ジオポリマーペーストの圧縮強度に及 ぼす使用材料および養生条件の影響に 関する基礎的研究 前川明弘 (三重県工業研究所) 三島直生 (三重大学大学院) 畑中重光 (三重大学大学院) 高橋みゆき(三重大学大学院) 本研究の目的 セメント代替材料としての利用が 期待できるジオポリマーに着目し、 ポーラスコンクリートの結合材と しての適用性について検討する。 ポーラスコンクリート の結合材として、高強 度結合材が要求 セメントを使用せずに作製した ポーラスコンクリートブロック製品 の一例 ジオポリマーペーストの圧縮強度に及ぼす使用材料お よび養生条件の影響について検討した。 実験概要 実験の要因と水準 要因 水準 高炉スラグ微粉末(石膏添加無、略号BS)、 粉体 フライアッシュⅡ種(略号FA)、 使 BS+FAの混合使用(質量比で、1:1) 用 材 水ガラス(珪酸ソーダ2号、略号WG)、 料 溶液 水酸化ナトリウム溶液 (10mol/l、略号NA)、 WG+NAの混合使用(質量比で、2:1) 粉体/ 溶液比 =0.6 常温養生:打設後、型枠上面を封緘、25℃の室温で 材齢日まで養生 養生条件 高温養生:打設後、型枠上面を封緘、60℃で1時間 加熱処理後、25℃の室温で材齢日まで養生 実験概要 試験項目 1.フロー値 2.急結時間 3.圧縮強度 2.急結試験の様子 1.フロー試験の様子 3.圧縮強度試験後の様子 実験結果:フロー値および急結時間 フロー値および急結時間 使用粉体 高炉スラグ 溶液略号 フロー値 (mm) 急結時間 (min) NA 157×147 30 NA+WG WG - *1 10 221×227 30 -* 1 -* 2 NA フライアッシュ NA+WG WG 高炉スラグ+ フライアッシュ NA NA+WG WG - *1 242×239 30 20 - *2 *1:フロー値が300mm を超えたもの *2:急結が見られな かったもの 高炉スラグを使用したもののほとんどで、急結が発生する。 実験結果:圧縮強度試験(高炉スラグ) 200 175 圧縮強度 (N/mm2) 150 125 100 封緘養生 ○:WG □:NA △:WG+NA 高温養生 ●:WG ■:NA ▲:WG+NA 75 50 25 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 材齢 (日) 90 100 硬化体のSEM画像の一例 (WG使用、高温養生、5000倍) 圧縮強度と材齢との関係 高炉スラグを使用すれば、高強度が期待できる。 実験結果:圧縮強度試験(フライアッシュ) 200 封緘養生 ○:WG □:NA △:WG+NA 高温養生 ●:WG ■:NA ▲:WG+NA 175 圧縮強度 (N/mm2) 150 125 100 75 50 25 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 材齢 (日) 90 100 硬化体のSEM画像の一例 (WG+NA使用、高温養生、3000倍) 圧縮強度と材齢との関係 フライアッシュは、高炉スラグの3分の1程度の強度発現となる。 実験結果:圧縮強度試験 (高炉スラグ+フライアッシュ) 200 封緘養生 ○:WG □:NA △:WG+NA 高温養生 ●:WG ■:NA ▲:WG+NA 175 圧縮強度 (N/mm2) 150 125 100 75 50 25 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 材齢 (日) 90 100 硬化体のSEM画像の一例 (WG+NA使用、高温養生、3000倍) 圧縮強度と材齢との関係 WGとNAを混合して使用すれば、高い強度が得られる。 実験結果:圧縮強度試験(材齢87日) 圧縮強度 (N/mm2) 圧縮強度:封緘養生と高温養生の平均値 溶液 ○:WG □:NA △:WG+NA 0 20 40 60 80 100 高炉スラグ置換率*(Vol.%) *置換率 0%:FAのみ使用、100%:BSのみ使用 まとめ 本報では、以下の知見が得られた。 1)結合材の粉体として、高炉スラグを使用すれば高強度が 期待できるが、フライアッシュにするとその3分の1程度 の強度発現となる。 2)最大圧縮強度に及ぼす養生温度の影響は小さく、また、 水酸化ナトリウム溶液のみの使用では十分な強度発現が 得られない。 3)高炉スラグとフライアッシュを混合使用する場合には、 水ガラスと水酸化ナトリウム溶液を混合して用いれば高 強度となる。
© Copyright 2024 ExpyDoc