防湿絶縁コーティング剤 ハヤコート Mark2 (AY-302シリーズ) 2014年12月25日発行 REV.1.11 SG043102 お願いとご注意 ・ 本資料は、電子工作や電子回路、化学分野について一般的な知識をお持ちの方を対象に しています。 ・ 本資料に掲載している内容は、お客様が用途に応じた適切な製品をご購入、ご使用して いただくことを目的としています。その使用により当社及び第三者の知的財産権その他 の権利に対する保証、または実施権の許諾を意味するものではありません。また、権利 の侵害に関して当社は責任を負いません。 ・ 記載されているデータは規格値ではありません。 ・ 本品は、一般工業用途向けに開発されたものですので、医療用途・食品・化粧品など、 安全面での配慮を必要とする用途へのご使用に際しては、貴社にて事前に当該用途での 安全性をご試験、ご確認の上ご使用の可否をご判断ください。 ・ 体内に埋植、注入する用途、または体内に一部が残留する恐れがある用途には、絶対に 使用しないでください。 ・ 本資料の一部、又は全部を当社の承諾なしで、いかなる形でも転載または複製されるこ とは堅くお断りします。 ・ 全ての情報は本資料発行時点のものであり、当社は予告なしに本資料に記載した内容を 変更することがあります。 ・ 本資料の内容は慎重に制作しておりますが、万一記述誤りによってお客様に損害が生じ ても当社はその責任を負いません。 ・ 本資料に関してのお問い合わせ、その他お気付きの点がございましたら、当社までお問 い合わせください。 ・ 本資料に関する最新情報はサンハヤト株式会社ホームページ (http://www.sunhayato.co.jp/)に掲載しております。 1 ハヤコートマーク2 技術資料 目次 目次 1 2 3 4 5 はじめに ..................................................................................................................... 3 1.1 概要 ................................................................................................................... 3 1.2 特長 ................................................................................................................... 3 特性データ .................................................................................................................. 4 2.1 性状 2.2 物理的特性 ........................................................................................................ 4 2.3 電気的特性 ........................................................................................................ 4 2.4 イオン性不純物測定 2.5 燃焼性試験 ........................................................................................................ 5 2.6 樹脂影響性 ........................................................................................................ 6 使用方法 ................................................................................................................... 4 ......................................................................................... 5 ..................................................................................................................... 7 3.1 塗布方法 ........................................................................................................... 