマップ) 4-1.原子力安全の理念の明文化と共有 4-2.リスクマネジメントの充実 4-3.原子力安全推進協会(JANSI)の支援と活用 4-4.確率論的リスク評価(PRA)活用の推進 4-5.リスクコミュニケーションの充実 4-6.深層防護による安全確保対策の強化 4-7.事故時対応能力の向上 4-8.安全文化の発展 5.まとめ 1 1.当社の安全性向上活動の変遷について 2 H16.8以降 美浜発電所3号機事故※の反省と教訓を踏まえた安全文化醸成活動等を継続 トップマネジメントによる安全最優先の体制構築 全部門役員からなる原子力安全推進委員会による安全文化醸成活動の推進 安全文化評価を中心とした継続的な改善 3 ※:平成16年8月9日、美浜発電所3号機のタービン建屋において、二次系配管が破損し、配管から熱水と蒸気が噴出した事故。 事故当時、定期検査の準備作業をしていた協力会社の方が被災し、5名の方が亡くなり、6名の方が重傷を負われた。 H23.3.11 福島第一原子力発電所事故を踏まえた反省と取組み 福島第一原子力発電所事故の3つの反省と取組み (3つの反省) ・シビアアクシデント(重大事故)への取組みが不十分だったの ではないか ・法令要求を超えて安全性を向上させるという意識が低かった のではないか ・世界に学び、自主的に改善する取組みが不足していたのでは ないか (反省を踏まえた取組み) ・深層防護による安全確保の強化 ・規制の枠組みにとどまらない安全性向上 の推進 ・世界に学ぶ安全性向上活動の強化 H26.6.20 当社の自主的、継続的な安全性向上にかかるロードマップを公表 原子力固有のリスクに対する認識や向き合う姿勢に関する教訓を学び、取組みを充実 6 2.美浜発電所3号機事故を原点とした安全最優先の事業活動の展開① 3 平成16年8月の美浜発電所3号機事故以降、社長の宣言「安全を守る。それは私の使命、 我が社の使命」(平成17年3月)のもと、安全は全ての事業活動の根幹であるとともに、社 会から信頼を賜る源であると考え、「安全最優先」の事業活動を経営の最優先課題として展開。 安全最優先の事業活動の特徴的な取組み ①社長のリーダーシップのもと、安全最優先の事業活動を展開 ・全社員が「私の安全行 ・第一線職場との「社 動宣言」を記入。 長対話」の実施。 【社長のCSRコンダクトカード】 【平成17~現時点実績】379回 (うち原子力発電所:35回) ②安全文化醸成活動の評価、推進 ・「トップのコミットメント」、「コミュニケーション」、「学習する組 織」の3つの切り口で評価し、継続的に改善。 ③立地地域に根ざした原子力事業運営 ・原子力事業本部を福井県美浜町に移転。(平成17年) ・広報担当のみならず、技術系社員も含めた立地地域の各戸 訪問。 【協力会社との打ち合わせ】 2.美浜発電所3号機事故を原点とした安全最優先の事業活動の展開② 安全最優先の事業活動の特徴的な取組み ④全社一体となった原子力支援 ・社内の広範な部門で構成する「原子力保全改革委員会※1」で再発防止対策や安全文 化醸成活動の実施状況を確認し、総合的に推進・支援。 ※1 平成24年6月、「原子力安全推進委員会」に変更 (開催実績:179回[平成27年1月13日現在]) ・この委員会の委員も参加した第一線職場との「膝詰め対話」 を行い、課題を抽出し、全社一体となってトップダウンで解決。 (実施実績:272回[平成27年1月13日現在]) 【膝詰め対話】 ⑤社外の有識者による監査・検証 ・監査結果を社外有識者が主体となる 「原子力保全改革検証委員会※2」に報告。再発防止対策の 実施状況の検証、安全文化醸成活動に対する助言を実施。 ※2 平成24年6月、「原子力安全検証委員会」に変更 (開催実績:25回[平成27年1月13日現在]) 【原子力安全検証委員会】 4 3.美浜発電所3号機事故における風化防止の取組み 美浜発電所構内に石碑を建立し、毎年8月9日を「安全の誓い」の日 と制定するなど、風化防止の取組みを実施。 昨年、事故から10年を迎え、美浜発電所3号機事故の反省と教訓を 深く心にとどめ、安全最優先を実践できるよう、取組みを充実。 風化防止に向けた主な取組み ◆黙祷・献花 ◆ライブラリの作成(昨年8月から運用開始) ・事故の発生時刻に全社員が黙祷 ・社内ウェブサイト上にライ ブラリを作成し、事故に 関係する資料等を幅広く 閲覧 ・関係者の証言録や対策に 込めた思い等も整理 ◆階層別研修(今年度から充実) ・体験談等を交えながら、 「事故は決して過去のものではないこと」等を訴求 【受講者(新入社員)の声】 ・命を奪われた人がいたことを常に忘れず、安全のために できることがあれば直ぐに行動したい ・自分の安全に対する綻びが少しでもあれば、多くのお客 さま、社会に迷惑をかけるのか、ひしひしと感じられた 5 4.自主的安全性向上への取組み(ロードマップ) 6 福島第一原子力発電所事故の反省と教訓等を踏まえ、自主的、継続的な安全性向上にかかる ロードマップを取りまとめ。 ロードマップ 項 目 (1)原子力安全の理念の 明文化と共有 H25年度以前 7 (2)リスクマネジメントの充実 ○経営トップのガバナンス 9 の強化 ○リスクマネジメントの充実 10 ○リスクコミュニケーションの 充実 13 (4)安全文化の発展 社達制定 社長宣言 評価見直し 部会 設置 H27年度 H28年度以降 全社員への浸透 継続的改善 世界に学ぶ活動 継続的改善 PRAの停止時 プラントへの活用 活用の推進 地域に根ざした 事業運営 外部ステークホルダーとのリスクコミュニケーションの実施 避難計画への協力/リスクコミュニケーション結果の反映 (3)安全性向上に向けた 基盤整備 ○事故時対応能力の向上 16 ○体制の充実 H26年度 9 20 安全性向上対策の推進(深層防護による安全確保/規制の枠組みにとどまらない安全性向上) 14 初動体制の整備 原子力安全部門および 原子力安全統括の新設 等 福島第一原子力事故を踏まえた 安全文化醸成活動の充実 対応能力向上と人材育成 継続的改善 継続的改善 4-1.原子力安全の理念の明文化と共有(1/2) ‐社達の制定‐ 7 将来世代まで永続的に引き継いでいく「原子力安全に係る理念」を明文化し公表。(H26.8.1に社達制定) 制定に当たり、全ての部門の役員にて、社外有識者のご助言もいただき、繰り返し議論を実施。 速やかに、当社の全社員を対象に周知・浸透の取組みを展開。メーカ・協力会社の方々へも伝達。 社長のリーダーシップの下、全社一丸となりたゆまぬ安全性向上に取り組む。 社達の構成と要旨 【はじめに】 事故から得た教訓を胸に刻み、立地地域をはじめ社会の皆さまの安 (福島第一原子力事故を踏まえた 全を守り、環境を守るため、原子力発電の安全性のたゆまぬ向上に 取り組む。 反省と決意) 【原子力発電の特性、 リスクの認識】 大量の放射性物質を扱い、被ばくや環境汚染のリスクがあるという、原 子力発電の特性、リスクを十分認識し、重大な事故を起こせば甚大 な被害を与えうることを片時も忘れない。 【リスクの継続的な除去・低減】 「ここまでやれば安全である」と過信せず、リスクの継続的な除去・低 減に取り組む。 【安全文化の発展】 リスクの継続的な除去・低減に取り組む基盤は安全文化。