特集 ハイビジョン非圧縮動画の記録もできる 第3章 4 チャネル束ねて使えば 1G バイト/ 秒の怒濤の超高速転送を実現できる Altera 社製 FPGA への 市販 SATA コア実装事例 石川 康彦 Yasuhiko Ishikawa この章では GXトランシーバ内蔵の最新 Altera 社製 FPGAに SATA-IPコアを実装して,SATAインターフェースを 構築するデザインや応用例について紹介します.大容量ファイルを扱えるexFAT の適用や,複数ドライブを並列動 作することで,転送帯域を飛躍的に高められるRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)デザイン,さらに SATAアプリケーションの実用例として,1 対 3 デュプリケータ(データ・コピー機)について紹介します. 1.Altera 社製 FPGA の GX トランシーバの活用 ● SATA 対応 GX トランシーバ FPGA で SATA インターフェースを構築する場合, SATA 規格に対応可能なトランシーバ内蔵タイプが 使えます.SATA ケーブル内を流れる高速シリアル 信号自体は PHY レイヤを実装したトランシーバで送 受信しますが,ユーザからリード / ライト・データと してアクセスするためには,FPGA 内部ファブリック や内蔵 CPU で構築したリンク / トランスポート / アプ リケーションなどの上位レイヤで処理する必要があり ます. すなわち GX トランシーバは PHY レイヤとして使 い,上位レイヤに SATA-IP コアや Nios Ⅱ CPU を応 用して評価ボードに組み込んで実用的なシステムとし てデザインします. ● GX トランシーバの SATA 設定 Altera 社の最新 FPGA には,高速シリアル通信を 可能とする GX トランシーバが内蔵されたデバイスが 用意されています.そのトランシーバを応用すること で,SATA インターフェースを構築できます.ここ で 紹 介 す る Stratix IV GX,Stratix V GX,Arria V GX デバイスのトランシーバは,最新となる SATAⅢ 規 格(6Gbps)を 超 え る 帯 域 を 持 っ て お り, か つ SATA の初期化に必要な OOB 信号の生成 / 検出機能 を内蔵するため,SATA- Ⅲの実装も可能です. 各種高速シリアル通信規格へ柔軟に対応するため, GX トランシーバは複雑かつ高機能であり,多数のパ ラメータを設定する必要があります.PCI Express や 10GBase-R,XAUI などのメジャーなプロトコルに対 しては,それぞれの規格に対応した設定パッケージが もともと Altera 社から提供されています.しかし残 念ながら,SATA 規格に対しては専用のパッケージ は用意されていません.このため Quartus II 開発ツー 32 第3章 ルで提供される図 1 のようなカスタム PHY IP コアを 使って,SATA に対応したトランシーバ設定をデザ インする必要があります.ただ設定といってもデー タ・レートやファブリック・インターフェース・ビッ ト幅,8b10b 機能の有無など基本的なパラメータを SATA 規格に合うように入力するだけで必要なパラ メータを全て自動生成してくれるので,GX トラン シーバの設定自体は非常に簡単にできてしまいます. 一 方,SATA の 初 期 化 で 必 要となる OOB(Out-ofBand)プロトコルは GXトランシーバだけでは実装で きません.OOB で使う低周波の信号検出や発生機能自 体は GXトランシーバに内蔵されているので,その機 能とファブリック部の OOB 制御ロジックを組み合わせ て OOB プロトコルを実装することになります. 2.SATA-IP コアと 評価用リファレンス・デザイン ● IP コア概要説明(SATA3 対応 /Link 層を実装 / 実機 評価環境) 高速シリアル通信規格の PHY レイヤを実装する GX トランシーバは SATA- Ⅲの 6Gbps に対応しますが, トランシーバだけでは SATA インターフェースを実 装することはできません.SATA 規格は図 2 に示すよ うに,PHY レイヤの上位にリンク・トランスポート・ アプリケーションの全 4 レイヤ構造で規格化されてい ます.ホストとデバイスがそれぞれのレイヤ同士で通 信するので,PHY レイヤに加えて各上位レイヤを合 わせて実装することで初めて SATA インターフェー スとして機能します. その上位レイヤのうち最も実装が困難とされている のが SATA プロトコルの制御を担うリンク・レイヤ です.リンク・レイヤではプリミティブと呼ばれる制 御パケットの生成 / 送信や受信 / 解析,CRC の生成 / ベリファイ,スクランブル化と復元など複雑な機能を 実装しますが,リンク・レイヤをデザインするために Altera 社製 FPGA への市販 SATA コア実装事例
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