7 3.2 乾燥方法 ........................................................................................................... 8 取扱い及び保管方法の注意 ........................................................................................ 9 4.1 取扱い上の注意 ................................................................................................ 9 4.2 保管方法の注意 ................................................................................................ 9 白化現象について ..................................................................................................... 10 2 ハヤコートマーク2 技術資料 1 はじめに 1 はじめに 1.1 概要 ◆本製品は、防湿性、絶縁性に優れたビニルブチラール樹脂を主成分としたプリン ト基板用のコーティング剤です。 ◆屋外機器などの内部基板における湿気、結露、塩害などによるトラブルを未然に 防止します。 ◆温泉地などの腐食性ガス雰囲気下におけるプリント基板の腐食防止対策に効果を 発揮します。 ◆イオンマイグレーションなどのトラブルにおける防湿・絶縁対策に効果を発揮し ます。 1.2 特長 ◆ガスバリア性 形成された被膜が湿気や腐食性ガスから基板を守ります。 ◆絶縁性 プリント基板の狭いパターンなどに絶縁被膜を形成し信頼性を向上させます。 ◆密着性 ハンダ面、金属、樹脂、磁器などによく密着します。 ◆リワーク性 補修の時は被膜を剥がさずに、そのままハンダ付けができます。 ◆作業性 有機溶剤中毒予防規則に非該当ですので、 「排気装置の設置」、 「作業環境測定」、 「防毒マスクの着用」、「作業者の特殊健康診断」などの義務が発生せず、比較 的簡易的に作業を行えます。 3 ハヤコートマーク2 技術資料 特性データ 2 2 特性データ 2.1 性状 項目 性能 試験方法 外観(クリアー) 淡黄色透明液体 目視 臭気 アルコール臭 - 比重(20℃) 0.826 比重計 ※数値は代表値であり、保証値ではありません。 2.2 物理的特性 項目 性能 試験方法 連続使用温度範囲(℃) 付着性 (銅箔板上クロスカット法) 透過湿度 (g/m2・D、100μm) -40~100 - 100/100 JIS K5600 <0.25 JIS Z0208 表面硬度(鉛筆硬度) 2H JIS K5600 耐亜硫酸ガス試験 銅箔面に腐食なし (30±2ppm、48h) 耐硫化水素ガス試験 銅箔面に腐食なし (30±6ppm、48h) 耐熱耐湿度試験 銅箔面に腐食なし (80℃、90%、168h) 熱衝撃試験 剥がれやクラックなし (-40℃~125℃、100サイクル) 高温試験 絶縁抵抗値に変化なし (120℃、500h) 銅板腐食試験 変色なし (室温、500h) ※数値は代表値であり、保証値ではありません。 - - - - - - 2.3 電気的特性 項目 性能 試験方法 体積抵抗率 >1013Ω・cm JIS K6911 絶縁破壊強さ 12kV/0.1mm JIS K6911 誘電率(1MHz) 3.4 JIS K6911 誘電正接(1MHz) -2 3.5×10 ※数値は代表値であり、保証値ではありません。 4 JIS K6911 ハヤコートマーク2 技術資料 2 特性データ 2.4 イオン性不純物測定 本製品で作成した約100μmのフィルムを120℃、24時間にて純水に溶出し、溶出液 のイオン性不純物の測定を行なった。 装置:イオンクロマトグラフICS-3000(ダイオネクス製) 分離カラム:IonPac CG12A+IonPac CS12A(ダイオネクス製) 測定項目(陰イオン) 測定値(mg/L) 測定項目(陽イオン) 測定値(mg/L) F- <0.004 Li+ <0.004 Cl- 0.37 Na+ 0.09 NO 2 - <0.01 NH 4 + 0.72 Br- <0.008 K+ <0.04 NO 3 - <0.02 Mg2+ <0.04 SO 4 2- 0.10 Ca2+ <0.04 PO 4 3- <0.02 2.5 燃焼性試験 本製品を2度塗りしたガラスエポキシ基板と紙フェノール基板について燃焼性試験 を行なった。 試験方法:UL94V 前処理:23±2℃、50±5%、48h 本製品塗布基板 厚さ(mm) UL94ランク ガラスエポキシ基板 1.52 V-0相当注) 紙フェノール基板 1.60 V-0相当注) 注)UL非登録 5 ハヤコートマーク2 技術資料 2 特性データ 2.6 樹脂影響性 各樹脂片に本製品を2度塗りし、室温で24時間乾燥後、樹脂片の外観を観 察した。 