これまで以 上に問いかけ、学び、社会の声に耳を傾ける姿勢等を徹底し、安全 文化を高める。 【安全性向上への決意】 社長のリーダーシップのもと、当社経営の最優先課題である原子力 発電の安全性向上に全社一丸となり、取り組む。 4-1.原子力安全の理念の明文化と共有 (2/2) -品質方針の見直し社達を踏まえ品質方針を見直し、職場に展開、メーカ、協力会社の方々への説明を実施。 品質方針の見直し ○「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」との美浜発電所3号機事故再発防止に向 けた社長宣言のもと、「安全を第一とした原子力事業の運営に係る品質方針」を策定。 ○社達の制定を受け、「リスク低減」 の理念を品質方針に追加。 ○本方針については、カードを作成し、 関係者全員に配布。 8 4-2.リスクマネジメントの充実 -経営トップのガバナンスの強化- 9 リスク管理委員会に「原子力部会」を設置し、原子力以外の技術部門の幅広い知見を活用し、 放射性物 質の放出リスクに関する評価を実施。 原子力事業本部に「原子力安全部門」を、各発電所に「原子力安全統括」を新設し、絶えずリスクを抽出・ 評価、除去・低減する取組みを充実。 社長 報告 常務会 答申 答申 諮問 リスク管理委員会 諮問 [責任者:副社長*] ○リスク管理状況の把握、評価 ○リスク管理の仕組み、体制の評価および改善指示 情報 原子力安全推進委員会 共有 原子力安全検証委員会 報告 ○全社大で確認・支援 *リスク管理統括責任者 諮問 内部監査 答申 報告 助言 勧告 報告 原子力部会【新設】 経 営 監 査 室 ○社外有識者を主体 ○独立的な立場から助言・勧告 検証委員の指示 による内部監査 報告 [責任者:副社長*] 報告 評価 評価 「放射性物質の放出リスク」 の管理の取組み 原子力事業本部 原子力安全部門【新設】 リスク検討会 【責任者:事業本部長】 確認・支援 発電所 原子力安全統括【新設】 【原子力部会のようす】 4-2.原子力事業本部におけるリスクマネジメントの充実 海外知見をはじめとした国内外情報による「リスク特定」を充実。 PRAなどの活用による「原子力リスク」に対する「リスク特定、分析、評価」の仕組み充実。 立地地域の皆さまからのご意見の汲み取り充実、リスク低減活動の結果をコミュニケーションに反映。 原子力事業本部 世界に学ぶ安全性向上活動の強化 ・WANO (世界原子力発電事業者協会) ・JANSI (原子力安全推進協会) ・NRRC (原子力リスク研究センター) ・INSS (原子力安全システム研究所) ・海外原子力事業者(提携拡大)等 リスク検討会 リスク情報の汲み上げ 報告 確認・指示 リスクの特定 対策の実施 深層防護の充実 リスクの分析 14 PRA活用 12 リスクの評価 立地地域の皆さまとの リスクコミュニケーション 13 JANSI 11 ピアレビュー 他 NRRC PRA技術開発 他 10 4-3.原子力安全推進協会(JANSI)の活用と支援 11 一昨年9月に米国原子力発電運転協会(INPO)を訪問。 米国電力会社トップと意見交換を実施し、事業者間で激しいやりとりがありピアプレッシャーが機能していること、 INPOは事業者の安全性向上活動に強いリーダーシップを発揮していることに感銘。 JANSIも日本版INPOとして、世界最高水準を目指し、強いリーダーシップを発揮することを期待。 事業者から JANSIへの 3つの約束 JANSIの活動 安全性向上 評価 原子力施設の 評価 (ピアレビュー) ○JANSIの独立性(予算・要員) ○事業者のあらゆる情報を提供 ○JANSI代表と事業者社長との意識の共有 JANSIの活用と支援 □JANSIでのシビアアクシデント対策評価のためのプラントデータを当社より提供。 JANSIでの評価を発電所の設備や運用の改善に活かす予定。 □リスクマネジメント強化のためにも、JANSIのピアレビューを積極的に受け入れ、そ の評価結果を安全性向上に活用。 ・JANSIのレビュー能力向上のために、人的支援やレビュー機会を提供。 □JANSI研修プログラム(緊急時対策所指揮者研修、管理者研修等)の活用。 教育訓練 □経営層自らJANSIの活動(経営者研修、日米CNOリーダーシップ会議等) に参加し、活動全体を牽引。 12 4-4.確率論的リスク評価(PRA)活用の推進 PRAから得られる情報を課題の優先度や安全対策の検討・判断に活用。 今後は、自社グループ内のPRA評価技術および人材の育成を推進し、評価範囲を拡大。 <これまでの取組み> ○原子炉設置変更許可申請において、内部事象レベル1PRA(出力時、停止時)、地震レベル1PRA、 津波レベル1PRA、内部事象レベル1.5PRA(格納容器破損頻度評価)を実施し、事故シーケンス選 定に活用。 ○停止時PRAを発電所員が実施し、評価結果を定検工程策定に活用。 <今後の取組み> ○NRRCの研究成果を取り入れながら、PRA手法の整備を推進。 ○可能なものから順次実機モデルへ展開し、課題の優先度や安全対策の検討・判断にPRA結果を活用。 NRRC 研究成果 の反映 ※ 別途、マルチユニットPRAの検討も進める。 PRA手法の研究・開発 ・外部事象PRA ・マルチユニットPRA ・レベル2,3PRA 4-5.リスクコミュニケーションの充実 13 立地地域の皆さまからのご意見を事業運営に反映。 <これまでの取組み> 【各種会議体】 【社員による各戸訪問】 【越前若狭のふれあい】 ・福井県原子力安全専門委員会 ・福井県原子力環境安全管理協議会 ・平和利用協議会 ・エネルギー懇話会 等 ・発行:定例号 3回、特別号 3回 ・発行部数:31万1千部/回(平成26年度現時点実績) 地域の皆さまからのご意見 :約700件 「越前若狭のふれあい」アンケート:約1,400件 (平成26年度上期実績) 原子力に対する建設的な意見のみならず、不安・慎重の意見も社内で共有、事業運営に反映 <今後の取組み> ○PRA等の手法も活用し、活動を充実していく。 ○地域の皆さまと原子力リスクに関する認識の共有を図るとともに、いただいたご意見を リスクマネジメント活動に反映していく。 14 4-6.深層防護による安全確保対策の強化 ハード・ソフト両面の対策から、深層防護による徹底した安全確保を推進。 【事故以前の対策】 人的被害防止 環境回復 第5層 防 災 【事故直後の対策】 ・緊急時対応体制の強化、 充実 設計基準外 事故の影響緩和 設計基準内 アクシデントマネジメント ・シビアアクシデント対策 大規模な放出防止 -がれき撤去用 第4層 格納容器損傷防止 ・常用機器等による 重機の配備 等 (放出抑制・拡散緩和) 炉心損傷回避、格納 容器破損回避のため ・緊急安全対策 のアクシデント 電源確保 著しい炉心 マネジメント対策 冷却確保 損傷防止 浸水対策 第3層 炉心損傷防止 緊急炉心冷却装置、 格納容器健全性 格納容器スプレイ系等 維持 第2層 異常拡大防止 異常検知・停止装置等 第1層 異常発生防止 インターロック等 (凡例) 福島第一原子力 発電所事故以前の 対応範囲 福島第一原子力発電所 事故後の対応範囲 【さらなる安全性向上対策】 ・原子力緊急事態支援組織 の設置 ・地域防災計画への全面的 協力 ・水素燃焼装置(イグナイタ) ・恒設非常用発電機 ・免震事務棟 ・フィルタ付ベント設備 ・特定重大事故等対処施設 ・空冷式熱交換器 ・代替蒸気発生器給水設備 ・中圧ポンプ ・竜巻対策 ・外部火災対策 ・火災防護対策 ・防波堤のかさ上げ 等 安全性向上対策を実効ならしめるためのソフト面の強化 ・事故時対応能力の向上 ・体制の充実 等 4‐6.