樹脂の種類 クラック 変色 フェノール樹脂 なし なし ABS樹脂 なし なし アクリル樹脂 なし なし ポリカーボネート樹脂 なし なし ポリアミド樹脂 なし なし ポリプロピレン樹脂 なし なし 塩化ビニル樹脂 なし なし PET樹脂 なし なし ポリエチレン樹脂 なし なし 天然ゴム なし なし ネオプレンゴム なし なし 6 ハヤコートマーク2 技術資料 3 使用方法 3 使用方法 3.1 塗布方法 ①容器を充分に振り、よく混ぜて下さい。 ②漏電防止のため、必ず電源を切ってから塗布して下さい。 ③湿度に充分注意して塗布して下さい。 ④一度に厚塗りせず、20~30分乾かしてから、2~3回重ね塗りして下さい。 基板の洗浄作業 基板上のホコリや油分、余分なフラックス残渣を除去 ハヤコートの塗布作業 作業環境は、湿度60%以下(出来れば50%以下)で ホコリの少ない場所 接点等にはマスキングをし、保護する。 2~3度の重ね塗りを推奨 基板から 15cm 程度離して、15cm/s 程度のスピードで塗布 20~30分放置(指触乾燥) この時、前回とは90度向きを変えて塗布する。 2度塗り、3度塗りの場合は、指触乾燥後に塗布作業を繰り返す 7 ハヤコートマーク2 技術資料 3 使用方法 3.2 乾燥方法 ①常温乾燥で24時間以上乾燥して下さい。 (指触乾燥までは湿度に十分注意して下さい。) ②強制乾燥する場合は、赤外線乾燥を行って下さい。 (乾燥炉等による温風乾燥の場合、外部からの加熱になり、塗膜内部に溶剤が残 留してしまう可能性があります。) ③完全乾燥してから通電して下さい。 塗 布 作 業 作業環境は、湿度60%以下(出来れば50%以下)で ホコリの少ない場所 常温乾燥にて20~30分放置 指 触 乾 燥 常 温 乾 燥 赤 外 線 乾 燥 24時間放置 塗 膜 の 完 40℃/6~8時間放置 全 乾 燥 注)赤外線乾燥につきましては、装置の状況によって条件が変わりますので 必ず試験を行って下さい。 8 ハヤコートマーク2 技術資料 4 取扱い及び保管方法の注意 4 取扱い及び保管方法の注意 4.1 取扱い上の注意 ①引火性液体ですので、熱、火花、裸火、高温のような着火源から遠ざけて下さい。 ②作業中や乾燥中は、充分換気に行なって下さい。 ③蒸気を吸入したり、眼や皮膚に接触したりしないように充分注意して下さい。 ④眼や皮膚に付着した場合、炎症をおこす恐れがありますので、使用するときは 必要に応じて保護具を着用して下さい。 ⑤素材の性質や経時劣化により、一部のプラスチック・塗装・ゴム・印刷面などは、 破損や変質する恐れがありますので注意して下さい。 ⑥用途以外には使用しないで下さい。 ⑦人体や動植物には使用しないで下さい。 ⑧ご使用に際しては、取扱い説明書、製品安全データシートを熟読の上、お取り 扱いくださるようお願いいたします。MSDSはサンハヤト株式会社ホームペー ジ(http://www.sunhayato.co.jp/)からダウンロードできます。 4.2 保管方法の注意 ①ご使用後は換気の良い冷暗所に保管して下さい。 ②残余廃棄物は、専門の産業廃棄物処理業者に委託するなどして処理して下さい。 9 ハヤコートマーク2EF 技術資料 5 白化現象について 5 白化現象について 白化現象とは、コーティング剤が乾燥する時に周囲の湿気や基板上の湿気を含み、それが 溶剤から遅れて揮発しようとし、被膜にピンホールの集合体を空け、それが白くなって見 える現象です。白化した部分は、完全乾燥していれば基板への悪影響はありませんが、そ の部分はピンホールの集合体であり、防湿性、絶縁性等の本来のハヤコートの特性、性能 が発揮されず、コーティングされていないのと同等の状態となります。 白化現象には大きく分けて下記の2種類あります。 ①塗布、乾燥中の周囲の湿気や基板表面の湿気、水分によるもの 塗布直後の乾燥初期に薄く白化し始めます。ただし、多くの場合はしばらく乾燥が進む と消えてしまいます。消えてしまう場合は問題ありません。 ②フラックスとの相溶性や湿気や酸の影響によるもの フラックス残渣上のみに濃い白化として見られます。主に指触乾燥から完全乾燥までの 間に現れます。 対策 塗布及び乾燥雰囲気の湿度が50%以上ある場合は50%以下で作業して下さい。 それでも解消しない場合は、基板表面に残留した湿気、水分の影響の可能性がありますの で、塗布前に基板自体を40℃程度の温風で予備乾燥して下さい。 それでも解消しない場合は、②との複合的な要因が考えられますので、フラックスの洗浄 もしくはフラックスの変更が必要となります。 10 ハヤコートマーク2(スプレータイプ) 技術資料 発行日 2014 年 12 月 25 日 発 サンハヤト株式会社 行 住 所 AY-302 シリーズ Rev1.11 〒170-0005 東京都豊島区南大塚 3 丁目 40 番 1 号 ©2014 Sunhayato Corp. All rights reserved. Printed in Japan. SG043102 11
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