主な安全対策 –ハード面の取組み(高浜発電所3,4号機)原子炉等を安定的に冷却し、重大事故を防ぐ対策(事故進展防止) 自然現象から発電所を守る備え(事故発生防止) ④小浜湾東側 段丘面調査 配管補強 の例 ②小浜湾における 海上音波探査 ②‘小浜湾周辺の ボーリング調査 ①熊川断層西端の 反射法地震探査 重大事故を発生させないために ③双児崎の リニアメント調査 電源の強化 外部 電源 非常用ディーゼル 発電機(4台) (既設) 9 電動補助給水ポンプ& タービン動補助給水ポンプ 空冷式非常用 発電装置(4台) 22 2 ○森林火災の延焼を防ぐため、発電所施設周辺 の樹木を伐採し、幅18mの防火帯を確保 (既設) 使用できない場合に備え 15 13 台数は高浜3,4号機の合計数 中圧ポンプ 10 16 4 8 21 3 9 20 12 14 6 19 5 11 可搬式代替 低圧注水ポンプ 消防ポンプ 万一の重大事故に対応するための対策 (事故拡大防止) 格納容器の破損防止・水素爆発防止対策 15 16 17 13 1 静的触媒式 水素再結合 装置(水素を 酸素と結合さ せて水蒸気と して取除く) 竜巻への備え ○ 飛来物から機器を守るために竜巻対策設備※を設置 ※ 過去の日本最大風速(92m/秒)を上回る、風速100m/秒の 竜巻が発生した場合に、鋼製材(135kg)が飛来すると想定 《上面》鋼鉄製の金網で飛 来物のエネルギーを吸収 ○格納容器減圧手段の確保(設計中) ○水素濃度低減 装置の設置 5 アクセスルート確保 18 水素燃焼装置(炉心損 傷時に短時間に多量 の水素が発生したとし ても計画的に燃焼) 放射性物質の拡散抑制 ○がれき撤去用重機を配備 ○放水砲 (大気拡散 抑制) 20 19 《側面》鋼板で 貫通を阻止 工事後 非常用炉心冷却設備 (既設) 電源車(5台) 7 17 18 水密扉 外部火災への備え 工事前 大容量ポンプ ○炉心の直接冷却手段の多様化 万一、重大事故が発生した場合に備え 4 2 6 12 (既設) 使用できない場合に備え 14 想定を超えた ○最大規模の津波を想定 場合に備え ○安全上重要な機器を 守る水密扉等を設置 し、防潮堤等を設置 海水ポンプ周り の防護壁 海水ポンプモーター予備品 使用できない 場合に備え ○蒸気発生器の冷却手段の多様化 10 取水路防潮ゲート(工事中) 故障に 備え (イメージ) 8 使用できない 場合に備え (既設) 津波への備え 3 11 ○外部電源の強化や、所内電源を多重化・多様化 7 冷却機能の強化 ○海水取水手段の多様化 海水ポンプ 地震への備え ○発電所周辺の断層の連動性等について、詳細な調査を実施。 保守的に連動性等を評価し、 1 地震想定を引上げ。 必要箇所には耐震補強等実施 。 15 15 ○シルトフェンス( 海洋拡散抑制) 21 緊急時対策所 ○緊急時対策所を整備 ○更に免震事務棟を設置 中。 22 (イメージ) 4-7.事故時対応能力の向上 -重大事故等発生時の対応体制(例:高浜発電所)万が一に備え、発電所構内に初動対応要員として70名が24時間常駐。 また、緊急安全対策要員48名が事故発生から6時間以内に召集できる体制を構築。 さらに、協力会社やプラントメーカによる発電所支援により、合計700名以上が事故収束に注力。 休日・夜間の対応体制 原子力事業本部 高浜発電所 ・初動対応要員 70名 (発電所構内に24時間常駐) プラントメーカ (三菱重工業・三菱電機) 技術的支援要員 ○三菱若狭原子力安全統括 センター(若狭)11名 ○三菱緊急時原子力安全対策 センター(神戸) 約400~500名 (24時間目途に参集) 発電所員 緊急安全対策要員 48名以上(6時間以内に参集) ・寮、社宅、自宅から緊急呼出システムで召集 ・発電所周辺に居住する要員は約230名 協力会社 協力会社による 支援要員 約150名 (24時間目途に参集) 合計 約700名以上が 事故収束に注力 16 4-7.事故時対応能力の向上 –緊急時対策 個別訓練- 17 体制・手順の充実・強化を進めるともに、それに応じ、必要な教育や各種訓練を繰り返し行い、 シビアアクシデント対応能力の向上を推進。 個別訓練の様子 <中圧ポンプ用発電機取扱い> <号機間融通のケーブル接続> <可搬型放射線計測装置操作> 【教育・演習受講者人数(延べ人数)】 平成23年度 【訓練の回数】 平成25年度 平成23年度 平成25年度 美浜発電所 約380人 約1,300人 美浜発電所 約290回 約650回 高浜発電所 約480人 約1,200人 高浜発電所 約280回 約800回 大飯発電所 約470人 約2,800人 大飯発電所 約290回 約1,100回 4-7.事故時対応能力の向上 –緊急時対策 総合訓練- 18 事故時対応能力の向上や住民避難に対する協力などのソフト対策の強化・充実。 【当社で実施している総合防災訓練】 ○各発電所における総合防災訓練を実施。(1回/年・各発電所) 国も適宜参加 ○全社総合防災訓練を実施。(1回/年・当社) ○福井県・国等が参加した全社総合防災訓練を実施。(美浜、高浜、大飯、敦賀(原電)で毎年持ち回り) 全社原子力総合防災訓練の様子 (平成26年8月31日) <原子力事業本部>(美浜町) <指揮を執る高浜発電所所長> <代替設備による冷却訓練> <福井県高浜原子力防災センター> (緊急時対応対策等拠点施設) 4-7.事故時対応能力の向上 –緊急時対策 総合訓練福井県および高浜町からの要請に基づき、地域の皆さまの避難訓練を支援。 福井県および高浜町における避難訓練の様子 <ヘリコプターの提供> <当社通勤バスの提供> <スクリーニングの実施> <福祉車両の提供> 19 4-8.安全文化の発展 -安全文化評価の枠組み- 20 安全文化評価の枠組みに基づき、安全文化の自己評価を実施(毎年)。 評価結果を社長へ報告するとともに、社長から指示を実施。 3つの切り口 による評価 安全文化の3本柱と評価の視点 コミュニケーション トップのコミットメント 組織・人の 意識、行動 [1] 安全最優先のプライオリティ [5] 現場第一線の状況把握 [2] 組織の権限と責任 [6] 組織内、組織間の連携 [3] 現場第一線の理解と実践 [7] 協力会社との意思疎通 21 [4] 資源投入、資源配分 [8] 外部への情報提供 安全の結果 外部の意見 [9] 必要な技術力の維持・向上 [12] 外部意見の積極的聴取 [10] ルールの遵守・見直し [13] 現状への問いかけ、リスク評価 [11] 主体的な問題解決、改善活動 [14] モチベーションの維持、向上 (トラブル発生件数 等) 労働安全 (労働災害件数 等) アンケート・対話結果 (アンケート対象者) 社 員 約1,800名 協力会社 約3,000名 学習する組織 プラント安全 視点毎に、「あるべき姿」を定め、 評価を実施。 また、福島第一原子力発電所 事故を踏まえ、全社大の各階 層において議論を重ね、得た教 訓を「あるべき姿」へ反映。 社会の信頼 (法令、ルール違反 等) 地域の声、原子力安全検証委員会の意見 総合評価 重点施策 の抽出 改善活動 4-8.安全文化の発展 -安全文化評価の活動例- 21 毎年度の安全文化評価で抽出した課題に対して重点施策を設定し、取組みを実施。 重点施策の例 [7] 協力会社 との意思疎 通の強化 H21 H22 H23 H24 H25 安全最優先の工程の理解活動(説明会・ビラ配布等) 工事実施時期の早期情報提供、作業エリア詳細調整等 改善要望への迅速・丁寧な回答 【協力会社アンケート】 ○発電所運営にご協力いただいている協力会社の方を対象として、約20問のアンケートを実施。アンケート 結果を踏まえて、安全文化評価・活動を展開。 安全最優先の工程策定 75 意見要望を聞こうという姿勢 肯定率(%) 肯定率(%) 100 100 75 50 50 25 25 0 第1回 第3回 第4回 第5回 H21 第6回 H22 第7回 H23 第8回 H24 第9回 H16 第2回 H17 H18 H19 H20 0 第1回 第2回 H18 第3回 H19 第4回 H20 第5回 H21 第6回 H22 第7回 H23 第8回 H24 第9回 H16 H17 ○定期検査工程に係る評価は上昇傾向にあるものの、コミュニケーションに係る評価が横ばい傾向であるこ とを踏まえ、協力会社との対話活動、合同の現場パトロールなどを実施し、改善に努めている。 5.まとめ 22 ○当社は、美浜発電所3号機事故を原点として、「安全を守る。それは私の使命、わ が社の使命」との社長宣言のもと、「安全最優先」の事業活動を展開してまいりました。 ○福島第一原子力発電所事故を踏まえ、今一度、自らの活動を反省し、原子力発 電の安全性向上への決意を明文化するとともに、安全対策の充実に取り組んでおり ます。 ○安全確保は一義的に事業者の責任との考えのもと、「ここまでやれば安全である」と 過信せず、リスクマネジメントを充実させ、自主的かつ継続的な安全性向上に努めて まいります。 ○この安全性向上活動を支えるのは安全文化であり、原子力に携わる全社員が、安 全性向上活動を日々当たり前にできるよう、私自らが先頭に立ち、強い意志と覚悟 をもって、安全文化を高めてまいります。 23 参 考 世界に学ぶ安全性向上活動の強化 24 トップマネジメントのもと、世界に学ぶ安全性向上活動を強化。 【福島第一原子力発電所事故後の活動】 【関西電力の例】 JANSI (原子力安全推進協会) NRRC (原子力リスク研究センター) WANO (世界原子力発電事業者協会) INPO 関西電力 本店と発電所の連携 + 全社をあげた原子力安全の推進 (米国原子力発電運転協会) EPRI (米国電力研究所) ○WANO ピアレビュー ・H24.11 高浜発電所 ・H25.1 美浜発電所 ・H25.8 高浜発電所 ○技術支援ミッション(TSM)の招聘 ・H24.12 長期停止後再起動 ・H25.2 防災と過酷事故 ○CEO会議 ・H25.5 CEO会議(モスクワ)に出席 (日本からCEO8名出席) ・H25.9 小規模CEO会議*(大阪) (日本からCEO11名出席) ○WANO活動へのCEO関与強化 ・H26.1 WANO東京センター理事に 国内全CEOが就任 *世界の地域毎にCEOを集め開催する会議 海外電力会社 INSS (原子力安全システム研究所) 国内外 原子力メーカー ○情報交換協定等の締結 [福島第一原子力発電所事故前] 欧州4社、米国1社、韓国1社 [事故後] 従前に加え、 欧州1社、米国1社と締結 ○INPO理事会 ・H24.2 当社副社長出席 ・H25.9 当社社長出席 ○CNO意見交換会 ・H25.9 日米CNO意見交換会に出席 (日本側10社、米国側23社) ・H26.10 日米CNO意見交換会に出席 ○EPRI トップの意見交換 ・H24.2 CEOとの意見交換(社長、副社長) ・H25.4 CEOとの意見交換(社長、副社長) 停止時安全管理(定期検査工程策定)へのPRAの活用 ○定期検査工程作成業務に停止時PRAの結果から得られたリスク情報を反映し合理的に 可能な限りリスク低減策が使用可能な工程を検討。 ○リスク低減策の実施に必要な機器・系統の利用可能な期間を延長する工程の作成等を 実施。 25 定検工程管理 担当セクション 定検工程(案)作成 安全管理担当 セクション (工程調整によるリスク低減イメージ) 停止時PRA実施 リスク低減のための工程調整 定検工程変更 工程管理 リスク低減策(安全 設備・AM対策など) の利用可能期間の拡 張検討 これまでのPRAに新たに整備したSA設備・手順や最新知見を反映するとともに、更なる活用 拡大を検討 津波対策 26 入力津波高さ: 基準津波に潮位のばらつきを考慮したもの 放水路 入力津波高さ 海抜+6.7m 放水口側防潮堤 海抜+8.0m 取水路防潮ゲート前面 入力津波高さ 海抜+6.2m 取水路防潮ゲート 海抜+8.5m 2号機 1号機 凡例(数値は敷地高さ) 浸水防護重点化範囲 (内郭防護 15m) 津波対策 (外郭防護 8m,8.5m) 4号機3号機 津波遡上範囲 ( )内は基準津波高さ <外郭防護 8m、8.5m> 【放水口側】 【取水口側】 防潮ゲート 内部火災対策 27 消火設備設置 系統分離対策 火災検知器 耐火シート スプリンクラー ハロン消火剤 ノズル ケーブルトレイ ポンプ ハロン消火設備の設置 消火水系統追設 消火ポンプ室 タービン建屋 淡水 タンク 外周建屋 消火設備 M 消火ポンプ (電動) 消火ポンプ (ディーゼル) :既設消火水ライン :中越沖地震を踏まえた対応 :バックアップの水源確保(新設) 原子炉格納容器 M 淡水 タンク 制御建屋等 M 淡水 タンク ケーブルトレイへの耐火シート スプリンクラーの設置 電動弁※ 2台 電動ポンプ※ 2台 給水接続口 (必要に応じ接続) 防火水槽 ポンプ車 ※ポンプ及び弁は自動起動 (電源は非常用電源系統) タンク Sクラスの地震時でも 機能維持が可能なライン 消火水バックアップタンク (100m3×6基/3・4号機) 外部火災対策 28 森林火災の延焼を防止するために森林を伐採し、幅18mの防火帯を設置。 防火帯の工事(例) :防火帯 【防火帯設置後】 竜巻対策 29 風速100m/sで飛来物となり得る物品の飛散防止対策(飛散防止、移動、収納)を実施。 重要な発電設備を竜巻による飛来物から保護するため、 飛来物防護対策を実施。 (地震動を考慮し、 約6m掘削、岩着した耐震工事を実施) 飛来物防護対策 〔竜巻飛来物対策設備設置前〕 <上 面> 鋼鉄製の金網で飛来物のエネルギーを吸収 〔竜巻飛来物対策設備設置後〕 <側 面> 鋼板で貫通を阻止 飛散防止対策 ○飛散防止対策:飛散対象物をアンカー、ウエイト等に て飛散しないよう固縛する。 ○対象物 :ユニットハウス、定検工具保管庫、 運転・保守に必要な仮置資機材、 定検テント他
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